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知財ニュース338号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.338)
発行年月日:2022年12月28日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2022年12月14日 智慧局ニュース全訳)
1-1 商標登録出願にかかる使用を指定する商品・役務名称と検索参考資料の変更のお知らせ
(2022年12月19日 智慧局ニュース全訳)
1-2 即日より本局「専利公開情報検索システム」、「商標検索システム」及びeネットワーク「私の案件」等システムに案件の訴願及び訴訟情報を新設

2. 知的財産権紛争
(2022年12月19日 経済日報第A3面全訳)
2-1 業界震撼 9年ぶりにラーガンがジニアスを特許侵害で提訴

1.智慧局ニュース

(2022.12.14 智慧局ニュース全訳)
1-1 商標登録出願にかかる使用を指定する商品・役務名称と検索参考資料の変更のお知らせ
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-916725-6debc-1.html
「商品・役務の国際ニース分類」第12版の改訂に合わせ、商標登録出願にかかる使用を指定する商品・役務の名称、総計481項目の追加、48項目の削除、また42項目のグループ・小類別の名称又は備考事項の追加・削除・修正を行った(詳細は上記リンク先サイト「檔案下載(ファイルをダウンロード)」を参照(中国語))。
以上の変更は2023年1月1日より実施し、商標電子出願システム内の「使用を指定する商品・役務の類別及び名称」を同時に更新する(システム資料の正式な更新日程は、本局情報室の公告を基準とする)。
出願人が「ファストトラック」の運用を希望し、2023年1月1日以降、商標電子出願システムを通して登録出願する場合、願書に記載した使用を指定する商品・役務の名称と電子出願システム内の内容が異なり「ファストトラック」の条件に符合しないとして減免優待が受けられないことがないよう、出願前に最新の変更内容を確認すること。
「商標登録出願にかかる使用を指定する商品・役務名称(変更後の新バージョン)」の全ての類別資料は、即日より下記商標検索システム「商品及服務名稱分類査詢(中国語)」よりダウンロード可。
(https://twtmsearch.tipo.gov.tw/OS0/OS0303.jsp)

(2022.12.19 智慧局ニュース全訳)
1-2 即日より本局「専利公開情報検索システム」、「商標検索システム」及びeネットワーク「私の案件」等システムに案件の訴願及び訴訟情報を新設
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-916731-f513d-1.html
台湾の知的財産情報の完備及び透明度向上のため、本局は経済部訴願審議委員会及び司法院と機関を跨いだ協力を行い、専利商標案件の訴願(本年度及び直近5年度を含む)及び訴訟(2021年~)情報を取得し、「専利公開情報検索システム」、「商標検索システム」及びeネットワーク「私の案件」等のシステムにまとめ、ユーザーが一度の検索で更に完全な案件履歴を取得できるようにした。関連サービスは2022年12月19日より正式に対外的に公開する。
サイト上で訴願及び訴訟の情報を閲覧できるほか、訴願決定書、訴訟判決書全文を直接ダウンロードできると同時に、更に便利な検索サービスを提供できるよう、今回「専利公開情報検索システム」について、優良化したインターフェースを完成させたので、各界で多いに運用していただきたい。
「専利公開情報検索システム」、「商標検索システム」及びeネットワーク「私の案件」の機能説明は、上記リンク先サイト「檔案下載」(ファイルをダウンロード)を参照(中国語)。

2.知的財産権紛争

(2022.12.19 経済日報第A3面全訳)
2-1 業界震撼 9年ぶりにラーガンがジニアスを特許侵害で提訴
台湾の光学レンズ最大手の大立光電(ラーガン・プレジション)は、台湾の玉晶光電(ジニアス・エレクトロニック・オプティカル:GSEO)及びその子会社である玉晶廈門(ジニアス・アモイ)が特許権を侵害しているとして中国アモイ中級人民裁判所に特許権侵害訴訟を提起した。これは9年ぶりに二度目となるラーガンからジニアスに対する特許権侵害訴訟となり、業界を震撼させている。
ラーガンは携帯の光学レンズの世界最大手で、ジニアスは第2位であり、「長男が再度次男を権利侵害で告訴した」ことが注目を集めている。ラーガンとジニアスは共にアップルレンズの主要サプライヤーであるが、業界の予想によると、来年iPhone15のレンズ規格が大幅に向上しており、ラーガンが今回「出し抜いて」特許戦を仕掛けたことは、アップルの受注を狙いより大きな受注額と価格決定権を掌握するためではないかと見られている。
ラーガンの提訴を受け、ジニアスは、弊社には相手方が提起したような権利侵害は生じておらず、現在のところ弁護士に後続する関連処理を委託しているところであり、さらに何か進展があれば外界に向けてご説明すると述べた。いっぽうラーガンは評論することなく、重ねて弊社は従来から積極的に知的財産権の防衛に必要な措置を採っていると述べた。
ラーガンは2013年に特許戦を開始して以来、前後してジニアス、サムスン電子、HP、先進光電、新鉅科、レノボ(聯想集団)のモトローラ・モビリティに対し訴訟を提起し、いずれも遠く離れた米国で訴訟提起をしていたが、今回は初めて法廷の場が中国と近くなり、中国の光学レンズ大手である舜宇光学(サニー・オプティカル)もiPhoneサプライヤーの一つであることから、サニー・オプティカルも今回の特許戦に巻き込まれるのではないかと外界は注視している。
ラーガンが発動した特許戦でこれまで不利となったことはなく、マーケッターの分析によると、ラーガンにとって特許戦は受注額を決める際の最良の武器であり、アップルだけではないがアップルサプライチェーンに対してはなおさらである。ラーガンは去年から特許戦を通してOPPO、vivo、シャオミー、honor等の第一線ブランドと長期的供給契約(LTA)を続々と取得し、中国でのハイレベルスマホレンズの市場を確保している。
ジニアスはアップルが積極的にサポートしてきたサプライヤーで、アップルからの受注の割合が多く、前回ラーガンが2013年6月に始めてジニアスを提起した時期と、今年8月下旬のラーガンによるジニアス訴訟提起の2つの時期はいずれもiPhoneの新機種準備のための最も忙しい時期で、お得意様に「リマインド」する意味合いが濃厚である。ラーガンのジニアスに対する前回の訴訟は、最終的に2016年にアップルが調停に乗り出し双方和解で収まった。
マーケッターの分析によると、アップルのティム・クックCEOは従来サプライチェーンの管理に長けており、サプライチェーンの仕切りには非常に厳しく、近年ではレッドサプライチェーンの導入により積極的であり、中国市場での販売を固めるだけでなく、サプライヤー資源を分散し、価格の相互牽制を一層進めて、より良い利潤を獲得している。一社だけ強大な状況に直面した場合、アップルはこれまで合併合資、新規育成、専利コントロール又はスタッフ駐在派遣等の多様なやり方で、制御権と価格交渉権を掌握してきた。
ラーガンが2013年に初めてジニアスを訴訟提起した権利侵害は市場を震撼させ、アップルはより一層傘下の全てのアップル関連シリーズ製品のサプライヤーメンバーに対し、提携条約の際に関連サプライヤーに対して権利侵害訴訟を提起してはならないとする注記条項にサインするよう求めた。しかし、唯一ラーガンだけがサインしておらず、また、ラーガンが再度アップルのサプライチェーンに対し緊張をもたらしており、今回の訴訟の勝負はどうであれ、最終的にはやはり大口顧客であるアップルが調整に乗り出して始めて和解することができるとみられている。

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