発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.410)
発行年月日:2026年7月31日発行
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2026年7月13日 智慧局ニュース全訳)
1-1 智慧局は商品・役務名称の自動推薦機能を発表
2. 知的財産権紛争
(2026年7月21日 聯合報全訳)
2-1 逆転!請負業者により塗りつぶされた彩虹眷村(レインボー・ビレッジ)の壁画について市政府が150万台湾元を求償していた件が、第二審で85.7万台湾元の賠償確定判決
(2026年7月21日 中国時報第A7面全訳)
2-2 コア機密を漏洩したTSMCの元副理に懲役7年の求刑
3. 模倣品関連
(2026年7月18日 聯合報全訳)
3-1 Shopee(蝦皮)で「シャネル」図案のTシャツを販売した女が警察のおとり捜査により40日の拘留判決
1.智慧局ニュース
(2026.07.13 智慧局ニュース全訳)
1-1 智慧局は商品・役務名称の自動推薦機能を発表
www.tipo.gov.tw/tw/tipo1/891-87833.html
更にスマートで便利な商標検索サービスを提供するため、経済部智慧財産局(智慧局)は本日(13日)、商標検索システムに「商品・役務名称の自動推薦」機能を新設し、一般の方々が商標出願する前に、更に迅速・正確に指定商品または役務の名称を検索できるよう支援し、名称記載が規定に符合しないことから補正をしなければならなくなる確率を下げ、出願時間及びコストを削減する。
商標出願の利便性を向上させるため、智慧局は引き続き参考資料の相互検索により基礎となる商品・役務名称を検索する機能を提供するほか、更にはスマート化した「商品・役務名称の自動推薦」機能を導入する。
智慧局は、出願人が商標出願する際に指定する商品または役務名称は、商標の権利範囲に関わるだけでなく、商標審査を行う重要な根拠でもあると述べた。従来、出願人は指定する商品または役務の名称を記載する際、往々にして用語の範囲が広すぎる、内容が不明確、商品または役務の分類ミスによる補正が頻繁にあることから、行政手続きが増えるだけでなく、案件の審査スケジュールも延長していた。
「商品・役務名称の自動推薦」機能は、出願効率を向上させ、審査コストを減少させることができる。出願人は検索したい商品または役務の名称を入力するだけで、スマート推薦メカニズムを通じて、公告資料及び先願審査の際に合致した参考となる名称を取得することができ、出願人に適した指定する商品または役務名称を迅速に探すのを支援し、商標願書記載の参考とすることができる。
智慧局は、当機能は1回につき最大20件の推薦結果を提供し、資料の性質は「公告」、「参考」及び「不可」の3種類に分かれる。そのうち、「公告」は智慧局が公告した「商品及び役務の分類と相互検索参考資料」の中の名称で、電子出願が全て採用となった場合、手数料の減免が受けられ、並びにファストトラック審査適用の資格ありとされる。「参考」は参考とする価値を有し、使用を指定することができるが、手数料の減免及びファストトラック審査の適用はない。「不可」は、公告を経て意味が広いまたは意味不明の名称に属し、使用を控えるべきとされる。分類表示及びスマート推薦を通じて、出願人は即座に各項目の名称の適用状況を理解することができ、指定する名称が不適当なことによる補正の確率を下げ、更には出願効率を向上させ、行政コストを減少させることができると説明した。
智慧局は、商標サービスのスマート化の推進は、知的財産サービスを継続的に向上させるための重要な施策であると指摘した。今後引き続き商標検索システムを最適化し、本機能を商標オンライン出願システムに一体化し、AIデジタルテクノロジーとユーザーのニーズにリンクさせ、よりスマートでユーザーフレンドリー、かつ、高効率の知的財産サービス環境を構築していくと述べた。
智慧局は、「商品・役務名称の自動推薦」機能は、指定する商品または役務の名称を提供する補助コンテンツに過ぎないため、出願人は依然として商標の実際に使用する商品または役務の内容により、適切な名称を慎重に選択すべきであり、自身の商標権益を守るため、出願内容が実際の使用企画に符合しているか確認しなければならないと注意喚起した。
関連情報については、智慧局の商標検索システム/商品・役務名称の自動推薦機能Webサイト:(https://cloud.tipo.gov.tw/S282/S282WV1/#/classification-inquiry/goodname-classification)(中国語)を参考にしていただきたい。
2.知的財産権紛争
(2026.07.21 聯合報全訳)
2-1 逆転!請負業者により塗りつぶされた彩虹眷村(レインボー・ビレッジ)の壁画について市政府が150万台湾元を求償していた件が、第二審で85.7万台湾元の賠償確定判決
台中市南屯区の「彩虹眷村(レインボー・ビレッジ)」は著名な観光地で、彩虹爺爺こと黄永阜氏が眷村(旧国民党軍の軍人や家族の集落地)内に、壁画を描き、その後、魏丕仁氏の彩虹文創公司が運営をしていた。4年前に市政府文化局は構造補強工事を行うために魏氏との契約を更新しないことを決定し、同氏に施設からの退去を求めたが、魏氏とその息子ら14名が壁画の一部を塗りつぶしたため、市政府は器物損壊を理由に提訴し、150万台湾元(約755万円)の賠償請求をした。刑事訴訟では、当該事業者に対する無罪判決が確定した。民事訴訟では、第一審裁判所は市政府側敗訴として、事業者の賠償免除との判断を下したが、第二審の控訴審では、事業者が「現状維持」を求めた市政府の書面による指示を明らかに知っていたにもかかわらず、塗りつぶす行為を強行したことは権利侵害行為に当たるとして、事業者に85万7,142台湾元(約431万9,000円)の損害賠償を命じる判決が下され、同判決は確定した。
事件は、レインボー・ビレッジの創作者である「彩虹爺爺」こと黄永阜氏が、台中市文化局と同村の管理・維持に関する契約を締結し、関連業務の取り扱いを「彩虹文化創意公司」の代表である魏丕仁氏に委任したことに端を発する。予期せぬことに、2022年7月31日に契約が満了する前日に、市政府が契約を更新しないとしたことから、魏氏は従業員ら14人を率いて一部の壁面に描かれていた元の壁画を塗りつぶしてしまい、その結果、眷村全体の外観が著しく不調和なものとなってしまった。
市政府文化局は、この行為が契約で義務付けられた「原状回復」には当たらず、むしろ悪質な破壊行為であると主張し、民事及び刑事の訴訟を提起し、民事訴訟においては、150万台湾元(約755万円)の損害賠償を請求した。
台中地方裁判所は、市政府は魏丕仁氏のチームと管理・維持契約を締結しており、黄永阜氏も、著作権、管理権を魏丕仁氏に譲渡・許諾し、同氏に複製や翻案を行う権利を付与していた。また、裁判所は、レインボー・ビレッジの壁面に対する塗装、落書き、及び白塗りといった魏氏の行為は、文化局に対する違法な権利侵害には該当しないと判断し、同氏の行為は建物の外観価値を減損するものではなく、権利侵害行為にも該当しないとして、文化局の訴えを退け、150万台湾元(約755万円)の損害賠償請求も棄却した。
市政府は台中高等分院に控訴した後、第二審の控訴審では、レインボー・ビレッジの壁画図案は、すでに壁面と不可分な一部となっており、その著作物の所有権は法により台中市政府に帰属すると判断した。魏丕仁氏は、文化局から現状維持を要請する書簡を受けていたにもかかわらず、塗りつぶす行為を強行したことは、違法な故意であることが明らかで、共同侵害に該当するとして、彩虹文化創意公司もまた、その責任者が職務の遂行中に行った権利侵害行為について、連帯で賠償責任を負うべきと判断した。
第二審では、専門の修復職人が提出した見積報告書を斟酌し、150万台湾元(約755万円)の現状回復費用は合理的であると認めるが、そのうち6人の被告はすでに文化局と和解に至っておりそれぞれ3万5,000台湾元(約17万6,000円)を支払っていることから、関連分担額を差し引いたあと、魏丕仁氏ら7人、彩虹文創公司に連帯して85万7,142台湾元(約431万9,000円)の損害賠償を命じる判決が下され、判決は確定した。
(2026.07.21 中国時報第A7面全訳)
2-2 コア機密を漏洩したTSMCの元副理に懲役7年の求刑
丁小琥(香港籍、男)は台湾で中国のスパイ網を拡大するため、陳というTSMC元副理を取り込み、陳は中国の半導体基地発展を構築する「ブルーオーシャン計画」に協力するため、TSMCの21件の国家コア技術及び一般の営業秘密を複製した。検察側は20日、捜査を終結し、《国家安全法》違反等の罪で起訴し、検察側は、陳が中国の半導体テクノロジーの発展に協力しようと企てたことは容認できないことであると叱責し、7年を求刑した。丁小琥については今年初めに死亡したことから、不起訴処分となった。
これは、国家コア技術・営業秘密を意図して外部漏洩した事件として全国初の起訴である。元職員が機密漏洩に関与した事件について、TSMCは司法手続きに入っており、コメントを差し控えるとした。陳は今年5月28日に家宅捜索、事情聴取を受け、検察側は聞き取り調査後、勾留請求を行った。知的財産及び商業裁判所は接見禁止付き勾留の判決を下し、現在も勾留されている。起訴後は審理を移送し、裁判官により引き続きの勾留または保釈となるか否かの裁決が下される。
この「護国神山(台湾の守り神)」であるハイテク産業がスパイ潜入された事件は、以前、台湾高等検察署国家安全プロジェクトチームの検察が丁小琥の中国スパイ事件を捜査したことに端を発する。丁が3年前に中国共産党中央軍事委員会の指示を受け、媽祖宗教の交流、ビジネス活動または観光等の名義で訪台し、中国スパイ網を拡大させたことから、検察側は押収した証拠物を分析し、丁と陳が国家安全営業秘密を無断で複製し取得した疑いを発見したため、台湾高等検察署知的財産検察分署のプロジェクトチームが捜査を継続した。
検察側が追跡調査に踏み込んだところ、丁小琥は中国共産党中央軍事委員会政治部連絡局南寧工作站の黄という主任の指示により、台湾のコア技術・営業秘密を積極的に収集、偵察し、丁は台湾籍の男の紹介でTSMCに在職していた陳と面識を持ち、中国での半導体材料分析会社(CSMAC)の設立を共謀した。
陳は「ブルーオーシャン計画」(中国製造の半導体基地)等を計画し、台湾の半導体産業の人材を引き抜き中国のCSMACで従事させてから台湾半導体産業に侵入させ、引き続きCSMACに帰らせるやり方で、徐々に台湾半導体の世界における競争力をリードする地位を侵蝕することを企てた。
陳は丁が引き合わせた中国の出資者、技術専門家に自身が半導体製造プロセス、材料について相当の技術レベルの認知があると思わせるため、TSMCの国家安全と一般の営業秘密の合計21件を無断で複製し、かつ自宅に持ち帰り中国で使用するため研究した。TSMCは異変に気付き、内部調査を行い、すでに不法に複製された技術書類の全てを回収している。検察側は昨日捜査を終結し、陳を起訴した。
このほか、丁は陸軍司令部戦備訓練処の退役中佐の王文豪、国防部参謀本部防空飛弾指揮部の退役中佐の譚俊明、陸軍装甲兵指揮部士官長の呂芳契らを利益供与により共謀させた。現在最高裁判所は王、譚及び呂に対しそれぞれ懲役7年、7年2か月、6年、また約8万台湾元(約40万3千円)から50万台湾元(約251万円)の犯罪収益を没収するとの判決を下し、この部分についてはすでに判決が確定している。
3.模倣品関連
(2026.07.18 聯合報全訳)
3-1 Shopee(蝦皮)で「シャネル」図案のTシャツを販売した女が警察のおとり捜査により40日の拘留判決
高雄市のネットオークションに従事している郭(女)がShopee(蝦皮)に「シャネル」のダブルCに類似した図案をプリントした衣服を掲載していたことが警察のネット巡回で発見され、おとり捜査により注文・購入し、当該取引を理由として送検された。橋頭地方裁判所による審理を経て、郭が商標権侵害商品をインターネットで陳列していたことは商標法に違反するとして40日間の拘留に処す判決が下された。
判決書によると、郭は2022年6月にShopeeにショップを開設し、不特定の人が購買購入できるよう商標を模倣したトップス1点を陳列していた。去年(2025年)10月1日に警察職員がインターネットで当該ウェブページを発見し、425台湾元(約2,140円)の価格で購入し、郭が出荷した後、当該衣服を鑑定に送り、商標権を侵害する模倣商品であることが確認された。
郭は、裁判審理の中で、当該衣服は以前、服飾販売業務に従事していた時の在庫で、当該図案のデザインと著名商標は完全に一致するものではないと考えており、当該図案の右側の「C」の文字は不完全で途切れ、まだらになって、垂れ下がっている状態で、重なり部分の下には「溶けているような」曲線デザインが施されており、一般的な消費者は違いを区別できるはずであるため、模倣品販売を意図したものではないと弁解した。
しかし裁判官は、当該商標図案は国際的に著名なブランドで、一般大衆に広く熟知されているものであり、些細な違いがあると言っても、その中心的ビジュアルを改変するには足らず、消費者はやはり誤解させられることになり、また、郭は成人で商業的販売経験も有しており、その購入した物の出所と品質も知っているハズであるとしてその弁解を採用しなかった。
裁判官は、判決書において、警察職員による潜入捜査の方法について特に指摘しており、警察職員は証拠収集を目的として当該商品を購入したが、警察職員自身は本当にはそれを買うという意向はなく、客観的には売買取引は完了できていないため、販売既遂罪には該当せず、郭が販売の意図をもって当該商品を陳列したことを認定できるに過ぎないとした。
裁判官は、郭が犯行後に犯行を否認し、また、商用権者とまだ和解していないことを斟酌し、これまでの犯罪記録がないこと、家庭の経済状況等の事情を考慮し、40日間の拘留に処する判決を下し、同時に、本件に関与した模倣トップスの没収を命じ、犯罪による収益425台湾元(約2,140円)の追徴も命じた。
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