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知財ニュース339号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.339)
発行年月日:2023年1月13日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2023年1月4日 智慧局ニュース全訳)
1-1 専利法施行細則第17条、第28条の改訂予告
(2023年1月10日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「2023日台知的財産シンポジウム」の開催成功
2. 法律・制度
(2023年1月12日 司法院ニュース全訳)
2-1 14年ぶりの大幅改正となった「智慧財産案件審理法」が立法院で最終可決

1.智慧局ニュース

(2023.01.04 智慧局ニュース全訳)
1-1 専利法施行細則第17条、第28条の改訂予告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-916884-c6601-1.html
経済部公告
2023年1月3日経授智字第11252800010号
主旨:「専利法施行細則」第17条、第28条改訂予告。
依拠:行政手続法第151条第2項を準用する第154条第1項。
公告事項:
一、 改正機関:経済部。
二、 改正依拠:専利法第158条。
三、 専利法施行細則第17条、第28条の改訂草案は以下の通り。本案は別途、経済部智慧財産局全球資訊網站(https://www.tipo.gov.tw)、及び経済部主管法規查詢系統/草案預告論壇(https://law.moea.gov.tw/DraftForum.aspx)、「経済部全球資訊網站トップページ/法規及び訴願/草案予告」に掲載しておりリンク先のウェブページから閲覧可能(全て中国語)。
四、 公告内容にご意見又はご提案がある場合、本公告の掲載後60日以内に下記までご意見又はお問い合わせ願いたい。
(1) 担当部署:経済部智慧財産局法務室
(2) 住所:台北市大安区辛亥路二段185号3F
(3) 電話:(02)2376-7489
(4) FAX:(02)2735-1946
(5) E-mail:ipold@tipo.gov.tw

                                                                                                       専利法施行細則第17条、第28条改訂草案総説明
専利法施行細則(以下、「本細則」と略称)は1947年9月26日に制定公布、1949年1月1日に施行され、18回の改訂を経ており、直近の改訂公布は2022年10月20日である。専利審査の実務ニーズ、審査効率の向上に合わせ、本細則第17条、第28条を改訂する。改訂の要点は以下となる。
一、 微生物寄託について台湾と微生物寄託の効力を相互承認する外国の寄託機関を明文化し、該寄託機関が発行する証明書類は、該微生物材料の生存証明を具備すべきとする。(改訂条文第17条)
二、 分割後の出願の明細書の内容が原出願の明細書の内容を完全に援用していない場合、分割出願時には、明細書の差異部分に下線を引いたページを添付しなければならない。(改訂条文第28条)

(2023.01.10 智慧局ニュース全訳)
1-2 「2023日台知的財産シンポジウム」の開催成功
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-916911-6e613-1.html
「2023日台知的財産シンポジウム」は2023年1月10日(火)、台湾日本関係協会と日本台湾交流協会による共催、経済部智慧財産局後援のもと、集思交通部国際会議センターで開催され、台湾日本関係協会の林慶鴻・副秘書長、日本台湾交流協会の服部崇・副代表、智慧局の洪淑敏・局長及び日本特許庁の清水幹治・総務部長(挨拶文は田内幸治・多国間政策室長が代読)が挨拶を述べた。
シンポジウムには、日本特許庁総務部国際政策課の田内幸治・多国間政策室長、智慧局国際事務及び綜合企画組の周志賢・組長、維新国際専利法律事務所の降幡快・弁理士及び東大国際専利商標事務所の周宜新・弁理士を招聘し、日本特許庁の最新動向、台湾政府による企業の海外市場進出の際の特許関連支援措置、日本の特許制度、日本の特許権の迅速な取得及び日本の専利出願実務等の重要議題を詳細に紹介した。
今回のシンポジウムには産・官・学界等から110人余りが参加し、日台双方の専門家と充分な意見交換及び経験交流を交わし、会場は活気にあふれた。

2.法律・制度

(2023.01.12 司法院ニュース全訳)
2-1 14年ぶりの大幅改正となった「智慧財産案件審理法」が立法院で最終可決
立法院は本日(12日)、「智慧財産案件審理法」(以下「智審法」と称する)改正草案を三読通過(最終可決)した。今回最終可決された条文は、合計77条文(新設36条文、改正41条文)で、現行法の全41条文から大幅に増加し、これは智審法が施行されてから14年ぶりの大幅な法改正となった。司法院は今回の改正について、国家重要産業の安定的発展のため営業秘密の保護をより完備したものにし、より専門的で効率が良く国際潮流に合致した知的財産訴訟制度の構築することが重点となったと強調した。
司法院によると、智審法が2008年7月1日に施行されて以来、2011年、2014年に小幅な改正がされただけで、実務事例が累積してきたため、司法院は「智審法法改正研究委員会」を立ち上げ、前後して18回の会議を開催して審理、検察、弁護士、学界及び関係機関の各方面から意見を聴取し、学理と実務運用を総合し、外国の立法例を参考にして全面的な棚おろし的検討を行い制度の変革を進めた。

今回の法改正の9つのポイントは以下のとおり:
1. 営業秘密訴訟の保護を完備:営業秘密侵害案件は、各項措置で訴訟における営業秘密保護を強化するため、いずれも知的財産及び商業裁判所(以下「智商裁判所」と称する)が審理するものとする。
今回の法改正は特に各界からの「国家重要産業の安定的経営環境の保障」への期待に応え、営業秘密訴訟保護制度について法改正を行ったもので、法改正のポイントには、①第一審知的財産民事事件は智商裁判所の専属管轄とすると明文化、②一般の営業秘密侵害罪の「第一審刑事事件」(民事附帯訴訟を含む)は、専門的で適切、迅速な審理を実施するため、智商裁判所の第一審知的財産法廷での審理に改める、③国家安全法の規定に合わせ、国家コア技術の営業秘密侵害の刑事事件は、高等裁判所に相当するレベルの第二審知的財産法廷を第一審管轄裁判所とする、④最高法院には審理の専門性を徹底するため、知的財産案件を取り扱う専門法廷又は専門科を設立しなければならない旨を明文化、が含まれる。
このほかに、営業秘密の証拠資料を保護するため、営業秘密の証拠資料を識別化するコードまたはコードネーム、証拠資料情報を知る権利を新設し、秘密保持命令制度を改正した。また、秘密保持命令に違反する罪は、非親告罪に改め、刑事責任とし、営業秘密訴訟の保護を実施するため、域外での秘密保持命令違反罪を導入した。

2. 知的財産案件の集中審理:審理計画制度の導入
新設された弁護士強制代理制度を採る特定事件、またはその他事件の事情が煩雑である、もしくは必要に応じ、裁判所は当事者と協議のうえ審理計画を立てなければならない。また、訴訟の効率アップのため、審理計画事項に違反した際の法律効果を規定した。

3. 弁護士強制代理を拡大
知的財産民事事件は高度な法律専門性を有することを考慮し、当事者の権益を保護し、審理の効率アップのため、特定の類型の知的財産民事事件(例:専利権、コンピュータプログラム著作権、営業秘密に係る民事訴訟事件、上訴第三審及び再審事件など)はいずれも弁護士強制代理とする旨を新設した。

4. 専門家の審理参与を拡大:査証制度と専門家による証人制度の導入
裁判所の新興高度テクノロジーと専門的な訴訟事件における真実発見の一助となり、証拠が偏る問題の解決、当事者の訴訟上の武器の平等化促進のため、日本特許法の規定を参考にし、起訴後に裁判所に対し、証拠収集手続きを執行する中立の技術専門家の選任を申立てることができる「査証」制度を導入した。また、専門的で適切、迅速な当事者紛争の解決のため、商業事件審理法で採用している「専門家による証人」制度の準用を新設した。

5. 紛争の一回的解決、裁判見解の違いを避ける:司法と行政の情報交流制度を構築
裁判見解の違いを避けるため、司法審理と行政審査の間の情報交流制度の構築、知的財産専門機関からの意見聴取制度、専用実施権の訴訟告知義務及び知的財産権の有効性の判断の違いについての再審制限を新設した。

6. 審理効率促進:技術審査官報告書を公開
技術審査官が作成した報告書について、裁判所は必要に応じ、全部または一部の内容を公開することができ、かつ、当事者に弁論の機会を付与して始めて裁判の基礎とすることができる。被害者の立証の困難度を低減し、また、権利侵害行為被疑者に具体的な答弁義務を課した。

7. テクノロジー設備を用いた審理、司法の電子化
テクノロジー設備を拡大運用する訴訟参与手続対象を改正し、判決書の正本を電子ファイルで送達できる旨を新設した。

8. 被害者がより積極的に権益防衛できるよう、被害者の訴訟参与制度を新設
被害者の権益を保障するため、刑事訴訟法の被害者訴訟参与の規定を準用する旨を新設した。

9. 実務争議の解決
「訂正再抗弁」制度、及び「民事附帯訴訟手続」等の規定を改正し、訴訟の紛争解決機能を強化した。

司法院は、今回の法改正は知的財産訴訟の新時代の始まりであるとし、新法が順調に運用されるよう、今後引き続き各項目の知的財産訴訟研修課程を実施し、営業秘密、国家安全営業秘密訴訟の保護等の専門研修を強化し、裁判官の専門知識養成を強化し、各級裁判所が知的財産専門法廷を設置し、智商裁判所の知的財産法廷が民事刑事を取り扱うという分業制度により、専門的で適切、迅速な知的財産案件訴訟制度を構築し、台湾企業の国際競争力を強化する、と述べた。
また、司法院は、今回の法改正が順調に完了したことについて、智審法法改正研究委員及び知的財産訴訟制度に関心を持つ関連行政機関、団体からの法改正への貴重なご意見に感謝するとして、今後も立法過程において各界から提出されたアドバイスを参考にし、新制度の施行をより完備なものにするため、子法制定の検討及び関連計画の際に取り入れることを全面的に考慮すると強調した。

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