発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.411)
発行年月日:2026年8月14日発行
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2026年7月31日 智慧局ニュース全訳)
1-1 2026年7月28日の日本熊本地震により専利、商標の各出願において法定期間に遅延する場合、原状回復を申請可能
(2026年8月5日 智慧局ニュース全訳)
1-2 智慧局はグリーン商標ランキングを発表 台湾本土の産業が本領発揮
(2026年8月6日 智慧局ニュース全訳)
1-3 智慧局が「台湾文化創意博覧会」に「台湾専利超級站」を本日盛大に初出展!クリエイターの知財防護力の構築を支援
2. 知的財産権紛争
(2026年7月31日 聯合報全訳)
2-1 最高裁が上告棄却!TSMCの情報漏洩事件で判決確定 元エンジニアを収監
(2026年8月5日 経済日報全訳)
2-2 億光がLumileds、SSCの提訴に続き米国で日亜化学に対しLED特許侵害訴訟を提起
3. 模倣品関連
(2026年7月29日 聯合報全訳)
3-1 SWITCH 2に便乗!ポケモン、サンリオの模倣品が氾濫 警察は12人を逮捕し3,500万台湾元の偽物を押収
1.智慧局ニュース
(2026.07.31 智慧局ニュース全訳)
1-1 2026年7月28日の日本熊本地震により専利、商標の各出願において法定期間に遅延する場合、原状回復を申請可能
www.tipo.gov.tw/tw/tipo1/799-90615.html
専利、商標の各出願において、天災又は自己の責めに帰すことのできない事由により、法定期間に遅延する場合、専利法第17条及び同施行細則第12条又は商標法第8条及び同施行細則第9条の規定に基づき原状回復を申請することができる。専利、商標の出願人で、2026年7月28日の日本の熊本地震により法定期間に遅延する場合、関連する証明書類を添付して、規定に基づき原状回復を申請することができ、本局は原則的に個別案件の具体的状況に応じて柔軟に認定する。
(2026.08.05 智慧局ニュース全訳)
1-2 智慧局はグリーン商標ランキングを発表 台湾本土の産業が本領発揮
www.tipo.gov.tw/tw/tipo1/891-90653.html
経済部智慧財産局(智慧局)は本日(5日)、「台湾のグリーン商標の10年を全解析 ― ネットゼロ時代の隠れた競争優位性を構築」の報告書を発表した。2016年から2025年の10年間の商標出願データを深く分析し、ネットゼロ時代における企業のグリーン知的財産権を通じて「隠れた競争優位性」の構築を支援し、ESG分野で綿密なポートフォリオの構築を目指す。
智慧局は、いわゆる「グリーン商標」とは商標が指定するニース分類の商品または役務の内容が環境に配慮した特性を有することを指すと説明した。本報告書は欧州連合の基準を参考にし、グリーン商標を「エネルギー製品」、「運輸」、「省エネ」、「リユース/リサイクル」、「汚染防止」、「廃棄物管理」、「農業」、「環境保護意識」、「気候変動」の9つの分野に分類した。
直近10年で、台湾のグリーン商標出願件数はすでに12.6万件を突破し、台湾のグリーン商標が全体の商標出願件数に占める割合は約14.10%となり、出願案件の7件のうち1件はグリーンに起因するものとなっている。商品の類別分布においては、「省エネ」(32.34%)、「汚染防止」(25.69%)及び「エネルギー製品」(19.79%)が台湾のグリーン経済を支える三大柱となり、合計で8割近くを占めている。注目すべきは、九大分野において「気候変動」分野が最も関心を集めていることである。現在の占める割合はわずか5.47%であるが、2024年から2025年にかけて爆発的に成長し、2年で150%成長しており、今後10年の重要な原動力となるであろう。
智慧局は、出願人を国籍別でみると台湾人出願人が1位を占め、全体に占める割合の76%を占めており、台湾本土の産業はすでに早期の「技術輸入」から「全面的に覚醒」し、グリーン転換の主力となったことを示しているとの見解を述べた。
個別の出願人ランキングでは、統一企業がグリーン商標出願件数2,274件で首位の座を守り、台湾本土の小売業者も持続可能性の概念を日常の消費の防御戦略にしっかり採り入れていることがわかる。米国企業のアップル(811件)と日系企業の任天堂(263件)はそれぞれ2位、3位となり、グローバル大企業がグリーンポートフォリオにおいて綿密にターゲット絞り込み戦略を行っていることの表れである。このほか、光陽工業股份有限公司 (KWANG YANG MOTOR CO., LTD./KYMCO)は「運輸」分野で安定の1位となり、台湾のオートバイブランドのEV転換におけるリーダー的地位を発揮した。
ネットゼロ競争に直面し、智慧局は企業に対しできるだけ早急に製品ラインのグリーン要素を総見直しし、二酸化炭素削減技術とグリーン商品または役務の「商標化」をし、同時並行して環境に配慮した隠れた競争優位性のポートフォリオを起動し、グローバルなネットゼロ経済で先手を打つことを助言した。
※「台湾のグリーン商標の10年を全解析―ネットゼロ時代の隠れた競争優位性を構築」報告書は、下記リンク先の「檔案下載」(ファイルをダウンロード)の「我國綠商標十年全解析─打造淨零時代的隱形護城河」からダウンロード可能(中国語PDF)。
(2026.08.06 智慧局ニュース全訳)
1-3 智慧局が「台湾文化創意博覧会」に「台湾専利超級站」を本日盛大に初出展!クリエイターの知財防護力の構築を支援
www.tipo.gov.tw/tw/tipo1/891-90661.html
経済部智慧財産局(以下「智慧局」と称する)による「台湾専利超級站(Taiwan Patent GO)」が8月6日から12日の期間、2026台湾文化創意博覧会(以下「文博会」と称する)に出展する。智慧局は本日(6日)、文博会に初めて「台湾専利超級站(Taiwan Patent GO)」に出展し、知財に関する専門的サービスを国家レベルのカルチャークリエイティブ産業の祭典に深く浸透させるという新たな指標を打ち立てただけでなく、カルチャークリエイティブ産業と知的財産保護を積極的に融合させようとする政府の決意をも示した。期間中、知的財産コンサルティングサービス及びテーマ講座を通して、独自のコンテンツ、文化的特色、またはデザイン的価値を有するブランドとクリエイターが、知的財産保護のメカニズムを掌握でき、さらに、イノベーション成果の保護力と市場競争力を向上できるよう支援する。
智慧局によると、今年の文博会は過去最大規模、会期期間も最長記録となっており、「Bit Zero」を今年のテーマとし、AIが急速に発展する時代背景の下、観覧者に改めて人類の想像力の本質と価値を思考させるものとなっている。智慧局は文博会において「台湾専利超級站(Taiwan Patent GO)」を設置し、専利、商標、著作権の防護網をカルチャークリエイティブ産業の最前線にまで延線し、クリエイターへ知財保護観念を普及させ、創作の過程で早期に権利ポートフォリオの戦略を持つよう促すとともに、創造的な成果を市場価値のある知的資産へと効果的に転換できるよう導く。
智慧局は、クリエイターが即時に完全な支援を提供するため、展覧会期間中、特別に「知的財産コンサルティングサービス」を設置し、専門家が7日間現場で専利、商標及び著作権等の実務についてコンサルティングを提供し、クリエイターが異なる知的財産権の保護範囲と出願戦略について理解できるよう支援し、正確な保護観念を確立し、創作的成果の永続的発展と権益保障を強固にすると述べた。
このほかに、クリエイターがよく直面するブランド経営及び著作権の議題について、智慧局は会期中に特別専門講座を設け、商標出願、ブランド保護及び著作権運用等の実務的ポイントについて情報共有し、クリエイターの知財管理力の向上と権利侵害リスクの低減を支援する。智慧局は、カルチャークリエイティブ産業と知財保護は切っても切れない関係にあり、「台湾専利超級站(Taiwan Patent GO)」を通じて出展業者及び一般人と対面で交流することは、その場で関連する懸念に回答できるだけでなく、クリエイターが創作の商品化及び商業化の過程において完全な権利防護網を構築することを支援できることとなると強調した。
全ての出展業者、クリエイター及び一般の参加者に、専門家によるコンサルティングと素晴らしい講座を体験していただくべく、智慧局は8月6日から12日の展覧期間に南港展覧館の「台湾専利超級站(Taiwan Patent GO)」に心よりご招待する。現場に行けないクリエイターは、智慧局の公式ウェブサイトで各種オンラインリソースと出願サービス(詳細情報は、台湾専利超級站DMのQRコードを参照)を提供しているので、そちらから即時最新の知財情報を取得することが可能。今後、智慧局は「台湾専利超級站(Taiwan Patent GO)」を各種カルチャークリエイティブ産業とデザインの分野に浸透させ、多元的で専門的な知財サービスを提供し、台湾のカルチャークリエイティブ産業の永続的発展を促進していく。

2.知的財産権紛争
(2026.07.31 聯合報全訳)
2-1 最高裁が上告棄却!TSMCの情報漏洩事件で判決確定 元エンジニアを収監
TSMCの元エンジニア4名(陳力銘、呉秉駿、戈一平、陳韋傑)が、2ナノメートルプロセス及び更に先端的な「14 Å(オングストローム)」プロセスのコア技術を窃取したとして、知的財産及び商業裁判所は、国家安全法違反等の罪により、陳力銘に懲役10年、呉秉駿に懲役3年、戈一平に懲役2年、陳韋傑に懲役6年の刑をそれぞれ言い渡した。陳力銘、陳韋傑は、上告したが、最高裁判所は昨日(30日)、棄却として判決確定し、2人は収監された。
呉秉駿、戈一平は、知的財産及び商業裁判所の判決後に上告しておらず、検察も上告していないことからすでに判決確定している。
陳力銘は、元々TSMCの第12工場の歩留まり部門のエンジニアであったが、退職後にTSMCの半導体製造装置のサプライヤーである台湾東京エレクトロンのマーケティング部に転職した。同社をTSMCの先端プロセス技術におけるより多くの拠点に対する装置サプライヤーとすることを支援してアピールするため、呉、戈、陳らを同僚のよしみで利用し、3人にTSMCの機密ファイルを撮影するよう繰り返し要求し、東京エレクトロンのエッチング装置の改良に利用しようとした。
2023年8月から2025年6月の期間、4名のエンジニアはそれぞれTSMCの新竹工場の会議室、新竹市の居酒屋、呉と戈の住居、及びTSMC台南のパッケージング・テスト工場で、在職中の関連エンジニアが業務用のノートパソコンで、機密ファイルを開き陳力銘に撮影させ、又は、撮影して陳力銘に送信していた。
知的財産及び商業裁判所は次のように指摘した。黒幕である陳力銘は、残り3名との共犯による域外での使用を意図した営業秘密侵害罪2件、及び域外での使用を意図した国家安全に関する営業秘密侵害罪3件となった。陳力銘、呉秉駿、戈一平は罪を認め減刑となり、陳力銘は、入手した14 Å(オングストローム)のファイルを提供したのは上流の陳韋傑であることを供述しており、国家安全法の「自主によりその他の共犯者を逮捕」の規定に符合するとして、この部分については、刑が免除された。
陳韋傑が漏洩したTSMCの先端的な「14 Å(オングストローム)」プロセスファイルは、TSMCの半導体プロセス技術がナノメートルの時代からオングストロームの時代へ突入する際の先端技術に関わるものであり、TSMCが世界の先端製造プロセスの主導的地位を維持し続けることに対して深刻な影響を与えた。陳韋傑は犯行を否認し、TSMCから許されず知的財産及び商業裁判所からも寛大な判決を受けられなかった唯一の被告となった。
陳力銘、陳韋傑は一審判決を不服としたが、最高裁判所は知的財産及び商業裁判所の判断・法律解釈に間違いはないとして、昨日(30日)上告を棄却した。
陳力銘が転職した台湾東京エレクトロンについては、検察が国家安全法違反により会社法人として起訴した初の例となった。知的財産及び商業裁判所は、台湾東京エレクトロンは、監督責任を十分に果たしていなかったとして、従業員が営業秘密を域外で使用する罪5件で、会社とTSMCが和解したため、罰金1億5,000万台湾元(約7億4,010万円)、並びに執行猶予3年、TSMCと国庫へそれぞれ1億台湾元(約4億9,340万円)と5,000万台湾元(約2億4,670万円)を納付することが宣告された。台湾東京エレクトロンと検察はいずれも上告しておらず判決は確定した。
東京エレクトロンのエッチング営業部署幹部の盧怡尹は、陳力銘が元同僚からTSMCの機密を窃取し、並びに会社のクラウドシステムにファイルを保存したことを知り得た。その後、証拠となることを恐れ、去年6月に自宅で関連ファイルを削除したが、ファイルは何らかの理由で復元されたことを発見し、自発的に会社に通報したことから、一審では証拠隠滅の罪で懲役10か月、執行猶予3年となり、現在最高裁判所に上告中である。
(2026.08.05 経済日報全訳)
2-2 億光がLumileds、SSCの提訴に続き米国で日亜化学に対しLED特許侵害訴訟を提起
億光電子(EVERLIGHT ELECTRONICS CO., LTD.、億光)は2026年7月30日、米国ミシガン州東部連邦地方裁判所南部分院に特許権侵害訴訟を提起し、日亜化学(Nichia Corporation、日亜)が製造及び販売している高出力LED商品は、億光の米国におけるフリップチップ特許(US7,554,126)を侵害しているとして、特許権侵害訴訟を提起した。
この訴訟において、億光のUS7,554,126特許はLEDフリップチップとパッケージング工程に関わるもので、N/P電極の面積比を調整することで、LEDチップとハンダの良好な接合性を確保し、高い放熱性とパッケージの信頼性を両立するものである。このコア技術の応用範囲は極めて広範で、フラッシュ用LED製品の他に、車用LED製品、高出力照明・ディスプレイ等の分野においても適用され、LEDフリップチップパッケージングのコア技術に属する。
億光は、US7,554,126特許について米国、日本、中国等の国でファミリーパテントを有している。億光は、日亜が特定のLED製品において億光の米国でのフリップチップ特許US7,554,126の技術を使用しているとの声明を出した。この特許は、モバイル機器の光学部品製品に利用できるだけでなく、大衆消費電子部品、照明、フィラメント、UVC、車用光学部品LED、CSP、バックライト、フラッシュ、Mini/Micro LEDなど、多岐にわたる分野を網羅している。
億光は、特許権の主な目的は、イノベーション研究開発の成果を保護するためであり、また、産業発展を奨励するものであると重ねて述べ、市場での違法な権利侵害行為に対し、億光は知的財産権を尊重するという一貫した立場を守るため、必要に応じて一切妥協することなく法的行動を採ると述べた。
億光は技術と製品の研究開発、製造及び設計能力に絶えず投入及び拡充し、知的財産権のポートフォリオを強化して、製品の競争力を強化している。現在すでに米国、中国、日本、欧州、韓国及び台湾等の地域で多数のコア特許を取得しており、引き続き顧客に有料なサービスと製品を提供していくと述べた。
3.模倣品関連
(2026.07.29 聯合報全訳)
3-1 SWITCH 2に便乗!ポケモン、サンリオの模倣品が氾濫 警察は12人を逮捕し3,500万台湾元の偽物を押収
任天堂SWITCH 2の本体及び新作マリオシリーズのゲームの売れ行きが好調になるにつれ、関連商品の購買意欲も同時に高まっているが、韓という男ら12人は、ビジネスチャンスに目をつけ、模倣品を販売し不当利益を得ていた。刑事局知財大隊は先ごろ台北、台中、高雄等4地区を捜索し、ポケモン、サンリオ等の商標を模倣したゲーム関連商品7万件余りを押収した。権利侵害市場価格は3,498万台湾元(約1億7,200万円)を越え、事件は警察の取り調べの後、商標法違反の容疑で検察の捜査へ移送された。
刑事局知財大隊偵二隊は昨年、インターネット上に悪徳業者、卸売業者が任天堂SWITCH 2本体の話題性を利用して、スパム投稿やポケモン・サンリオ等の商標を模倣した関連商品を販売しているとの通報を受けた。プロジェクトチームは証拠収集後、商標権者による模倣品識別確認を経て、直ちに手がかりを持って調査を始め、模倣された商標の出所及び倉庫の住所を追跡した。
プロジェクトチームは昨年8月から11月にかけて、台北、台中、高雄等4か所に分かれて捜索に当たり、事件に関与した韓という男ら12人が摘発され、出頭した。現場ではポケモン、サンリオ、NEW ERA等の商標を模倣したゲーム関連商品を押収し、総計7万3,440件、権利侵害による市場価格は概算で3,498万8,080台湾元(約1億7,300万円)に達し、事件は商標法違反の容疑に基づき各管轄の地方検察署に捜査を移送された。
警察の調査によると、押収した模倣品は主に中国メーカーから大量に輸入し、価格を抑え、その後、正規品価格の80%の価格にして買い手を引き付けていた。また、在庫有りやオリジナルメーカーの品質保証といたセールストークを用い、売り手に対する口コミ評価数万件により消費者の警戒心を緩めて信頼を得て、消費者にオリジナルメーカーの使用許諾のある商品であると誤認させ購入させていた。
刑事局は、ブランド商品を購入する際は、パッケージ、タグまたはレーザーラベルに不備がないか確認し、また品質を確保するため直営の販路で購入するよう注意喚起した。
商標法の規定に基づき、他人の商標権を侵害している商品であることを明らかに知りながら販売した、または販売を意図して所有、陳列、輸出若しくは輸入した場合、最高で1年以下の懲役、拘留又は5万台湾元(約24万6,700円)以下の罰金、若しくはこれらが併科されることがある。
刑事局は、業者に対し、商品の出所及び合法性を必ず慎重に調査し、軽く見て模倣品を販売しないよう注意を呼びかけるとともに、今後も引き続きECサイト、実店舗及びその他の販売販路の取締りを強化し、知的財産権保護を完璧に確保していく。
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