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知財ニュース362号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.362)
発行年月日:2024年3月31日・4月15日合併号

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2024年3月25日 智慧局ニュース全訳)
1-1 智慧局はAIにより「図形商標」を検索する「図形による図形検索」ツールを開始
(2024年4月1日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「証明標章、団体標章及び団体商標審査基準」などの行政規則関連の改訂が2024年3月15日より発効
(2024年4月2日 智慧局ニュース全訳)
1-3 2023年5月24日改正公布の「商標法」一部改正条文が2024年5月1日より施行
(2024年4月11日 智慧局ニュース全訳)
1-4 専利、商標の各出願について、2024年4月3日花蓮大地震で法定期間に遅延した場合、原状回復を申請可能

2. 模倣品関連
(2024年4月1日 中国時報第A8面全訳)
2-1 高額ブランド品、低価格電池、バイアグラ なんでも稼ぐSNS代理購入 模倣品もなんでも販売 騙される機会大
(2024年4月1日 中国時報第A8面全訳)
2-2 刑事局:出所を管理・制御できず、模倣品摘発はいたちごっこ

1.智慧局ニュース

(2024.03.25 智慧局ニュース全訳)
1-1 智慧局はAIにより「図形商標」を検索する「図形による図形検索」ツールを開始
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-935701-38183-1.html
経済部智慧局は3月25日、人工知能(AI)を用いた「図形による図形商標検索システム」について、民衆が商標図をアップロードすることによって手軽に迅速に他人が出願済み又は登録済みの商標と同一又は類似の商標を検索でき、商標登録出願をするか否かの自己判断の参考にすることができ、出願商標が他人の商標と類似・混同するという原因で拒絶査定されるリスクを減少させ、商標登録成功の機会が増すこととなると発表した。
智慧局によると、新しく開始した「図形により図形を検索する」AI検索機能により、智慧局の商標データベース内の出願中、登録取得済み及び拒絶査定された図形商標資料を検索することができる。該機能の導入に伴い同局は、欧州連合知的財産庁(EUIPO)、IPオーストラリア(IP Australia)、シンガポール知的財産庁(IPOS)、世界知的所有権機関グローバルブランドデータベース(WIPO Global Brand Database)等に次いで、AIを用いた「図形による図形検索」機能を有する公的機関となり、同時に台湾が自主開発したAI検索機能と技術を実現する重要なマイルストーンにもなる。
同局は、当該「図形による図形商標検索システム」について、3年にも及ぶ開発・テスト及び内部審査官による試用・評価を経て、この新機能による同一又は高度に類似する先願商標の検出率が非常に高いことを実証したと強調。民衆は商標図案をアップロードする以外に何の入力の必要もなく、AIによる第1類から第45類までの全ての類似商標検索の初歩選出結果を取得することができ、他人の商標と類似・混同することになるか否かを迅速に判断することができる。
また同局は、図形による図形検索機能はまだ試行段階で、現在は図形補助検索に使われているだけであり、正式版が開始するまでの間は智慧局商標検索システムの「図形の類似検索」を用いて「グラフィックパス」、「商品又は役務の名称」又は「類似群コード」を設定した後の検索結果を基準としなければならない点について、特に注意喚起する。
同局は、AI新システムは図形の類似程度に基づき最多で1,000個の先願商標を提供すると説明した。類似度の高い商標の先願検出率を向上させるため、特に図形を文字に結びつけた商標について、民衆が検索を行う前に商標の図形範囲を明確にしておくことをお勧めする。また、構成図形が潜在的に類似する先願商標を確実に検索するため、「商品又は役務の類別」に基づく選出や現行のグラフィックパスとリンクした検索を行うこともできる。同局は、商標審査の時間短縮のため、出願人は商標登録出願する際、図形によって図形をAI検索した先行比較結果を審査の参考用に自主的に添付するよう、呼びかけている。
同局はまた、図形による図形検索を使った商標検索システムの提供を開始することは、商標登録の効率と利便性を大幅に向上させ、民衆にさらに良質の商標検索サービスを提供し、権利者の商標権益を有効的に保護することになるので、各界多いに利用いただきたいと強調している。智慧局は、ユーザーの貴重な意見を収集し整理してまとめ、システムの優良化を引き続き行い、企業ブランドの商標ポートフォリオ展開のためさらに便利な環境と実質的恩恵を提供していく。
商標検索システム「図形で図形検索」機能は下記リンク先参考。
cloud.tipo.gov.tw/S282/S282WV1/(中国語:商標檢索系統「以圖找圖」)

(2024.04.01 智慧局ニュース全訳)
1-2 「証明標章、団体標章及び団体商標審査基準」などの行政規則関連の改訂が2024年3月15日より発効
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-935737-a1828-1.html
行政院の組織改編や部署名称変更に伴い、「証明標章、団体標章及び団体商標審査基準」、「小売役務審査基準」、「商標争議案件方式審査基準」及び「商標審査官による無効審判作業要点」の1.及び5.の規定を改訂し、基準の内容について文言修正を行った。これらの改訂は2024年3月15日より発効した。
※各種改訂基準、要点は上記智慧局リンク先の檔案下載(ファイルダウンロード)からダウンロード可能(中国語)

(2024.04.02 智慧局ニュース全訳)
1-3 2023年5月24日改正公布の「商標法」一部改正条文が2024年5月1日より施行
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-935798-e1332-1.html
行政院令
発行日:2024年3月29日
発行番号:院台経字第1131006860号
2023年5月24日に改正公布された「商標法」の一部条文は、2024年5月1日より施行する。
院長 陳建仁
※改正条文は上記智慧局リンク先の檔案下載(ファイルダウンロード)からダウンロード可能(中国語)

(2024.04.11 智慧局ニュース全訳)
1-4 専利、商標の各出願について、2024年4月3日花蓮大地震で法定期間に遅延した場合、原状回復を申請可能
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-936631-2bb1c-1.html
1. 専利、商標の各出願について、天災又は自己の責めに帰することができない事由により法定期間に遅延した場合、専利法第17条及び同法施行細則第12条又は商標法第8条及び同法施行細則第9条の規定により原状回復を申請できる。専利、商標の出願人が2024年4月3日の花蓮大地震により各出願事項の法定期間に遅延した場合、原状回復申請規定により、関連の証明書類を添付することで、本局は原則上個別案件の具体的な状況に応じて柔軟に認定する。
2. 台湾人出願人が日本に出願する場合、今回の地震で関連期間に遅延した場合、権益を保護するため、日本特許法の関連規定に基づき処理することができる。日本特許庁が提供する関連リンクは以下のとおり。
www.jpo.go.jp/e/system/laws/rule/other/remedial-measures.html

2.模倣品関連

(2024.04.01 中国時報第A8面全訳)
2-1 高額ブランド品、低価格電池、バイアグラ なんでも稼ぐSNS代理購入 模倣品もなんでも販売 騙される機会大
悪徳業者は、消費者が贅沢なブランド品で虚栄心を満たすのを見据え、頻繁にSNSプラットフォームで本物そっくりの模倣品を販売しており、商品項目はブランド品から自動車部品、バイアグラまでなんでもある。財政部関務署の統計によると、2021年から2023年に税関が摘発した知的財産権侵害案件は年々増加しており、2023年は300件を突破し、直近10年の最高を記録した。弁護士は、これは刑事責任が軽すぎることと関係があるとみている。
SNSプラットフォームには模倣品販売の裏サイトが氾濫し、正規価格の半額以下のネット価格で全てのサイズ展開で商品が提供されている。業者の多くは「海外代理購入」で真正品であると主張し「商品が模倣品であれば返品可」と堂々と語っている。
若者が好きなスポーツブランドのほか、ブランドバッグ、高級腕時計など、オリジナルメーカーのほんの10%未満の価格で、贅沢ブランド品「レベル」を有することができる。
模倣されるのは有名ブランドの高級品だけでなく、低価格の電池でさえ例外ではない。警察は昨年7月、市場価格の10%から40%安い価格でネット販売されたパナソニック電池の模倣品輸入を摘発した。その数は15,000個を超え、権利侵害市場価格は大まかに見積もって100万台湾元(約473万円)であった。
関務署の統計によると、知的財産権侵害摘発件数は、2021年に228件、2022年に231件、2023年には323件を突破した。2023年の模倣品数は87,000件を超え、権利侵害市場価格は7億台湾元(約33億1400万円)近くで、多くは3C商品、化粧品、服飾及び薬品で、そのうちアップルのワイヤレスイヤホン・3C商品が3万件超、化粧品が2万件超、バイアグラ・シアリス等の薬品が9,500件であった。
税関が摘発した知的財産権権利侵害刑事罰案件が年々増加していることについて、廖芳萱・弁護士は、これは刑事責任が軽すぎることに関係しているとみている。また、廖・弁護士は、代理購入業者が真正品価格で模倣品を消費者へ販売した場合、「刑法」のインターネットを介して公衆に頒布した詐欺罪に関与するとして、1年以上7年以下の有期懲役に処し、且つ100万台湾元(約473万円)以下の罰金を併科することができるほか、「商標法」のインターネットを介して商標権侵害の不法商品を販売した罪で、1年以下の有期懲役、拘留に処す、5万台湾元(約23.6万円)以下の罰金を科す、又は併科することができ、両方によって厳重に処罰されると指摘した。
廖・弁護士は、模倣品が「商標法」にのみ違反する場合、通常、裁判所の多くは罰金のみを科し、さらに業者が裁判所に罪を認め情状酌量を求めた場合、通常は量刑が軽くなり、高い販売利益は、市場での模倣品の横行をもたらすことになると述べた。

(2024.04.01 中国時報第A8面全訳)
2-2 刑事局:出所を管理・制御できず、模倣品摘発はいたちごっこ
「ブランド物代理購入」は新しい消費モデルとなっており、購入代理店を指定してお気に入りの限定版を見つけられるばかりか、為替レートの変動も魅力的である。しかし、代理購入業者の背後には大きなリスクが隠されており、市場にはびこる「模倣品」は「購買代行」に対する消費者の信頼に影響を与えるだけでなく、合法の正規業者にも大きな損失を及ぼしている。刑事局第二偵査大隊の李泱輯・大隊長は、出所を管理・制御できないため、模倣品が横行していると述べた。
金門でスポーツブランドの代理購入業に10年以上従事している「沃皮斯潮流(Worldpeace)」の盧松民・社長は、「模倣度の高い」商品が増えており、購入代理店は購入前に商品を確認するだけでなく、商品の真偽を確認するため第三者プラットフォームに検査を委託する必要さえあり、信頼できる代理購入業者を慎重に選択することは非常に重要だと述べた。
盧松民・社長はまた、代理購入のもう1つのリスクは消費者の購入代行であることであり、これは「資本のないビジネス」とも言え、民衆は注意しないと悪徳業者のATMとなり、前払い金額が他人の「運転資金」になってしまう可能性があることである、とも指摘した。
代理購入業者の陳氏によると、模倣品の氾濫で取引が困難になり、合法の正規業者も大きな損失を被っており、多くの大手ブランドが損失を埋め合わせ、模倣品業者を厳しく処罰するために国境を越えた訴訟を起こしている。
かつて「商標法」を専門に取り扱う内政部警政署保安警察第二総隊(以下「保二刑大」という)の前大隊長を務めた刑事局第二偵査大隊の李泱輯・大隊長は、以下のように指摘した。摘発すべき模倣品は後を絶たず、出所を管理・制御できないという点では現在の「詐欺取締り」と似ている。現状を見る限り、ブランド品の模倣品工場のほとんどが中国に存在し、製造後は消費者に直接出荷されるため、出所を追跡することが全くできない。税関検査の仕組みが、警察による取り締まり速度が模倣品製造・販売の流通に追いつかないという状況をもたらしている。
李泱輯・大隊長はまた、「商標法」の刑事責任が軽すぎるため、警察が捜査時間を費やしても最終的に裁判になったときには賠償金を支払うだけで、正規品メーカーにとっては「債権回収」にしかならない場合もあり、多くの警察官のやる気と熱意を削ぎ、さらには他の刑事警察官からも「商標法」を扱うのはただの「三流刑事警察」と思われていると述べた。
保二刑大は今年初めに刑事局知的財産偵査大隊に移管されたが、匿名希望の前・保二刑大メンバーによると、刑事局の編成、経費等は、保二刑大に比べると「金持ちパパ」と形容でき、全体的に以前の保二刑大の独立した運営よりも良いと言える。

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