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知財ニュース352号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.352)
発行年月日:2023年9月30日・10月13日合併号

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2023年9月26日 智慧局ニュース全訳)
1-1 2023台湾イノベーション技術博覧会 10/12より開催
(2023年10月5日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「専利委任状のテンプレートと記載の注意事項」を本局サイトに掲載

2. 法律・制度
(2023年10月11日 経済日報第A16面全訳)
2-1 特許の第三者意見制度について7つの注意事項

3. 模倣品関連
(2023年9月27日 内政部警政署刑事警察局プレスリリース全訳)
3-1 米、日、台が海賊版STB及び違法ストリーミングによるインターネット権利侵害を撲滅し、協力して知的財産権を保護することを共同宣言

1.智慧局ニュース

(2023.10.04 智慧局ニュース全訳)
1-1 2023台湾イノベーション技術博覧会 10/12より開催
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-927273-2c2d0-1.html
2023台湾イノベーション技術博覧会の本年の実体展は2023年10月12日から10月14日まで台北世界貿易センター1館で盛大に開催され、オンライン展は2023年10月6日から2024年3月6日まで開催される。今回の博覧会では国内外の著名な企業を広く招聘し、イノベーション企業と学術・研究機関が共同出展する。海外の参加企業は、3M、シーメンス(Siemens)、インフィニオン(Infineon)、オックスフォード・インストゥルメンツ(Oxford Instruments)、インドネシア発明イノベーション促進協会(INNOPA)、タイ国家学術調査委員会(NRCT)及び韓国発明振興協会(KIPA)の団体で、台湾からは瑞昱半導体(Realtek)、世界先進積体電路(VIS)、旺矽科技(MPI Corporation)及び群創光電(Innolux)等の著名な企業が共同参加し、1,100件近い技術作品を出展する。実体展は国内外のバイヤー及び民衆約3万人余りを魅了し、台湾産業界及び発明家に更に多くの提携ビジネスチャンスをもたらし、本展覧会が国際技術取引の重要なプラットフォームになることを促進するものとなる。
智慧局は本日(4日)、展覧会前記者会見を開き、多くのイノベーション発明作品を披露した。そのうち、デジタル発展部が展示した【産業用制御ゾーンAI検出・予防分析技術】の技術は、AIで強化した防御及び分析技術であり、産業用制御システムに全面的に管理・制御、保護をさせ、企業内部の情報セキュリティーを更に強化する。すでに各国際評価テストに合格しており、大手メーカーと肩を並べていると同時に2023年RD100賞を受賞している。労働部労働及び職業安全衛生研究所の【揮発性有機物質キャニスター漏れ検査警告装置】は、マイクロ気体測定器を利用し、呼吸防護具内の気体を即時モニタリングできる効果があり、特殊なデザインにより、ユーザーの呼吸負担を抑えると同時に振動及び指示ランプの方式による警告機能を提供し、8時間以上も使用できる効能があることから、労働者・ユーザーの利便性を有効的に改善し、使用の安全性を大幅に向上させ、作業労働者を保護する最後の防護技術とすることができる。国家原子力エネルギー技術研究院の【2ターゲット向け炭酸脱水酵素9型複合物及びその造影剤】は、二種類の異なる結合物が炭酸脱水酵素第9型の分子が形成する複合物に至るもので、その複合物の具体的な構造は、特許技術において、非常にイノベーション価値を有し、従来の免疫反応の欠点を改善すると同時にコストダウンの効果もあり、既に米国特許を取得しており、癌の治療プロセスにおいて、極めて市場潜在力を有する。このほか、日常生活の実用に関する優秀なイノベーション商品が数多く有り、参観者が目を見張るものとなる。
展示会場の3館1区は、「未来のテクノロジー」、「持続可能な発展」及び「イノベーションパイロット」の3大テーマ館並びに「発明コンテスト区」の4大展示区になる。3大テーマ館の「未来のテクノロジー館」はAloT人工知能、ネットゼロテクノロジー、バイオ新薬と医療材料、人文運動テクノロジー芸術、プレシジョン・ヘルス(精密保健)、半導体及び宇宙技術等7大テクノロジー分野を焦点にし、またイノベーション技術展覧区と特色のあるテーマ展覧区の2大区域を予定している。このほか、直近2年のTIE AWARD受賞団体の作品展示コーナーも設けてある。「持続可能な発展館」は炭素削減・炭素吸収源増加、グリーンエネルギー技術及び循環再生をメインテーマとし、110件を超える技術を展示し、持続可能な未来、脱原発の理想の環境の実現を展開する。「イノベーションパイロット館」では、ディスカバリー・テクノロジー・トレジャー(DTT)、スマートモビリティ、半導体、ネットゼロモデルチェンジ、健康医療、AloT及びデジタル情報セキュリティー等の7大テーマで、未来の新興マーケットの研究開発成果を展開する。そのうち、半導体コーナーでは、台湾の代表的大企業9社に出展を依頼し、台湾が世界の半導体サプライチェーンにおける重要な役割であることを示す。「発明コンテスト区」は、毎年参観者の必見ポイントで、国内外から529件のコンテスト参加作品が各種発明賞を競い合い、コンテスト区内並びに傑出発明館に設置され、2022年国家発明創作賞受賞作品が展示される。
2023台湾イノベーション技術博覧会の今年の開催期間には35回以上のテクノロジーフォーラム、マッチング会及び技術発表が行われ、同時に各館では多くのテーマフォーラム、成果発表会及び周辺活動が開催され、豊富で多元的な内容に多いに期待できる。
※2023台湾イノベーション技術博覧会の公式サイトは以下を参照。
www.inventaipei.com.tw/zh-tw/index.html

(2023.10.05 智慧局ニュース全訳)
1-2 「専利委任状のテンプレートと記載の注意事項」を本局サイトに掲載
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-928258-33f7b-1.html
専利に関する事務作業には高度な専門性が必要であることから、出願人は専利出願又はその他の専利に関する事項を行う際に、専門知識や経験を有する代理人に依頼することがほとんどである。出願人の権益を保護し、代理人の授権事項の範囲の明確性を確保するため、委任状の内容の文言、意味又は用語が明確でないことで争議になることのないよう、台湾の現行の専利法規制度により規範し、また、米国、欧州、日本、韓国及び中国等の五庁(IP5)が対外的に公告している専利委任状のテンプレート及び記載すべき事項の内容を参考にして、専利事項に関する委任状のテンプレートを定めた。
委任状のテンプレートは表形式となっており、チェックボックスをチェックして下方へ項目選択できる機能を提供しており、出願人と代理人が各事項について明確に閲覧、記載、及びチェックできるようになっている。授権内容については、概括方式で代理人には専利出願、分割、出願変更、再審査、訂正、無効審判、専利法とその他関する法令に定められた専利に関する事項、及び専利案件代理人の保障の権益の一切の行為を行う権限を有することが明記されている。また、選択欄にチェックを入れる形式で、代理人が専利法施行細則第10条但書に規定された特別委任が必要な事項を代理する権限を有するか否かを示すようになっている。
専利委任状のテンプレートはすでに本局のウェブサイトで公告済みであり、また、記載の際の注意事項も提供しているので各界の参考に利用されたい。

*専利委任状のテンプレートと記載すべき事項は上記智慧局ウェブサイトのリンク先の「專利委任書範本暨填寫須知」をクリックすると各種ファイルがダウンロード可能(中国語)。

2.法律・制度

(2023.10.11 経済日報第A16面全訳)
2-1 特許の第三者意見制度について7つの注意事項
経済部智慧財産局は特許出願の審査の過程において、すでに構築されている「第三者意見(Third Party Observations;TPO)」制度、すなわち出願人以外の者が、出願に関する引用文献を提供することで、智慧局の審査官がより多くの先行技術文献を獲得し、審査過程においてそれを参考・使用できることに役立つ制度により、公衆審査の目的を達成し、特許の質と効率を向上させることができる。競争が激しい商戦においては、TPOの提出は無料であることから、事後の無効審判手続を減少させることができ、さらには特許戦における攻防の新戦略とすることができる。
台湾では2013年1月1日に施行された専利法施行細則第39条にTPOが規定されているが、2020年9月1日になって初めて「特許出願の第三者意見作業要点」が公布され、専利法施行細則第39条の規定が実施されることになっただけでなく、特許審査におけるTPO制度がより完備されたものとなった。
近年、台湾における特許の初審の平均審査終結期間は、2014年の33か月から約14か月まで大幅に短縮されたが、智慧局の統計によると、TPO提出量は平均審査終結期間の短縮により大幅に減少してはおらず、昨今の日進月歩するテクノロジー、商業競争の激化という産業環境のもと、公衆審査のTPOはより重要となっていることが明らかである。特に、多くのグローバルメーカーはすでにTPOを特許権の早期安定化の戦略ツールとしており、製品の権利侵害リスクをいち早く排除し、企業の特許ポートフォリオ展開に役立つものとなっている。
TPO提出量が下降趨勢とならないことは、その原因を探ると、外界がTPOの公衆審査制度を利用するニーズのプラス成長にあり、この他に、情報プラットフォーム及び資料提出チャネルの便利さが利用度を高めている。智慧局が「グローバル専利検索システム(中国語:全球專利檢索系統GPSS:https://gpss1.tipo.gov.tw/)」ウェブサイトに構築したTPO提出のリンク、「産業専利情報プラットフォーム(中国語:產業專利知識平台IPKM:https://ipkm.tipo.gov.tw/)」のキーワードで目標団体サービスの通知する措置、及び2017年にオンラインが始まった「専利出願審査情報申請書」を含め、業界によるTPO運用の利便性が大きく高まった。智慧局の統計によると、TPO制度の実施から1年でTPO申請数は136件に増加した。

業界はTPO提出の際に以下の事項に注意すべきである。
まず、特許出願に対し智慧局での審査期間において、出願人以外の何人も提出することができる。第二に、智慧局は第三者から提出された意見を受け取った後、特許出願の出願人に第三者意見が送達された事実を通知する。第三に、提出した者は、それが提出した文書に提出者及び他人の営業秘密、個人情報又はその他秘密保持すべき事項が含まれないことを確認する責任を負わなければならず、ゆえに氏名明記の責任を負うが、提出者の個人情報は秘密保持される。
第四に、智慧局はTPOを受け取った後、提出者に当該特許出願の処理状況又は審査結果を自発的に通知しないが、提出者は依然として専利公開情報検索システムのウェブサイトで照会することができる。第五に、智慧局はTPOを受け取った後、特許出願の審査時の参考にするが、引用文献の採用については、依然として審査官による専門的判断により決定する。第六に、TPOの提出には手数料は必要なく、提出後には補正はできないが、改めてTPOを提出することは許可されている。
第七に、第三者は二重出願において公告された実用新案から特許出願の公開前においてすでにその主要な技術内容を知り得ることができた場合、依然として当該主要技術内容についてTPOを提出することができ、それにより特許の査定前に智慧局に審査の参考として提供され効率に資するものとなる。よって提出者は申請書に当該実用新案の出願番号を記載しなければならない。
上記第七から、企業がライバルの特許出願、実用新案に二重出願の声明があり、専利無効の状況を発見した場合、特許審査期間において、いち早くTPOを提出して潜在的権利侵害のリスクをできるだけ早く排除することが可能になり、特許が公告されるまで待って無効審判請求する必要はなくなり、無効審判請求と比べて時間及びコストにおいてもより経済的である。
*本文は経済部智慧財産局の廖承威局長の口述を、記者江睿智が記録したものである。

3.模倣品関連

(2023.9.27 内政部警政署刑事警察局プレスリリース全訳)
3-1 米、日、台が海賊版STB及び違法ストリーミングによるインターネット権利侵害を撲滅し、協力して知的財産権を保護することを共同宣言
台湾の知的財産権保護のため、警政署、米国在台協会(AIT)、日本一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)、経済部智慧財産局、台湾知的財産権連盟(TIPA)、台湾オンラインビデオ産業協会(Taiwan OTT Association)、台湾ケーブルブロードバンド協会(CBIT)、中華民国衛星放送テレビ事業商業同業公会(STBA)等の団体は、積極的に違法権利侵害案件を撲滅するため、今回の記者会見の席で、各団体の代表がインターネット犯罪の撲滅及び知的財産権の保護について引き続き協力し、合法な知的財産権者の権益を守る事を共同宣言した。
警政署は知的財産権の保護政策を継続して実施するため、引き続き各警察機関を監督・指揮し、各種の知的財産権侵害案件を取り締まっており、2021年1月~本年(2023年)7月までの統計で、すでに各種権利侵害案件9,679件、1万1,849人を摘発し、権利侵害金額の合計は1,354億3,593万5,653台湾元(約6,288億円)となった。そのうち違法ストリーミング案件は19件で57人を摘発した。警政署は、同様の案件を引き続き取り締まり、根源から徹底的に不法セットトップボックス(STB)及び信号搾取中継サーバールームを掃蕩すると同時に民衆に不法STBを使用し合法的なライセンス許諾のない映像コンテンツを見ないよう呼びかけ、また、不法STB設備及びアプリを域内のブロードバンドネットワークに接続したことで個人情報漏洩となってしまわないよう民衆へ注意を促すと表明した。
警政署は引き続き各権利者団体と協力し、分野、組織、部会、国を超えた目標に向かって、公私の協力を通じて共同で犯罪を撲滅し、知的財産権保護という政府の決心を貫いていく。

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