発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.348)
発行年月日:2023年7月31日発行
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2023年7月13日 智慧局ニュース全訳)
1-1 産業専利知識プラットフォームにおいて台湾の特許・実用新案公告案件の図式符号閲覧機能を新設
(2023年7月14日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「商標代理人登録及び管理弁法」の制定予告
(2023年7月19日 智慧局ニュース全訳)
1-3 eネット通信による手数料支払い用紙の印刷又は台湾Pay利用による即時支払いが即日より可能
(2023年7月19日 智慧局ニュース全訳)
1-4 2023年7月19日より本局の「知財権情報サービスクラウド」にて「権利証明検索システム」サービスを開始
(2023年7月28日 智慧局ニュース全訳)
1-5 2023年上半期の知的財産権趨勢
(2023年7月28日 智慧局ニュース全訳)
1-6 商標の商品・役務名称の修正に合わせ、電子出願システムを2.5.1版に更新、2023年7月20日までに更新完成のこと
2. その他一般
(2023年7月17日 中国時報第A4面全訳)
2-1 生成AIが知的財産に関与 権利侵害防止のため経済部が手引きの構築を検討
1.智慧局ニュース
(2023.07.13 智慧局ニュース全訳)
1-1 産業専利知識プラットフォームにおいて台湾の特許・実用新案公告案件の図面符号閲覧機能を新設
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-924748-7b6a9-1.html
台湾の専利文献の閲覧時に、図面と明細書における部品符号の説明の対応関係をより迅速に理解できるよう、本局は文字識別技術を運用し、産業専利知識プラットフォーム(コンピュータ版)(https://ipkm.tipo.gov.tw/)において台湾の特許・実用新案公告案件の図面符号閲覧機能を新設し、即日より対外的に試行開始する。
主な機能は以下のとおり:
1. 分割閲覧:図面をクリックした際、専利文献と図面が同時に分割表示され、専利明細書の内容を読みながら、見る必要のある図面を切り替えることができる。
2. 図面符号の表示:図面において、識別された部品の符号が青色の背景で表示される場合、当該表示をクリックするとその対応する名称が示される。
3. 部品名称をクリックし、図面の位置を表示:図面の下の「圖示元件符號(図面の部品符号)」をクリックし、「顯示全部元件(全ての部品を表示)」にチェックを入れると、全ての部品符号が羅列される。部品名称をクリックした場合、即座に対応する図面に切り替わり、またその符号の位置が表示される。
※図面・部品符号の閲覧機能紹介については、上記リンク先の智慧局サイトの檔案下載(ファイルをダウンロード)(中国語)を参照。
(2023.07.14 智慧局ニュース全訳)
1-2 「商標代理人登録及び管理弁法」の制定予告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-924761-dd741-1.html
経済部公告
発表期日:2023年7月14日
文書番号:経授智字第11252800620号
添付:「商標代理人登録及び管理弁法」草案(総説明と条文説明)
主旨:「商標代理人登録及び管理弁法」の制定予告
根拠法:行政手続法第154条第1項
公告事項:
1. 制定機関:経済部
2. 制定根拠:商標法第6条第4項
3. 商標代理人登録及び管理弁法草案は上記智慧局ウェブサイトのリンク先からダウンロード可能(中国語)。総説明の日本語版は下記を参照。また、本件については智慧財産局全球資訊網站、及び経済部主管の法規検索システム/草案予告フォーラム(若しくは「経済部全球資訊網站トップぺージ/法規及び訴願/草案予告」のリンク先から閲覧可能。
4. 公告内容についてご意見ご提案がある場合は、本公告の公報掲載日から60日以内に意見提出及び問い合わせのこと。
(1) 担当部署:経済部智慧財産局商標権組
(2) 住所:台北市大安区辛亥路2段185号3F
(3) 電話:(02)2376-7504
(4) FAX:(02)2735-9098
(5) メール:商標権組(ipotr@tipo.gov.tw)
商標代理人登録及び管理弁法の草案総説明
商標代理業務従事者の専門能力認証及び登録管理メカニズムを推進し、商標代理人情報の透明化、出願人と商標権者の権益保護の目的達成のため、2023年5月24日に改正公布された商標法(以下「本法」と称する)第6条第4項の規定に基づき、商標専門能力認証試験の実施、商標審査業務に従事した期間、商標代理人登録の資格と提出すべき書類、在職訓練の方法、時間数、商標代理業務執行の管理措置、業務執行停止の申請、登録廃止及びその他遵守すべき事項についての弁法は、主務官庁がこれを定めるものとする。そこで、「商標代理人登録及び管理弁法」草案を起草した。制定の要点は以下のとおり。
1. 本弁法の根拠法令。(草案第1条)
2. 商標専門能力認証試験の委託、実施及び受託資格。(草案第2条、第3条)
3. 商標代理人として登録申請する資格及び提出すべき書類。(草案第4条、第5条)
4. 本法第109条の1に基づかない商標代理人を登録申請する場合、本法第6条第2項及び第3項の規定に符合してはじめて商標代理業務を執行することができる。(草案第6条)
5. 登録申請が法定手続きに合わない場合の補正。(草案第7条)
6. 商標代理人の在職訓練の実施方法、時間数及びその違反効果。(草案第8条、第9条)
7. 商標代理人の業務執行停止の申請。(草案第10条)
8. 商標代理人が商標代理業務の委任を受託できる事項。(草案第11条)
9. 商標代理人の消極的資格。(草案第12条)
10. 商標代理人の行為規範。(草案第13条、第14条)
11. 商標代理業務執行の管理措置。(草案第15条~第20条)
12. 商標代理人名簿に記載すべき事項。(草案第21条)
13. 商標代理人登録事項に異動がある場合、登録未変更の効力。(草案第22条)
14. 何人も商標代理人に関連法令規定違反がある場合に通報できる旨を明文化。(草案第23条)
15. 商標代理事件評議会の開催及び組織。(草案第24条)
16. 本弁法の施行日。(草案第25条)
(2023.07.19 智慧局ニュース全訳)
1-3 eネット通信による手数料支払い用紙の印刷又は台湾Pay利用による即時支払いが即日より可能
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-924771-a39ec-1.html
手数料のオンライン納付作業の利便性を向上させるため、本局は支払い用紙印刷機能の調整に合わせ、振込口座番号で即時支払い可能なシステムを提供し、本年(2023年)7月19日より正式に対外サービスを提供する。これは従来、1~2執務日後に支払い完了となっていた制限を改善するものとなる。
即日より「e網通/規費線上繳納系統-我要繳費(eネット通信/手数料オンライン納付システム-納付)」、「e網通/商標線上申請系統-列印繳費單(eネット通信/商標電子出願システム-支払い用紙印刷)」、又は「E-SET/繳納規費-列印繳費單(E-SET/手数料納付-支払い用紙印刷)」等の機能を利用し、通知された振込用口座番号を通して納付することができ、利用者はより便利で迅速に費用納付を完了することができる。各界大いにご利用いただきたい。
※「オンラインによる支払い用紙プリントアウト/即時支払い機能の紹介」については、上記リンク先サイトから「檔案下載(ファイルをダウンロード)」(中国語)を参照。また、「知的財産権eネット通信」、「手数料オンライン納付システム(新版)」については、上記リンク先サイトの「相關連結」(中国語)を参照。
(2023.07.19 智慧局ニュース全訳)
1-4 2023年7月19日より本局の「知財権情報サービスクラウド」にて「権利証明検索システム」サービスを開始
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-924767-7dbe0-1.html
1. 政府のクラウド政策及び民衆へのサービス品質向上に対応するため、本局は2021年より「知財権情報サービスクラウド計画」を推進しており、パブリッククラウドで構築したクラウドサービス応用プラットフォームを運用し、外界がより迅速に且つ着実に知財権情報を取得し、台湾知的財産権デジタル化環境を完備するという目標実現のため、知財権公開資料、商標検索、産業知財権知識等のサービスを年毎に続々と導入する計画をたてた。
2. 本局はパブリッククラウドにおいて「知財権情報サービスクラウド」の構築をすでに順調に完成させ、「権利証明検索システム」サイト(https://cloud.tipo.gov.tw/S220/cert)を当該プラットフォームに移行運営し、即日より対外的に開放して試行を開始する。パブリッククラウドプラットフォーム及びクラウド化技術を通して、本局の情報サービスの高可用性、及び能力強化を目指す。各界大いにご利用いただきたい。
(2023.07.28 智慧局ニュース全訳)
1-5 2023年上半期の知的財産権趨勢
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-924793-10f25-1.html
2023年上半期における台湾で受理した3種の専利出願(特許、実用新案、意匠を含む)の合計は34,611件で、前年同期比0.4%の微減となり、そのうち特許は24,256件で同0.2%微減となった。商標出願は44,653件で同4%減となった。特許出願については、台湾の台積電(TSMC)の出願が1,171件で、台湾法人による出願で連続7年首位となっており、外国法人においては、サムスン電子が430件で初めて第1位となった。商標については、台湾人出願人では統一企業が239件、外国人出願人では上汽通用五菱汽車が84件で、それぞれ最多となった。
<専利出願>
台湾人による意匠出願件数が9%増
台湾で受理した3種の専利出願(特許、実用新案、意匠を含む)合計34,611件のうち、件数が最も多かったのは特許出願の24,256件(前年同期比0.2%微減)で、台湾人による出願(9,390件)と外国人による出願(14,866件)の件数の変化は大きくはなかった(表1参照)。また、意匠出願件数は3,508件で同2%増となっており、主に台湾人出願人による出願件数が9%増加したが、実用新案は減少した。
台湾人出願人による特許ではTSMC、意匠ではAcerが最多
台湾人出願人による特許出願件数上位10位については、TSMCが1,171件で、上半期で言うと7年連続第1位となった。聯発科技(メディアテック)は321件(114%増)で成長幅が最大となり(図2参照)、はじめて300件以上を突破した。また、群創(イノラックス:181件)、英業達(インベンテック:132件)も、それぞれ2016年以来の当該企業における過去最高記録を達成し、輝かしい成長を見せた。
台湾人出願人による意匠出願件数上位5位において、宏碁(Acer:55件)が連続第1位となり、聯府塑膠(keyway:44件)の成長率が76%増で最大となり(図3参照)、また、樹徳科大(23件)の件数は2016年以来の最多となった。
台湾法人、研究機関及び金融三業の特許出願件数はいずれもプラス成長
台湾人出願人による特許出願件数は、企業(7,635件)及び研究機関(147件)が、前年同期比それぞれ2%増と12%増の成長となったが、高等教育機関(736件)は減少した。企業による出願件数について、大企業(6,266件)及び中小企業(1,369件)はそれぞれ2%増と3%増で小幅な成長となった。高等教育機関については、清華大学(58件)が連続首位を守り、長庚科大(22件)が私立学校のトップとなり100%増の成長率最多となった(表3参照)。研究機関については、工研院(ITRI:67件)がその他の出願人をリードした(表4参照)。このほかに、金融三業(87件)は4%増で、兆豊銀行(17件)が最多となった(表5、図4参照)。
外国人出願人による特許ではサムスン電子、意匠ではカルティエが最多
外国人出願人による特許出願件数は14,866件で、前年同期比1%減となった(表1参照)。国(地域)別上位5位においては、日本からの出願が6,216件で最多となり、中国(1,683件)と韓国(1,263件)がいずれも2割に近い成長率となった(図1参照)。出願件数上位10位において、韓国のサムスン電子(430件)が、初の400件突破で第1位となり、当社史上最高記録となった。また、韓国の韓領(159件)の成長率が238%で最大となり、第6位の順位も2016年以来最高となった(図2参照)。このほかに中国の西安奕斯偉科技(126件)は初の上位10位へのランクインとなった(図2参照)。
また、意匠出願件数上位5位においては、スイスのカルティエが72件で最多となり、この件数は当社史上最多、かつ、初の第1位となった。米国のアップル(40件)は前年同期が比較的少なかったことも影響し、1,233%増の成長率最高となった(図3参照)。
<商標出願>
商標出願件数が減少
台湾が受理した商標出願件数は44,653件(56,198区分)で、前年同期比4%減となり3年連続のプラス成長後の初の減少へと転じた。また、台湾人(35,169件)及び外国人(9,484件)の出願人による件数のいずれもマイナス成長となった(表1参照)。
台湾人による商標出願件数は統一企業が最多
台湾人出願人による商標出願件数上位10位の件数は、ほぼプラス成長となっており、統一企業が239件で再度第1位となった(表7参照)。台湾人による出願区分では、第35類(広告、企業経営及び小売卸役務等)が7,162件で最多となった(図5参照)。
外国人による商標出願件数は上汽通用五菱汽車が最多
外国人出願人による商標出願では、中国が2,391件で最多となった(図1参照)。上位10社の出願人の出願件数はいずれもプラス成長で、中国の上汽通用五菱汽車が84件で第1位となった(表8参照)。外国人による出願区分では、第9類(コンピュータ及びテクノロジー商品など)が1,895件で最多となった(図5参照)。
台湾人・外国人による商標出願件数はそれぞれ「農業食材」と「技術研究」産業に集中
台湾で受理した商標出願は、依然として「農業食材」(12,198件)が各産業を抑えて最多となっており、次いで「商業金融」(9,374件)及び「健康医療事務」(8,936件)等となっている(図6参照)。台湾人出願人は「農業食材」産業(10,246件)へのポートフォリオ展開に最も積極的で、主にレストラン及び宿泊の商標が比較的多い。一方で外国人出願人では「技術研究」産業(3,106件)が最多となった(図7参照)。
(2023.07.28 智慧局ニュース全訳)
1-6 商標の商品・役務名称の修正に合わせ、電子出願システムを2.5.1版に更新、2023年8月14日までに更新完成のこと
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-924798-1f8a1-1.html
商標の商品・役務名称の修正に合わせ、本局は2023年8月1日より新電子出願システムの更新版を提供する。
新電子出願システム(HTML2PDF/WORD 増益集(add-in)及びE-SET)のユーザーは、2023年8月1日から8月14日までの期間に、HTML2PDFとE-SETプログラムを開き、自動更新作業を実施、又は智慧財産権e網通(https://tiponet.tipo.gov.tw/)の〔01案件申請〕→〔下載新電子申請系統〕(新電子出願システムのダウンロード)に入り、「HTML2PDF/WORD增益集2.5.1版」と「E-SET 2.5.1版」の新版プログラムをダウンロードすること。従来使用の「HTML2PDF/WORD增益集2.4.9又は2.5.0版」と「E-SET 2.4.9又は2.5.0版」は2023年8月15日より電子受信に適用しない。
※バージョンアップ/インストール説明、更新内容についての詳細は、上記リンク先の智慧局サイトの檔案下載(ファイルをダウンロード)(中国語)を参照。
2.その他一般
(2023.07.17 中国時報第A4面全訳)
2-1 生成AIが知的財産に関与 権利侵害防止のため経済部が手引きの構築を検討
ChatGPTのような生成AIは、編曲、レポート作成、コード生成等ができ、科学技術における一大突破であるものの、それに伴い営業秘密の漏洩、著作権侵害等の争議といったネガティブな問題をもたらしており、各国政府が早急な解決策を探し求めている。経済部職員によると、現在経済面においては、知的財産権問題が最も大きな課題であり、AI生成物は著作権又は専利権を享有可能か否か、トレーニングデータの合理的使用の範囲、企業の営業秘密保護強化等の3大局面について手引きを構築すると示した。
生成AIがもたらす効果に合わせ、行政院は起こりうる影響を総見直しするよう既に各部会に指示し、並びに対応策を提出するよう要求した。経済部職員は、経済部は既に工業局、智慧局、技術処等の機関によるプロジェクトチームを設立し、経済部の林全能・常務次長を召集人とし、管轄業務をチェックしており、初歩段階では著作権、専利権への打撃が最も大きかったと指摘した。
最近、智慧局も民衆からインターネットでChatGPTが生成した画像、文章は引用できるか否か等の数々の問い合わせを受けている。智慧局の廖承威・局長は、民衆が文章、データをChatGPTへ提示すれば、著作物の「複製」に及び、その引用されたコンテンツの著作権が原文章の作者に帰属する場合、ChatGPTが完成させた作品の著作権は必ずしも利用者の所有とはならず、作品の引用量、コア技術の重要性をチェックして決めなければならないと述べた。
廖承威・局長は、生成AIの著作権、専利権、及びトレーニングデータの合理的使用の範囲は、現在世界でも討論されているが、インターネットには国境がなく、ChatGPTは言語の制限がないことから、台湾が作成する手引きは国際調和しなければならず、智慧局は世界の趨勢を理解し、専門家・学者を招聘し、台湾に適合した手引きについて討論を行い、対外的に公開すると示した。
現在、多くの企業がChatGPTを応用しており、利用者はデータを送ると必要な書類を取得できるが、提供したデータもまたChatGPTにより引用された物であることから、今後ある者が類似の問題を質問した際、営業秘密漏洩争議を引き起こすであろう。
廖承威・局長は、引用量と技術の比率が一定値以下、又はパラメータ値の変更によりオリジナルデータの形がなくなることは合法的使用といえるのか否かについて、今なお世界で定義が出されていないと指摘した。
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