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知財ニュース302号

台湾知的財産権ニュース(No.302)

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.302)
発行年月日:2020年7月31日・8月15日合併号

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2020年7月24日 智慧局ニュース全訳)
1-1 「特許出願における第三者からの意見書作業要点」制定の予告
(2020年7月28日 智慧局ニュース全訳)
1-2 2020年上半期の知的財産権趨勢
(2020年7月31日 智慧局ニュース全訳)
1-3 「専利審査基準」第4篇を改訂し、2020年8月1日より施行
(2020年8月7日 智慧局ニュース全訳)
1-4 「商標代理人管理弁法草案」公聴会のお知らせ
2. 法律・制度
(2020年7月16日 経済日報第A15面要訳)
2-1 NCC法改正 iQIYI放送禁止の恐れ
3. 知的財産権紛争
(2020年8月4日 経済日報第A3面要訳)
3-1 亜洲光学がサムスン電子を日本で提訴

1. 智慧局ニュース

(2020.07 .24 智慧局ニュース全訳)
1-1 「特許出願における第三者からの意見書作業要点」制定の予告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-879719-e3249-1.html
智慧局は特許出願における第三者からの意見書作業要点の制定を予告し、以下のとおり公告した。
専利法施行細則第39条に規定されている専利審査の公衆審査にあたる第三者による意見書(情報提供)制度を更に完備して実施するため、「特許出願における第三者からの意見書作業要点」草案を起草した。当該草案及び総説明については、上記リンク先智慧局サイトの「發明專利申請案第三方意見作業要點草案總説明及逐點説明 / 發明專利申請案第三方意見作業要點草案(中国語)」を参照のこと。

(2020.07 .28 智慧局ニュース全訳)
1-2 2020年上半期の知的財産権趨勢
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-879725-3a441-1.html
2020年上半期における特許、実用新案、意匠の三種の専利の新規出願件数は、33,954件(前年同期比4%減 )となり、また商標登録出願件数は43,385件で過去最高を更新し(表1参照)、台湾人による特許及び商標出願件数はいずれもプラス成長を維持した。特許出願人のうち、台積電(TSMC)及びクアルコムはそれぞれ台湾法人、外国法人の1位となった。このほか、台湾の中小企業による特許出願件数は前年同期比14%増と顕著な成長ぶりを見せた。

一、 今期の専利出願の動向
(一) 台湾の中小企業による特許出願件数は飛躍的な成長
台湾企業による特許出願件数は前年同期比1%増となり、台湾人特許出願件数全体に占める割合は75%を超え(図2参照)、研究開発イノベーションの主力となった。そのうち、中小企業の出願件数は前年同期比14%増となり、2年連続で10%以上のプラス成長を維持した。
出願人については、台積電(TSMC)が375件と最も多く、4年連続で台湾法人の首位を占め、メディアテック(211件)、友達(AUO、210件)がそれぞれ2位、3位となった(図4参照)。
(二) 成功大学の特許出願件数は台湾における高等教育機関のトップ
台湾の高等教育機関による特許出願件数の合計は前年同期比19%増となり、主要高等教育機関の出願件数が顕著に成長した。出願人別でみると、国立成功大学が56件で2015年の上半期以来、再びトップに踊り出た。私立大学では、崑山科技大学が36件と最も多く、前年同期比125%増となった(表4参照)。このほか、国公立大学と私立大学の特許出願件数の割合はそれぞれ60%、40%となった(図5参照)。
(三) 工業技術研究院の特許出願件数は他の研究機関をリード
台湾の研究機関全体の特許出願件数は前年同期比2%増と小幅な増加で、工業技術研究院(ITRI)は98件(前年同期比21%増)と最も多く、2位の財団法人紡織産業綜合研究所(19件)等その他の研究機関を大きく引き離した(表5参照)。
(四) 外国人法人のクアルコム及びフォード・モーターはそれぞれ特許及び意匠出願に積極的
外国人による特許出願件数を国籍別にみると、日本が6,105件と最も多く(図3参照)、出願人別では米国クアルコムが304件と最も多く、前年同期比14%増となった(図4参照)。意匠出願件数も同様に国籍別では日本が497件と最も多く、出願人別では米国フォード・モーターが114件で最多となった。

二、 今期の商標出願の動向
(一) 台湾人による出願件数が過去最高
商標登録出願受理件数は43,385件で前年同期比3%増となった。台湾人による出願件数は32,843件(前年同期比10%増)と2000年以来の最高を記録したが、外国人による出願件数は10,542件で、マイナス成長となった(表1参照)。
台湾人による出願件数が全体に占める割合は、2019年上半期の71%から2020年上半期の76%にまで上昇し、台湾人による出願の増加傾向がみられる(表3参照)。
(二) 台湾人による出願件数は第35類が最多
台湾人による出願において、第35類(広告、企業経営等)が5,955件と最も多く、類別上位5区分はいずれもプラス成長となり、第5類(薬品等)が前年同期比24%増と増加幅が最高となった(図6参照)。出願件数では統一企業が228件で1位となった(表7参照)。
(三) 外国人による出願件数は第9類が最多
外国人による出願件数を国籍別にみると、中国が2,289件で首位となり、第9類(コンピュータ及びテクノロジー商品等)への出願が2,100件と最も多かったが、類別上位5区分はいずれも衰退状況にある(図6参照)。出願人別ではファーウェイ(華為)が95件で最多となった(表8参照)。

※2020年上半期季報は、下記リンク先の智慧局サイトの「統計季報」を参照。
www.tipo.gov.tw/tw/lp-167-1.html

(2020.07 .31 智慧局ニュース全訳)
1-3 「専利審査基準」第4篇を改訂し、2020年8月1日より施行
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-879817-d84c9-1.html
1. 専利審査基準第4篇「実用新案形式審査」を改訂し、篇名を「実用新案審査」へ変更、並びに第三章「実用新案技術報告」を新設し、2020年8月1日より施行する。
2. 公布令、改訂「専利審査基準」第4篇実用新案専利審査第一章(篇名変更)、第三章公告版、訂正線あり版(予告対応版)及び予告期間における各界からの意見及び検討結果については、上記リンク先の智慧局サイト「檔案下載」(中国語)を参照。

(2020.08 .07 智慧局ニュース全訳)
1-4 「商標代理人管理弁法草案」公聴会のお知らせ
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-879854-4fe4d-1.html
2019年度商標法一部条文改正草案に係る商標代理人管理メカニズムの企画で、登録及び関連の管理措置等の制度が構築されることに合わせ、制度の完備並びに各界からの意見を募るため、2020年8月17日(月)14:00から智慧局18階ホールにて「商標法一部条文改正草案(商標代理人に関する一部条文)及び商標代理人登録及び管理弁法草案公聴会」を開催する。奮ってご参加いただきたい。

今回の公聴会での討論のポイントは以下のとおり。
1. 「商標法一部条文改正草案」における商標代理人資格、登録及び過渡期条文等の関連規定
2. 「商標代理人登録及び管理弁法」草案の内容には、商標代理人の登録、能力認証、専門訓練、登録取消、管理措置、登録の取下げ及び廃止等の事項を含む。
3. 詳細は上記リンク先の智慧局サイトを参照(附件一、二(中国語))。

参加する場合には、当日会場での資料配布はないので、上記リンク先から草案条文対照表等の資料をダウンロード印刷して持参すること。意見があるが参加できない場合には、同リンク先の(附件三)の意見表をダウンロードし記入して商標権組へ電子メール(ipotr@tipo.gov.tw)にてお知らせいただきたい。

2. 法律・制度

(2020.07.16 経済日報第A15面要訳)
2-1 NCC法改正 iQIYI放送禁止の恐れ
国家通信伝播委員会(NCC)は直近1年間で検討してきたインターネットサービス管理法(OTT映像・音楽管理法)草案が昨(15)日、委員会において可決され、OTT映像・音楽業者の管理に対し「自主登録制」を採用することとなった。しかし一定の経営規模を有する又は市場で影響力のあるインターネット視聴サービス業者であるとNCCが認定した場合、業者リストの公告後、必ず台湾での登録が義務付けられることとなる。
また、愛奇藝(iQIYI)、騰訊(テンセント)等の中国のストリーミング映像・音楽業者はすでに両岸人民関係条例第40条の1に違反した「違法業者」で、「違法コンテンツ」を提供しているが、新法案では国内のインターネット業者はインターネットリース等の各種サービスを提供してはならず、違反者には最高で500万台湾元(約1,800万円)の罰金を科すことができると規定している。
新草案は委員会での討論を盛り込み、その約1週間後に公告され2カ月間各界からの意見を収集後、公聴会を開催し、法案の文言調整後、行政院・立法院での審議へ送られることとなる。
NCCは、新法では「大を捕らえ、小を解き放し」、更には罰則も制定すると強調。例えば、自主登録制の採用をしているが、NCCが一定の規模又は影響力があると認めれば、リストを公告し登録を要求する。業者が登録をしない場合、法に基づき10万台湾元(約36万円)から100万台湾元(約360万円)の罰金を科すことができる。
関連事業又はサービス提供者は、違法の視聴サービスコンテンツをブロックする又は必要な措置を採らなければならず、違反者は50万台湾元(約180万円)から500万台湾元(約1,800万円)の罰金が科せられる。しかしNCCは、消費者の権益を保護するため、消費者やインターネット業者を罰するのではなく、主に「サービス提供協力業者」を処罰すると強調している。

3. 知的財産権紛争

(2020.08.04 経済日報第A3面要訳)
3-1 亜洲光学がサムスン電子を日本で提訴
台湾の光学レンズ大手、亜洲光学(アジア・オプティカル)が昨日(8月3日)、サムスン電子に対するスマートフォンレンズに係る権利侵害の訴えを、一般的には米国で訴訟提訴しているのに対し、今回日本で提訴したことについて、各界から高い関心と憶測を呼んでいる。台湾の光学レンズ会社がサムスン電子を権利侵害で提訴したのはラーガンに引き続き今回の亜洲光学が2社目であり、業界から高い関心が持たれている。市場分析によると、日本と韓国の「民族的感情」から日本で提訴した方が勝訴率は比較的高く、将来的に判例が米国又は中国等で援用される機会もあり、また、日本の訴訟費用も米国に比べて安い、とされている。
亜洲光学によると、提訴した相手先はサムスン電子ジャパン(Samsung Electronics Japan Co., Ltd)で、東京地方裁判所により受理された。また、現在訴訟は司法手続に入ったことから訴訟の詳細については差し控えるとのことだったが、消息筋によると、サムスンの5G対応スマホ「ギャラクシーS20」シリーズの最上位モデル「S20ウルトラ」のペリスコープ式レンズの技術について、権利侵害であるとして訴訟を提起した。亜洲光学が日本での訴訟提起を選択したことについて亜洲光学は、現在、米国におけるコロナウイルス感染の状況が深刻で、日本には事務所があるため、と回答した。
光学レンズ最大手の大立光電(ラーガン)は、過去2回特許訴訟を提起したことがある。最初は2013年にラーガンは玉晶光とサムスン電子が権利を侵害しているとして提訴し、2019年には米国ノートパソコン大手のヒューレット・パッカードと光学レンズの先進光、そして新鉅科技(ニューマックス・テクノロジー)がラーガンの特許権4件を侵害しているとして提訴した。最初の2013年の訴訟では米国カリフォルニア州で提訴し、二回目の2019年の訴訟は米国テキサス州東部地裁で提訴した。最終的にラーガンとサムスン電子は和解し、ラーガンはサムスン電子からの受注を取得し、世界のスマートフォン市場の最後のピースを埋めることとなった。なお、二回目の特許訴訟は現在進行中である。
市場分析によると、特許戦の目的は受注取得かライセンス料取得を目的としたものである。サムスングループの業務範囲は広範で、スマートフォン以外にも韓国自動車大手のヒュンダイ、KIAもサムスン傘下のモジュール工場から出荷している。亜洲光学は近年、車用のポートフォリオ展開に積極的で、すでにテスラのサプライチェーンに切り込んでおり、車用レンズの多くがプラスチックレンズと混合の設計であって、亜洲光学にとって出荷は極めて有益なものとなる。

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