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知財ニュース303号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.303)
発行年月日:2020年8月31日・9月15日合併号

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2020年8月25日 智慧局ニュース全訳)
1-1 「特許出願における第三者からの意見書作業要点」の制定を公布し、2020年9月1日より施行
(2020年9月1日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「台韓特許手続き上の微生物の寄託における相互協力」が2020年9月1日から実施開始
(2020年9月1日 智慧局ニュース全訳)
1-3 「台韓特許手続き上の微生物の寄託における相互協力作業要点」を制定公布
2. 知的財産権紛争
(2020年9月2日 経済日報電子報全訳)
2-1 営業秘密案件に疑念が残る 億光が控訴を提起
(2020年9月3日 経済日報第A3面全訳)
2-2 鴻海とマイクロソフトが和解 敵から味方へ

1. 智慧局ニュース

(2020.08 .25 智慧局ニュース全訳)
1-1 「特許出願における第三者からの意見書作業要点」の制定を公布し、2020年9月1日より施行
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-880698-8c060-1.html
一、 専利法施行細則第39条の規定を実施し、専利審査の公衆審査に当たる第三者からの意見(情報提供)制度を更に完備するため、経済部は2020年8月25日、第三者からの意見書提出期間、事由、必要書類、添付書類、提出方法、及び本局の第三者からの意見書に対する処理原則等を規定した「特許出願における第三者からの意見書作業要点」を公布した。
二、 特許出願における第三者からの意見書についての詳細は、上記リンク先智慧局サイトの「檔案下載(中国語)」を参照のこと。

(2020.09.01 智慧局ニュース全訳)
1-2 「台韓特許手続き上の微生物の寄託における相互協力」が2020年9月1日から実施開始
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-880823-072ec-1.html
2015年の日台及び2017年の台英間における特許手続き上の微生物の寄託における相互協力の始動に続き、台湾と韓国は2020年8月、「特許手続き上の微生物の寄託における相互協力備忘録」を締結し、本年9月1日より実施開始し、外国との微生物寄託の相互承認を更に拡充することとなった。
本協力の実施後、智慧局は韓国特許庁(KIPO)が指定する寄託機関の微生物寄託の効力を承認し、韓国特許庁は智慧局が指定する寄託機関の微生物寄託の効力を承認することとなる。よって、台湾人が韓国で微生物に関する特許を出願する際に、又は韓国人が台湾で微生物に関する特許を出願する際に、現地の微生物寄託機関を利用することで、両国の特許出願人の寄託手続きの簡略化、海外寄託に伴う微生物の不安定さの回避、重複寄託によるコストの減少が可能となる。
現在、智慧局が指定する寄託機関は、財団法人食品工業発展研究所(FIRDI)で、韓国特許庁が指定する寄託機関は、韓国生命工学研究院の微生物資源センター(KCTC)、韓国微生物保存センター(KCCM)、韓国細胞株研究財団(KCLRF)及び韓国農業遺伝資源保蔵センター(KACC)となっている。
また、本協力施行前に、台湾人がすでに食品所(FIRDI)に寄託、若しくは韓国人がすでに韓国特許庁が指定する寄託機関に寄託していた場合、出願日が2020年9月1日以降で、規定の期限内に寄託証明書類を提出すれば、本協力実施前に寄託されていても、双方の特許庁はこれを承認することができるため、重複して寄託する必要はない。

(2020.09.01 智慧局ニュース全訳)
1-3 「台韓特許手続き上の微生物の寄託における相互協力作業要点」を制定公布
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-880829-9b795-1.html
1. 台湾韓国の協力関係を強化し、出願人の重複寄託の負担を減少させるため、台湾と韓国は「台韓特許手続き上の微生物の寄託における相互協力備忘録」を締結し、本備忘録が定める協力事項を実施するため、経済部は2020年9月1日、「台韓特許手続き上の微生物の寄託における相互協力作業要点」を制定公布し、同日から施行する。
2. 経済部が2020年9月1日に制定公布した「台韓特許手続き上の微生物の寄託における相互協力作業要点」の条文、総説明及び各条文説明については、上記智慧局ウェブサイトのリンク先を参照(中国語)。

2. 知的財産権紛争

(2020.09.02 経済日報電子報全訳)
2-1 営業秘密案件に疑念が残る 億光が控訴を提起
今年8月26日、韓国水原地方法院安山支院は刑事判決を言い渡し、台湾LED大手のエバーライト(億光電子)の韓国籍元職員による営業秘密法違反行為に判決を下したほか、エバーライトにも罰金5,000万ウォン(約450万円)の支払い命令を下した。エバーライトはこれを不服とし、法に基づき控訴を提起する見込み。
エバーライトによると、本件に係る3人の元職員はかつて韓国のソウル半導体(Seoul Semiconductor)に勤務し、2016年にエバーライト台湾本社に自主応募で転職してきたが、3人はLED産業に関する経験があり、また海外において新しいキャリアを積みたいとの意思を示したことから、当社は3人の入社前に知的財産を尊重・保護する経営理念を明文化した「秘密保持と知的財産権の約定書」へのサインを要求し、会社が頒布した知的財産弁法、規則、関連政策を遵守し、剽窃、盗用或いは元雇い主又はいかなる第三者の知的財産又は営業秘密を侵害してはならないと厳格に要求してはじめて採用した。
しかしながら、エバーライトによると、本件に係る職員が意外にも会社規定に違反し、韓国へ帰国の際に韓国検察・警察の自発的な捜索、拘留に遭ったと指摘。エバーライトは韓国の産業技術漏洩防止及び保護に関する法律、不当競争防止、営業秘密保護の規定に違反したとして韓国検察側に起訴された。
エバーライトは、韓国籍の職員がエバーライトの秘密保持と知的財産権の約定書に違反することを明らかに知りながら故意に犯し、3人が帰国を申請してすぐに韓国の検察・警察の自発的な捜索と拘留に遭ったことは非常に疑念が残るとの見解を示した。
エバーライトは、知的財産権を尊重・保護する経営理念及びLED産業における自社の研究開発力を堅持し、これまでずっと他人の営業秘密の剽窃、盗用の厳禁を積極的に職員へ要求し、入社前には「秘密保持と知的財産権の約定書」へのサインも要求してきており、当社は関連の法律と会社規定に違反した職員に対しその法的責任を追及し、会社の名誉と株主の権益を守るため、控訴を提起すると強調した。

(2020.09.03 経済日報第A3面全訳)
2-2 鴻海とマイクロソフトが和解 敵から味方へ
鴻海グループが昨年、ライセンス協議を遵守せず特許使用料が未払いであるとして米マイクロソフト社から提訴されていた件について、双方は昨日(9月2日)、和解を達成し、新たな提携関係をスタートすると共同で発表した。これは、鴻海グループが今後、AndroidとChromeを含む非アップル業務を受ける際に懸念する必要がなくなることを意味し、更なる大きな発展が可能となり5G+AI時代の到来における各種スマートデバイスへの大きな商機を獲得することとなる。
鴻海とマイクロソフトは和解の詳細について開示していない。業界によると、双方は和解後にすでに新しい協力体制を展開しており、マイクロソフトは粗利益率の比較的高いサーバーの生産委託を鴻海へ大量発注し、粗利益率10%を目標として邁進する鴻海の力になると見られているが、確証はまだ取れておらず、鴻海の劉揚偉・董事長は2日、「今後、鴻海とマイクロソフトの提携事項について続々と発表していくことになるだろう」と暗示するに留まった。
劉揚偉・董事長は「これは双方の新しい提携関係の始まりである」として、一つの新しい契機であり、双方の友好的な協議によって達成されるものであると強調した。また、「以前、鴻海の創業者である郭台銘もかつてこの件について不合理な要求であると述べていたが、友好的な協議、前向きな思考により、双方は今後共同で一緒に発展していくという協議を達成し、双方の提携事項が続々と発表されることとなる」と述べた。
業界の分析によると、鴻海グループはクラウドサーバー業務に長年力を注いでおり、マイクロソフトは今年から積極的にクラウドとサーバー市場を開拓していたことから、すでに鴻海と早くから接近しており、マイクロソフトが鴻海へのサーバー発注を拡大すれば、相乗効果でさらに強大になると見られている。鴻海はかつて第三者機構の統計を引用して、昨年の同グループのサーバーシステムアッセンブリ及び中間製品の台湾企業における出荷量は第1位であり、今年の目標はCSP(クラウドソルーションプロバイダー)の出荷数の二桁成長であると述べたことがある。
消息筋によると、マイクロソフトと鴻海は今年から提携範囲がさらに広範になり、サーバーの新規業務以外にもマイクロソフトとのソフト・ハードウエアの提携があり、ビジネス上の提携がより多くなる中で訴訟も自然と和解に向かっており、カリフォルニア州裁判所に提起した今回の訴訟以外にも、双方はいくつかの案件で自然と各自撤回し、特許訴訟による双方の企業運営への不確定性を解決しつつある。
また、業界によると、以前マイクロソフトがライセンス協議を遵守せず特許使用料が未払いであるとして鴻海を提訴したことは、多かれ少なかれ鴻海の懸念材料となっているが、関連訴訟の取下げに伴い、鴻海グループは今後、AndroidとChromeを含む非アップル業務を受ける際に懸念する必要はなく、更なる大きな発展が可能となり5G+AI時代の到来における各種スマートデバイスへの大きな商機を獲得することとなる。
マイクロソフトと鴻海グループが発表した英文の声明書によると、双方は互恵互利(win-win関係)に基づき新しい関係を構築するとしており、新しい関係の一部として、先のカリフォルニア裁判所で提起された案件を含み、双方は関連の法的紛争の解決に同意する、としている。
マイクロソフトと鴻海は2013年にAndroidとChromeに関する特許協議を締結しており、2019年3月に、マイクロソフトがライセンス協議を遵守せず特許使用料が未払いであるとして鴻海を提訴したが、双方は今回の和解にこの案件も含まれるとしている。

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