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知財ニュース295号

台湾知的財産権ニュース(No.295)

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.295)
発行年月日:2020年2月27日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2020年2月6日 智慧局ニュース、2020年2月8日 経済日報第A4面の要訳)
1-1 智慧局が受理した2019年度専利・商標出願概況
(2020年2月6日 智慧局ニュース、2020年2月8日 経済日報第A4面の要訳)
1-2 智慧局公布の2019年専利出願ランキング上位100社
(2020年2月6日 智慧局ニュース全訳)
1-3 2019年第4四半期の知的財産権動向

1. 智慧局ニュース

(2020.02.06 智慧局ニュース、02.08 経済日報第A4面の要訳)
1-1 智慧局が受理した2019年度専利・商標出願概況
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-863836-640cf-1.html
智慧局が2019年に受理した専利出願件数は74,652件(前年比2%増)となり、そのうち特許は前年比2%増で3年連続のプラス成長となり、意匠は前年比9%増で、実用新案は微減となった。商標登録出願件数は、86,794件で2001年以来の最高件数となった。審査の実績については、特許及び商標の平均審査終結期間がそれぞれ14カ月、7カ月以内になり、安定した合理的期間に維持され、出願人に迅速で優良な審査サービスを提供している。

智慧局が受理した三種の専利出願のうち、特許(48,268件)、意匠(8,804件)はいずれもプラス成長を見せたが、実用新案(17,580件)は2018年の8%から2019年の2%まで減少した(表1、図1参照)。
台湾人による特許出願件数は18,984件で、2015年以来の最高記録となったが、それは法人による出願が6%増加し、うち大企業が6%増、中小企業が7%増と増加したことによる。実用新案は16,412件、意匠は4,208件といずれも前年より1%減の微減となった(図2、図3参照)。外国人による特許出願件数は29,284件で前年比1%増、意匠は4,596件で前年比20%増となった(図2、図4参照)。
専利出願人の国籍別では、日本が首位で三種の専利の合計出願件数は14,598件で、次いで米国(7,437件)、中国(3,698件)となり、香港(1,282件)は二桁のプラス成長でドイツを追い抜き第5位となった。専利の種類でみてみると、特許と意匠はいずれも日本からの出願が多く、実用新案は中国からの出願件数が最多となった(図4参照)。

商標については、台湾の商標登録出願件数は86,794件(案件ベース)で2001年以来の最高を記録した。これは主に台湾人による出願件数(61,928件)が3%増加したことによるもので、外国人による出願件数(24,866件)も前年並みであった(表1、図5参照)。
商標登録出願件数の上位5か国(地域)は、中国が6,108件でトップとなり、次いで日本(4,748件)、米国(3,621件)となった。成長率を見てみると、韓国(1,668件)、中国がそれぞれ前年比16%、6%となり、日本の件数は前年並みとなった(図6参照)。
台湾人による商標登録出願件数は、第35類(広告、企業経営等)の11,040件が最も多く、次いで第43類(レストラン、宿泊施設等)、第30類(コーヒー、お茶及びケーキ等)となり、それぞれ6,620件と6,235件となった。商標区分別の出願件数上位5位はいずれも2~6%プラス成長となった(図7参照)。台湾法人では、統一企業(432件)が最も多く、次いで第2位の台中市政府(360件)は上位5位の中で唯一の非法人となった(図8参照)。統一企業が第1位となったことについては、統一は元々持っていた旧商標のフォント等を新しくし、新しいパッケージと合わせて出願したことから商標登録出願件数が多くなったと見られる。また、台中市政府の第2位は、花博が開催されたことに関係がある。
外国人による商標登録出願件数は、第9類(コンピューター及びテクノロジー製品等)が4,761件で最も多く、次いで第35類(広告、企業経営等)が3,239件、第3類(化粧品、洗浄剤等)が2,902件となった(図7参照)。外国法人では、中国のファーウェイ(166件)が最も多く、日本LINE(138件)がこれに次いだ(図8参照)。また、米国の服飾ブランドのオフホワイトが97件で第3位となり、中国のシャオミーは87件で第5位となった。ファーウェイの出願が最多だったことについては、その登録出願の一部は防護的登録であり、またクラウド医療サービスに力を入れていることからブランドポートフォリオ展開のため商標登録出願が増加したものと分析できる。

専利・商標出願件数がいずれもプラス成長となったことに鑑み、智慧局は審査の効率アップに積極的に取り組んでおり、特許と商標の平均審査終結期間はそれぞれ13.6ヵ月、6.7ヵ月となり、安定した合理的審査期間と審査待ち案件数(約4.8万件)を維持しており、企業の迅速な権利取得と産業ポートフォリオの展開に協力している(図9、図10参照)。

(2020.02.06 智慧局ニュース、02.08 経済日報第A4版の要訳)
1-2 智慧局公布の2019年専利出願ランキング上位100社
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-863837-57284-1.html
経済部智慧財産局は2019年の専利出願及び証書公告統計ランキングを公布した。三種類の専利(特許、実用新案、意匠)において、台湾法人では台湾積体電路製造(TSMC)が1,333件と4年連続で1位となり、外国法人ではアリババが850件で1位となった。三種類の専利証書取得については、台湾法人及び外国法人でそれぞれ友達光電(AUO)が488件、アプライド・マテリアルズが436件と首位を占めた。このほか、台湾における特許出願件数は前年比6%増となり、3年連続のプラス成長となった。
台湾法人による三種類の専利出願件数においては、TSMCが2015年度から4年連続のプラス成長となり、2019年に初めて1,000件を突破した。また、宏碁(ACER、565件)、瑞昱半導体(REALTEK、333件)、仁宝電脳(COMPAL、193件)の出願件数はいずれも2005年以来の最高を記録し、それぞれ2位、6位、9位となったが、聯發科(MEDIA TEK、356件)の出願件数は減少し、5位に転落した(表1参照)。
智慧局の洪淑敏・局長は、ACERは近年クラウド及びeスポーツ市場に非常に積極的で専利出願件数は3年連続のプラス成長となり、REALTEKはAI及び5Gの進展の恩恵を受け、ネットワークチップの需要が高まり、昨年の専利出願件数は前年比71%増となったと述べた。
台湾の三種類の専利における上位100社の出願内訳を見ると、企業が台湾のイノベーション研究開発の推進力となっており、出願件数の多くは特許に集中し、全体の80%を占めている。2019年の企業による特許、実用新案の出願件数はそれぞれ前年比8%増、10%増となったが、意匠は同22%減となった(図1~4参照)。
台湾の銀行8行が100位内にランクインし、その専利出願件数合計は623件(前年比76%増)で、3年連続のプラス成長となり、そのうち、特許(207件)は前年比120%増となった。台湾銀行は特許、実用新案、三種類の専利出願件数のいずれにおいても各銀行のトップを占めた(表3参照)。
台湾法人による三種類の専利出願件数ランキング上位100社に、25校の高等教育機関がランクインした(表4参照)。遠東科技大学が183件で各高等教育機関のトップとなり、出願件数は実用新案(134件)が主であったが、特許(49件)は前年比96%増と大幅成長した。特許出願件数をみると、国立清華大学(88件)が台湾の高等教育機関のトップとなり、次いで国立交通大学(78件)、国立成功大学(70件)となった。
研究機関においては、台湾法人による三種類の専利出願件数ランキング上位100社に7つの機関がランクインし、特許出願件数は前年比8%減となった(表5、図1~図4参照)。台湾法人による出願件数において4位となった工業技術研究院(ITRI、385件)は、専利出願件数ランキングでは各研究機関の首位に落ち着き、次いで財団法人金属工業研究開発中心が77件となった。
外国法人による三種類の専利出願件数は、特許がその大部分である88%を占め、2019年の前年比成長率は、特許が2%増、意匠も50%増のプラス成長となったが、実用新案は46%減となった(図5参照)。
外国法人においては、アリババが850件と三種類の専利出願件数では2012年以来の最高を記録し、2017年に続いて1位となった。アプライド・マテリアルズは663件で2位に浮上し、前年同期比は52%増で外国法人上位10位での最高となった。また、出願件数299件の東芝メモリは初のトップ10入りを果たし、上位10社のうち前年同期比42%減のクアルコム(582件)を除きいずれも2桁成長を見せた(表2参照)。
TSMCの専利出願件数の持続的な成長に伴い、半導体設備メーカーの米国アプライド・マテリアルズ(663件、2位)、日本東京エレクトロン(496件、4位)、オランダASML(250件、13位)、米国に本社を置くラム・リサーチ㈱(157件、28位)、米国KLAテンコール(128件、42位)のいずれもが前年比9%~52%の成長を見せた。
洪淑敏・局長は、TSMCとサムスン電子の3ナノメートル競争により、専利出願件数が伸び、またTSMCは近年、量産投入、資本支出の引き上げをしたことから関連の半導体外国企業の専利出願件数にも影響を与えたとの見解を述べた。

智慧局公布の2019年専利出願ランキング上位100社の関連図表・統計については、智慧局サイトの上記リンク先参照(中国語)。
 2019年度専利出願ランキング100関連図表(中国語:108年專利百大排名相關圖表(定稿)
 2019年度専利出願ランキング100統計(中国語:108年專利百大排名統計)

(2020.02 .06 智慧局ニュース全訳)
1-3 2019年第4四半期の知的財産権動向
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-863780-e6d23-1.html
2019年第4四半期における三種類の専利出願件数(特許、実用新案、意匠を含む)は20,141件(前年同期比2%増)で、そのうち意匠出願件数は14%増となり、商標登録出願件数は22,533件で、件数としては2003年以来の各四半期における過去最高を記録した。台湾人による意匠出願件数は前年同期比28%増と大幅成長し、また外国人による実用新案出願件数は同比21%増と顕著な成長ぶりを示した。特許出願においては、台湾積体電路製造(TSMC)及びアプライド・マテリアルズが台湾法人、外国法人の出願人中トップとなった。

一、専利出願の動向
(一) 専利出願件数の成長の主因は意匠出願件数の増加
三種類の専利出願件数は合計20,141件で、特許が13,232件、実用新案が4,628件、意匠が2,281件といずれも前年同期比プラス成長となった。そのうち意匠は同比14%増となり第4四半期の成長の主因となった(表1参照)。
(二) 台湾人による意匠出願件数が3割近く増加
台湾人による三種類の専利出願件数の内訳は、特許が5,506件、実用新案が4,288件といずれも前年同期比微減となったが、意匠は1,216件で個人及び企業の出願件数がいずれも増加し28%増の大幅成長となった(表1参照)。意匠出願における台湾人の占める割合は47%(2018年第4四半期)から53%(2019年第4四半期)へ上昇した(表2参照)。
(三) 外国人による実用新案出願件数が2割超の増加
外国人による三種類の専利出願件数はいずれも増加し、特許が7,726件、意匠が1,065件と小幅な成長となった。実用新案は340件で前年同期比21%増となり、主に中国からの出願件数増加が関係している(図3参照)。また、特に注目したいのは、外国人による意匠出願件数の成長率がここ4四半期連続で2桁成長であったが、2019年第4四半期の成長率は1%増と微増であったことである(表1参照)。
(四) 台湾積体電路製造が台湾法人による特許出願件数の1位
台湾法人の特許出願件数は、台湾積体電路製造(TSMC)が371件と最多で、次いで工業技術研究院(ITRI、240件)、宏碁(ACER、168件)が占め、TSMCとACERの出願件数はいずれも前年同期比それぞれ25%増、68%増と大幅成長となったが、ITRIは同比12%減となった(図4参照)。2019年第4四半期における特許出願件数のうち台湾法人の割合は71%に迫り(図2参照)、台湾のイノベーション研究開発の動力源となっている。そのうち中小企業の出願件数は6%のプラス成長で、2018年第2四半期以降いずれもプラス成長を維持しており、中小企業が専利による技術保護を徐々に重視してきていることを示している。
(五) 遠東科技大学が高等教育機関における特許出願件数のトップ
台湾の高等教育機関による特許出願件数合計は前年同期比4%減となった。国公立・私立大学を合わせた出願件数トップは遠東科技大学の38件、国立大学では中央大学が25件と最も多く、上記2校の出願件数は前年同期比それぞれ111%増、400%増と大幅成長となった(表3参照)。この他、国公立大学と私立大学の出願件数はそれぞれ286件、209件で、高等教育機関における特許出願件数の割合はそれぞれ58%、42%となり、前年同期比では私立大学の占める割合が上昇した(図5参照)。
(六) 工業技術研究院の特許出願件数はその他の研究機関を大きくリード
台湾の研究機関における特許出願件数合計は前年同期比16%減となった。工業技術研究院(ITRI)の出願件数は240件で最も多く、次いで金属工業研究発展中心(MIRDC)の68件であった(表4参照)。
(七) 米国アプライド・マテリアルズ及びアップルがそれぞれ外国人による特許及び意匠のポートフォリオに積極的
外国人による特許出願を国籍別にみると、日本が3,293件と最も多く、次
いで米国の1,692件、中国の764件で、成長率からみると、日本、米国、中国の出願件数はそれぞれ2~9%とばらつきが見られた(図3参照)。個別に見ると、米国アプライド・マテリアルズが178件と最も多く、前年同期比125%増のプラス成長となった(図4参照)。
意匠出願においては、日本が326件と最も多く、出願件数上位5か国(地域)のうち、日本、米国、イタリアの出願件数はいずれもプラス成長となり、増加幅はイタリアの445%が顕著であった(図3参照)。また、個別出願人のうち、米国アップルが54件と最も多かった。

二、今期の商標出願の動向
(一) 商標出願件数は2003年以来の最高を記録
商標登録出願件数は22,533件で、2003年以来の各四半期における最高を記録した。台湾人出願人は16,233件(前年同期比7%増)で、件数として過去最高を記録したが、外国人出願人は6,300件(同比2%減)であった(表1参照)。台湾人による出願件数は3四半期連続のプラス成長となり、それと同時に全体件数に占める割合は2017年第4四半期の70%から2019年第4四半期の72%へと上昇した(表2参照)。
(二) 外国人出願人においては中国の出願件数が最多
外国人出願人を国籍別にみると、中国が1,395件と1位を占め、次いで日本の1,264件、米国の882件であった。出願上位5か国(地区)のうち、中国、日本、米国の出願件数はいずれも減少し、韓国及び香港はそれぞれ前年同期比43%増、同比22%増となった(図3参照)。

2019年第4四半期季報は、下記リンク先の智慧局サイトの「統計季報」を参照。
www.tipo.gov.tw/tw/lp-167-1.html (中国語:108年第4季)

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