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知財ニュース294号

台湾知的財産権ニュース(No.294)

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.294)
発行年月日:2020年1月15日・31日、2月15日合併号

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2019年12月31日 智慧局ニュース全訳)
1-1 「捜査秘密保持命令」制度を盛り込んだ営業秘密法 立法院で三読通過
(2020年1月29日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「ニース分類の商品及び役務の日台類似群コード対応表(第11-2020版)」の公告
(2020年1月31日 智慧局ニュース全訳)
1-3 新型コロナウイルスの影響による専利・商標の各項目出願案件の法定期間徒過に対する現状回復申請措置について

2. その他一般
(2020年1月16日 聯合報新聞網要訳)
2-1 今年中に株式上場の評価指数に知財管理を加える見込み
(2020年2月5日 経済日報第A5面要訳)
2-2 OPPOがメディアテック社員を引き抜きか

1. 智慧局ニュース

(2019.12.31 智慧局ニュース全訳)
1-1「捜査秘密保持命令」制度を盛り込んだ営業秘密法 立法院で三読通過
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-859499-e64c1-1.html
立法院は2019年12月31日、営業秘密法一部条文改正案に「捜査秘密保持命令」制度を盛り込むことを三読通過(最終可決)し、捜査中の営業秘密保護を強化した。捜査秘密保持命令に違反する場合、3年以下の有期懲役に処すことができ、二次漏洩を防ぎ、企業が積極的に訴訟提起するよう促進し、検察官の「迅速な捜査・解決」に資するものとする。また、改正案には、許認可を経ていない外国法人が告訴、自訴又は民事訴訟を提起でき、互恵原則を適用することが含まれており、外国人の営業秘密についても保護を強化することで、グローバル投資を誘引し、産業発展の促進に期待するものとなっている。
今回の法改正に「捜査秘密保持命令」制度を盛り込むことは、2017年2月に智慧局が開催した「刑事責任を新設した営業秘密法の施行成果検討会」において、産業界が営業秘密侵害案件の執行成果は依然として改善が必要との見方を示したためで、営業秘密案件の「迅速な捜査・解決」を促進するため、裁判所の「秘密保持命令」を参考に、企業が積極的に関連資料の提供に協力するよう促し、営業秘密の二次漏洩を防ぐよう、捜査段階での捜査秘密保持命令の導入を盛り込むことを提案した。「捜査秘密保持命令」制度は、中国の台湾に対する31項目の措置について行政院が2018年3月に提出した8大戦略の一つの「営業秘密保護強化」でもある。「捜査秘密保持命令」制度の重点は以下の通り:
一、 検察官が案件捜査において必要とみなした場合、職権により捜査秘密保持命令を発令できる。
二、 捜査秘密保持命令を受けた者は、捜査内容を捜査手続以外の目的に使用又は秘密保持命令を受けていない者へ開示してはならない。
三、 捜査秘密保持命令は書面又は口頭によるものでなくてはならず、且つ営業秘密の所有者に意見陳述の機会を与えられる。また、捜査秘密保持命令を取消又は変更するための手続、及び裁判所の秘密保持命令等との関連を明文化する。
四、 捜査秘密保持命令に違反した場合、3年以下の有期懲役、拘留、又は100万台湾元(約360万円)以下の罰金に処し又は併科する。
営業秘密法は2013年に刑事責任を新設したが、過去において企業が営業秘密を何者かに窃取されたことの証明のため、捜査過程で更に多くの会社の内部営業秘密に係る証拠を提出しなければならず、企業は捜査過程における二次漏洩が自社に更に大きな秘密漏洩リスクをもたらしライバル企業が更に多くの営業秘密を得ることを懸念したため、訴訟提起の意欲が低下した。今回の法改正の可決後、企業秘密の二次漏洩に対する懸念を効果的に改善し、且つ企業に積極的に証拠を提出するよう奨励することで、検察官の営業秘密侵害案件捜査の助力となり、速やかに不法な秘密窃取行為を撲滅し、「迅速な捜査・解決」の目標を達成し、台湾の営業秘密保護環境をさらに完備したものになることが期待される。

(2020.01.29 智慧局ニュース全訳)
1-2 「ニース分類の商品及び役務の日台類似群コード対応表(第11-2020版)」の公告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-863640-13217-1.html
世界知的所有権機関(WIPO)によるニース協定の商品及び役務の国際分類第11 -2020版(Nice Classification, 11th Edition–Version 2020)の改訂に合わせ、智慧局は日台双方の出願人が商標登録申請を提出する際の参考となるよう「ニース分類の商品及び役務の日台類似群コード対応表第11-2020版」を更新した。
※上記リンク先の智慧局サイト「智慧財產局商標網站商品及服務分類台日類似組群對應表→11-2020版」(中国語)を参照。

(2020.01.31 智慧局ニュース全訳)
1-3 新型コロナウイルスの影響による専利・商標の各項目出願案件の法定期間徒過に対する現状回復申請措置について
専利・商標の出願について、天災又は自らの責任に帰することのできない事由により法定期間を徒過した場合、専利法第17条及び同法施行細則第9条の規定により原状回復を申請することができる。専利、商標の出願人が、中国の新型コロナウイルスによる「厳重で特殊な感染性肺炎」の感染拡大により各種出願の法定期間を徒過した場合、関連する証明書類を添付のうえ、規定により原状回復を申請することができる。智慧局では原則的に個別案件ごとに具体的に状況に応じてこれを許可していく予定。

2. その他一般

(2020.01.16 聯合新聞網要訳)
2-1 今年中に株式上場の評価指数に知財管理を加える見込み
経済部工業局は1月16日、金融監督管理委員会証券先物取引局、台湾証券取引所、証券店頭売買センターと共同開催した「知財管理による企業ガバナンス構造の整備-上場店頭市場の企業董事会への知財管理義務啓蒙活動」において、今年中に知財管理をコーポレートガバナンス評価システムの指標項目に追加すると説明した。
智慧局の局員によると、従来コーポレートガバナンスにおける知財権の重要性は比較的低かったが、権利侵害に及ぶと株価、投資家の権利にも影響することから、コーポレートガバナンスの充実度を測る指標に盛り込むことを推進しており、今年中には実施される見込みであると述べた。また、証券取引所は今年中に上場店頭市場企業のコーポレートガバナンス評価が実施されているかについてチェックし、毎年全ての上場店頭公開企業のチェックランキングを発表する見込み。
金融監督管理委員会証券先物取引局は、評価基準には、企業の知財に対する具体的な管理計画が含まれ、毎年董監事会で報告し、年報又はウェブサイトにおいて適度に関連情報を公開する必要があると述べた。
また智慧局局員は、企業がTIPS(台湾知的財産管理システム)認証を取得済みの場合、加点項目となる見込みと述べた。工業局の統計によると2019年までにすでに2,000社以上の企業が知財レベル別管理制度を構築しており、そのうち上場店頭公開企業が約588社、TIPS認証を取得した企業は300社で、そのうち上場店頭公開企業は125社である。

(2020.02.05 経済日報第A5面要訳)
2-2 OPPOがメディアテック社員を引き抜きか
消息筋によると、IC設計最大手の聯發科技(メディアテック)の大口顧客であり中国スマホ第2位のOPPOは、朱尚祖・メディアテック前共同営運長をヘッドハンティングし、目標としている自社製品のスマホチップ開発の関連顧問へ就任させたほか、現職のメディアテック無線通信事業部の李宗霖・総経理もOPPOの「ヘッドハンティングターゲットリスト」に挙げているという。
朱氏は2015年11月にメディアテック共同営運長に昇格したが、その後の業績悪化を受け、2017年8月同社を離職、2017年11月に中国のスマホブランドメーカーの小米(シャオミー)に加わり、産業投資部パートナーに就任、現在またOPPOへの鞍替えが取り沙汰されている。
スマホブランドメーカーはチップの自社製造をすることで仕様等の制限からの脱却を望んでおり、アップル、サムスン、ファーウェイ等はいずれも自社チップの開発に成功している。OPPOによる自社チップ開発準備の消息が市場に流れて久しく、またプロセッサーの暫定名称をOPPO M1とし、引き続き人材拡充に当たっていたという。
5G(第5世代移動通信システム)チップの研究開発に乗り出したメディアテックは大量の人材が必要であるが、OPPOによるヘッドハンティングを受け、業界はメディアテックへの影響及び今後のOPPOによる発注の変化等に注目している。

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