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知財ニュース230号

台湾知的財産権ニュース(No.230)

発行:特許庁委託(公財)交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.230)
発行年月日:2016年3月15日発行
主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2016年3月7日 智慧局ニュース全訳)
1-1 専利法施行細則第86条を改正

2. 知的財産権紛争
(2016年2月2日 工商時報第A15面、判決文書の要約)
2-1 台湾糖業の「台糖」商標を侵害したとして台糖建設に改名判決
(2016年2月4日 工商時報第A16面全訳)
2-2 台湾スターテクノロジーズに米ファームファクターの特許侵害で500万台湾元の賠償金支払い判決
(2016年2月20日 聯合報第B2面要約)
2-3 台湾初の事例 ドラマ無料視聴アプリを摘発

3. その他一般
(2016年2月2日 工商時報第A3面要約)
3-1 メディアテック開源節流 専利を売却し11億台湾元で新会社設立

1.智慧局ニュース

(2016.03 .07 智慧局ニュース全訳)
1-1 専利法施行細則第86条を改正
経済部は2016年3月7日付けの経智字第10504600840号令にて「専利法施行細則」第86条の改正を公布し、専利出願人がその産業の戦略ニーズに合わせて専利技術を公告する時点を調整することができるよう、公告延期の期間を6ヶ月に延長した。改正条文は2016年3月9日より発効する。

2.知的財産権紛争

(2016.02 .02 工商時報第A15面、判決文書の要約)
2-1 台湾糖業の「台糖」商標を侵害したとして台糖建設に改名判決
台湾糖業(以下「台糖」と略称)は、台中市にある台糖建設と台糖営造に対し「台糖」商標を侵害しているため同商標の使用禁止と社名の改名を求めて民事訴訟を提起した。台糖は、1953年から経済部智慧局へ「台糖」の商標を「砂糖、角砂糖」、「造営、不動産役務」等の区分で複数登録しており、また、日本統治期よりこれまで100年以上経営を続けており、誰もが知っている著名商標であるから、台糖営造と台糖建設は、「台糖」という著名商標にフリーライドし、台糖の関連企業であると世間に誤解させていると主張した。

これに対し、台糖営造と台糖建設は、いずれも法規定に従い会社設立登記と商標登録を行ったもので、違法でもなく、台糖の商標権侵害にも当たらないと反論した。また台糖営造は、2000年、2009年に台糖の台中工場の建設工事を請け負ったが、その際、台糖側からは何の異議もなく、これは「台糖」の字を社名に使用することを黙認しているということの表れであり、お互いの業務内容も異なるため権利侵害には当たらないと主張した。

以上に対し、智慧財産法院は2015年3月31日の第一審判決にて、①台糖の造営に関する商標はすでに商標権存続期間が過ぎており、②台糖営造の設立登記は1998年であるため、1993年当時の商標法が適用され、台糖営造は権利を侵害しておらず、改名は不要とし、また、③台糖建設に関しては、会社設立登記が2005年であるため、2003年版の改正商標法が適用され、新しい商標規定によると商標権侵害にあたるとして、社名の変更と今回の判決結果を新聞社2社へ1日広告を掲載することを命じる一部勝訴、一部敗訴の判決を下した。
その後、それぞれが控訴したが智慧財産法院第二審は2016年1月14日、口頭弁論を経て控訴内容はいずれも棄却とした。

<智慧財産法院第一審の判決>
智慧財産法院判決「103年度民商訴字第31號」 判決日:2015/3/31
判決書検索サイト: jirs.judicial.gov.tw/FJUD/FJUDQRY03_1.aspx
裁判類別:民事 判決字号:103,民商訴,31 裁判案由:排除侵害商標權行為等
検索キーワード:台糖

<智慧財産法院第二審の判決>
智慧財産法院判決「104年度民商上字第7號」 判決日:2016/1/14
判決書検索サイト: jirs.judicial.gov.tw/FJUD/FJUDQRY03_1.aspx
裁判類別:民事 判決字号:104,民商上,7 裁判案由:排除侵害商標權行為等
検索キーワード:台糖

(2016.02 .04 工商時報第A16面全訳)
2-2 台湾スターテクノロジーズに米ファームファクターの特許侵害で500万台湾元の賠償金支払い判決
米国の佛姆費克特公司(ファームファクター)は、台湾の思達科技(スターテクノロジーズ)が、自社の半導体チップのプローブ技術を剽窃し、プローブヘッド、プローブカード等の部品を生産し台湾で販売しているとして訴訟を提起した。智慧財産法院は、双方のプローブ製品を専門家による対比鑑定に送り、スターテクノロジーズの13項目の製作技術がファームファクターの特許を剽窃していると認定し、先日500万台湾元(約1,700万円)の賠償を命じる判決を下した。
ファームファクターは提訴の際に、当社は1993年に設立され、各種半導体測定技術製品を研究開発しており、その中にはチップの良し悪しを探測するプローブヘッドとプローブカードからなる「Takumi」という名称のプローブカードが含まれ、これは台湾でもすでに特許出願されている、と主張した。
ファームファクターによると、「Takumi」の特許はプローブを素早く取り外し、交換できるもので、さらに台湾の半導体メーカーのニーズに応え、特別にプローブ上にポカヨケ装置、EPROM部品(書き込み、消去可能な不揮発性メモリ)を設け、プローブ・インターフェースによる全てのプローブのコード番号の識別に用いられ、半導体メーカーがより効率的に製造工程の管理ができるようにするものである。スターテクノロジーズはファームファクターのこの特許を剽窃し、プローブカードを製造して半導体メーカーに販売していたため、ファームファクターはスターテクノロジーズに対し、500万台湾元(約1,700万円)の求償、及び模倣品プローブカードの製造販売の禁止を求め訴訟を提起した。
智慧財産法院は、両社が製造するプローブカードを専門家による鑑定に送ったところ、スターテクノロジーズが、Takumiプローブカードの特許における請求項1~7、13~18の合計13項を剽窃していると認められるとして、ファームファクターの権利を侵害していると認定し、先日スターテクノロジーズに対し賠償金500万台湾元(約1,700万円)を支払い、今後、このプローブカードを製造販売してはならないと命じる判決を下した。

<智慧財産法院の判決>
智慧財産法院判決「103年度民専訴字第66號」 判決日:2015/12/18
判決書検索サイト: jirs.judicial.gov.tw/FJUD/FJUDQRY03_1.aspx
裁判類別:民事 判決字号:103, 民専訴, 66 裁判案由:侵害専利權有關財產權爭議等
検索キーワード:思達技術

(2016.02 .20 聯合報第B2面要約)
2-3 台湾初の事例 ドラマ無料視聴アプリを摘発
台湾ドラマだけでなく、中国、日本、韓国、欧米のドラマまで無料視聴できるアプリ「LUV TV」は、ネットユーザーから“神アプリ”とされていたが、著作権法違反の疑いで摘発され、ドラマ視聴アプリの権利侵害に関する台湾初の摘発事例となった。
保安警察第二総隊刑事警察大隊偵一隊は去年11月、業者からドラマ無料視聴アプリ「LUV TV」が権利侵害しているとの告訴を受け、30代のエンジニア2名を摘発し取り調べたが、2人は、同アプリは公開された動画を整理してリンクするだけであり、保存、アップロード、ダウンロードをしないただのメディア整理アプリであるとして権利侵害を否認していた。
警察によると、同アプリで、台湾業者によるドラマだけでも112部、3,000話以上が許諾を得ることなく放送されており、権利侵害額は数億台湾元に上ると見られており、著作権法の規定により、著作財産権者の同意又は許諾を得ず、公衆に提供する意図でネットにより公開伝送又は他人の著作を複製することは著作財産権の侵害に該当することから、警察は2名を著作権法違反で書類送検した。

3.その他一般

(2016.02 .02 工商時報第A3面要約)
3-1 メディアテック“開源節流”専利を売却し11億台湾元で新会社設立
聯發科(メディアテック)は収益アップに積極的に取り組み、本業において成長努力しているだけでなく、運営管理方面においても支出を抑え収入を開拓する「開源節流措置」を講じている。
支出抑制に関しては、新竹サイエンスパーク内に7.36億台湾元(約25億円)で中古オフィスを購入したことにより、減価償却を減少し、家賃の値上がりに対する圧力をも解消した。収入増加に関しては、11億台湾元(約37.4億円)で“寰發專利授權公司(仮称)”を設立し、将来的には、米国の通信機器・半導体の開発を行うクアルコムと同様、標準規格必須特許ライセンスによる収益を可能とする。
メディアテックは新会社へ466件の標準規格必須特許を移転し、専利許諾業務にあたらせる予定である。まず最初の許諾対象は、メディアテック傘下で独立子会社であるMStar、Richtek、ILITEC等であるため、当該業務開始直後はメディアテックの連結財務諸表でのプラス効果には限りがあるが、今後の発展により、非グループ企業への許諾が成功すれば、クアルコムと同じく、財務諸表において特許許諾業務により高い利益率が生み出されることとなる。

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