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知財ニュース229号

台湾知的財産権ニュース(No.229)

発行:特許庁委託(公財)交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.229)
発行年月日:2016年2月26日発行
主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2016年2月2日 智慧局ニュース全訳)
1-1 智慧局が受理した2015年度専利・商標出願概況
(2016年2月2日 智慧局ニュース全訳)
1-2 2015年専利上位100位ランキング
(2016年2月4日 智慧局ニュース全訳)
1-3 「両岸ニース分類における商品及び役務の類似群コード対応表」(第10-2016版)
(2016年2月15日 智慧局ニュース全訳)
1-4 智慧局:「専利侵害判断要点」を改正完了

2. 知的財産権紛争
(2016年1月26日 経済日報第A3面要約)
2-1 ジェネシス・フォトニクスが前技術長を提訴
(2016年1月27日 経済日報第A11要約)
2-2 中国の老舗北京ダック店の「便宜坊」商標が台湾で登録できず
(2016年1月28日 工商時報第A17面、中国時報第B2面の要約)
2-3 聯穎光電(Wavetek)のエンジニアが社内機密を漏洩

3. 模倣品関連
(2016年1月28日 聯合報第B2面、中国時報第B2面の要約)
3-1 豪華邸宅を倉庫代わりとして偽ブランド品を販売していた男を摘発

1.智慧局ニュース

(2016.02 .02 智慧局ニュース全訳)
1-1 智慧局が受理した2015年度の専利・商標出願概況
2015年に智慧局が受理した専利出願件数は73,627件(前年比5.6%減)で、そのうち特許は44,415件、3年連続の落込みとなり、台湾人による出願の減少が主な原因で、数四半期にわたる慎重な保守的な動向であった。また、商標登録出願数は78,523件で、過去10年の最高となった。智慧局が専利審査期間を積極的に管理した結果、特許平均審査期間は2015年12月時点で22.9ヶ月にまで短縮し、特許の審査待ち案件数は72,510件にまで減少した。

2015年に智慧局が受理した三種類の専利件数の内訳は、特許(44,415件)、実用新案(21,404件)、意匠(7,808件)で、いずれも前年比より落ち込んだ。特許は前年比1,963件減少(4.2%減)で、そのうち台湾人出願人によるもの(17,282件)が1,772件減少で9.3%のマイナス成長となった。台湾人出願人が専利出願を厳選していることと、ポートフォリオ戦略の変更等が原因と見られている。鴻海精密工業股份有限公司を例に挙げると、近年、特許の収益化を重視しているため、専利ポートフォリオ戦略を変更しており、2015年の特許出願数はわずか596件で、昨年比1,081件減少(約45%減)だった。全体の減少幅を分析すると、特許は昨年より小さく、実用新案は2,084件(8.9%減)減少で、その減少幅は、直近3年で除々に拡大趨勢にある。

国籍別でみると、2015年の台湾人出願人による出願件数は41,869件、前年比4,000件近くの減少(8.7%減)で、そのうち、特許及び実用新案はそれぞれ17,282件、20,138件で、特許は4年連続の衰退である。外国人出願人による出願件数は31,758件で若干の落ち込みとなり、特許出願数は27,133件で、昨年の水準をほぼ維持している。特許の占める割合からみると、外国人出願人による出願件数は、ここ3年27,000件を維持しているが、台湾人出願人による出願件数は年々減少しており、台湾人出願人の比率は2013年の44.2%から2015年の38.9%へ下降している。

外国人が台湾で出願する専利において、日本の3種の専利(特許、実用新案、意匠)出願件数は13,495件で、依然として第1位を占め、昨年と比べ小幅な成長となった。中国の出願件数は2015年2,019件であり、3年ぶりに韓国(1,792件)を超え、第3位へ上昇したが、昨年比では出願件数減少の趨勢である。日本の出願については、特許が12,284件、意匠が1,090件で、いずれも上位5大出願国(地区)のトップである。韓国の出願件数は大幅に下降し、そのうち特許件数は323件の減少(昨年比16.7%減)で、2015年は2年連続の衰退であった。

本局は「特許滞貨案件解消計画」に基づき、審査待ち案件を全力で処理しており、2010年~2015年の実際の終了案件は323,498件で、2010年~2015年の終了案件見込み数304,690件より18,808件多く処理が完了し、進度が増した。更に、特許の一次審査(FA:ファースト・アクション)待ち案件は2015年12月には72,510件へと減少し、2012年5月のピーク時の160,727件と比較すると、8万件余りの大幅減少となった。月平均の審査終了期間は2012年7月のピーク時の47ヶ月から2015年12月の22.9ヶ月へ短縮された。欧州、米国、中国等の国家(地区)と比較すると、審査速度は速まっており、企業の特許ポートフォリオの一助となっている。

商標出願登録については、台湾の2015年商標登録出願受理件数は78,523件で、過去最高となり前年比3.4%増のプラス成長となった。年々成長する出願数に直面し、本局は積極的に審査を進め平均審査終了期間を7.5ヶ月にまで短縮させ、ここ5年の最短となった。国籍別では、台湾人出願人による出願57,356件、外国人出願人による出願21,167件で、いずれも昨年比プラス成長となった。外国人出願人による出願は1,451件増(7.4%増)で、増加量は台湾人出願人に比べて多く、全体の出願件数の比重では27%に達した。上位5大外国人出願人では、中国人出願人による出願が3,919件と初めて米国、日本を超えトップとなった。また、米国以外はいずれもアジア国家(地区)となり、これらの台湾でのポートフォリオ展開は比較的積極的といえる。

智慧局公布の2015年度専利商標出願概況の詳細については、下記リンク先の智慧局サイトを参照。
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=579104&ctNode=7123&mp=1

(2016.02 .02 智慧局ニュース全訳)
1-2 2015年専利上位100位ランキング
智慧局は2015年の専利(特許、実用新案、意匠を含む)の出願及び公告証書発行数の統計ランキングを発表した。台湾法人では、鴻海精密工業株式会社(以下、「鴻海精密」と略称する)が出願件数659件、登録査定件数1,661件で台湾出願人による出願件数第1位となったが、出願件数は1,000件以下に減少しており、台湾積体電路製造株式会社(以下、「TSMC」と略称する)は、2015年は503件で初めて第2位までランクアップした。外国法人については、米国のインテル株式会社(以下、「インテル」と略称する)が出願件数956件及び登録査定件数630件で第1位となった。

2015年の台湾法人による専利出願上位100位ランキングリストには、合計62社の会社がランクインしたものの、企業の特許及び高等教育機関の実用新案はいずれも減少傾向にある。台湾における専利出願件数で長期に渡り首位を守ってきた鴻海精密は、特許の収益化を重視してポートフォリオ展開を調整したため、2015年の出願は僅か659件となったが、TSMCは積極的にポートフォリオを展開し、出願件数503件で、初めて財団法人工業技術研究院(ITRI)を越え第2位となった。これは出願件数及びランキング順位いずれにおいても10年ぶりの最高記録となった。なお、ITRIは出願件数466件で第3位となった。

外国法人については、米国のインテルが2012年の第1位に継いで、2015年に再度、出願件数956件で首位に立ち、前年より1.4倍成長し、出願件数及び成長幅のいずれも過去10年で最高を記録するという快挙を遂げた。日本の東芝株式会社(413件)及び東京エレクトロン株式会社(404件)がそれぞれ第2位と第3位となり、東芝の出願件数は2年連続で1、2割の成長幅となり積極的にポートフォリオを展開している。

各産業の主要メーカーによる特許出願状況を見てみると、半導体産業は積極的で、米国のインテル(956件)と韓国のサムスン電子(194件)は、共にそれぞれ3割から1.4倍の成長となり、台湾のTSMCの出願件数も502件で迅速な成長となった(前年比16.7%増)(図1参照)。一方で、パネル産業は引き続き低調で、韓国のサムスンディスプレイ株式会社(118件)及びLGディスプレイ株式会社(52件)の出願件数はいずれも昨年比3~5割の減少となり、2年連続の衰退となった。また、台湾の友達光電株式会社(AUO:283件)及びイノラックス(87件)の出願件数も2~5割の減少となった。モバイル装置については、こちらも衰退し、米国のアップル株式会社(219件)と台湾の宏達国際電子株式会社(HTC:147件)はそれぞれ7.0~15.4%減少し、連続2年の減少となった。

台湾の高等教育機関については、台湾法人上位100位に32校がランクインし、その中で遠東科技大学が専利出願件数278件で各校のトップとなり、台湾法人の専利出願数ランキングでも第6位となり、うち特許出願件数は107件(前年比143.2%増)まで急速に上昇し、私立大学で第1位となったが、実用新案(171件)は前年比4割減の大幅減少となった。なお、高等教育機関の特許出願件数では、国立清華大学が123件で再度第1位になったが、件数は昨年より17.4%減となっている。また、言及に値すべきは、従来、高等教育機関の研究開発の主力である「台清交成(台湾大学、清華大学、交通大学、成功大学)」の4大学のうち、国立交通大学(105件)及び国立成功大学(101件)の特許出願件数がいずれも3年連続で減少した後に2015年に約1割のプラス成長となった一方で、国立台湾大学は2009年の239件をピークに年々減少し2015年には38件にまで落ち込んだことである。

台湾法人上位100位には、研究機関6機関がランクインした。その中で、ITRIは豊富な研究開発力により、2015年の出願件数466件で、昨年と同水準となり、財団法人金属工業研究発展センターは出願件数135件で、台湾法人上位100位ランキング及び出願件数のいずれにおいても歴代最高を記録した。

台湾人出願人による出願総数は、ここ3年、特許、実用新案又は意匠に関らずいずれも減少しており、割合から言えば企業の特許出願の減少幅がより大きくなっている。台湾法人上位100位の出願件数の動向も、これと同じ現象が起きており、企業の特許出願を例にすると、2011年の9,752件から徐々に減少し2015年には5,299件にまで落ち込み、5年で4割以上の減少となり、3種の専利(特許、実用新案、意匠)のうち最も顕著な減少となった。このほかに、高等教育機関の実用新案についても1,640件(2013年)から1,141件(2015年)まで減少し、減少幅は比較的高くなった。

企業の専利出願の品質優良化に協力してその産業の応用力と価値を向上させるため、智慧局は2014年に開催した「産業の専利ポートフォリオ展開への協力説明会」で高評価を得たことに続き、2015年には「企業の専利力と専利価値の向上への協力説明会」に拡大して開催し、中堅企業に焦点を当て、また学術研究機関が重視する研究開発成果の商品化と技術移転ライセンス等の議題について、さらに国営事業、研究部署及び大学・大学院等も合同で説明会を開催し、専利業務の一助となったと示した出席者の割合は96%に達した。智慧局は2015年に、台湾大学等の6大学を訪問し、科技部、教育部及び各界の専門家を招聘して、専利出願件数と技術移転成果の均衡等の議題について、対応策などを討論した。また、大学の専利出願の質と量の向上のため、2016年に智慧局は高等教育機関の専門技術研究開発チームを広く招聘して合同説明会を開催し、産業転換の発展をもたらすよう、産学研界の専利力向上に全面的に協力していく予定である。

(2016.02 .04 智慧局ニュース全訳)
1-3 「両岸ニース分類における商品及び役務の類似群コード対応表」(第10-2016版)
WIPOによるニース商品・役務の国際分類第10版2016年が定期改訂されたことに伴い、本局では指定商品/役務の分類及び先行商標調査の検索範囲の参考として、両岸双方の出願人が商標登録出願をする際の事前計画に役立てることができるよう、「両岸ニース分類における商品及び役務の類似群コード対応表(第10-2016版)」を更新した。
※更新済みの類似群コード対応表は以下のリンク先からダウンロード可能。
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=551230&ctNode=7573&mp=1

(2016.02 .15 智慧局ニュース全訳)
1-4 智慧局:「専利権侵害の判断要点」を改正完了
1.智慧局は「専利侵害鑑定要点(草案)」を改正して「専利侵害判断要点」を完成させ、並びに2015年8月14日~10月15日に7回にわたり検討会を開催した。
2.智慧局は検討会で提出された意見に基づいて、当該要点の改正を完成させた。並びに、各界からの意見及びそれに対する回答を整理した表を作成し提供する。
3.本要点の後続する関連事項については、司法院の処理に移行する。
4.上述した検討会での討論資料については、本局サイトの「専利布告欄」を参照のこと。(智慧局サイトトップ>公告資訊>布告欄>專利布告欄、公布日:2015年8月6日)
なお、「専利侵害判断要点」及び「各界からの意見及び回答」は以下のリンク先からダウンロード可能。
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=580441&ctNode=7127&mp=1

2.知的財産権紛争

(2016.01 .26 経済日報第A3面要約)
2-1 ジェネシス・フォトニクスが前技術長を提訴
LEDエピタキシャルウエハ(EW:Epitaxial Wafer)メーカーの新世紀光電(ジェネシス・フォトニクス、以下「ジェネシス」と略称)は、元社員の犯罪行為に対し民事訴訟を提起した。
これまで分かっているところによると、元技術長の李允立は、かつてジェネシス在職期間中に中国LED大手の三安光電との共同投資案を持ち出したが、ジェネシス側の同意を得られず、2013年にジェネシスを離職し、その後、三安光電の投資金で、錼創科技(Play Nitride)を設立することを引き受け、元会社から次々と重役、研究開発からエンジニアまで引き抜き、当該企業へ送り込み、営業秘密も漏らした疑いがある。なお、李允立の離職後、2014年半ばより、中国LED大手の三安光電の製品構造が大幅に変わり、ジェネシスの製品構造に類似していることからジェネシス側がこれを注視し、李允立に対し民事訴訟を提起した。
ジェネシスによると、李允立の不正行為によりジェネシスが受けた損失は、月平均約7,000万台湾元(約2億5,900万円)で、これまでの損失総額は少なくとも13億台湾元(約48億円)にのぼるといわれる。
調査局は、昨日(25日)、李允立等の関係者の自宅・現職場等8箇所を捜索し、李允立等10名の容疑者に対し取調べを行い、当該案件を台南地検へ移送し、引き続き取り調べが行われている。

(2016.01 .27 経済日報第A11面要約)
2-2 中国の老舗北京ダック店の「便宜坊」商標が台湾で登録できず
北京で600年の歴史を誇る北京ダックの名店「便宜坊」が、2015年に台湾高雄に初の海外支店をオープンさせたが、「便宜坊」商標の登録が台湾で2度も拒絶査定になり登録されないままとなっている。
「便宜坊」商標は1987年に中国で商標登録され、さらに中国商務部からも「中国馳名商標(著名商標)」として認定されており、北京ダックレストランの名店として知られ、カナダ、欧州等でも商標登録されているが、台湾では登録されていない。
智慧局の局員によると、「便宜坊」商標について2012年に鴨の図と文字による「便宜坊」商標と、2013年に文字のみの「便宜坊」商標が登録出願されたが、「便宜坊」は台湾での知名度が高くなく、加えて「便宜(中国語で「安い」の意味)坊」は、安い店の意味になり、説明的文字で識別性がないとして、いずれも拒絶された。
その後、「便宜坊」は高等行政法院に訴訟を提起したが、法院も智慧局の見解を支持して敗訴となり、現在「便宜坊」側は引き続き控訴するか否か決定していない状態である。
なお、智慧局の局員によると、今後「便宜坊」が消費者の間で識別性を獲得した後、再度登録出願すれば、登録される可能性もあるという。

(2016.01 .28) 工商時報第A17面、中国時報第B2面の要約)
2-3 聯穎光電(Wavetek)のエンジニアが社内機密を漏洩
新竹サイエンスパークにある聯電(UMC)グループ子会社の聯穎光電(Wavetek)の澹という研究開発エンジニアが、内部機密文書を中国の某ハイテク企業に漏洩した疑いで27日、調査局は澹の自宅及びオフィスのデスクの捜索を行い、本人への取調べの結果、営業秘密法違反の疑いで書類送検した。
調査局は去年の11月、穩懋半導体(Win)の商業スパイである楊光宇の件を追跡調査中、Wavetekのエンジニアである澹も捜査線上に浮かびあがってきた。
これまでの調べによると、澹が漏洩販売したヒ化ガリウム及び窒化ガリウムウエハの商品資料は、携帯電話や無線電波及び軍用の高効率レーダー情報設備に幅広い応用が可能であり、近年、中国は、ヒ化ガリウム及び窒化ガリウムウエハの研究開発を経済の重要プロジェクトとし、北京、成都、福州において工場建設を増やす計画を立てており、多額の資金を投資して人材を引き抜くことも惜しまず、昨今の光電子メーカーの商業スパイは、いずれも中国メーカーが背後で糸を引いている。

3.模倣品関連

(2016.01 .28 聯合報第B2面、中国時報第B2面の要約)
3-1 豪華邸宅を倉庫代わりとして偽ブランド品を販売していた男を摘発
26日、警察はブランド服飾の模倣品を販売し、2年余りで約2,000万台湾元(約6,700万円)の利益を得たとして、周(41歳)という男を摘発し、各メーカーによる現場での鑑定の後全て模倣品であることが判明し、周を商標法違反で書類送検した。
調べによると、周は中国から著名ブランド(Nike、Adidas、 Under Armour、Roots、Puma、agnes b等)の模倣品服飾を輸入し、新北市林口にある豪華邸宅を倉庫代わりにし、襟タグやラベルを別途縫い付け、広告カタログを作製しLINEグループで顧客誘致をしていた。また対外的には、「生産工場から流出したブランド物の訳あり商品」として、ネットショッピングや露天商等に原価の3~4割引の卸価格で販売していた。押収された偽ブランド服は、17,000枚にものぼる。

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