台湾知的財産権ニュース(No.297)
発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.297)
発行年月日:2020年4月15日発行
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2020年3月30日 智慧局ニュース全訳)
1-1 「ニース分類における商品及び役務の両岸類似群コード対応表(第11-2020版)」の公告
2. 知的財産権紛争
(2020年4月4日 自由時報電子報要訳)
2-1 ポケモンGo Plusの海賊版を販売していた男に販売価格の600倍の賠償金判決
(2020年4月8日 経済日報第A3面要訳)
2-2 シャープがOPPOを権利侵害で提訴
3. 模倣品関連
(2020年4月9日 経済日報第A10面要訳)
3-1 ドラマ・映画の海賊版視聴サイトを摘発
1. 智慧局ニュース
(2020.03.30 智慧局ニュース全訳)
1-1「ニース分類における商品及び役務の両岸類似群コード対応表(第11-2020版)」の公告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-874406-21b5c-1.html
智慧局では、指定商品・役務の分類及び先行商標調査の検索範囲の参考として、両岸(中国大陸及び台湾)双方の出願人が商標登録出願をする際の事前計画に役立てることができるよう「ニース分類における商品及び役務の両岸類似群コード対照表(第11-2020版)を更新した。
※更新済みの類似群コード対応表は上記のリンク先からダウンロード可能(中国語:兩岸尼斯分類商品及服務類似組群碼對應表(NCL11-2020))。
2. 知的財産権紛争
(2020.04.04 自由時報電子報要訳)
2-1 ポケモンGo Plusの模倣品を販売していた男に販売単価の600倍の賠償金判決
2018年に周と言う男が露天オークションサイトを使いポケモンGO Plus等の模倣品を1つ550台湾元(約2,000円)で販売しているのを、任天堂が発見し賠償金を求め訴訟提起していた事件で、智慧財産法院は、被告に対し販売単価の600倍の金額である33万台湾元(約119万円)の賠償金を支払うよう命じる判決が確定した。
任天堂は、商標権侵害を被った価値、点数、被告が和解に応じず損害を賠償する意思がない姿勢等を総合的に判断し、摘発されたポケモンGO Plusの販売単価の377倍を損害賠償額とすることが合理的であるとともに、合計6件の登録商標を侵害していることから、商標法第71条第1項第3号の規定により、損害賠償金額は124万4,100台湾元(単価550元x377x6商標、約450万円)とすべきであると主張した。
これに対し周は、販売していた商品が模倣品だったとは知らず、うち200件がポケモンGO Plusで、残りは価格30台湾元(約100円)のストラップであり、30台湾元と550台湾元を併せて算出すべきではないと抗弁し訴訟棄却を求めた。
智慧財産法院の合議体は次のような見解を示した。周が摘発された中で商標権侵害商品の件数は307件、販売単価は550台湾元(約2,000円)、侵害した商標権は4つ、販売期間は約半年、摘発及び実際に販売された数量は約300件、各販売単価は550台湾元、犯行後にも犯行を認めず未だに和解に応じない状況を斟酌すると、周が負うべき賠償責任は、摘発された商標権侵害商品の販売単価の600倍として計算することが適切である。
上記の計算により、合議体は周の賠償金額を33万台湾元(550元×600=33万台湾元;約119万円)とする判決を下し確定した。
(2020.04.08 経済日報第A3面要訳)
2-2 シャープがOPPOを権利侵害で提訴
ホンハイ(鴻海)グループ傘下のシャープは7日、中国のスマホメーカーOPPO(広東OPPO移動通信)が台湾で販売しているOPPO製スマホがシャープのLTE通信規格に関する特許を侵害しているとして4月1日に台湾智慧財産法院に訴訟を提起するとともに、侵害製品の販売禁止を請求したと発表した。
これに先立ちシャープは3月6日、ドイツのミュンヘン第一地方裁判所及びマンハイム地方裁判所にOPPOに対する特許権侵害訴訟を提起し、同時に3月6日及び9日には東京地方裁判所にOPPOジャパンに対する特許権侵害訴訟を提起し、ブランド価値及びブランド権益の防衛を行っていた。
外電によれば、OPPOは2月末に深圳市中級人民法院にシャープに対する特許訴訟を提起しており、同時に東京地方裁判所にシャープがOPPOの高速充電技術に関する特許権を侵害しているとして訴訟を提起している。
シャープは、現在世界50カ国(又は地区)以上で6,000件以上の無線通信技術規格の標準必須特許を取得しており、今後も知的財産権の侵害行為に対しては、引き続き厳格に対処をすると強調した。
3. 模倣品関連
(2020.04.09 経済日報第A10面要訳)
3-1 ドラマ・映画の海賊版視聴サイトを摘発
台湾最大の配信量を持つドラマ・映画の海賊版視聴サイト「楓林網 (8 maple)」は、6年間にわたり各国のドラマをアップロードし無料視聴を提供していた。内政部警政署刑事警察局(以下、「刑事局」と略称)は、米国の6大映画会社からの通報を受け、サイトを構築した陳、荘という桃園在住の2人の男を著作権法違反で書類送検した。権利侵害額は10億台湾元(約36億円)にのぼる。
摘発された2人は2014年から「楓林網」等の8つのサイトを構築し、海外クラウドに台湾、中国、日本、韓国、タイ、欧米等のドラマをアップロードし、無料視聴を提供していた。また同時に、広告会社を設立し、サイトでドラマを視聴する民衆が広告をクリックすることで毎月約200万台湾元(約725万円)を得ており、これまでに総計1億台湾元(約3.6億円)以上を稼いでいた。
3月31日、警察側は捜査・摘発を行い、2人の自宅から25台のクラウドホスティングを押収したところ、サーバーはカナダ、フランス、米国、ウクライナ、ルーマニアにあることを発見した。また、その他権利侵害になる恐れがある20のドラマ・映画サイトも発見し、まだ通報を受けていないがすでに関連サイトの視聴をブロックした。初期調査ではサイト上には10数万部の動画があり、いずれも合法的なライセンスを得ていない。
陳と荘は、クラッキングした真正品動画又はインターネット上の海賊版をアップロードし利益を得ていたことを認め、サイトを削除し動画制作会社との和解を望んでいる。
また、「楓林網」の摘発を受け、配信量台湾3位のgimy.twは、急遽サイトを閉鎖した。
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