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知財ニュース363号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.363)
発行年月日:2024年4月30日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2024年4月17日 智慧局ニュース全訳)
1-1 台湾専利は最高 台湾特許クリエイティブは無限
(2024年4月22日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「企業のIP戦略及びポートフォリオ」強化 智慧局はOne Stop Serviceを提供
(2024年4月26日 智慧局ニュース全訳)
1-3 「スマート未来∞栄誉80年」専利法制定公布80周年

2. 模倣品関連
(2024年4月26日 聯合報第A12面全訳)
2-1 出版社の教材を違法複製し販売 4人を書類送検

3. その他一般
(2024年4月20日 聯合報第A8面全訳)
3-1 ITRI ネットゼロ・イノベーションプラットフォームを構築

1.智慧局ニュース

(2024.04.17 智慧局ニュース全訳)
1-1 台湾専利は最高 台湾特許クリエイティブは無限
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-936709-a29dc-1.html
優秀な専利受賞作品が引き続き国内外の市場で光り輝けるよう、経済部智慧財産局は今年4月、「台北国際自動車・バイク部品展示会」(4/17-4/20南港一館)及び「デザインギフショナリー台湾(Designed Giftionery Taiwan, DG Taiwan)」(4/18-4/21世界貿易センター1館)において、専利受賞作品が新たなビジネスチャンスの拡大のため、「台湾専利超級站(讚)Taiwan Patent Go」の専利受賞専門館を設置する。
智慧局は、「台湾専利超級站Taiwan Patent Go」の設置目的は、専門展を通じて潜在力を有する専利受賞技術の多元的な展示及びPRを行うことで、プロのバイヤーへの推薦と直接交渉のマッチングの機会を同時に提供することであり、専利専門館プラットフォームを通じて、専利の商品化の取引を促進し、市場の新ビジネスチャンスを開拓し、「台湾発明、創益無限」(Invent in Taiwan. Create for Business.)の目標を達成することであると述べた。
「台湾専利超級站」には、2つの意味が含まれている。一つ目の意味は台湾の優秀な専利をこの専利プラットフォームに集め、広大な宇宙ステーションのように全てを受け入れること。二つ目は「站」(ステーションの意味)と同音異義語である「讚」(素晴らしいの意味)をかけたものである。今回「台北国際自動車・バイク部品展示会」に参加する工業技術研究院(ITRI)、財団法人車両研究テストセンター(Automotive Research & Testing Center, ARTC)及び中華電信を例にとると、彼らの会場で展示されている車両安全特許がすでに業界に幅広く採用されていることから、彼らの専利の特徴を理解した後、人々は思わず親指を立てて「素晴らしい!」と納得してしまうという意味である。
智慧局は、今年は台湾専利法が公布されて80年の節目の年であり、「台湾専利超級站」は専利受賞作品を展示するだけでなく、特別に「コーヒーを飲みながら専利を語ろう」の無料専利相談サービスが企画されており、専門館を訪れるバイヤー及び出展する企業が優秀な専利受賞作品と出会えるだけでなく、現場で専利審査官、弁理士又は専利検索センターの専門検索スタッフによる専門サービスを受けることもできるため、奮ってご利用いただきたいと強調した。

(2024.04.22 智慧局ニュース全訳)
1-2 「企業のIP戦略及びポートフォリオ」強化 智慧局はOne Stop Serviceを提供
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-936731-bdee7-1.html
中小企業の知的財産に対する理解を強化し、専利・商標出願の品質及び知的財産保護力を向上させるため、経済部智慧局は中華民国工業区廠商聯合総会(MUGA)と共催で2024年「営業秘密保護実務シンポジウム」のシリーズ活動を台中会場で開催し、同時に「企業IP戦略及びポートフォリオのワンストップサービス」専門相談を実施した。
智慧局は、2024年「営業秘密保護実務シンポジウム」の台中会場での開催について、台湾中部が台湾の半導体、精密機械、バイオテクノロジー等の産業の重要クラスターであり、情報、プラスチック製品、食品・飲料、紡績・衣類、自転車、さらにはサービス業等、台湾の国際競争力の源である隠れたチャンピオンが相当多く存在することを考慮し、ハイテク産業か伝統産業かを問わず、競争における安定した優位性を得たいならば秘密保持施策を確実に行う必要があり、さもないと、ひとたび営業秘密が漏洩した場合、企業の競争における優位性及び利益に非常に大きな影響を与えることになると述べた。
本シンポジウムでは、会場内で営業秘密のPRを行った。また、企業の研究開発成果について考慮した場合、営業秘密保護にくわえて知的財産ポートフォリオの運用と管理戦略を組み合わせることが企業の競争力及び利益の創造の一助となることから、今年、智慧局は初めて、会場外に「企業IP戦略及びポートフォリオのワンストップサービス」専門相談所を設置し、智慧局の廖承威・局長が自ら各業務のエリートチーム及び専利検索センター職員を率いて、現地で「企業IP戦略及びポートフォリオ」の専門相談を行った。包括的な知的財産専門相談を通して、企業が社内における知的財産制度の盲点を明確化し、産業のイノベーション・保護、及び知的財産権の運用力を向上させ、IPの産業化を加速し、創意性を金に転換することを支援したい。

(2024.04.26 智慧局ニュース全訳)
1-3 「スマート未来∞栄誉80年」専利法制定公布80周年
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-936748-6a373-1.html
今年、専利法公布80周年を迎え、経済部智慧財産局(以下、「智慧局」と略す)は本日(26日)権威者による特集講演を開催し、同時に世界知的財産の日を祝福した。イベントには、蔡明誠・前司法院大法官、最高行政裁判所の陳国成・庭長及び工業技術研究院(ITRI)の王鵬瑜・副総裁兼法務長を特別に招聘し、台湾の専利法制度の沿革と展望、台湾専利訴訟制度の沿革、専利法制度と実務が産業に与える影響の3つのテーマについて、特集講演及び特集記事の発行を行い、ヒストリーの特別展示も開催した。
台湾企業は世界の産業チェーンにおいて重要な地位を占めており、特に半導体産業は世界をリードし、60%を超える先端プロセスの生産力は台湾が提供していることから、この強靭な産業競争の優位性を確保するため、専利制度は重要な役割を果たしている。良い専利制度が研究開発成果を保障し、産業の発展を促進できるのみならず国家競争力を向上させることもできることは証明されており、このことは、近年外資が台湾において設備投資を行い、積極的に研究開発センターを設立しているという実績によって認められている。台湾専利法公布80周年を迎えた智慧局が台湾専利制度の変遷を振り返ることには格段の意義がある。
一般大衆の専利制度理解を増進するため、智慧局は専利法制度、審査実務、専利訴訟及び産業専利戦略の運用をテーマとした「専利法公布80周年」特集を発行し、蔡明誠・前司法院大法官、陳国成・庭長及び王鵬瑜・法務長、智慧局職員である莊智恵氏、劉正旭氏、陳志弘氏、葉哲維氏、徐銘夆氏に寄稿を依頼した。いわゆる「千里の道も一歩から、まじめに慎重に、これら全てが歴史となる」について、智慧局は専利の歴史を整理するという目的から、権威者に論述の執筆を依頼しており、各界は台湾専利制度の発展の輪郭を垣間見ることができる。
今後、智慧局3階市民サービスエリアにて「スマート未来∞栄誉80年」の特別展を開催し、古い専利包袋、1966年から1984年の旧蔵書、智慧局設立記念特集号、及び優良専利受賞アルバム等の専利の発展の足跡を展示する。興味がある方は参観願いたい。

「専利法公布80周年月刊特集」については下記サイトを参照(中国語)。
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-935903-62873-1.html

2.模倣品関連

(2024.04.26 聯合報第A12面全訳)
2-1 出版社の教材を違法複製し販売 4人を書類送検
台中、彰化の悪徳補習班(塾)業者は、康軒等の三大出版社が編集した小中学生用の教材を違法に複製した後、自らの補習班で使用し、また、大量に複製してShopee(蝦皮)等のECプラットフォームで販売し、違法に200万台湾元(約960万円)の利益を得ていた。刑事局は先月3件の捜索を発動し、林という女等4人を警察へ連行、6,000枚を超えるテスト用紙、200枚のCD-ROM等の証拠物を差し押さえた。権利侵害市場価格は10億台湾元(約48億9000万円)に達するとみられ、全ての事件は著作権法違反で地方検察署の捜査に送致された。
刑事警察局智慧財産権偵査大隊は昨年8月、悪徳業者がShopee等のインターネットECプラットフォームで違法に複製した教材を販売し、康軒、南一、翰林等の三大出版社が被害を受けているとの通報を受けた。
警察の調査によると、業者はかつて補習班で勤務した経験があるほか、自身も補習班を経営しており、彼らは合法業者が編集した小中学生用の各科目の教材、テスト用紙を複製した後、自らの補習班の教師、学生が使用するのに提供したほか、ECプラットフォームでも販売した。また、悪徳業者は権利侵害の各テスト用紙、教材を数十台湾元から2,000台湾元(約9,600円)の金額で販売し、一昨年からこれまで6,000を超える資料を販売したとみられる。
プロジェクトチームが長期にわたり追跡した結果、台中市の林(女、30歳)、黄(女、34歳)、彰化県の林(女、27歳)、施(男、46歳)の計4人が事件に関与しており、そのうち彰化県の林と施は補習班業者で、黄は彰化県の林の補習班で勤務し、台中市の林はかつて補習班で勤務したことがあり、いずれも関連するバッググラウンドがあった。
警察は先月、彰化、台中等で捜索を行い、違法複製したテスト用紙約6,000枚、権利侵害教材CD-ROMを200枚余り、パソコン、デバイスプログラマ、ポータブルストレージデバイス、オンラインストレージ等の証拠物を差し押さえた。林等は複製行為が違法であること知りながら、依然として「低コストで、ぼろ儲け」と弁解して金儲けのためリスクを採った。

3.その他一般

(2024.04.20 聯合報第A8面全訳)
3-1 ITRI ネットゼロ・イノベーションプラットフォームを構築
工業技術研究院(ITRI)は、第三回ITRI NET ZERO DAYネットゼロ時代の競争力を構築するフォーラム及び特別展を開催した。水素エネルギーイノベーションプラットフォームの発表とグリーンファイナンシャルテクノロジープラットフォームの共創という今年の2大ポイントに焦点を当て、台湾の新世代の水素応用サプライチェーンの形成を積極的に加速するとともに、ファイナンシャルリソース(金融資源)とリンクさせることで、変革のための資金問題を解決する。
総統府の沈栄津・資政(顧問)は、ネットゼロ・エミッションはすでに世界的趨勢となっており、政府も実現可能な省エネの施策と進め方を計画しているが、更に多くの企業・産業がネットゼロの共同プロジェクトに賛意を示してほしいと述べた。経済部は産業と協力し、「以大帶小」(サプライチェーンが低炭素化等の導入を行うよう主要メーカーが率先して取り組む)モデルを採用し、中小企業がカーボンフットプリントと二酸化炭素削減能力を構築することを推進すると述べた。経済部産業技術司の邱求慧・司長は、ネットゼロは台湾にとってチャレンジであるとともにチャンスであり、ITRIがグリーン科学研究の実力を十分に発揮し、ネットゼロ・モデルチェンジに向かって産業を率いて行くことを期待すると述べた。
ITRIは2021年にネットゼロ・サステナブルオフィスを設立し、現在に至るまでネットゼロ・エミッション解決方法を絶え間なく提出してきた。ITRIの李世光・董事長は、水素エネルギーの新ビジネスチャンスを手に入れるため、今年のフォーラムでは水素エネルギーイノベーションプラットフォームの構築を提唱し、同時に金融機関と協力してグリーンファイナンシャルテクノロジープラットフォームを共創し、全台湾の40社を超える金融機関と信用保証基金をリンクさせ、スタートアップ企業、中小企業がネットゼロ関連の専利によって銀行のグリーン融資を取得できるよう協力し、技術面をはじめとし、人材面、専利面、資金面等産業の包括的なネットゼロ戦略のコンサルタントを提供すると述べた。
ITRIの劉文雄・院長は、国際エネルギー機関(IEA)の報告を引用して、過去2年に再生エネルギーとグリーン投資は「めざましい成長」を遂げ、これは一部のクリーンテクノロジー取得に顕著な進展をもたらしたが、ITRIは分野を超えた統合産業のイノベーション研究とテクノロジー研究開発を運用することで、台湾の2050年ネットゼロ・カーボン戦略のロードマップを計画し、産業がネットゼロの持続可能な発展に向かうよう支援するとともに、引き続きスタートアップ企業を育成していくと述べた。

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