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知財ニュース360号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.360)
発行年月日:2024年2月29日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2024年1月30日 智慧局ニュース全訳)
1-1 本局は「ダッシュボード」機能に専利公告案件、商法登録案件情報、モバイル自然人証明サポートを新設
(2024年2月1日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「商品及び役務の日台ニース分類類似群コード対応表(第12-2024版)」の公告
(2024年2月6日 智慧局ニュース全訳)
1-3 2023年第4四半期の知的財産権動向
(2024年2月6日 智慧局ニュース全訳)
1-4 2023年智慧局が受理した専利商標出願概況
(2024年2月6日 智慧局ニュース全訳)
1-5 智慧局公布の2023年専利出願ランキング上位100位
(2024年2月15日 智慧局ニュース全訳)
1-6 「2024日台知財シンポジウム」開催成功 参加者及び支援に感謝
(2024年2月21日 智慧局ニュース全訳)
1-7 税関が実施した知的財産権水際保護の2023年度の実績

1.智慧局ニュース

(2024.01.30 智慧局ニュース全訳)
1-1 本局は「ダッシュボード」機能に専利公告案件、商法登録案件情報、モバイル自然人証明サポートを新設
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-932909-5928d-1.html
自分の案件状況を簡単・迅速に把握できるよう、自発的でパーソナライズ化された専属情報、及び正確かつタイムリーな専利・商標案件情報を提供するため、本局は2023年2月より智慧財産權e網通網站(eネット通信)に「我的儀表板(ダッシュボード)」機能を構築した。認証を通じて、電子公文書の署名・ダウンロード及び出願中の案件検索を行う、又は、オンライン手数料決済システムにリンクして手数料検索、オンライン納付及び電子領収書のダウンロードを行うことができる。
2024年度の「我的儀表板(ダッシュボード)」サービスでは、専利公告案件及び商標登録案件等の情報を拡充し、ユーザーが単一アクセスでまもなく権利期限満了となる案件情報を受け取ることができ、また、モバイル自然人証明により電子公文書の署名・ダウンロード及び出願中の案件検索ができる機能の新設により、ユーザーが気軽に案件の進捗及び最新の知財権情報を把握することができる。各界多いに利用していただきたい。
※智的財産権eネットサイト及び該サービス機能の紹介は、上記リンク先の智慧局サイトの「檔案下載(ファイルダウンロード)」の「智權管理數位服務平台-我的儀表板功能簡介(中国語)」を参照。

(2024.02.01 智慧局ニュース全訳)
1-2 「商品及び役務の日台ニース分類類似群コード対応表(第12-2024版)」の公告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-932916-3d512-1.html
世界知的所有権機関(WIPO)によるニース協定の商品及び役務の国際分類第12版-2024(Nice Classification, 12th Edition-Version 2024)の改訂に合わせ、智慧局は出願人が商標登録出願する際の参考となるよう「商品及び役務の日台ニース分類類似群コード対応表第12-2024版」を更新した。
※下記リンク先「臺日尼斯分類商品及服務類似組群碼對應表」の「第12-2024版」(中国語)を参照。
topic.tipo.gov.tw/trademarks-tw/cp-542-860510-094d9-201.html

(2024.02.06 智慧局ニュース全訳)
1-3 2023年第4四半期の知的財産権動向
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-932996-61dad-1.html
2023年第4四半期における特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数は19,686件で前年同期比3%増となり、そのうち特許出願件数は13,928件で前年同期比4%増となり、商標登録出願件数は23,250件で前年同期比2%増となった。特許出願においては、台湾積体電路製造(TSMC)が出願件数342件で第1位となり、外国人では(韓国)サムスン電子が262件で1位となった。商標登録出願は、台湾人では統一企業が235件で1位、外国人では(アラブ首長国連邦)国際食品会社が81件で最多となり、台湾人と外国人を問わず上位10位の商標登録出願件数はいずれもプラス成長となった。

<専利出願>
特許及び意匠がダブル成長
台湾が受理した三種類の専利出願件数は19,686件で、そのうち特許出願件数は13,928件で前年同期比4%増、意匠出願も1,921件で前年同期比3%増となったが、実用新案は3,837件で前年同期比2%減となった。台湾人による特許出願は3%増となり、外国人による三種の専利出願件数はそれぞれ5%~45%の成長となった(表1参照)。

台湾人による特許及び意匠はそれぞれTSMCとACERが最多
台湾人による特許出願件数の上位10位のうち、台湾積体電路製造(TSMC)は324件(前年同期比264%増)で第1位となり、著しい成長を見せた。次いで工業技術研究院(ITRI)210件、友達(AUO)128件となり、第7位の聯發科(MEDIA TEK)82件は、前年同期が比較的多かったため、減少幅が44%減とより大きくなった(図2参照)。
意匠登録出願件数の上位5位のうち、宏碁(ACER)が22件で最多で、第4四半期ではすでに連続4年の首位となった。次いで長庚科技大学が16件となり、鴻海は12件で、2020年の本局による意匠出願件数上位5位の発表以来、初の上位5位へのランクインとなった(図3参照)。

台湾企業による特許出願件数はプラス成長
台湾人出願人による特許出願件数は5,409件で、そのうち企業(4,083件)は5%増、教育機関(489件)及び研究機関(384件)はいずれもマイナス成長となった。また、銀行、保険及び証券の金融業は43件(表4参照)、国営事業は5件と減少した(表5参照)。
企業別の特許出願件数は、大企業(3,342件)及び中小企業(741件)がそれぞれ6%と1%のプラス成長となった。教育機関の出願件数では、成功大学が45件で第1位となり、南開科技大が23件で私立学校のトップとなった(表2参照)。また、研究機関では工業技術研究院(ITRI)が210件で最多となった(表3参照)。

外国人による特許出願及び意匠出願はそれぞれサムスン電子とアップルが最多
外国人による特許出願件数は8,519件で、前年同期比5%増となった(表1参照)。上位5位の国(地域)のうち、日本の出願件数は3,188件で最多となり、中国(1,144件)と韓国(964件)はそれぞれ8~16%増となった(図1参照)。
特許出願件数上位10位のうち、(韓国)サムスン電子が262件で第1位となり、(オランダ)ASMLの117件、(日本)SCREENホールディングスの89件、(韓国)LGエレクトロニクスの86件、及び(日本)レゾナックの84件の4社の件数は、それぞれ各会社の史上最高記録となったが、(韓国)韓領の127件は154%増の成長率でその他の出願人を上回り、いずれも目を見張る成長を見せた(図2参照)。
意匠出願件数の上位5位の出願件数は、いずれもプラス成長となった。そのうち、(米国)アップルは件数(122件)及び成長率(259%)のいずれにおいてもその他の出願人を上回り、2023年以来で再びの100件越えとなった。また、(ドイツ)BMWは42件で200%増となり、著しい成長を見せた(図3参照)。

<商標登録出願>
商標登録出願件数は小幅成長
受理された商標登録出願件数は23,250件(29,004区分)で、前年同期比2%増となった。主要因は、外国人による出願件数(5,249件)が9%増となったのに対して台湾人による出願件数(18,001件)が0.5%減の微減となったことである(表1参照)。

台湾人による商標登録出願件数は、統一企業が最多
台湾人による出願件数上位10位の件数は、いずれもプラス成長で、統一企業は235件で第1位となり、棨泰(CHE TAI:73件)と順林(UdiLIFE:55件)は、前年同期が比較的低かったため、成長率が顕著となった(表6参照)。台湾人による出願件数区分別では、第35類(広告、企業経営及び小売・卸売役務等)が3,531件で最多となった(図5参照)。

外国人による商標登録出願件数は、国際食品が最多
外国人による商標登録出願件数は、中国が1,185件で最多であった(図1参照)。上位10位の件数はいずれもプラス成長となり、(アラブ首長国連邦)国際食品が81件で最多となった(表7参照)。外国人による出願件数区分別では、第9類(コンピュータ及びテクノロジー製品等)が1,025件で最多となった(図5参照)。

「農業食材」及び「技術研究」産業が商標登録出願件数における台湾人、外国人の1位
台湾が受理した商標登録出願は「農業食材」(6,251件)が各産業のトップとなり、次いで「商業金融」(4,722件)及び「健康医療事務」(4,601件)であった(図6参照)。
台湾人出願人では「農業食材」産業(5,218件)のポートフォリオ展開がより積極的で、主にレストラン及び宿泊の商標件数が多かった。外国人出願人による出願件数では、「技術研究」(1,590件)産業が多かった。また、台湾人出願人の「農業食材」の出願件数と外国人出願人の「健康医療事務」及び「服飾アクセサリ」の出願件数は、いずれもマイナスからプラスに転じた(図7参照)。

※2023年第4四半期の統計は、智慧局サイトの「統計季報(https://www.tipo.gov.tw/tw/lp-167-1.html)」を参照。

(2024.02.06 智慧局ニュース全訳)
1-4 2023年智慧局が受理した専利商標出願概況
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-932911-37e19-1.html
2023年に智慧局が受理した専利(特許、実用新案、意匠の3種を含む)出願件数は72,607件で、前年比1%増となり、そのうち特許(50,854件)が1%増で直近11年の最高となり、実用新案(14,466件)は1%減、意匠(7,287件)は2%増となり、マイナス成長からプラス成長に転じた。商標登録出願は91,535件で3%減となった。審査実績については、特許の平均FA期間は8.9か月で、商標は6.2か月となった。

台湾人による特許、意匠出願件数はいずれも成長、実用新案の減少幅は緩和
台湾人による特許出願件数は19,634件で、1%増となり、主要因は企業による出願件数の4%増であった。実用新案の出願件数は13,309件で前年比3%減となり、減少幅は緩和された。意匠出願件数は3,437件で、6年のマイナス成長に終止符を打ち1%増のプラス成長に転じた。これは学校と個人の出願件数が増加したことが主因である(表1、図2、図3参照)。

外国人による特許出願件数が歴代最高 実用新案、意匠も成長
外国人による特許出願件数は31,220件(1%増)で歴代最高を記録した。実用新案は1,157件(17%増)、意匠は3,850件(3%増)となった(表1、図2参照)。
外国人による3種の専利の出願件数上位5位は、日本が13,504件(3%増)でトップとなり、次いで米国(7,647件)、中国(5,002件)、韓国(3,299件)及びドイツ(1,198件)となった。そのうち韓国と中国はどちらも歴代最高となった。成長率については、韓国が前年比19%増で上位5位の最高となり、中国も13%増で、米国、ドイツはそれぞれ10%減、4%減となった。専利の種類でみると、特許と意匠はいずれも日本が最多で、実用新案は中国が最多であった(図4参照)。

商標登録出願件数が減少 コロナ禍(COVID-19)前の水準に戻る
台湾の商標登録出願件数は91,535件で前年比3%減(区分別は合計114,680区分、6%減)となり、コロナ前の2019年の水準に戻った。これは台湾人による出願が71,960件で3%減となり、外国人による出願も19,575件で4%減となったことが主因である(表1、図6、図7参照)。
商標登録出願件数上位5か国(地域)では、中国が4,822件(12%増)でトップとなり、次いで米国が3,007件(16%減)、日本が2,899件(18%減)となった(図8参照)。

台湾人では統一企業が4年連続商標登録出願件数1位 外国人ではテンセントが1位
台湾法人では、統一企業が出願件数583件で、2020年から4年連続で第1位となった。次いで台新銀行(454件)、棨泰健康 (CHE TAI:163件)となった。外国法人では、ケイマン諸島の騰訊控股(テンセントホールディングス)が118件で第1位となり、次いでアラブ首長国連邦の国際食品(93件)、フランスのロレアル(90件)となった(図9参照)。
台湾人の商標登録出願件数区分別では、第35類(広告、企業経営及び小売・卸売役務等)が14,477件で最多となり、次いで第43類(レストラン、宿泊等)が7,187件、第30類(コーヒー、茶及びケーキ等)が6,390件となった。区分別上位10位において、第43類(レストラン、宿泊等)、第25類(衣服靴等)の2,896件が昨年同水準を維持した以外は、いずれも2.4%~12.6%の減少となった(表2参照)。
外国人については、第9類(コンピュータ及びテクノロジー製品等)が3,910件で最多となり、区分別上位10位において、第30類(コーヒー、茶及びケーキ等)が1,116件で6.7%増とプラス成長した以外は、いずれも2.1%~23.5%の減少となった(表2参照)。

専利審査期間は安定維持で企業の迅速な産業ポートフォリオ展開の一助に
特許の平均FA期間は8.9か月で(図5参照)、安定した合理的審査終結期間を維持し、審査の質と効率のバランスが取れており、企業の迅速な産業ポートフォリオ展開の一助となった。商標審査については、歴代の登録出願件数は8年連続でプラス成長しており、限りのある審査マンパワーの下、平均FA期間6.2か月で、前年比1.0か月増となったが(図10参照)、依然として審査終結数90,043件という、同年の出願件数の98.37%を占める高い水準を維持した。

※智慧局公布の2023年専利商標出願概況の詳細については、上記リンク先の智慧局サイトの檔案下載(ファイルダウンロード)「新聞稿_智慧局公布112年受理專利商標申請概況_圖表」(中国語)を参照。

(2024.02.06 智慧局ニュース全訳)
1-5 智慧局公布の2023年専利出願ランキング上位100位
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-932910-26c76-1.html
智慧局は2023年の専利出願及び専利公告統計ランキングを発表した。三種類の専利(特許、実用新案、意匠)出願において、台湾人では台湾積体電路製造(TSMC)が1,956件で8年連続の第1位となり、外国人ではサムスン電子が978件で初の第1位となり、どちらも歴代最高記録を破った。三種類の専利証書の発行については、台湾積体電路製造(TSMC)が1,040件、アプライド・マテリアルズが591件でそれぞれ台湾人及び外国人のトップとなった。

TSMCが台湾人による三種の専利出願、特許出願で8度目の二冠
三種の専利(特許、実用新案、意匠)出願件数において、TSMCは2016年から8年連続の第1位となり、2023年の出願件数は1,956件(すべて特許)で28%増となり、第2位の聯發科技(Media Tek)の544件、第5位の南亜科技(NANYA)の373件と共にいずれも出願件数は歴代最高となった。また、第6位の英業達(INVENTEC)の330件は直近10年の最高件数で前年比14%増となり、第10位のデルタ電子の270件は直近15年の最高件数で前年比32%増となり、著しい成長となった(表1参照)。
2023年の台湾人による三種の専利出願件数は12,922件(前年比1%増)で、7年連続のプラス成長となった。特許は主に企業と研究機関による出願件数の増加で9,982件(4%増)となったが、実用新案は2,273件(6%減)、意匠は667件(16%減)と減少し、企業による実用新案登録出願が1%増となった以外は、教育機関、研究機関の出願件数は振るわなかった(図1、図2参照)。

合作金庫が台湾の銀行による三種の専利出願、特許出願で二冠
台湾の銀行6行が三種の専利出願ランキング上位100位にランクインしたが、そのうち合作金庫は出願件数223件で2年連続銀行のトップとなり、銀行による専利出願件数の過去最高記録となった。次いで兆豊銀行195件、中国信託144件となった。特許についても合作金庫が35件で銀行のトップとなった(表3参照)。

台北城市科技大学が台湾の高等教育機関による三種の専利出願でトップ 成功大学が特許出願件数でトップ
台湾人による三種の専利出願上位100位にランクインした高等教育機関は24校であったが、台北城市科技大学が出願件数140件で4年連続の第1位となり、その出願は主に実用新案であった。特許については、成功大学が114件で第1位となり、次いで清華大学(98件)、陽明交通大学(91件)となり、第4位の勤益科技大学(88件)は、技術専門校のトップとなった(表4参照)。

研究機関による三種の専利出願件数で、ITRIが連続23冠
台湾人による三種の専利出願件数上位100位に3機関がランクインした。工業技術研究院(ITRI:315件)は第8位にランクインし、2001年から連続23年で各研究機関のトップとなった。次いで財団法人金属工業研究開発中心(101件)は第34位、財団法人紡織産業総合研究所(42件)は第90位となった(表5参照)。

外国人による三種の専利出願件数でサムスン電子が初のトップ
三種の専利出願件数では韓国のサムスン電子が978件(45%増)で、第1位となった。次いで米国のアプライド・マテリアルズ(779件)、米国のクアルコム(639件)となった。上位10位の出願人のうち、韓国のサムスン電子、第4位の東京エレクトロン(555件)、第6位の韓国の韓領(454件)、第7位のオランダのASML(309件)、第10位の米国のLam Research(264件)の三種の専利出願件数は、いずれも過去最高となった(表2参照)。
2023年の外国人による三種の専利出願件数上位100位の件数は14,910件(2%増)で、そのうち特許は13,350件、実用新案は185件でいずれも2%増の成長となり、意匠も1,375件で5%増の成長となった(図3参照)。

智慧局公布の2023年専利出願ランキング上位100位の関連図表・統計については、上記リンク先智慧局サイトの檔案下載「新聞稿_智慧局公布112年專利百大排名_圖表」(中国語)を参照。

(2024.02.15 智慧局ニュース全訳)
1-6 「2024日台知財シンポジウム」開催成功 参加者及び支援に感謝
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-933698-50bca-1.html
「2024年日台知財シンポジウム」が2023年2月2日(金)、台湾日本関係協会及び日本台湾交流協会の共同主催、経済部智慧財産局の後援により、台湾大学法律学院霖澤館にて開催された。台湾日本関係協会の林慶鴻・副秘書長、日本台湾交流協会の服部崇・副代表、智慧局の廖承威・局長が来賓挨拶を行ったとともに、日本国特許庁の清水幹治・総務部長より本シンポジウムを総括してのコメントが述べられた。
シンポジウムには日本特許庁意匠課の大峰勝士・意匠制度企画室長、知的財産及び商業裁判所の蔡恵如・庭長、智慧局専利行政企画組の徐銘夆・専利シニア審査官、日本の黒田薫・弁護士が講師として招聘され、日本意匠法のデジタル意匠についての保護、メタバースと意匠の関係、日本の意匠権の活用事例、及び台湾における意匠の司法実務等の重要な議題について詳細な紹介がなされた。
まず、大峰勝士・室長から、日本意匠の法制度、近年における日本意匠関連画像、建築物と内装等の出願動向、関連意匠の実務応用、及び画像に関する審査基準の改訂ポイント等が紹介された。徐銘夆・シニア審査官からは、今注目を集めるメタバース及びクロスボーダー実務における意匠保護、例えば米国のデトロイト・レッドウィングスの権利侵害案件、EUのCandy Crush仮想キャンデイ無効事件等の世界の関連事例の分析について、紹介された。また、日本の黒田薫・弁護士からは、日本意匠権の活用に関する事例や日本意匠権の権利侵害を判断する認定基準について共有された。最後に、知的財産及び商業裁判所の蔡恵如・庭長から、台湾での具体的な司法事例をもって、全体観察を「共通する特徴」と「異なる特徴」とに照らし、一般の消費者が類似であるか否かを認定する方法、視覚的効果の判断で注意すべき重点を含め、部分意匠の裁判所における判断過程について、解説があった。
今回のシンポジウムには、産学官界等から140人を超える人が参加し、日台双方の専門家と充分な意見交換及び経験交流を行い、会場は熱気にあふれた。智慧局では、今回のシンポジウムでの法制度の紹介及び実務分析をとおして、各界が日台意匠制度及び司法実務についてより全面的な理解ができるよう協力すると共に、台湾企業が日本で意匠出願、意匠ポートフォリオ展開の参考となることを希望している。

(2024.02.21 関務署ニュース全訳)
1-7 税関が実施した知的財産権水際保護の2023年度の実績
財政部関務署は、知的財産権保護の実施を政府の重要な施策目標として挙げており、知的財産権侵害貨物の輸出入の根絶のため、税関では従来積極的に水際摘発を行っている。2023年に水際摘発された知的財産侵害事件は合計326件で、そのうち323件が輸入で全体の99.08%を占めており、模倣品の数量は8万7千件以上に上り、権利侵害市場価格は6億9千万台湾元(約32億9千万円)となり、摘発の成果は素晴らしいものとなった。
関務署の説明によると、税関が近年摘発した模倣品の多くが宅配による輸入で、関務署の統計によると2023年に海運・空運の宅配便で摘発された権利侵害案件数は合計292件で、通年案件数の89.5%を占めており、摘発された模倣品の類別は、3C製品(30,231件)、化粧品(20,687件)、服飾(11,538件)及び薬品(9,492件)がほとんどで、多くは日用品であり、これらの模倣品は一旦台湾内の市場に流入すると、消費者の権益と健康を損なうだけでなく、合法業者の売り上げにも、そして台湾の国際的イメージにも影響する。
関務署はまた、権利侵害貨物の輸出入防止のため、税関ではリスク管理メカニズムを応用し、高リスクエリア及び業者からの貨物のチェックを強化するだけでなく、権利者と積極的に協力して定期的に真贋識別講座を開催し、職員の摘発知識及び模倣品識別技能を増進し、同時に他の法執行機関との連携を強化し、定期的に知的財産権保護協力会議に参加し、情報交換と意見交流を通じて、共同で摘発実績を高めていくと説明した。
最後に、関務署は、模倣品・海賊版の摘発は、合法を保障し不法を撲滅するもので、税関が実施する水際管理の責務と義務であり、税関は引き続き職員の専門知識・能力を向上させ、模倣品及び海賊版の輸入を撲滅して、水際の安全確保と公正な国際貿易環境の向上に精進すると述べた。

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