発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.359)
発行年月日:2024年1月31日発行
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2024年1月18日 智慧局ニュース全訳)
1-1 智慧局が風力発電技術の分析で2050ネットゼロ支援
(2024年1月19日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「商標登録出願の加速審査作業手続」草案を公告
(2024年1月19日 智慧局ニュース全訳)
1-3 「商標法施行細則」一部条文改訂予告
(2024年1月19日 智慧局ニュース全訳)
1-4 「商標手数料徴収基準」改訂予告
(2024年1月22日 智慧局ニュース全訳)
1-5 智慧局「知的財産権情報サービスクラウド」 2024年1月22日より「インターネット公報サービス」の提供開始
(2024年1月25日 智慧局ニュース全訳)
1-6 WIPI 2023と直近5年の台湾産業における商標出願動向分析
1.智慧局ニュース
(2024.01.18 智慧局ニュース全訳)
1-1 智慧局が風力発電技術の分析で2050ネットゼロ支援
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-932536-99c00-1.html
台湾は2021年4月22日、2050年までにネットゼロ達成を目指す世界の取り組みに参加することを宣言し、エネルギー転換を積極的に推進している。洋上風力発電の自主開発を推進し、洋上風力発電機のサプライチェーンの国産化を促進するため、智慧局は世界の風力発電機のタービンと鋳物製造技術を分析し、台湾の風力発電関連業者が世界の専利技術の発展動向を掌握できるよう支援している。
洋上風力発電の産業チェーンにおいて、風力発電のタービンは風力エネルギーの取得に鍵となる部品であり、その構造外観、製造過程及び材料のいずれも相当高度な技術的ハードルがある。同様に、風力発電機の大型化に伴い、その鋳物製造時の鋳型の構造、放熱方法及び球状化結晶の過程にも高度な技術のサポートが必要である。智慧局は、台湾の風力発電関連業者がより先見性のある発展戦略を制定して、自発的な研究開発力を向上することができるよう、世界における風力発電のタービンと鋳物製造の専利技術を深く分析し、専利分析報告書2部を完成させた。
智慧局はDerwent Innovationの専利データベースと全球専利検索システム(GPSS)を利用して、2013年~2022年の世界の風力発電のタービンに関する専利技術を合計14,798件収集し、「タービン構造」、「タービンの製造工程」、「タービン化合物」等のコア技術をテーマに分析を進めた。
智慧局の統計によると、風力発電機タービンの専利公開/公告件数上位3位の国又は地域は、それぞれ中国、米国及び欧州で、これら3か国又は地域の出願件数は世界の総出願件数の五割以上を占めており、かつ、中国の専利件数はその他の国又は地域よりはるかに多かった。また、風力発電機タービンの専利出願人の国籍上位5位の国は、中国、デンマーク、ドイツ、米国、日本で、そのうち中国の出願人による他国への出願比率は最も少なく、中国は本土での研究開発出願をメインとしていることが分かる。
タービン構造技術のテーマにおいて、避雷技術、除氷技術の専利件数が比較的多く、出願件数第一位は米ゼネラル・エレクトリック(General Electric Company)であった。タービン製造工程技術のテーマにおいては、ブレード材技術、カスケード技術の専利件数が比較的多く、出願件数第一位はこちらもゼネラル・エレクトリック(General Electric Company)であった。タービン化合物技術のテーマにおいては、高分子化合物技術の専利件数が比較的多く、出願件数第一位は東レであった。
智慧局によると、台湾の風力発電機タービン技術の専利出願件数は比較的少ないため、関連業者は、中国、米国及び欧州の専利技術を参考にして関連する技術開発を進めることを提案する。また、台湾の業者が風力発電機ブレードの専利技術の世界的ポートフォリオ展開と研究開発競争力を向上できるよう、「ブレード構造」、「ブレード製造工程」、「ブレード化合物」に分けて各技術テーマの専利出願戦略を提案している。
風力発電機の鋳物製造については、智慧局の統計では、2013年~2022年の世界の風力発電機鋳物製造に関する専利技術は合計1,547件であり、「砂型鋳造」、「鋳物放熱」、「球状化衰退の防止」等のコア技術をテーマに分析しており、そのうち、専利公開/公告件数及び専利出願人の国籍はいずれも中国が最多であった。
智慧局の統計によると、砂型鋳造技術のテーマにおいてはクランプ構造技術の専利件数が最多、鋳物放熱技術のテーマにおいては水冷技術の専利件数が最多、球状化衰退防止技術のテーマにおいては球状化剤放置技術の専利件数が最多であった。智慧局によると、風力発電機の鋳物製造専利の大部分は中国に集中しており、台湾の専利出願件数は多くないことから、台湾の関連業者は、中国の専利技術を参考にして関連技術の開発を行ってはどうかと提言した。
智慧局では、近年積極的にサービス産業向けにカスタマイズ化された指導を提供しており、2023年には台湾本土の主要メーカーに対し、風力発電機ブレードと鋳物製造技術の専利ポートフォリオと開発に協力するため、この2本の専利分析報告書を完成させ、先見的な技術発展戦略制定の参考となるよう提供しており、メーカーからはいずれも肯定的な意見とフィードバックを得ており、智慧局が尽力している産業指導においてすでに成果がみられ、また、産業界からも認められていることが分かる。智慧局は引き続き台湾産業の国際競争力向上のため、台湾の重点産業技術について専利ポートフォリオと開発に協力していく。
※上記報告書については、下記リンク先の「相關連結」からダウンロード可能(中国語)。
www.tipo.gov.tw/tw/cp-938-930417-a3690-1.html
(2024.01.19 智慧局ニュース全訳)
1-2 「商標登録出願の加速審査作業手続」草案を公告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-932676-bdda3-1.html
1. 商標法(以下、「本法」と称する)は2023年5月24日に改正公布されたが、本法で新しく加速審査手続が構築されたことに合わせ、また、商標出願人が加速審査の要件に符合しその適用状況について理解し予見できるよう、「商標登録出願の加速審査作業手続」草案(以下、「本作業手続草案」と称する)を制定し、案件審理の根拠とする。
2. 本作業手続草案の制定ポイント:
(1) 加速審査が適用される案件の類型について明文化:商標出願で指定する商品又は役務がすでに全部又は一部のみ使用されている、又は使用のためにすでに相当程度の準備が進んでいる等の状況の2つの適用タイプに区分し、出願人が商業上で権利を主張する必要性及び緊急性がある等の状況を例示し、適用に役立てる。
(2) 加速審査の申請手続を明文化:加速審査の申請主体、申請する時点、一申請一件の原則、出願人が明記すべき事実理由及び添付すべき証拠、支払うべき手数料及び返金できる状況について詳細に規範する。
(3) 加速審査に必要な時間を明確化:加速審査は手数料納付が完備した日から受理することを明文化。書類が完備されていない場合、申請受付後10作業日以内に補正を通知しなければならず、面談方式で書類往復時間を節約することもできる。受理後2か月以内に最初の審査通知を発行し、出願人の補正又は応答後15作業日以内に査定結果を発行する。
3. 本作業手続草案の内容について、ご意見、お問い合わせがある場合15日以内に提出すること(ご意見は下記商標権組の電子メールに送付)。本局では関連するご意見を整理後、本法の改正条文施行日に併せて実施を発表する。
商標権組電子メール:ipotr@tipo.gov.tw
※「商標登録出願の加速審査作業手続」は上記智慧局リンク先の「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロード可能(中国語)。
(2024.01.19 智慧局ニュース全訳)
1-3 「商標法施行細則」一部条文改訂予告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-932690-4b2fc-1.html
経済部公告
発行日:中華民国113年(2024年)1月18日
発行号:経授智字第11352800040号
添付:「商標法施行細則」一部条文改訂草案(総説明及び条文対照表)
主旨:「商標法施行細則」の一部条文改訂予告。
依拠:行政手続法第151条第2項を準用する第154条第1項。
公告事項:
一、 改訂機関:経済部
二、 改訂依拠:商標法第110条
三、 商標法施行細則一部改訂草案については、上記リンク先の智慧局サイト「檔案下載(ファイルをダウンロード)」の「商標規費收費標準修正草案」(中国語)を参照。本案については別途「経済部主管法規査詢統/草案預告論堂壇」(https://law.moea.gov.tw/DraftForum.aspx)よりリンク可能(中国語)。
四、 公告内容にご意見等がある場合、本公告掲載日の翌日より60日以内に以下まで意見を提出するか、又はお問合せいただきたい。
1. 担当部署:経済部智慧財産局商標権組
2. 住所:台北市大安区辛亥路2段185号3F
3. 電話:(02)2376-6142
4. FAX:(02)2735-9095
5. E-mail:商標権組(ipotr@tipo.gov.tw)
(2024.01.19 智慧局ニュース全訳)
1-4 「商標手数料徴収基準」改訂予告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-932692-48c19-1.html
経済部公告
発行日:中華民国113年(2024年)1月18日
発行番号:経授智字第11352800050号
添付:「商標手数料徴収基準」改訂草案(総説明及び条文対照表)
主旨:「商標手数料徴収基準」の改訂予告。
依拠:行政手続法第151条第2項を準用する第154条第1項。
公告事項:
一、 改訂機関:経済部
二、 改訂依拠:商標法第104条
三、 商標手数料徴収基準の改訂草案については、上記リンク先の智慧局サイト「檔案下載(ファイルをダウンロード)」の「商標規費收費標準修正草案」(中国語)を参照。本案については別途「経済部主管法規査詢統/草案預告論堂壇」(https://law.moea.gov.tw/DraftForum.aspx)よりリンク可能(中国語)。
四、 公告内容にご意見等がある場合、本公告掲載日の翌日より60日以内に以下まで意見を提出するか、又はお問合せいただきたい。
1. 担当部署:経済部智慧財産局商標権組
2. 住所:台北市大安区辛亥路2段185号3F
3. 電話:(02)2376-6142
4. FAX:(02)2735-9095
5. E-mail: 商標権組(ipotr@tipo.gov.tw)
(2024.01.22 智慧局ニュース全訳)
1-5 智慧局「知的財産権情報サービスクラウド」 2024年1月22日より「インターネット公報サービス」の提供開始
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-932671-9667c-1.html
一、 政府のクラウド政策に対応し、また、民衆へのサービスの質向上のため、本局は2021年より「知的財産権情報サービスクラウド計画」を推進し、パブリッククラウドを運用したクラウドサービスの応用プラットフォームを打ち出している。すでに知的財産権オープンデータ、商標検索及び登録証検索など多くのサービスを続々と導入し、外界が更に迅速且つ着実に知的財産権情報を取得できるよう、台湾知的財産権の電子化環境を完璧に整えることを目標としている。
二、 本局はすでに「インターネット公報サービス」のサービスクラウドプラットフォームへの移転運用を順調に完成させ、即日より対外的に開放使用を行っている。パブリッククラウドプラットフォーム及びクラウド化技術を通して、本局の情報サービスの高可用性及び拡張性の向上が期待される。各界多いにご利用いただきたい。
三、 旧サービスURL (https://tiponet.tipo.gov.tw/Bulletin)は、2024年3月20日より対外サービスを終了するため、新URLを多いにご利用いただきたい(新URL:https://cloud.tipo.gov.tw/S220/gazette/trademark)。また、お問合せ等は、下記までご連絡いただきたい。
(智慧局資訊室(情報室)、E-mail : ipoid@tipo.gov.tw)
インターネット公報サービスは、上記リンク先の智慧局サイトの「相關連結(関連リンク)」よりリンク可能。
(2024.01 .25 智慧局ニュース全訳)
1-6 WIPI 2023と直近5年の台湾産業における商標出願動向分析
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-932884-43967-1.html
WIPOが2023年11月6日に公布した2023年の世界知的財産権指標報告(World Intellectual Property Indicators 2023:WIPI 2023)は、2022年における世界の商標方面の出願総数、登録総数、平均OA期間及び審査終結期間、審理結果統計、各国GDP平均類別数及び一人当たりの類別数等の資料を公開している。そこで台湾の2022年データとWIPI 2023について、簡単な分析及び比較を行い、「2018~2022年における産業の商標出願の趨勢分析」報告を提出する。観察ポイントは以下のとおり:
一、2022年世界の商標出願件数及び区分数について、2009年より12年連続で続いた成長傾向に終止符が打たれ、2020年と2021年の2年間に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の出願が激増した後、2022年の商標出願件数は前年比15.7%減及び区分数は前年比14.5%減の大幅減少となった。商標出願はすでに比較的正常な水準にまで回復しているが、出願件数は2008年の3倍半となった。中国の商標出願区分数は751.3万件あまりに達し、依然として1位を占め、2位米国の76.7万区分の10倍近くも多く、台湾の出願区分数は12.2万件あまりで、世界18位にとなり前年比で順位を1つ下げた。また、台湾の登録区分数は10.2万区分超となり、同様に世界18位となった。
二、2022年の台湾の商標出願件数及び区分数はそれぞれ前年比1.17%減、0.68%減となったが、直近5年間の出願件数の成長幅は11.7%となり、区分数は11.2%成長し、出願件数の成長幅は依然として高水準となった。
三、台湾における外国人出願とWIPOにおける非母国出願の上位4大産業区分は同様で、順に「技術研究」、「健康医療事務」、「服飾装飾品」、「レジャー教育」で、構成比も同様となった。国際平均水準と比較し、台湾における外国人出願の「健康医療事務」分野の占める割合はWIPOデータより多く、外国人出願人が台湾での当該分野におけるブランド発展の潜在力を重視していることを示している。
世界は2019~2021年までコロナウイルス感染症の影響を受け、短期間の間、産業は打撃を受け、経済・貿易は衰退することとなったものの、企業は引き続きビジネスチャンスを求め、積極的な起業家精神をもって、コロナウイルス感染対策で必要な商品やサービスを開拓し、世界の商標出願の動きは激増しピークに達した。2022年に感染状況が落ち着いた後、企業は依然として高インフレ率、生活コスト上昇などを含む経済危機と地政学の不安定さに直面し、世界経済は完全に回復していないものの、世界では依然として1,550万超の区分を含む1,180万件近くもの商標出願がなされている。一方で、台湾全体の経済はわずかながら影響を受けたが、経済・貿易活動は少しずつ正常に回復し、年間の出願件数は9.5万件に達し、区分数は12万区分を超え、世界18位にランクインした。外国人による商標出願の区分数が占める割合は29%と小幅に減少したが、台湾は民主主義法治及びクリーンな制度が完備されており、経済環境は開放的で透明性が高く、最近の政策・施策も積極的に外国企業の台湾投資を推進しており、またアジア太平洋の戦略的に重要な立場にあり、知的財産権の保護についてもトップクラスで、長期的にみても積極的なプラス成長が見込まれる。
当該分析に関心がある方は、下記リンク先の「商標主題網」の中の「産業申請商標案件趨勢分析」(中国語)を参照のこと(https://topic.tipo.gov.tw/trademarks-tw/lp-914-201.html)。近年の出願傾向と最近の産業発展を通じて、産業情勢、ブランド発展及び市場動向の評価を理解するための参考指標となっている。
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