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知財ニュース346号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.346)
発行年月日:2023年6月15日・30日合併号

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2023年5月31日 智慧局ニュース全訳)
1-1 「専用権放棄声明の審査基準」及び「専用権放棄声明をする必要がない例示事項」を改訂し、2023年8月1日より施行
(2023年6月5日 智慧局ニュース全訳)
1-2 グリーン商標分析報告を発表 統一企業が機先を制す
(2023年6月15日 智慧局ニュース全訳)
1-3 商標登録出願にかかる使用を指定する商品・役務名称と参考資料検索の変更のお知らせ
(2023年6月20日 智慧局ニュース全訳)
1-4 智慧局の知財認証が即日よりモバイル認証申請受付開始

2. 知的財産権紛争
(2023年6月8日 工商時報第A15面全訳)
2-1 テレビ用チップ戦 リアルテックがメディアテックを米で提訴

1.智慧局ニュース

(2023.05.31 智慧局ニュース全訳)
1-1 「専用権放棄声明の審査基準」及び「専用権放棄声明をする必要がない例示事項」を改訂し、2023年8月1日より施行
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-923046-610c1-1.html
経済部令
発行日:2023年5月31日
発行号:経授智字第11252800450号
「専用権放棄声明の審査基準」及び「専用権放棄声明をする必要がない例示事項」を改訂し、2023年8月1日付で発効する。

改訂「専用権放棄声明の審査基準」及び「専用権放棄声明をする必要がない例示事項」を添付する。(上記リンク先サイト「檔案下載」(ファイルをダウンロード)を参照。)

経済部部長 王美花

(2023.06.05 智慧局ニュース全訳)
1-2 グリーン商標分析報告を発表 統一企業が機先を制す
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-923001-96d11-1.html
業界が台湾のグリーン商標出願の動向を把握し、ネットゼロのポートフォリオ展開の際に役立つよう、智慧局は台湾のグリーン商標の各区分の出願動向を整理・分析し、「台湾における直近10年のグリーン商標産業の比較分析」報告を完成させた。その中で、台湾の統一企業株式会社(以下「統一企業」と称する)、米国のアップル及びケイマン諸島のアリババグループホールディングスのグリーン商標の出願件数が上位となった。
商標は商品又は役務の出所を示すと同時に現在の市場と経済の動向の指標でもある。世界が温暖化で発熱中の地球を救い緑の大地に戻すため積極的に努力しており、技術面の介入だけでなく、知的財産権における商標においてもこのネットゼロ競争の重要な一環となっており、多くの大企業のブランドが炭素削減のポートフォリオを進めている。
智慧局が完成させた分析報告は、欧州連合の特許庁による欧州連合グリーン商標研究を参考にしたもので、商標出願に採用されている「商品及び役務のニース分類(Nice Classification)名称」から選抜し、さらに整理して「エネルギー製品」、「運輸」、「省エネ」、「リユース/リサイクル」、「汚染制御」、「廃棄物管理」、「農業」、「エコ意識」、「気候変動」等の9大区分、35の小区分のグリーン商品に変換し、当該区分の商標出願件数に占めるグリーン商標の割合を分析し、企業のグリーン商標ポートフォリオ展開及びグローバルな気候変動に応じたネットゼロ戦略の参考となるよう提供したものである。
分析報告の指摘では、直近10年の台湾でのグリーン商標の登録出願総数に占める割合は約15%であり、全体を観察すると、前期(2013~2015年)では平均約12.41%で、中期(2016~2019年)では平均約14.72%、後期(2020~2022年)では、平均約15.87%と、引き続き成長傾向にあり、企業がグリーン商標のポートフォリオ展開をますます重視してきていることが明らかである。また、グリーン製品の9大区分それぞれの割合状況から見ると、上位3つは順に「省エネ」、「汚染制御」、「エネルギー製品」であり、その総件数はグリーン商標登録出願件数の8割以上を占めており、産業界の商標ポートフォリオ展開はこれら3分野が重点となっていることが分かる。
智慧局によると、グリーン商標の出願件数を国別で見てみると、台湾が最も多く、次いで、中国、日本及び米国となっている。中国は運輸、省エネ、汚染制御、廃棄物管理方面の分野での出願が多く、日本は省エネ、気候変動を除き、各大区分のいずれにおいても上位3位になっており、米国はエネルギー製品、省エネ、リユース/リサイクル、エコ意識、気候変動の方面の出願が多かった。
また、9大区分の各上位3位の出願人ランキングによると、統一企業、米国アップル及びケイマン諸島のアリババグループホールディングスが重複してランクインしており、台湾のグリーン商標出願の大口顧客とも言える。特に、「エネルギー製品」、「省エネ」、「廃棄物管理」の3分野の上位2社はいずれも統一企業、米国アップルとなっている。特に、統一企業は、第2、第7区分だけでなく、各区分においても上位3位にランクインしており、当該企業の台湾深耕、及びネットゼロ推進に努力する決意をうかがうことができる。
智慧局は、ネットゼロのグリーン目標実現のため、新製品を市場に売り出し、既存の製品を改良又は設計し直し、より永続性を持たせることは、ブランド所有者と消費者にとって、エコ要素がすでにより重要になったものであると強調した。グリーン商標は、ブランドをより消費者の目に留まらせ、その企業ブランドの永続的価値を展示できるもので、企業においてはグリーン商標のメリットを善用して市場のビジネスチャンスをつかむため、早めにグリーン商標のポートフォリオ展開を進めることをお勧めする。
なお、報告資料は下記リンク先の「我國近十年綠商標產業之比較分析(中国語PDF)」からダウンロード可能。
topic.tipo.gov.tw/trademarks-tw/lp-985-201.html

(2023.06.15 智慧局ニュース全訳)
1-3 商標登録出願にかかる使用を指定する商品・役務名称と参考資料検索の変更のお知らせ
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-923836-76d6a-1.html
「商品・役務の国際ニース分類」第12版の改訂に合わせ、商標登録出願にかかる使用を指定する商品・役務の名称、総計544項目の追加、80項目の削除、また36項目のグループ・小類別の名称又は備考事項の追加・削除・修正を行った。詳細は上記リンク先の智慧局サイトの「檔案下載」(ファイルをダウンロード)を参照(中国語)。
以上の変更は2023年7月1日より実施し、商標電子出願システム内の「使用を指定する商品・役務の類別及び名称」を同時に更新する(システム資料の正式な更新日程は、本局情報室の公告を基準とする)。
出願人が「ファストトラック」の運用を希望し、2023年7月1日以降、商標電子出願システムを通して登録出願する場合、願書に記載した使用を指定する商品・役務の名称と電子出願システム内の内容が異なるとして、「ファストトラック」の条件に符合せず、減免優待が受けられないことがないよう、最新の変更内容を確認すること。
「商標登録出願にかかる使用を指定する商品・役務名称(変更後の新バージョン)」の全ての類別資料は、即日より下記商標検索システム「商品及服務名稱分類査詢(中国語)」よりダウンロード可。
cloud.tipo.gov.tw/S282/OS0/OS0101.jsp

(2023.06.20 智慧局ニュース全訳)
1-4 智慧局の知財認証が即日よりモバイル認証申請受付開始
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-923851-2356d-1.html
1. 電子出願サービスの優良化、モバイル使用の利便性向上のため、商標のオンライン出願、ダッシュボード、マイページ等に関するサービスのモバイル認証サイン及び身分証認証システムを支援すべく、智慧局は台湾ネットワーク認証会社(TWCA)にモバイル認証の発行を委託した。
2. 前述のモバイル認証の申請は、上記智慧局ウェブサイトのリンク先からダウンロード可能な申請書に記載、又はTWCAのウェブサイトに基本資料を入力した後、関連書類を添付のうえ、直接TWCAの台北本社又は智慧局の新竹、台中、台南及び高雄のサービスセンターにてモバイル認証申請を行うことができる。
3. モバイル認証申請の手続きについては、上記智慧局ウェブサイトのリンク先からダウンロード可能な「行動憑證申請及登入步驟說明(モバイル認証申請及びログイン手続きの説明)」を参照のこと。

2.知的財産権紛争

(2023.06.08 工商時報第A15面全訳)
2-1 テレビ用チップ戦 リアルテックがメディアテックを米で提訴
ICチップメーカーの瑞昱半導体(リアルテック)が、米国カリフォルニア州北部地区連邦裁判所でライバルである聯発科技(メディアテック)を提訴した。
裁判所の書類によると、リアルテックはメディアテックが業務を妨害し、スマートテレビとセットトップボックス(STB)用チップ市場を独占することをもくろみ、特許訴訟を専門とする知財ブローカーIP Valueと協議の上、「訴訟奨金」を支払う形で、リアルテックに対し特許訴訟を提起したと指摘している。
これに対しメディアテックは、当該事件はすでに司法手続きに入っていることからコメントは控えるとした。リアルテックは不公平な競争であると強調するだけでなく、公共の利益を守る立場を繰り返し、具体的な求償金額は裁判所の裁決にゆだねるとした。
営業規模から見ると、メディアテックとリアルテックはそれぞれ台湾のIC設計の第1位と第3位である。メディアテックの主な製品ラインは、Dimensityシリーズのスマートフォン用チップセットで、リアルテックはPCとネットワーク通信、特にAudio Codec(音声データのエンコード)分野において頭角を現している。
リアルテックは米国連邦裁判所の書類の中で、メディアテックはIPValue Management Inc傘下の子会社であるFuture Link Systems LLCと2019年に特許ライセンスの協議書にサインし、その中には、メディアテックのライバルであるリアルテックに対してFuture Linkが特許訴訟戦をしかけることを推奨する「訴訟奨励金」についての協議事項も含まれていたと指摘。リアルテックはFuture LinkとIPValueも同時に被告として挙げ、両者を「隠れたヘンチマン(hired henchmen)」と称した。
裁判所の書類の中で、メディアテックは世界のテレビ用チップ市場で60%に近いシェアを有しており、メディアテックは特許訴訟を利用してクライアントにリアルテックはテレビ用チップの信頼できないサプライヤーで、市場発展に影響を及ぼす可能性があると暗示し、リアルテックを市場から追い出す意図があったと指摘した。
また、リアルテックは、今回の訴訟提起は当該業務の自由と公平な競争を保護し、大衆がより大きな傷を負わないよう防止するためであるとして、反トラスト法(独占禁止法)での提訴は、市場の選択性を増加し、他のメーカーも競争で産業発展を促進できるようにするためであるとした。
リアルテックは、金銭的損失(金額不明)の賠償と、メディアテックらのこのような行為を終わらせることを要求し、もし賠償金を獲得できれば寄付するとしている。
法人によると、メディアテックは2018年に晨星(morning star)を合併した後、世界のTV用システム・オン・チップ(SoC)の出荷シェアは6割を超えており、テレビブランドメーカーにとって、ビジネス価格協議を維持する手段のため、二番目に大きいサプライヤーである聯詠(ノバテック)、リアルテック等に問い合わせることとなっている。リアルテックはテレビのSoCの売り上げに占める割合は約13%で(2021年の年報)、主力製品ではないものの、訴訟という争いのもと、やはり訴訟費用、弁護士費用等といった一定の損失が生じることとなる。
法人によると、リアルテックの今回の行動は、会社運営について重大な影響があったものではなく、戦で戦を止めるべく、またこれにより交渉の余地があればより多くの市場シェアを獲得したいという希望があるものとみている。。

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