•  

知財ニュース335号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.335)
発行年月日:2022年9月30日・10月15日・10月31日合併号

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2022年10月27日 智慧局ニュース全訳)
1-1 2022年第3四半期の知的財産権動向
2. 法律・制度
(2022年9月29日 行政院ニュース全訳)
2-1 産業の国際競争上の優勢性向上 「知的財産及び商業法院組織法」の一部条文改正草案、「知的財産案件審理法」改正草案が行政院を通過

1.智慧局ニュース

(2022.10.27 智慧局ニュース全訳)
1-1 2022年第3四半期の知的財産権動向
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-914737-16083-1.html
2022年第3四半期における特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数は18,174件で前年同期比0.2%微増となり、商標登録出願件数は25,310件で前年同期比2%増と小幅成長となった。特許出願においては、昨年同期比3%増となり、台湾の高等教育機関、研究機関及び金融三業の出願件数が、それぞれ前年同期比9%~22%増となり、外国人による出願件数は5%増となった。特許出願人において、台湾法人では台湾積体電路製造(TSMC)が出願件数277件で連続7年の1位となり、外国法人ではクアルコムが220件で最多となった。商標登録出願では、「農業食材」、「商業金融」、「健康医療事務」産業が最も多く、台湾人では「農業食材」産業(5,866件)、外国人は「技術研究」産業(1,918件)が最も多かった。商標登録出願人において、台湾法人では統一企業が出願件数191件でトップとなり、外国法人ではIPPLUSが150件で最多となった。

<専利出願>
特許出願件数はプラス成長
台湾が出願受理した特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数のうち、特許は12,555件で最多となり、前年同期比3%増とプラス成長となった。これは外国人出願人による出願件数が増加したことが主因であるが、実用新案と意匠はいずれもマイナス成長とあり(表1参照)、全体では微増となった。

TSMC及びACERが台湾法人による特許及び意匠出願件数で最多
台湾企業全体の特許出願件数は3,704件で、前年同期比1%減となり、その中で大企業による出願件数は3.020件で0.3%微増、中小企業による出願件数は684件で減少となった(図2参照)。
台湾人出願人による特許出願件数上位10社では、工業技術研究院(ITRI)が唯一の研究機関で、その他はいずれも企業となった。出願件数では、TSMCが277件で、第3四半期でいえば、すでに7年連続で台湾人出願人の第1位となった。成長率では、聯華電子(UMC:118件)及び群創(INNOLUX:89件)の出願件数は昨年同期の少なかった件数に比べて、それぞれ1,375%と4,350%の成長率で顕著な成長を見せ(図4参照)、件数においてもそれぞれ2012年以来の第3四半期統計の最高となり、UMCの第2位は同社の歴代最高順位となった。
意匠については、出願件数上位5位はいずれも企業で、その中でACERが40件で最も多く、昨年同期と同じく台湾人出願人による意匠出願の第1位となり、TYUが15件(150%増)で、成長率が最大となった(図5参照)。

台湾の高等教育機関、研究機関及び金融三業による特許出願件数がいずれもプラス成長
台湾の高等教育機関による特許出願件数は454件で、昨年同期比9%増となり、公立私立学校ともいずれも出願件数が増加した(図2、図6を参照。)出願人別では、成功大学が36件で高等教育機関における1位となり、私立大学では崑山科技大学が28件で最多となった。成長率では中央大学が375%増で最多となった(表2参照)。
研究機関による特許出願件数は132件(14%増)で、その中で工業技術研究院(ITRI)が47件で最多となった(図2、表3参照)。また、金融三業による特許出願件数は62件(22%増)で、兆豊国際商業銀行が13件で最多となった(表5、図7参照)。

外国人出願人による特許出願件数は5%増
外国人出願人による専利出願は特許が中心で、特許出願件数7,779件、前年同期比5%増となった(表1参照)。国(地域)別出願件数上位5か国では、日本が2,942件で最も多く、米国(1,973件)、中国(1,006件)、韓国(689件)はそれぞれ9%~36%増加し、急速な成長となった。また、意匠出願においても日本が197件で最多となった(図3参照)。

クアルコム及びフィリップスがそれぞれ外国人出願人による特許及び意匠出願件数の最多
外国法人出願上位10社のうち、特許の出願件数においてはクアルコムが220件で最も多く、次いでアプライド・マテリアルズが218件で2位になった(図4参照)。意匠出願件数上位5位では、フィリップスが49件で最多となり、アップルとカルティエが29件で同数2位となった(図5参照)。

<商標登録出願>
商標登録出願件数が小幅な成長
商標登録出願件数は25,310件(32,105区分)で、前年同期比2%増となった。台湾人による出願件数は19,789件、前年同期比4%増となり、外国人による出願件数は5,521件で前年の同時期に比べ微減となった(表1、図8参照)。また、台湾人による商標登録出願件数の商標総出願件数全体に占める割合は78%で、前年同期比1%増となった(図1参照)。

統一企業が台湾の商標登録出願件数におけるトップ
台湾人による出願類別上位5位において、第35類(広告、企業経営及び小売・卸売役務等)が4,071件と最も多く、第41類(教育、娯楽)が18%増で成長率が最も大きくなった(図9)。出願人上位10社の出願件数はほぼ増加しており、統一企業が出願件数191件でその他の出願人を遥かにリードした。(表6参照)。

IPPLUSが外国人による商標登録出願件数における最多
国(地域)別の商標出願件数上位5位は、中国(1,153件)が最も多く、米国(808件)がマイナス成長となり、日本(980件)、韓国(472件)、シンガポール(458件)がそれぞれ26%~263%増加しており、積極的にポートフォリオを展開している(図3参照)。区分別上位5類では、第9類(コンピュータ及びテクノロジー製品等)が1,089件で最多となり、第3類(化粧品、洗浄剤等)が629件で10%増の急成長となった(図10参照)。外国人出願人全体の出願件数は減少したものの、上位10社の出願件数はいずれも増加しており、なかでもシンガポールのIPPLUSが初の台湾商標登録出願で150件と最も多かった(表7参照)。

台湾人・外国人出願人による商標登録出願はそれぞれ「農業食材」及び「技術研究」産業に集中
産業においては、台湾が受理した商標登録出願は「農業食材」(6,913件)、「商業金融」(5,423件)、「健康医療事務」(4,900件)が最多となった。台湾人出願人では「農業食材」(5,866件)が最も多く、主にレストラン及び宿泊の商標に集中している。外国人出願人による出願件数では、「技術研究」(1,918件)が多かった(図11参照)。
上位3産業のうち、台湾人出願人による「商業金融」産業の出願件数は2021年第3四半期に増加したが、今季は横ばいとなっており、「農業食材」及び「健康医療事務」は減少となった。外国人出願人では、直近2年の「技術研究」及び「健康医療事務」産業の件数が減少したが、「服飾装飾品」産業の件数が2年連続で増加している(図12参照)。

2.法律・制度

(2022.09.29 行政院ニュース全訳)
2-1 産業の国際競争上の優勢性向上 「知的財産及び商業法院組織法」の一部条文改正草案、「知的財産案件審理法」改正草案が行政院を通過
専門的で適切及び迅速に知的財産案件を審理し、産業の国際競争上の優勢性向上のため、行政院は本(29)日、司法院より送られた「知的財産及び商業法院組織法」の一部条文改正草案、「知的財産案件審理法」改正草案を可決し、今後行政院及び司法院連名で立法院の審議へと送られる。
行政院の蘇貞昌・院長は、産業の国際競争上の優勢性向上のため、更に専門的で効率が良く国際潮流に符合した知的財産訴訟制度を構築し、専門的で適切及び迅速に知的財産案件を審理できるようにするため、今回の改正で制度的な改革を行うことが必要であると述べた。
蘇・院長は、本案は立法院の審議に送られた後、経済部、法務部が積極的に司法院及び立法院の与野党各党団と意思疎通を取り、一日も早く改正手続きが完成するよう要請すると示した。
上述した改正草案のポイントは以下のとおり:
一、「知的財産及び商業法院組織法」一部条文改正草案について:
(1)知的財産及び商業法院の管轄案件を改正する。(改正条文第3条)
(2)知的財産及び商業法院の審判案件は原則的に3名の裁判官による合議制で行うことを明文化し、並びに例外的に1名の裁判官による単独審判とすることができる状況も明文化する。(改正条文第6条)
(3)知的財産法廷・商業法廷の廷長の任命、裁判官の改任又は選抜の類別及びその審判事務を行う類別の制限を改正する。(改正条文第9条、第10条及び第15条)
(4)商業調査官の任用資格範囲を新設する。(改正条文第17条)
二、「知的財産案件審理法」改正草案について:
(1)知的財産民事事件の審理手続について、「審理計画」、「査証」、「専門家による証人」、「アミカス・キュリエ」制度を新設し、弁護士強制代理の適用を拡大し、並びに立証の便利化を改正し、営業秘密訴訟の資料保護等の制度を強化する。(改正条文第18条、第19条、第28条及び第29条)
(2)本(2022)年4月19日に経済部から本院へ送られた「専利法」、「商標法」一部条文改正草案に合わせて、専利、商標事件の救済手続について、現行の行政訴訟手続から民事訴訟手続の「対審制」を準用することとし、専利又は商標の複審及び争議事件手続に関する規定を新設する。(改正条文第55条、第56条及び第58条)
(3)外界の営業秘密保護に対する期待に応え、専門的で適切・迅速な審理終結の要求を実現するため、営業秘密法第13条の1等の罪に反する第一審刑事事件を、知的財産及び商業法院の第一審法廷が審理するものと改正し(第一審を知財法院の専属とする)、且つ国家安全法第18条第2項の規定に合わせ、国家核心技術を侵害する営業秘密事件第一審刑事事件については、知的財産及び商業法院の第二審法廷が審理を行うことを新設する。(改正条文第59条)
(4)司法の電子化向上を推進するため、裁判所の審理の効率を促進し、裁判の不一致防止及び実務争議を解決するため、関連手続規定を新設する。(改正条文第5条、第6条、第9条、第18条、第35条、第36条、第54条、第58条、第62条、第63条及び第71条)

知財ニュース アーカイブ

最新記事はこちら

<知財ニュースメールマガジン配信の登録・停止>

下のフィールドに受信可能なメールアドレスを入力し「登録する(登録解除)」をクリックして下さい。

協会より入力したメールアドレス宛に認証メールが届きます。

メールに記載されたURLをクリックする事で正式に配信登録(解除)されます。


 

公益財団法人 日本台湾交流協会 台北事務所

日本台湾交流協会台北事務所では、台湾の知的財産に関する情報の収集、関係者に対する助言や相談などを行っています。
各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。

お問い合わせフォーム