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知財ニュース330号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.330)
発行年月日:2022年5月31日・6月15日合併号

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2022年5月23日 智慧局ニュース全訳)
1-1 即日より新版「商標オンライン出願システム」を拡充
(2022年5月27日 智慧局ニュース全訳)
1-2 オンライン授業のニーズに合わせ、立法院は著作権法の一部条文改正草案を最終可決
(2022年6月6日 智慧局ニュース全訳)
1-3 ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列を含む特許は、2022年8月1日よりWIPO標準ST.26に準拠した配列表の提出が必要
(2022年6月7日 智慧局ニュース全訳)
1-4 台印知的財産権分野における協力覚書を締結

1.智慧局ニュース

(2022.05.23 智慧局ニュース全訳)
1-1 即日より新版「商標オンライン出願システム」を拡充
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-909594-19e72-1.html
商標オンライン出願の作業の利便性を向上させるため、本局は本(2022)年2月15日より新版「商標オンライン出願システム」の対外サービスを開始し、最もよく利用される平面商標の出願、補正、及び取り下げ等3枚の出願フォームを提供する。また、これらはクロスブラウザ及びモバイルデバイスにも対応している。
新版のシステムは5月23日より色彩、音、立体商標、標章登録出願及び出願の分割、登録前変更等の多数の出願フォーム(PC版あり、クロスブラウザ対応)を拡充し、商標オンライン出願を完備させるものとなった。各界で多いに利用していただきたい。

(2022.05.27 智慧局ニュース全訳)
1-2 オンライン授業のニーズに合わせ、立法院は著作権法の一部条文改正草案を最終可決
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-909602-d27f9-1.html
現在のデジタルテクノロジーの発展、教育政策及びコロナ禍に対応し、立法院は27日、「著作権法」の一部条文改正草案を最終可決した。学校における授業の延長のオンライン授業で他人の著作物を利用する場合、他人の著作物を公正に利用(フェアユース)できる規定により教師が安心して授業を行えるようにした。また、デジタル教育政策に合わせ、教科書の編集者が教師の使用向けにデジタルファイルを伝送することができることを新設し、電子カバン(電子教科書)の運用により学生の重すぎるカバンの負担を軽減した。このほか、国家の文化発展の目的を促進するため、国家図書館が一定の条件に符合することを条件に、その館内で所蔵書籍の著作物を複製デジタル化し、館内での電子閲覧を読者に提供できるよう特別に新設した。

今回の改正ポイントは以下のとおり:

一、 学校側は登録済みの学生に対し、オンライン授業において他人の著作権を公正利用できることを新設
現行法では教師は授業現場で授業を行う際に限り、合理的な範囲内で資料をコピーし学生に提供することができるが、テクノロジーの発展に合わせ、教師がオンライン授業時に対面授業のとおりにできるよう、教師が学校の授業目的の必要範囲内で、参考文章又は資料をインターネットで学生たちの参考用に提供することができる旨を特別に新設した。コロナ禍による学校での授業停止、オンライン授業のニーズに対応し、教育効果を拡大させ、国際潮流及びテクノロジーの発展の趨勢にも符合する。また、著作財産権者の権益を過度に侵害しないよう、学校側は、授業登録をしていない学生がカリキュラムを受けることのないよう、合理的な技術防護措置(例:アカウントパスワード)を講ずるべき旨規定した。また、このようなオンライン授業は非常に公益性を有するものであることから、学校の教師は授業で他人の著作を使用する際、授業活動の進行に資するよう、費用を支払って使用許諾の取得なく利用できることとした。(第46条)

二、 非営利のオンライン授業で他人の著作を利用できるが、使用報酬を支払わなければならないことを新設
教育対象が一般大衆の場合のオンライン授業タイプ(例:非営利の公開オンライン講座(MOOCs)のカリキュラム授業のプラットフォームeDX等)について、現行法では公開大学(オープン・ユニバーシティ)のようなテレビ授業に対してのみ合理的使用(フェアユーズ)規定があるが、オンライン授業に対しての規定はないことから、法改正し、学校、教育機関がインターネットのオンライン授業を行う際に、他人の著作物を利用できる合理的使用(フェアユース)規定を新設した。この種の利用タイプは伝統的なラジオ・テレビの放送方式のほか、ネットワークの同期・非同期伝送の利用も含み、且つ、受講対象は一般大衆で、非常に広範であり、前述の登録学生を対象とするものと異なることから、著作財産権者の権益との兼ね合いを配慮するため、教育目的の必要範囲内での使用に限られるほか、権利者に使用報酬も支払わなければならないとした。一方、営利性質に属するオンライン授業においては、例えば、塾等の教育機関のオンライン授業は公益性を具えないことから、著作財産権者の権益を守るため、使用許諾の取得が必要であると明確に規定した。(第46条の1)

三、 電子カバンの教育ニーズに対応するため、教科書の編集者は教師・学生の使用向けにデジタルファイルを伝送することができる旨を新設
現行の規定では教科書の編集者は、教科書の編纂・改訂にあたって、他人の著作物を利用することができるとしているものの、教師・学生の使用には書面(紙本の教科書)での提供に限られており、デジタル時代に合わせ、学生による電子カバン利用のニーズに対応できていないことから、法改正し教科書の編集者が教科書をネットワークで伝送し合理的に使用できる規定を新設した。また、著作財産権者の権益保証を考慮し、このような利用の際にも著作財産権者に使用報酬を支払わなければならない。(第47条)

四、 国家図書館は館内の所蔵書籍の著作物の複製のデジタル化及び図書館でオンライン閲覧を提供することができるよう新設
国家図書館が文化発展を推進する目的を達成するため、国家図書館は館内で所蔵する著作物が消失、破損することのないよう、国家図書館が現代著作物を完璧に保存できるよう、館内所蔵の書籍の著作物をデジタル化できる旨を新設する。また、国家図書館又は一般図書館等の機関は、一定条件の制限の下で、読者に館内でオンライン閲覧を提供できることを新設し、館内所蔵の書籍の貸し出し又は閲覧の合理的使用の規定に代替するものとし、図書館のデジタル化サービスに資するだけでなく、紙の書籍の保存にも資する。(第48条)

経済部は、デジタルの発展は著作利用を多元化し、近年は世界がコロナ禍の影響を受け、オンライン授業が重要な授業手段となっていることから、今回の改正はデジタルテクノロジーの発展に合わせ、授業効果、電子カバンのニーズ及び図書館の保存とデジタル化サービスを拡大させたもので、立法院が最終可決した著作権法改正条文は、台湾が直面するデジタル時代の教育政策のニーズに符合し、教育の多元的発展を増進し、知識の普及に対し重要な積極的意義を具えるものとなると強調した。

立法院が最終可決した著作権法一部改正条文は、上記リンク先の智慧局サイトの「檔案下載(ファイルダウンロード)」の「1110527立法院三讀通過著作権法部分修正条文(中国語)」を参照。正式な条文は大統領令の公布を基準とする。

(2022.06.06 智慧局ニュース全訳)
1-3 ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列を含む特許は、2022年8月1日よりWIPO標準ST.26に準拠した配列表の提出が必要
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-909719-ada51-1.html
2022年7月1日より特許協力条約(PTC)に基づき提出する国際特許出願について、配列表を含む新規出願は、標準ST.26に準拠しなければならないとWIPOが公布したことに鑑みて、世界的なデータ交換及び検索の利便性に資するよう、本局は2022年8月1日よりWIPO標準ST.26への移行を全面的に実施し、ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列を含む特許出願はいずれもWIPO標準ST.26に準拠した配列表を提出しなければならないとする。また、出願人の国際出願の利便性を考慮し、2022年7月1日から2022年7月31日までの間、現行の配列表又はWIPO標準ST.26の新配列表のいずれかで出願する場合でも、本局はいずれも受け入れることとする。
特許出願がWIPO標準ST.26に符合するよう、特許出願人がWIPO標準ST.26に準拠した方法で、国内または国際特許出願の一部である配列表を作成できるよう、WIPOは“WIPO Sequence” デスクトップアプリを提供している。以下のURLをご参考いただきたい。https://www.wipo.int/standards/en/sequence。
また、さらなる情報については、トップリンク先の智慧局サイト「檔案下載(ファイルダウンロード)」の「實施ST.26相關QA」(中国語)を参照のこと。
質問がある場合、以下までお問合せいただきたい。
連絡窓口:専利二課第五科 林奕萍・科長
電話番号:02-2376-5343

(2022.06.07 智慧局ニュース)
1-4 台印知的財産権分野における協力覚書を締結
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-909721-146fe-1.html
台湾とインドの知的財産権分野における協力覚書は、林全能・経済部次長及び洪淑敏・智慧局局長の立ち合いのもと、今年(2022年)5月18日、「台湾インドハイレベル企業フォーラム」会議において、台湾駐印度代表処の葛葆萱大使とインド台北協会の戴國瀾(Gourangalal Das)会長によりオンラインで署名締結が行われた。6月6日には文書交換手続を完了し、台湾とインドの知的財産分野における協力の新しいページが開かれることとなる。
この協力覚書の枠組みのもと、双方は共同で専門家の相互訪問、育成活動の共有、指導経験の交流及び伝統的知識保護の促進を推進すると共に、聯合協調委員会を設立し、関連する協力活動の執行について調整していく。
インドは台湾の新南向政策における重点国家であり、協力覚書の締結後、互いの知的財産分野についての理解を深化することは、知的財産権保護環境のさらなる完備に資するもので、双方の産業発展及び出願人にも寄与するものとなる。

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