発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.326)
発行年月日:2022年2月25日発行
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2022年2月15日 智慧局ニュース全訳)
1-1 智慧局が受理した2021年の専利・商標出願概況
(2022年2月15日 智慧局ニュース全訳)
1-2 2021年第4四半期の知的財産権動向
(2022年2月15日 智慧局ニュース全訳)
1-3 智慧局公布の2021年専利出願ランキング上位100社
1.智慧局ニュース
(2022.02.15 智慧局ニュース全訳)
1-1 智慧局が受理した2021年の専利・商標出願概況
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-902546-5d3ea-1.html
2021年に智慧局が受理した専利(特許・意匠・実用新案)出願件数は72,613件(前年比1%増)で、そのうち特許が49,116件(前年比5%増)、実用新案(15,796件)、意匠(7,701件)でそれぞれ前年比10%減、同比4%減となった。また商標登録出願件数は95,917件で、1999年に智慧局に改編改名して以来の最高を記録した。審査実績においては、特許の平均審査終結期間は14ヵ月を維持、商標は6.2ヵ月に短縮され、出願人に迅速で良質な審査サービスを提供している。
一、 台湾人出願人による特許出願件数は2014年以来の最高となり、企業・研究機関はいずれも増加
台湾人出願人による特許出願件数は19,547件で2014年以来の最高を記録した。これは、企業が前年比6%増(そのうち大企業の件数は9%増の成長)で、5年連続のプラス成長となったほか、研究機関も前年比2%増となったことが要因であった。また、実用新案は14,543件、意匠は3,534件で、それぞれ前年比12%減、同比10%減となり、その主因は企業が前年比8~10%減、個人が同比16%減少したことであった(表1、図2、図3参照)。また、外国人による特許、実用新案、意匠出願件数はそれぞれ29,569件(前年比7%増)、1,253件(前年比13%増)、4,167件(前年比2%増)といずれもプラス成長となった(表1、図2参照)。
二、 日本が外国人による専利出願件数のトップ
専利出願人を国籍別でみると、日本が引き続き外国人のトップとなり、3種類の専利(特許、実用新案、意匠)の出願件数は13,324件となった。次いで米国(7,986件)、中国(4,253件)となり、4位の韓国(2,388件)は前年比27%増と外国人による専利出願件数上位5ヵ国(地域)の最高となった。専利別でみると、特許及び意匠の出願件数はいずれも日本がトップで、実用新案は中国が最多となった(図4参照)。
三、 台湾人・外国人による商標登録出願件数はいずれも増加、過去最高を記録
商標では、台湾の商標登録出願受理件数は95,917件(123,217区分)、前年同期比2%増となり、これは台湾人による出願件数が73,374件(前年比2%増)、外国人による出願件数が22,543件(前年比3%増)といずれもプラス成長したことが主因である(表1、図5、図6参照)。
台湾における商標登録出願件数の上位5ヵ国(地域)では、中国が4,929件(前年比8%増)で1位となった。米国も前年比6%増の4,032件となり、2位に躍り出て、日本(3,437件、前年比14%減)を超えた(図7参照)。
四、 商標登録出願最多の区分:台湾人:第35類企業経営、外国人:第9類コンピュータ及びテクノロジー製品
台湾人による商標登録出願上位5区分は、第35類(広告、企業経営等)が15,034区分と最多で、前年比も13%増でトップとなった(図8参照)。台湾法人では統一企業(567区分)が最多で、次いで全家便利商店(ファミリーマート、180区分)、金車公司(147区分)となった(図9参照)。
外国人による商標登録出願上位5区分は、第9類(コンピュータ及びテクノロジー製品等)が4,502区分と最も多く、第42類(科学及び技術的サービス)は前年比20%増と成長率が最高となった(図8参照)。外国法人のうち、兔女孩が(135区分)で最も多く、小米科技(Xiaomi、132区分)、資生堂(107区分)がこれに次いだ(図9参照)。
五、 専利商標審査の安定的で効率的な審査終結時間の維持で、企業の迅速な産業ポートフォリオ展開の一助に
智慧局は全力で審査にあたり、積極的に効率アップを図り、特許の平均審査終結期間を14ヵ月に維持したほか、商標については6.2ヵ月と2009年以来の最短を記録し、特許及び商標の審査待ち案件数をいずれも5万件レベルに維持し企業が速やかに権利を取得し、産業ポートフォリオを展開するための一助となった(図10、11参照)。
智慧局公布の110年(2021年)専利商標出願概況の詳細については、上記リンク先の智慧局サイトの檔案下載(ファイルダウンロード)「受理專利商標申請概況(圖表)」(中国語)を参照。
(2022.02 .15 智慧局ニュース全訳)
1-2 2021年第4四半期の知的財産権動向
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-902550-2e7ff-1.html
2021年第4四半期における特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数は19,210件で前年同期比1%弱減となり、商標登録出願件数は24,839件で前年同期比1%増となった。特許出願においては、台湾の研究機関の出願件数が前年同期比17%増となり研究開発力が充分高いといえる。特許出願人において、台湾法人では工業技術研究院(ITRI)が出願件数252件と初の1位となり、外国法人ではアプライド・マテリアルズが234件で最多となった。商標登録出願は、「農業食材」産業が最も多く、台湾の「商業金融」産業の出願件数は2年連続のプラス成長となり、「技術研究」産業は前年同期比プラス成長となり、台湾人及び外国人出願件数はいずれも上昇した。商標登録出願人において、台湾法人では統一企業が出願件数178件でその他の企業をリードし、外国法人ではシンガポールの識隙之城が56件で1位となった。
<専利出願>
外国人による専利出願件数はプラス成長
台湾が出願受理した特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数のうち、特許は12,992件で前年同期比2%増と小幅な成長となり、外国人出願人による出願件数が増加したことが主因で、その他の専利は前年比減となった。外国人出願人による三種類の専利出願件数はいずれもプラス成長となり、それぞれ前年同期比6%~20%増となった(表1参照)。
台湾の中小企業の特許出願件数は小幅な成長
台湾企業全体の特許出願件数は3,528件で前年同期比減少となり、大企業の出願件数(2,631件)(図2参照)が減少したことが主因である。また、中小企業の特許出願件数は897件で前年同期比1%微増となった。
工業技術研究院及び宏碁が台湾法人による特許及び意匠出願件数のトップ
第4四半期の台湾法人による特許出願件数上位10社及び意匠出願件数上位5社において、特許では工業技術研究院(ITRI)が252件、意匠では宏碁(ACER)が23件で1位となった(図4、5参照)。企業全体の特許出願件数は減少しているものの、出願件数上位10社において企業の出願件数はほとんどがプラス成長となり(図4参照)、そのうち瑞昱半導体(REALTEK、137件)、南亜科技(NANYA、83件)及び新唐科技(NUVOTON、56件)の出願件数はいずれも直近10年の最高を記録し、良い成績を見せた。
台湾の研究機関による特許出願件数は増加、高等教育機関による出願件数は減少
台湾の研究機関における特許出願件数は454件(図2参照)で、前年同期比17%増とプラス成長となり、そのうち工業技術研究院(ITRI)は出願件数252件で最多となり、その他の研究機関を大きくリードした(表3参照)。高等教育機関における特許出願件数は490件(図2参照)で前年同期比14%減となり、出願人においては国立陽明交通大学が特許出願件数33件と高等教育機関でのトップとなった。また私立大学においては、遠東科技大学及び建国科技大学がいずれも16件で最多となった(表2参照)。
外国人出願人による特許出願件数は1割増
外国人出願人による専利出願件数は9,466件(前年同期比10%増)で、特許出願件数(8,023件)が前年同期比10%増になったことが主因となった(表1参照)。台湾で特許ポートフォリオを展開する国(地域)のうち、日本が3,117件で最多となり、特許出願の出願上位5ヵ国(地域)の件数はそれぞれ前年同期比6%~23%増となり(図3参照)、積極的な姿勢がみられた。
また、意匠出願件数は1,094件(前年同期比6%増)となった。そのうち米国の出願件数は272件(前年同期比15%増)で大幅なプラス成長となり、今季は日本の出願件数を超え、台湾で意匠ポートフォリオを最も展開する国となった(図3参照)。
アプライド・マテリアルズ及びHARRY WINSTONが外国法人による特許及び意匠出願件数のトップ
第4四半期の外国法人出願上位10社のうち、特許においてはアプライド・マテリアルズが234件で最も多く、前年同期比64%増となり、出願件数及び成長率のいずれにおいてもその他の出願人を大きくリードした(図4参照)。意匠においては、同様にHARRY WINSTONが53件及び前年同期比382%増で1位となった(図5参照)ほか、出願件数上位5社の件数はいずれも顕著な成長となった。
<商標登録出願>
商標登録出願件数が小幅な増加
商標登録出願受理件数は24,839件で、前年同期比1%微増(31,809区分、前年同期比1%増)となった。台湾人による出願件数は同比2%増となったが、外国人による出願件数は同比3%減となった(表1、図8参照)。台湾人による商標登録出願件数の商標出願件数全体に占める割合は77%で前年同期比横ばいとなった(図1参照)。
統一企業が台湾の商標登録出願件数におけるトップ
台湾人による出願類別において、第35類(広告、企業経営及び小売・卸売役務等)が3,937件と最も多く、前年同期比12%増となった(図9参照)。出願人上位10社において、統一企業が出願件数178件とその他の出願人をリードした。(表6参照)。
識隙之城が外国人による商標登録出願件数における最多
外国人出願人のうち、中国は出願件数1,230件とその他の国(地域)を大きくリードした(図3参照)。類別においては、第9類(コンピュータ及びテクノロジー製品等)が1,163件で最多となった(図10参照)。出願人においては、前年同期は未申請であったシンガポールの識隙之城私人有限公司(COGNOSPHERE PTE. LTD.)が56件で最多となった(表7参照)。
台湾の商標登録出願は農業食材産業に集中
産業においては、台湾が受理した商標登録出願は「農業食材」(6,947件)が最も多く、主に台湾人出願人(5,877件)によるもので、外国人出願人は「技術研究」への出願件数が2,039件で最多となった(図11参照)。台湾の商標登録出願件数2位は「商業金融」で2年連続のプラス成長となった。
※2021年第4四半期知的財産権趨勢図表は、上記リンク先の智慧局サイトの「檔案下載(ファイルダウンロード)を参照。(中国語:智慧局公布110年第4季智慧財產權趨勢-圖表)
(2022.02.15 智慧局ニュース全訳)
1-3 智慧局公布の2021年専利出願ランキング上位100社
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-902545-a393c-1.html
経済部智慧財産局は2021年の専利出願及び専利公告統計ランキングを発表した。三種類の専利(特許、実用新案、意匠)出願において、台湾法人では台湾積体電路製造(TSMC)が1,950件と6度目の1位となり、外国法人ではクアルコムが845件で2年連続の1位となった。三種類の専利証書の発行については、台湾積体電路製造(TSMC)が1,053件、アプライド・マテリアルズが492件でそれぞれ台湾法人及び外国法人のトップとなった。このほか、台湾法人100社及び研究機関の特許出願件数はそれぞれ前年比17%増、11%増となった。
一、 台湾法人の専利出願ではTSMCが6度目の1位
台湾法人においては、TSMCが2016年から6年連続の専利出願件数1位となり2021年には出願件数1,950件(前年比78%増)と更に大幅成長し、友達(AUO、471件)がこれに続いた。ランキング4位の瑞昱半導体(REALTEK、442件)、6位の南亜科技(NANYA、290件)の出願件数は2001年以来の最高となった。台達電子(DELTA、205件)も前年比18%増となり、2015年に続いて再び10位に返り咲いた。(表1参照)。
2021年台湾法人の三種類の専利出願上位100社の出願件数は12,234件(前年比8%増)で、特許(全体に占める割合は75%)が前年比13%増となったことが主因で、そのうち企業、研究機関がそれぞれ前年比17%増、11%増となり、意匠も前年比1%増となった。実用新案は前年比7%減となり、高等教育機関が前年比20%減となったことが主因となった(図1、図2参照)。
二、 台湾の銀行6行が100位内にランクイン:兆豊国際商業銀行が銀行でのトップ、華南銀行は特許出願件数が最多
台湾の銀行6行が100位内にランクインし、兆豊国際商業銀行(165件)が銀行でのトップとなり、次いで中国信託銀行(155件)、合作金庫銀行(144件)となり、いずれも前年比53%~85%増のプラス成長となった。このほか、華南銀行(46件)が2020年から2年連続の銀行業による特許出願件数1位となった(表3参照)。
三、 台北城市科技大学が台湾の高等教育機関における三種類の専利出願件数のトップ、国立陽明交通大学が特許出願件数のトップ
台湾法人による三種類の専利出願件数ランキング上位100社に28の高等教育機関がランクインし、台北城市科技大学は170件で高等教育機関の1位となった。特許でみると、2021年に陽明大学及び交通大学が合併した国立陽明交通大学が出願件数135件で高等教育機関のトップとなり、国立成功大学(102件)、国立台湾大学(86件)、国立清華大学(86件)がこれに次いだ(表4参照)。
四、 工業技術研究院の特許出願件数は研究機関のトップ
研究機関においては、台湾法人による3種類の専利出願ランキング上位100社に5つの機関がランクインした。ランキング5位の工業技術研究院(ITRI、404件)は、各研究機関の首位に落ち着き、次いで財団法人金属工業研究開発中心が89件となった(表5参照)。
五、 クアルコムが2年連続の外国法人の専利出願1位
外国法人上位10社においては、クアルコムが専利出願件数845件(前年比17%増)となった。このほか、半導体設備メーカーが4社ランクインし、そのうちアプライド・マテリアルズ(793件)、東京エレクトロン(477件)、DISCO(225件)がそれぞれ2位、5位、10位となり、オランダASMLの出願件数265件は過去最高となり、初めて8位にランクインした。また、サムスン電子(520件)は4位にランクインし、前年比98%増は上位10社における最高となった(表2参照)。
2021年外国法人による三種類の専利出願件数ランキング上位100社の出願件数は14,149件(前年比5%増)となり、そのうち特許(全体に占める割合は87%)が前年比5%増とプラス成長となり、実用新案、意匠もそれぞれ前年比3%増、6%増となった(図3参照)。
智慧局公布の2021年専利出願ランキング上位100社の関連図表・統計については、上記リンク先智慧局サイトの檔案下載「專利百大排名(圖表)」(中国語)を参照。
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