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知財ニュース308号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.308)
発行年月日:2020年12月31日・2021年1月15日合併号

 

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2020年12月30日 智慧局ニュース全訳)
1-1 「専利法一部条文改正草案」の改正予告と総説明
(2021年1月7日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「商標法一部条文改正草案」の公告と総説明
(2021年1月12日 智慧局ニュース全訳)
1-3 本局「日台間の特許審査書類(ドシエ情報)の電子的交換」の対外提供サービスを2021年1月12日より試行開始

 

1.智慧局ニュース

(2020.12.30 智慧局ニュース全訳)
1-1 「専利法一部条文改正草案」の改正予告と総説明
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-884440-8199b-1.html
・ 全国工業総会、及び、国家発展委員会の「公共政策網路参与平台(公共政策ネットワーク参与プラットフォーム)」において、いずれも産業界、学者専門家から、「台湾では、日本、米国及びドイツ等の外国の法制度を参考にして、台湾産業界のニーズに適した専利救済制度を構築するべきである」との提言が何度もなされてきた。
・ より優良な専利救済制度を構築するため、また、国際調和のため、日本、米国及びドイツ等の各国の専利救済制度を参考にし、専利案件救済制度の改正の方向性について慎重に検討を重ね、憲法における市民の救済権益の保障の確立、及び機能向上を目標として、専利主務官庁の審理手続きを強化し、専利案件の救済階層及び訴訟手続を改革するため、関連する重要事項も併せて改正することとする。今回の改正ポイントは以下のとおりである。
1. 救済階層の簡略化:専利主務官庁による専利出願及び専利権の有効性等の案件の審決を不服とする場合、訴願を経ずに直接訴訟を提起することができる。
2. 訴訟制度の改革:現行の行政訴訟から民事訴訟手続に改める。
3. 専利出願権の帰属に関する争議は、民事訴訟ルートの解決に限る。
4. 意匠のグレースピリオド期間を12ヵ月に緩和。
・ 本件は、日本、米国及びドイツ等の外国の立法例及び実務を深く研究分析し、複数回の専門家学者への諮問会議を開き、また、司法院、智慧財産法院及び経済部訴願会と複数回協議を重ね、台湾の国情及び実務ニーズを斟酌し起草したもので、専利法一部条文改正草案は添付のとおり(添付資料は上記智慧局ウェブサイトのリンク先を参照)。
・ 本草案の内容についてご意見ご提案がある場合は、本草案の掲載日の翌日から60日以内に書面にて意見提出すること。

担当機関:経済部智慧財産局
住所:台北市大安区辛亥路二段185号3F
FAX:(02)2735-1946
Mail:ipold@tipo.gov.tw

 

*専利法一部改正条文の総説明は以下のとおり:

                        専利法一部条文改正草案総説明

専利法は1944年5月29日に制定公布され、1949年1月1日に施行されて以来14回の改正を経ており、直近の改正の公布日は2019年5月1日、同年11月1日に施行された。
これまで、全国工業総会、及び、国家発展委員会の「公共政策網路参与平台(公共政策ネットワーク参与プラットフォーム)」は、いずれも産業界、学者専門家から、台湾では、日本、米国及びドイツ等の外国の法制度を参考にして、台湾産業界のニーズに適した専利救済制度を構築するべきであるとの提言が何度もなされてきた。より優良な専利救済制度を構築するため、また、国際調和のため、日本、米国及びドイツ等の各国の専利救済制度を参考にし、専利案件救済制度の改正の方向性について慎重に検討を重ね、憲法における市民の救済権益の保障の確立、及び機能向上を目標として、専利主務官庁の審理手続きを強化し、専利案件の救済階層及び訴訟手続を改革するため、関連する重要事項も併せて改正することとし、起草した専利法一部条文改正草案は合計73条文、うち、改正33条文、新設30条文、削除10条文で、改正ポイントは以下のとおりである。
1. 智慧局による専利救済案件を専門に審理する独立部署の設立
外国の専利救済制度を参考にし、専利主務官庁が専利救済案件を専門に審議する「複審及び争議審議会」を設置すること、並びに関連の協力規定を明文化した。(改正条文第66条の1~第66条の7)
2. 専利主務官庁の審理手続を強化
専利救済案件手続の保障を強化するため、複審案件又は争議案件の審議については、審議員3名~5名の合議体でこれを行うこととし、並びに審議手続をより厳粛なものとするため、口頭審議、予備手続、審議計画のメカニズム、審議手続における適度な心証開示、審議の中間決定及び審議終結通知等のやり方を導入する。(改正条文第66条の8~第83条)
3. 専利案件救済手続の改革
専利権の安定性を確保し、救済の時効との兼ね合いも図るため、専利主務官庁の審議結果に不服がある場合、訴願手続をせず、直接知的財産及び商業法院に提訴できる旨を明文化した。専利案件の訴訟救済手続の構造を構築し直し、私権的性質を持つ争議である「専利争議訴訟」について、市民が訴訟の原告及び被告となり、専利権を訴訟対象とし、現行の行政訴訟手続から民事訴訟手続に改め、また、無効審判請求の審理と争議訴訟手続を1つの全体的な専利権私権争議の解決手続と見なし、さらに、当事者の提出する攻防方法について遵守すべき時間制限も規定した。(改正条文第91条の1~第91条の10)
4. 真正専利出願人の救済について
専利出願権又は専利権の帰属についての争議は、常に当事者間の私権紛争に及ぶもので、専利自体の技術的専門性の判断に属するものではないため、実務上、専利主務官庁にとって裁判所が可能なその真実の権利の帰属先の実質調査は難しい。そこで、現行第71条第3号の無効審判請求事由を削除し、当事者は民事訴訟手続に従い紛争解決すべきとした。(改正条文第10条、第35条、第59条、第71条、第119条、第141条)
5. 意匠専利のグレースピリオドを12ヵ月に緩和
運用奨励のため、意匠のグレースピリオド期間について台湾での意匠出願の出願日前12ヵ月に緩和し明文化した。(改正条文第122条)
6. その他法制度整備事項
専利の電子出願及び電子送達の法的根拠を明確化、複審の審議期間に分割出願してはならない、再審査手続について、当事者がすでに確定した審議決定に不服を声明することができる特別救済手続を明文化、強制授権及びその廃止案件に関する審議手続きの処理等の事項が含まれる。(改正条文第19条、第34条、第86条の1、第86条の2、第88条、第89条、第130条)
7. 過渡条文
新旧法律の過渡期に適用する条文を明文化。再審査案件、施行前に既に審決又はすでに処分された案件は、改正施行前の規定を適用すべきであり、施行前にまだ審決されていない案件、訴願又は行政訴訟を経て取消され専利主務官庁に差し戻された案件については、改正施行後の規定を適用することが含まれる。(改正条文第157条の5)

 

(2021.01.07 智慧局ニュース全訳)
1-2 「商標法一部条文改正草案」の公告と総説明
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-884499-aa760-1.html
1. これまで、全国工業総会、及び、国家発展委員会の「公共政策網路参与平台(公共政策ネットワーク参与プラットフォーム)」において、いずれも産業界、学者専門家から、「台湾では、日本、米国及びドイツ等の外国の法制度を参考にして、台湾産業界のニーズに適した商標・専利救済制度を構築するべきである」との提言が何度もなされてきた。
2. より優良な商標救済制度を構築するため、また、国際調和のため、日本、米国及びドイツ等の各国の商標救済制度を参考にし、商標案件救済制度の改正の方向性について慎重に検討を重ね、憲法における市民の救済権益の保障の確立、及び機能向上を目標として、商標主務官庁の審理手続きを強化し、商標案件の救済階層及び訴訟手続を改革するため、関連する重要事項も併せて改正することとする。今回の改正ポイントは以下のとおりである。
(1) 救済階層の簡略化:商標主務官庁による商標出願及び商標権の有効性争議等の案件の審決を不服とする場合、訴願を経ずに直接訴訟を提起することができる。
(2) 訴訟制度の改革:現行の行政訴訟から民事訴訟手続に改める。
(3) 異議申立制度の廃止:台湾では出願審査の段階ですでに審査の参考のために第三者からの意見書提供制度を導入しており、異議申立の約97%が相対的商標の登録不可事由についての争議であり、手続主体については、「利害関係者」に限り請求できるという現行の無効審判請求の作用と非常に重複することから、異議申立手続きを廃止し、争議手続を無効審判請求(評定)及び取消請求(廃止)の2種類に統合することとする。
3. 本件は、日本、米国及びドイツ等の外国の立法例及び実務を深く研究分析し、複数回の専門家学者への諮問会議を開き、また、司法院、智慧財産法院及び経済部訴願会と複数回協議を重ね、台湾の国情及び実務ニーズを斟酌し起草したもので、商標法一部条文改正草案は、添付のとおり(添付資料は上記智慧局ウェブサイトのリンク先を参照)。
4. 本草案の内容についてご意見ご提案がある場合は、本草案の掲載日の翌日から60日以内に書面にて意見提出すること。
担当機関:経済部智慧財産局
住所:台北市大安区辛亥路二段185号3F
FAX:(02)2735-9099
Mail: ipotr@tipo.gov.tw

 

*商標法一部条文改正草案の総説明は以下のとおり

                        商標法一部条文改正草案総説明

商標法は1930年5月6日に制定公布され、1931年1月1日に施行されて以来、14回の改正を経ており、直近では2016年11月30日に改正され、同年12月15日に施行された。
これまで、全国工業総会、及び、国家発展委員会の「公共政策網路参与平台(公共政策ネットワーク参与プラットフォーム)」において、いずれも産業界、学者専門家から、台湾では、日本、米国及びドイツ等の外国の法制度を参考にして、台湾産業界のニーズに適した商標救済制度を構築するべきであるとの提言が何度もなされてきた。より優良な商標救済制度を構築するため、また、国際調和のため、商標案件救済制度の改正の方向性について慎重に検討を重ね、商標主務官庁の審理手続きを強化し、商標案件の救済階層及び訴訟手続を改革するため、また、関連する重要事項も併せて改正することとする。今回の商標法一部条文改正草案は合計53条文、そのうち改正9条文、新設33条文、削除11条文となり、改正ポイントは以下のとおりである。
1. 智慧局に商標救済案件を専門に審理する独立部署を設立
外国の商標救済制度を参考にし、商標主務官庁に商標救済案件を専門に審理する「複審及び争議審議会」を設置し、関連協力規定を明文化する(改正条文第56条の1~第56条の8)。
2. 商標主務官庁の審理手続を強化
商標救済案件手続の保障を強化するため、複審案又は争議案の審理について、審理員3~5名の合議体でこれを行い、口頭審理、予備手続等のメカニズムを導入し、審理手続において適度な心証開示及び審理終結の通知等のやり方を採用することで、審理手続をより厳粛なものにする(改正条文第56条の9~第67条)。
3. 商標案件の救済手続の改革
商標権の安定性を確保するため、また、救済時効との兼ね合いから、商標主務官庁の審決を不服とする場合、訴願手続を免除し、直接知的財産及び商業法院へ訴訟提起できることを明文化した。商標案件の訴訟救済手続を構築し直し、私権的争いの性質を有する「商標争議訴訟」について、案件の当事者を訴訟の原告及び被告とし、商標権を訴訟対象として、民事訴訟手続とするよう改めた。また、商標争議の審理と争議訴訟手続を1つの全体的な商標権私権争議の解決手続と見なし、さらに、当事者の提出する攻防方法について遵守すべき時間制限も規定した(改正条文第67条の3~第67条の12)。
4. 異議申立制度の廃止
現行の異議申立と無効審判請求(評定)手続きで商標の登録不可を主張する規定は同じであり、かつ、約97%の異議申立が、相対的商標の登録不可事由についてであるという状況であり、現行の「利害関係者」に限り請求できるという無効審判の作用と非常に重複していることから、商標登録について、絶対的登録不可事由に違反する場合、「何人も」無効審判を請求することができるよう緩和し、異議申立手続と相当させ、また、審査段階に第三者からの意見書提出を受け付けて、商標審査の正確性を向上させることで、異議申立のニーズを低減させるに足ることになる。(現行条文第48条~第56条を削除)
5. その他法制度整備事項
審議員に関する指定を含め、審議決定の署名と送達、複審及び争議案件の審決前の分割出願、減縮、不専用の声明等の制限、職権による無効審判提起の範囲の限縮、職権による廃止(取消)の規定の削除、当事者が確定済みの審決に対し再審手続を請求できる、及び再審決定の効力等の事項を明文化。(改正条文第14条、第15条、第38条、第56条の11第3項、第57条、第63条、第67条の1~第67条の2)
6. 過渡条文
新旧法律の過渡期に適用する条文を明文化。異議申立案件、施行前に既に審決又はすでに処分された案件は、改正施行前の規定を適用すべきであり、施行前にまだ審決されていない案件、訴願又は行政訴訟を経て取消され商標主務官庁に差し戻された案件については、改正施行後の規定を適用することが含まれる。(改正条文第109条の2)

 

(2021.01.12 智慧局ニュース全訳)
1-3 本局「日台間特許審査書類(ドシエ情報)の電子的交換」の対外提供サービスを2021年1月12日より試行開始
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-884509-c16e1-1.html
1. 日台間の特許審査書類等のドシエ情報を即座に、高品質且つ包括的に提供するため、本局は2021年1月12日より「日台間の特許審査書類情報(ドシエ情報)の電子的交換」サービスの試行を開始する。(https://tiponet.tipo.gov.tw/S093_WEBP/outer/outer4001pub)
ユーザーは、すでに公開済みの日台間の特許及び実用新案のパテントファミリー情報の検索、並びにオンラインによる日台のドシエ情報の検索・閲覧が可能となる。各界奮ってご利用いただきたい。
2. サイトの特色についての説明は以下のとおり。

(1) オンラインで即座に取得可能な公開、公告済みの日台間のドシエ情報には以下を含む。

  •  EPO worldwide bibliographic data(DOCDB)パテントファミリー一覧。
  • 日台案件の審査書類一覧。
  • 日台案件の審査書類包袋。
  • 日台案件の国際特許分類(IPC)及び引用文献情報。

(2)多元的な検索方法の提供

  • 台湾の出願番号、公開番号又は公告番号による検索。
  • 日本の出願番号、公開番号又は公告番号による検索。
  • 国際DOCDB番号による検索。

 

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