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知財ニュース292号

台湾知的財産権ニュース(No.292)

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.292)
発行年月日:2019年11月29日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2019年10月29日 智慧局ニュース全訳)
1-1 2019年第3四半期の知的財産権動向
(2019年11月1日 智慧局ニュース全訳)
1-2 新専利法の意匠権存続期間15年延長に伴う意匠権延長期間の照会及び意匠証書修正の申請方法について
(2019年11月25日 智慧局ニュース要訳)
1-3 2019「新興テクノロジー及び音楽ライセンス許諾の新動向」セミナー開催
2. 知的財産権紛争
(2019年10月28日 自由時報電子報全訳)
2-1 抽選商品にシャネルを使用したPOYA 商標侵害訴訟で損害賠償無し
3. その他一般
(2019年11月6日 経済日報第A4面要訳)
3-1 台湾における特許出願件数 トップの半導体分野に次いでAI分野が健闘

1.慧局ニュース

(2019.10.29 智慧局ニュース全訳)
1-1 2019年第3四半期の知的財産権動向
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-802937-d0778-1.html
2019年第3四半期における特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数は18,976件(前年同期比4%増)となり、そのうち特許は前年同期比4%増であった。また、商標登録出願件数は22,275件(前年同期比6%増)であった。台湾人出願人による専利出願件数は前年同期比11%のプラス成長で、また外国人による意匠出願件数は前年同期比23%増と成長が顕著であった。特許出願においては、台湾積体電路製造(TSMC)及びアリババが、台湾法人及び外国法人のそれぞれ1位となった。

一、 今期の専利出願の動向
(一) 専利出願の成長の主因は特許出願件数の増加
三種類の専利出願件数は18,976件で、特許が12,260件、実用新案が4,452件、意匠が2,264件とそれぞれ前年同期比2~4%増となった。第3四半期の出願件数の成長は、主に特許出願件数の増加によるものであった(表1参照)。
(二) 台湾人出願人よる特許出願件数は1割超の増加
台湾人出願人による出願件数のうち、特許(4,918件)、実用新案(4,148件)はいずれも前年同期比増となり、そのうち特許の前年同期比11%増(表1参照)は、企業の出願件数が増加したことが主因であった。また同時に、企業の出願件数は4四半期連続のプラス成長となった。
(三) 外国人出願人による意匠出願件数は23%のプラス成長
外国人出願人による出願件数のうち、特許(7,342件)及び意匠(1,233件)はいずれも増加し(表1参照)、意匠は23%増と成長が顕著で、主要国家(地区)の出願件数がいずれも増加していることと関連している(図3参照)。
(四) TSMCの特許出願件数は76%増で台湾法人の1位
台湾企業による特許出願件数合計は15%増となり、そのうち、TSMCの出願件数は533件と最も多く、次いで友達(AUO、120件)及び聯發科(Media Tek、96件)が占めた。出願件数上位3社はいずれも前年同期比でプラス成長となり、TSMCが前年同期比76%増と、最大の増加幅となった(図4参照)。このほか、2019年第3四半期における台湾中小企業の特許出願件数は前年同期比10%増となり、ここ2年連続のプラス成長で、研究開発成果を専利で保護するという観念が徐々に高まってきている。
(五) 崑山科技大学の特許出願件数が台湾高等教育機関でトップ
台湾の高等教育機関における特許出願件数は13%増となった。崑山科技大学が出願件数33件と高等教育機関のトップを占め、国立大学では清華大学が26件で最多となった(表3参照)。このほか、国公立大学と私立大学の出願件数はそれぞれ240件及び168件となり、出願件数の割合はそれぞれ59%、41%で(図5参照)、前年同期比では国立大学の特許出願件数が上昇した。
(六) 工研院の特許出願件数が他の研究機関をリード
台湾研究機関の特許出願件数合計は前年同期比横ばいで、工業技術研究院(工研院、ITRI)の出願件数は47件と件数において最も多く、2位の紡織産業綜合研究所(TTRI)は14件(前年同期比3倍超)であった(表4参照)。
(七) 外国法人においては、アリババ及びフォード・モーターが特許及び意匠出願に積極的
外国人出願人の特許出願件数を国籍別にみると、日本が3,194件と最も多く、米国(1,577件)等その他の国家(地区)を上回った。成長率においては、香港(前年同期比59%増)が最も成長した(図3参照)。出願人別にみると、香港アリババが出願件数315件と最も多く、前年同期比1割超増のプラス成長となった(図4参照)。
意匠出願件数においては、日本が299件と最も多く、出願国家(地区)上位5か国の出願件数はいずれもプラス成長となり、スイスは79%増と顕著であった(図3参照)。外国人出願人においては、米国フォード・モーターが87件と最も多かった。

二、 今期の商標出願の動向
(一) 商標登録出願件数はプラス成長
商標登録出願件数は22,275件(前年同期比6%増)、台湾人による出願件数は15,738件、外国人による出願件数は6,537件となり、それぞれ6%及び4%のプラス成長となった(表1参照)。台湾人及び外国人による出願件数は、いずれも連続2四半期のプラス成長となった。
(二) 外国人では中国の出願件数が最多
外国人出願件数を国籍別にみると、中国(1,755件、前年同期比15%増)が最も多く、次いで日本(1,235件、前年同期比9%増)となった。米国、香港、韓国等のその他国家(地区)は件数が減少した。中国及び日本の出願件数が最も多く、且つ成長率も顕著で、総出願件数を増加させた(図3参照)。
2019年第3四半期季報は、下記リンク先の智慧局サイトの「統計季報」を参照。(中国語:108年第3季)
www.tipo.gov.tw/tw/cp-167-802933-3ab6c-1.html

(2019.11.01 智慧局ニュース全訳)
1-2 新専利法の意匠権存続期間15年延長に伴う意匠権延長期間の照会及び意匠証書修正の申請方法について
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-802903-7fa4e-1.html
2019年11月1日に施行された新専利法第135条及び第157条の4の規定では、施行日に意匠権が依然として存続している場合、その意匠権存続期間は出願日から15年とされた。
照会確認に便利になるよう、智慧局はすでに各システムについて意匠権の延長条件に符合した意匠権存続期間への修正を完了させた。2019年11月1日から智慧局の「中華民国専利資訊検索システム」の権利の異動欄及び「専利権検索システム」で照会することができる。
施行日に意匠権が存続している意匠証書について、専利証書上に記載された意匠権存続期間を修正する必要がある場合、権利者は「専利証書の注記追加、再発行申請書」に記入の上、登録申請事項で「証書の注記追加(中国語:加註證書)」にチェックを入れて原証書を添付すれば無料で注記でき、もしくは「証書の再発行(中国語:換發證書)」にチェックを入れて600台湾元(約2,100円)を納付すれば再発行を申請することができる。

(2019.11.25 智慧局ニュース要訳)
1-3 2019「新興テクノロジー及び音楽ライセンス許諾の新動向」セミナー開催
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-803313-634a6-1.html
智慧局は、2019年12月10日(火)14:00より当局18階ホールにおいて、2019「新興テクノロジー及び音楽ライセンス許諾の新動向」セミナーを開催する。世界でも有名な集中管理団体である一般社団法人音楽著作権協会(JASRAC)の専門家を招聘し、「米国の音楽現代化法の著作権管理に対する影響及びアジアにおける越境ライセンス許諾の実務紹介」及び「著作権管理における新興テクノロジーの応用」について情報共有する。

2.知的財産権紛争

(2019.10.28 自由時報電子報全訳)
2-1 抽選商品にシャネルを使用したPOYA 商標侵害訴訟で損害賠償無し
台湾の有名大手ドラッグストア「宝雅生活館(POYA)」は4年前、「30周年抽選イベントでシャネルをプレゼント」イベントを行ったところ、許諾を得ずに商標権を乱用して侵害した上に、公平交易法にも反するとしてフランスのシャネル(CHANEL)から300万台湾元(約1,070万円)の損害賠償と新聞への謝罪広告掲載を求めて訴訟を提起されていた。智慧財産法院は第一審、第二審ともに、POYAは消費者に賞品が何かを告知したに過ぎず、商標の使用には該当しないとしてPOYAの賠償無しの判決を下していた。その後、最高裁判所も10月24日、シャネルからの上訴を棄却し、シャネルの敗訴が確定した。
シャネルは、POYAが2015年9月3日~10月6日まで開催した30周年抽選イベントにおいて、シャネルの同意を得ずまた、合法的な許諾を取得せずに、広告カタログ、公式ウェブサイト、フェイスブック、全国の店舗における広告看板、のぼり等に大量にシャネルの商標、図、製品写真を使用し、いわゆる「賞品」としての役割を大幅に超えて故意にシャネルの知名度にフリーライドし、その商標権と商業的信用を侵害し、取引秩序を害したとして、300万台湾元(約1,070万円)の損害賠償と新聞への謝罪広告掲載を求めた。
これに対しPOYAは、抽選イベントにおいてシャネルの図を使用したが、それは消費者に正規版の商品が当たる機会があることを知らせるために過ぎず、イベントのファッション的特性を表示したもので、シャネルを利用して利益を得ようとしたものではなく、また、POYAは広告文面でもシャネル協賛、提供、共催等の文字は使っておらず、シャネルの商業的信用へのフリーライドでもなく、商標権を侵害してもいない、と反論した。
智慧財産法院は第一審、第二審での審理において、POYAは抽選イベントの開催のために新光三越のシャネルカウンターで合計59万台湾元(約210万円)以上のバッグ、ネックレス、ブレスレット等14商品を抽選賞品として購入し、広告看板に使用したシャネルの写真は、イベントの特性を明らかにするためで、広告内の「販促商品」にはシャネルは表示されておらず、消費者は広告を見て商品と賞品の違いを明確に識別することができ、シャネルの商標・商業上の信用にフリーライドする状況はないため、シャネル敗訴の判決を下した。これを受け、シャネルは第三審である最高裁判所に上訴したが、最高裁はこれを棄却しシャネル敗訴の確定判決を下した。

3.その他一般

(2019.11.06 経済日報第A4面要訳)
3-1 台湾における特許出願件数 トップの半導体分野に次いでAI分野が健闘
経済部統計処は11月5日、台湾における特許出願件数は3年連続で成長しており、特許では「半導体」分野への出願が首位となり、次いで「演算テクノロジー」分野となり、台湾における半導体と人工知能(AI)の発展の産業的優勢が明らかとなったと発表した。
注目に値するのは、AIの発展に伴い、近年における演算テクノロジーの特許ポートフォリオの展開が目覚ましく、もうすぐ半導体分野を上回るのではないかと期待されていることである。
特許は一国のテクノロジーの進歩、経済発展の重要な指標である。経済部の統計によると、2018年における4.7万件あまりの特許のうち、国籍を問わず出願人全体で、「半導体」「演算テクノロジー」の分野が最も多く、上位2位を占め、2018年の出願はいずれも4,000件を超え、それぞれの出願数に占める割合は11.1%と9.8%、そして「電子機械エネルギー装置」は6.5%を占め第三位となっており、上記の3大分野はいずれも台湾製造業の優位な分野となっている。
外国人出願人についてさらに観察してみると、日本及び韓国が台湾で最も出願している分野は「半導体」であり、米国は「デジタル通信」、「半導体」、「演算テクノロジー」、中国は「演算テクノロジー」、「デジタル通信」、「半導体」分野が多くなっている。
経済部統計処の職員によると、台湾の半導体産業は競争優位性を有しており、日本、韓国のような半導体主力国家が東京エレクトロンやサムスンなど台湾での半導体特許のポートフォリオ展開をもたらしていると述べた。
台湾人による出願を見てみると、上位3大技術分野は順に、「演算テクノロジー」、「半導体」、「電子機械エネルギー装置」となっている。2018年の台湾人出願人による演算テクノロジー分野の特許出願件数は2,371件に達し、いっぽうで半導体分野は1,740件に留まり、AIの波が訪れ、台湾人及び台湾企業ともAIポートフォリオの展開が大幅に増加していることが顕著に示された。
経済部の統計によると、台湾の専利の新規出願件数は2012年に85,074件のピーク後、4年連続で衰退し、2017年には小幅回復を見せたものの2018年には再度減少したが、依然として7.3万件以上を維持している。今年1月から9月の出願件数は54,511件(前年同期比1.7%増)で、そのうち特許は35,036件(前年同期比2.4%増)と最も多く全体の64.3%を占め、連続3年のプラス成長を見せ、台湾テクノロジーの進歩と経済発展エネルギーのシフトが示されている。

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