台湾知的財産権ニュース(No.281)
発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.281)
発行年月日:2019年3月15日・3月29日合併号
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2019年2月20日 智慧局ニュース全訳)
1-1 「専利・商標行政救済手続きの簡略化、二当事者対審制度」の公開諮問会議を2019年2月25日に開催
(2019年3月6日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「ニース分類における商品・サービスの両岸類似群コード対応表(第11-2019版)」の公告
(2019年3月20日 智慧局ニュース全訳)
1-3 「2019年台湾・EU地理的表示シンポジウム」を開催
2. 知的財産権紛争
(2019年3月11日 聯合報、3月12日 経済日報の要訳)
2-1 マイクロソフトが鴻海を特許権使用料未払いで提訴
(2019年3月12日 聯合報、3月13日 経済日報第A3面の要訳)
2-2 マイクロソフトと鴻海の特許権利金紛争 Androidが引き金
(2019年3月18日 経済日報要訳)
2-3 日亜化学との特許戦争 オーストラリアでエバーライトが勝訴
(2019年3月24日 経済日報、時報資訊の要訳)
2-4 米インテグリスとの特許訴訟で家登精密が智慧財産法院第一審で敗訴
3. その他一般
(2019年3月7日 経済日報要訳)
3-1 台湾の金融機関 フィンテック特許取得に大躍進
(2019年3月20日 行政院ニュース要訳)
3-2 行政院 経済部政務次長の人事を発表
1. 智慧局ニュース
(2019.02.20 智慧局ニュース全訳)
1-1 「専利・商標行政救済手続の簡略化、二当事者対審制度」の公開諮問会議を2019年2月25日に開催
本局は専利・商標行政救済手続制度の改革を推進しており、民衆に更に有効的な救済ルートを提供するため、専利・商標争議案件の行政救済手続の簡略化推進、二当事者対審制度の推進等について、公開諮問会議を開催する。会議資料は、以下の智慧局ホームページから各自ダウンロードしご持参いただきたい。
www.tipo.gov.tw/public/Attachment/92201203648.pdf
会議開催日:2019年2月25日(月)午後2時
開催場所:智慧局18Fホール
(2019.03.06 智慧局ニュース全訳)
1-2 「ニース分類における商品・サービスの両岸類似群コード対応表(第11-2019版)」の公告
世界知的所有権機関(WIPO)によるニース商品・サービス国際分類第11版2019年の定期改訂に合わせ、智慧局では指定商品・サービスの分類及び先行商標調査の検索範囲の参考として、両岸双方の出願人が商標登録出願をする際の事前計画に役立てることができるよう「ニース分類における商品・サービスの両岸類似群コード対応表(第11-2019版)」を同時に更新した。
※更新済みの類似群コード対応表は以下のリンク先からダウンロード可能(中国語)。
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=666529&ctNode=7573&mp=1
(2019.03.20 智慧局ニュース全訳)
1-3 「2019年台湾・EU地理的表示シンポジウム」を開催
経済部智慧財産局と欧州経済貿易事務所(EETO)は3月20日、集思交通部コンベンションセンターにて「2019年台湾・EU地理的表示シンポジウム」を共同開催した。シンポジウムでは、欧州委員会農業・農村開発総局国際関係事務官のMs. Natalie Nathon、イタリア農業食料林業旅行政策省の検査・政策員のMr. Benedetto Francesco Ballatore、フランスコニャック事務局法務長のMs. Virginie Dessimroff、台湾行政院農業委員会科技処の李国基・科長、南投県魚池郷の劉啟帆・郷長及び智慧局商標権組の夏禾・商標審査官等が講師を務めた。シンポジウムの最後には地理的表示商品の試食(GI Product Tasting)が行われ、参加者に実際に地理的表示商品の優れた品質と特性を実感してもらった。
食品と飲料は往々にして、ある地区の地理的環境と人文歴史の違いを現すものであるが、豊かな特色を有し、地域要素と密接に関連する商品を保護するため、国際的に地理的表示制度が発展してきている。EUの地理的表示や台湾の産地証明標章と産地団体商標(産地標章)も、真に独特な農業環境と生産技術を有する商品の保護に用いることを意図している。地理的表示の地方農業と産業の発展への寄与に着眼し、智慧局とEETOは今回のシンポジウムを開催し、双方の専門家による情報共有を通して、台湾・EU双方が互いの地理的表示保護の法制度と実務について理解を深め、また、大衆への地理的表示と産地標章制度についての認識を深めることで、当該メカニズムの活用が台湾の優良な現地農産品の推進に繋がることを希望するものである。
今回のシンポジウムには台湾・EUの産官学界から150人以上が参加し、来賓と台湾・EUの専門家とで有意義な知識と経験の共有ができ、講師と視聴者との交流も盛り上がり、シンポジウムは大成功のうちに終了した。
2. 知的財産権紛争
(2019.03 .11 聯合報、2019.03.12 経済日報の要訳)
2-1 マイクロソフトが鴻海を特許権使用料未払いで提訴
米マイクロソフト社は、鴻海グループが2013年の特許ライセンス協議を遵守せず特許権使用料が未払いであるとして、米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提訴した。
これを受けて、鴻海精密工業の郭台銘・董事長は12日、マイクロソフトの当グループに対する提訴は筋違いであって、特許使用料の不当詐取であると指摘。
また、郭・董事長は、マイクロソフトの特許使用料徴収の主要対象は、本来ファーウェイ(華為)を中心とした中国系スマートフォンメーカーとすべきだが、米中貿易戦争で不穏な時期であることから、台湾にターゲットを変え、中国に代わって台湾受託生産メーカーに支払いを迫ることで、中国の顧客やインターネットユーザーの機嫌を損ねることなく、マイクロソフトは特許使用料を徴収することができる狙いだと述べた。
郭・董事長は、鴻海は訴訟に係るAndroid商品を生産していないため、権利侵害事項は絶対にないと指摘した。
鴻海は世界最大手の受託生産(EMS)企業であることから、今回のマイクロソフトとの紛争が平和的に解決しない場合は、世界の電子業の出荷に影響を及ぼすことになる。
(2019.03 .12 聯合報 03 .13 経済日報第A3面の要訳)
2-2 マイクロソフトと鴻海の特許権利金紛争 Androidが引き金
2013年の特許ライセンス協議を遵守せず特許使用料が未払いであるとして米マイクロソフト社が鴻海を提訴したことを受けて、鴻海傘下である富智康集団有限公司(FIH Mobile、本社香港)の池育陽・董事会代理主席は、鴻海はiOS搭載製品を生産しており今回の訴訟とは全く関係がない。Android搭載製品はFIH Mobileが生産を担当している。当社とブランド顧客(中国系スマートフォンメーカー等)とは、「ブランド顧客の代わりに交渉はしてはならない、特許使用料を立て替えてはならない、いかなる情報もマイクロソフトに漏らしてはならない」と契約で明記し、FIH Mobileは当該契約に従って行動していると強調した。
マイクロソフトは、2007年からフリー・オープンソース・ソフトウェアをめぐる特許戦争を開始し、Linuxシステム、OpenOffice、Google Androidがマイクロソフトの数百項目にもおよぶ特許を侵害していると訴えた。マイクロソフトはこれを機に、サムスン電子、LGエレクトロニクス、宏達国際電子(HTC)、宏碁(Acer)等のAndroid搭載メーカーとAndroidライセンス計画協議を締結し、多くのメーカーは不必要な紛糾を避けるため、署名せざるを得ず、2013年の推計によると、マイクロソフトがAndroidスマホ製造企業から受けた特許使用料は年間で約20億米ドル(約2,230億円)にものぼったという。
また、マイクロソフトは2014年にはサムスン電子が特許権使用料を未払いであるとして提訴したが、その後2015年には和解が成立し、その条件については公表されていない。
マイクロソフトは、今月11日に声明を発表し、契約の同意を重視するとともに、その他の企業にも同様に重視することを期待している。3月8日の法律行動は、2013年に鴻海との間で締結した契約を行使しているだけであって、鴻海との協力関係は非常に重視しており、現在双方の認識の相違を解決するよう努めていると述べた。
(2019.03.18 経済日報要訳)
2-3 日亜化学との特許戦争 オーストラリアでエバーライトが勝訴
LEDパッケージング(封止)大手の億光電子工業(エバーライト)と日亜化学工業株式会社(以下、「日亜」と略称)との特許戦争が長引く中、エバーライトは18日、オーストラリア連邦裁判所は1月29日付けの判決で、日亜化学が特許番号第720234号で主張する権利は全て無効であり、エバーライトの顧客であるアロー・エレクトロニクスが販売したエバーライト関連商品は権利を侵害していないと認定したことを発表した。
今回の判決結果に対し、日亜化学は上訴を進める構え。
なお、エバーライトは、すでに台湾及び米国等において、日亜のYAG特許に対し無効訴訟を提起し、勝訴判決を勝ち取ったと述べた。米国最高裁判所では日亜化学の米国YAG特許第US5,998,925とUS7,531,960で主張する権利は全て無効であると認定され、また台湾智慧財産法院では日亜化学の台湾YAG特許TW第383508号は無効であるとされている。
(2019.03.24 経済日報、時報資訊の要訳)
2-4 米インテグリスとの特許訴訟で家登精密が智慧財産法院第一審で敗訴
ウエハとマスクパッケージ最大手の米インテグリス(Entegris)が、自社の特許を侵害されたとして台湾の半導体製造部品メーカー家登精密に損害賠償を求めて2015年に提起していた訴訟で、智慧財産法院は3月22日、家登精密に9.8億台湾元(約35億円)の賠償金支払いを命じる第一審判決を下した。
この判決は、智慧財産法院による半導体業者関連の判決の中で過去最高の賠償金額で、歴代判決のうちでも二番目に高額を記録し、業界を震撼させるものとなった。
今回の訴訟で米インテグリスは、家登精密が製造販売していたマスク容器「レチクルSMIFポッド」が自社の台湾特許番号第I317967号を侵害していると主張。第一審判決では、家登精密にこの製品の2009年~2018年までの売上高総利益の1.5倍の懲罰金、つまり9.8億台湾元(約35億円)の支払いを命じる判決を下した。
これに対し家登精密は、この判決には不合理な点や争議点が多々あるとして第二審へ控訴する旨を表明。また、同社の邱銘乾・董事長は、担保を供託して仮執行を免除するため、会社の運営には何ら影響はでないと強調し、また、係争製品の部品についても、すでに新設計の製品を出荷するため、顧客の権益にも影響はでないと説明した。
なお、米インテグリスと家登精密は共にファウンドリー最大手の台湾積体電路(TSMC)の重要なサプライヤーでウエハカセット等のコア設備を供給している。家登精密の邱銘乾・董事長は、家登精密のEUV(極端紫外線)ポッドがオランダの半導体大手ASMLの認証を得て、米インテグリスのウエハ独占的地位を脅かしていることから、インテグリスは家登精密に対し特許訴訟を仕掛けてきたものであると強調した。
3. その他一般
(2019.03.07 経済日報要訳)
3-1 台湾の金融機関 フィンテック特許取得に大躍進
経済部の統計資料によると、今年に入ってからの台湾の金融機関によるフィンテック関連の特許取得件数は80件以上となり、なかでもブロックチェーン、顔認証技術等の取得が比較的多く、台湾の金融機関によるフィンテックの発展が加速していることがうかがえる。
そのうち、彰化銀行の特許取得が最も多く、スマートマーケティングシステム等が含まれる。永豊銀行、台新金控は、ブロックチェーン関連のフィンテック特許が中心であった。また、玉山銀行が取得した特許は特別で、顔認証カードレス取引ATM関連のものであった。同銀行は、業務システムに人工知能(AI)を全面的に取り入れることを本年すでに発表しており、これによりコストの削減、正確性の向上を目指し、現在すでに「要注意口座の事前予測」、「クレジットカードの不正利用情報の選別」等を含む消費者金融等の業務から着手している。以前は、人による検査で「問題有り」と思われるクレジットカードについては、銀行からカード会員にカード利用について電話確認を取っていたが、正確度は20%にすぎなかった。しかしAI導入後は80%にまで引き上げることが可能となる。
なお、国際決済銀行(BIS)の報告によると、台湾の小売即時決済システムの発展は、イギリス、日本及びその他の先進国家よりも進んでいると指摘されている。
(2019.03.20 行政院ニュース要訳)
3-2 行政院 経済部政務次長の人事を発表
行政院は20日、蘇貞昌・院長が19日夜に経済部政務次長の人事について、王美花・常務次長が就任する旨を決定したことを発表した。新任の王美花・政務次長は、かつて経済部智慧財産局局長を務めた。
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