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知財ニュース277号

台湾知的財産権ニュース(No.277)

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.277)
発行年月日:2018年11月15日・30日合併号

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2018年10月30日 智慧局ニュース全訳)
1-1 2018年第3四半期の知的財産権動向
(2018年11月20日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「中小企業における合理的秘密保持措置作業手続」の編集完成
2. その他一般
(2018年10月17日 聯合新聞網要訳)
2-1 WEF発表の「イノベーション力」 台湾がアジア一位
(2018年11月8日 聯合報第A11面、工商時報第A4面の要訳)
2-2 クアルコムとの提携で5Gビジネスチャンスを先取り命令

1. 智慧局ニュース

(2018.10 .30 智慧局ニュース全訳)
1-1 2018年第3四半期の知的財産権動向
2018年第3四半期における特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数は18,328件(前年同期比2%減)で、そのうち特許は連続7四半期のプラス成長となった。また、商標登録出願件数は21,060件(前年同期比5%減)となった。台湾人出願人による意匠及び外国人出願人による特許及び商標出願は、いずれも6%増のプラス成長となった。特許出願人についてみてみると、台積電(TSMC)及びクアルコムが台湾・外国法人のトップとなり、それぞれ35%増及び73%増のプラス成長となった。

一、 今期の専利出願の動向
(一) 特許及び意匠は小幅な成長、実用新案は衰退
2018年第3四半期に智慧局が受理した三種類の専利のうち特許は11,746件(前年同期比1%増)で、連続7四半期のプラス成長となり、意匠は2,200件(前年同期比0.1%増)、実用新案は4,382件(前年同期比11%減)(表1、3参照)であった。
(二) 台湾人出願人による意匠出願、外国人出願人による特許出願の成果が良好
台湾人出願人による意匠出願件数は1,195件(前年同期比6%増)、特許出願件数は4,440件(前年同期比6%減)となったものの、2018年における第3四半期までの累積は小幅な成長となり、また、実用新案出願件数は4,061件(前年同期比11%減)となった(表1、3参照)。外国人出願人による特許出願件数は7,306件(前年同期比6%増)とプラス成長であったが、実用新案出願件数は321件(前年同期比9%減)、意匠出願件数は1,005件(前年同期比6%減)といずれもマイナス成長となった(表1、3参照)。
(三) 特許出願における台湾法人トップは台積電(TSMC)
1. 企業においては、台湾法人上位10社の特許出願件数は前年同期比プラス成長で、そのうち台積電(TSMC:303件、35%増)は首位を維持し、宏達電(HTC:43件、87%増)、廣達電脳(Quanta Computer:36件、125%増)といずれも高成長となったが、鴻海(FOXCONN)は51件と前年同期比55%減であった(図2参照)。
2. 高等教育機関においては、崑山科技大学が23件(前年同期比15%減)で前期に引続き出願件数のトップとなった。国公立大学においては、成功大学(17件、前年同期比11%減)、清華大学(16件、前年同期比16%減)、台湾大学(16件、前年同期比16%減)等の大学の出願件数が減少した。一方、台湾科技大学は15件と前年同期比150%増とプラス成長であった。このほか、国公立大学と私立大学の出願件数は、それぞれ184件、175件で出願件数の割合は、それぞれ51%、49%と僅差に迫った(表2、図5参照)。
3. 研究機関においては、工業技術研究院が64件(前年同期比3%増)と最多となった(表6参照)。
(四) 外国法人のクアルコムは台湾におけるポートフォリオ展開に積極的
1. 外国人出願人における特許出願件数は、日本が3,254件(前年同期比3%増)と最も多く、次いで米国の1,559件(前年同期比6%増)であった(図1参照)。
2. 外国法人における特許出願件数上位3社は、クアルコム(234件)、アリババ(132件)、東芝メモリ(115件)で、そのうちクアルコムが前年同期比73%増と最も多く、本年第3四半期までの累積では合計819件と大幅成長した(図2参照)。

二、 今期の商標出願の動向
(一) 商標登録件数の本年第3四半期までの累計件数は小幅な成長
2018年第3四半期における商標登録件数は、21,060件(前年同期比5%減)となったが、2018年第3四半期までの累積件数は前年同期比1%の微増となった(表1、3参照)。台湾人の出願件数は14,795件(前年同期比9%減)、外国人出願件数は6,265件(前年同期比6%増)となった(表1参照)。
(二) 海外から台湾への出願件数上位5カ国の多くはプラス成長
外国人出願人を国籍別にみると、中国が1,522件と最も多く、次いで日本の1,133件、米国の1,085件、香港の442件、韓国の385件であった。海外から台湾への出願件数上位5カ国の出願件数は、韓国(前年同期比23%減)を除いたその他の国はいずれもプラス成長で、特に中国は27%増の最多となった(図1参照)。

2018年第3四半期季報は、下記リンク先の智慧局サイトの「統計季報」を参照。
www.tipo.gov.tw/lp.asp?ctNode=6801&CtUnit=3308&BaseDSD=7&mp=1(中国語:107年第3季)
(2018.11.20 智慧局ニュース全訳)
1-2 「中小企業における合理的秘密保持措置作業手続」の編集完成
本局は中小企業による営業秘密管理制度の整備及び関連の戦略ステップの構築を支援するため、参考となる業界の実務方法、日本の営業秘密管理方針等の関連資料を収集し、「中小企業における合理的秘密保持措置作業手続」の編集を完成させた。各界の参考としていただきたい。詳細は、下記リンク先の智慧局サイトを参照。
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=687613&ctNode=7127&mp=1
(中国語:107年中小企業合理的保密措施)

2. その他一般

(2018.10.17 聯合新聞網要訳)
2-1 WEF発表の「イノベーション力」 台湾がアジア一位
今年の世界経済フォーラム(WEF)の最新評価で、イノベーション力において台湾は日本、シンガポールを抜き、アジア第一位を獲得した。そのうち、産業クラスターの完備、専利権登録件数及び研究開発への投入は台湾の優位項目であった。
WEFは10月17日、「2018年世界競争力レポート」(The Global competitiveness Report 2018)を発表した。それによると、評価を受けた140の国・地域のうち米国が1位で、シンガポール、ドイツがそれに続き、台湾は世界13位で、アジアでは4位となった。
そのうち台湾は「イノベーション力」において好評価を受け、総得点80.8、アジアで1位、世界では4位とみごとな成績で注目を集めた。WEFは台湾、ドイツ、米国、スイスを世界4大スーパーイノベーターと称しており、政府が促進してきた産業イノベーションが国際的にも肯定されたことが示された。
WEFの「イノベーション力」評価における10の細項目の指標では、台湾は多くの高得点を獲得し、総得点80.8で、日本の79.3、シンガポールの75を超えアジア1位を獲得した。
そのうち「産業クラスターの完備・発展の普遍性レベル」及び「共同発明による国外専利件数」の2項目の指標では、台湾は日本、シンガポールを超えて世界ランキング5位となった。

(2018.11 .08 聯合報第A11面、工商時報第A4面の要訳)
2-2 クアルコムとの提携で5Gビジネスチャンスを先取り
公平交易委員会(以下、「公平会」と略称)の黄美瑛・主任委員は7日、クアルコムが向こう5年間の台湾投資を承諾後、現在までに77人のシニアマネージャー等の募集採用を行い、来年末までには250人を募集、5年間では1,000人近くにのぼると見ており、クアルコムが他の競合他社に出した専利の実施許諾条件について台湾も適用される見込みと述べた。また、経済部の龔明鑫・政務次長は、クアルコムとの提携は台湾の5Gビジネスチャンスの半年の先取りをもたらし恩恵は大きいと述べた。
科技部(文部科学省に相当)は省庁間会議において、クアルコムに対し3つの要求を提出し、クアルコムからの同意を得たと発表。その内容は以下の通り:
1. 産学提携において「3Dセンシング技術」等の将来性のある研究分野を盛り込むことを検討し、また台湾の大学との提携投資額を増加する。
2. クアルコムが実施しているQITC (Qualcomm Innovate in Taiwan Challenge)と科技部の国際スタートアップハブ(Taiwan Tech Arena :TTA)とリンクし、大学の研究開発チームへの投資額を増加する。
3. クアルコムが新竹サイエンスパークに設立予定のCOMET(Center for Operations, Manufacturing Engineering and Testing in Taiwan:運営・製造工程・試験センター)における台湾のハイレベル技術・研究開発人材の雇用率を増加させる。
資策会の統計によるとクアルコムの半導体産業とICパッケージング・テスト産業への発注により、ネット・通信産業の生産額は2017年だけで4,324億台湾元(約1兆6,000万円)にのぼった。
経済部の龔明鑫・政務次長は、クアルコムの台湾投資は概算で6,000億台湾元(約2兆2,000万円)以上の生産額を増加でき、部品輸出では約2,000億台湾元(約7,400億円)増となる見込みで、クアルコムの台湾での研究開発センターの設立または雇用は台湾半導体、モバイル通信及び5G技術発展にメリットをもたらすと述べた。

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