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知財ニュース276号

台湾知的財産権ニュース(No.276)

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.276)
発行年月日:2018年10月31日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2018年10月22日 智慧局ニュース全訳)
1-1 2017年の台湾智慧財産局、五庁における専利商標出願と登録概況
(2018年10月23日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「商標審査基準(方式審査)」の公告
(2018年10月23日 聯合報新聞網、2018年10月26日 智慧局ニュースの要訳)
1-3 「2018年APEC著作権集中管理団体の中小零細企業に対する最適な使用許諾実務ワークショップ」開催
(2018年10月24日 智慧局ニュース全訳)
1-4 審査基準第二篇第14章「生物関連発明の審査基準改訂草案」の改訂予告
(2018年10月25日 智慧局ニュース全訳)
1-5 審査基準第二篇第4章「発明の単一性審査基準改訂草案」の改訂予告
2. 知的財産権紛争
(2018年10月5日 聯合報第A12面要訳)
2-1 客室内装デザインの盗用に対し智慧財産法院が500万台湾元の支払い命令
(2018年10月6日 経済日報第A5面要訳)
2-2 HTCのVR商品 米国で提訴される

1. 智慧局ニュース

(2018.10 .22 智慧局ニュース全訳)
1-1 2017年の台湾智慧財産局、五庁における専利商標出願と登録概況
米国特許商標庁(USPTO)、日本国特許庁(JPO)、欧州(EPO、EUIPO)、韓国特許庁(KIPO)、中国国家知識産権局(CNIPA)の五大特許商標庁における2017年の統計資料によると、JPOとKIPOを除く各庁の特許及び商標登録出願件数はいずれも過去最高を記録し、CNIPAの特許、意匠及び商標登録出願件数は他庁をはるかに上回った。ポートフォリオ方面において、台湾人出願人による五庁への専利・商標登録出願件数は、依然としてUSPTO及びCNIPAが中心で、2017年の出願件数はいずれもプラス成長となったほか、欧州への意匠及び商標登録出願件数は2年連続の増加となった。
2017年に五庁における特許出願受理件数はほぼプラス成長で、また台湾の受理件数も46,122件、前年比5.2%増とプラス成長となった(2016年は43,836件、2015年比1.3%減)。
更に詳しくみると、2017年の五庁における特許出願構成は昨年同様で、台湾の特許出願構成については、従来、外国人出願人がその多くを占めていたが、2017年の台湾人出願人による出願比率は39%と前年比1%の微増となった。
意匠については、五庁が受理した出願件数はほぼ小幅な伸びとなり、台湾の受理件数は8,120件、前年比3.8%減となった(2016年は8,445件、2015年比8.2%増)。
台湾人出願人による五庁における特許・意匠ポートフォリオは、依然として米国及び中国に集中している。特許において、台湾人出願人によるUSPTO及びCNIPAへの出願件数はそれぞれ19,019件(前年比1.6%増)、10,802件(前年比5.0%増)となり、またEPOへの出願件数は1,623件、前年比14.1%増と3年連続のプラス成長となった。意匠においては、CNIPAへの出願件数が1,429件(前年比12.7%減)と最多で、欧州への出願件数は、691件(前年比1.9%増)と微増であった。
五庁が受理した商標登録出願件数は、KIPOを除きいずれも過去最高を記録し、台湾が受理した商標登録出願件数は83,802件、前年比5.7%増(2016年は79,300件、2015年比1.0%増)となった。
台湾人出願人による五庁への商標登録出願については、CNIPAへの出願が20,308件と他庁への出願件数をはるかに超えており、次いで米国への出願が1,734件、他庁への出願件数は800件以下となっている。
詳細については、智慧局サイトの下記リンク先参照。
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=684873&ctNode=7127&mp=1

(2018.10.23 智慧局ニュース全訳)
1-2 「商標審査基準(方式審査)」の公告
本局は2018年8月23日に「商標審査基準(方式審査)」草案を起草・公告し、公告後20日以内に各界からの意見を募集した。それらの意見をまとめ再検討し、基準内容を追加修正後、2018年10月19日に「商標審査基準(方式審査)」を発布した。
本基準の内容は以下のとおり:前書き、提出及び取下げ、出願費用、商標願書及び出願日、優先権及び展覧会に関わる優先権、出願人、代理人、商標図、使用を指定する商品又は役務、拒絶理由の先行通知と査定、商標コンセント制度における商標共存同意書の提示、登録出願の分割と減縮、登録前の変更及び訂正、送達、期間の計算と原状回復、以上15章からなる。民衆が商標出願登録に関わる方式要求を理解する一助となり、出願人権益に対し更に完全な保障を提供し、商標登録出願の審査効率が向上することを希望する。各界参考にしていただきたい。
※「商標審査基準(方式審査)」内容は、下記智慧局サイトのリンク先を参照のこと(中国語:商標註冊申請案件程序審査基準)。
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=684960&ctNode=7127&mp=1

(2018.10.23 聯合報新聞網、2018.10.26 智慧局ニュースの要訳)
1-3 「2018年APEC著作権集中管理団体の中小零細企業に対する最適な使用許諾実務ワークショップ」開催
智慧局は10月23日~24日、APEC計画の実施のため、張栄発基金会演芸ホールにおいて「2018年APEC著作権集中管理団体の中小零細企業に対する最適な使用許諾実務ワークショップ」を開催した。今回は、智慧局初となるAPEC計画の執行を勝ち取り、日本、韓国、オーストラリア、ベトナム等から実務専門家を招聘し、各国の集中管理組織の許諾モデルの発展状況と最新の発展動向について情報共有を行った。またAPECの13の経済体から計27名の代表が参加し、APECの各経済体から一致した高評価を得た。
今回のワークショップには、台湾の集中管理団体のスタッフ、中小零細企業職員、政府関係者の合計300名あまりが参加。日本音楽著作権協会JASRAC総務部の渡辺聡本部長は、日本のカラオケの最新許諾動向について情報共有し、トレンドに合わせ許諾方式と条例も調整すると述べた。渡辺本部長は「1990年以降、録音テープ、光ディスクは次第に淘汰され、音楽はオンライン送信を使用するようになった。貸し切りカラオケ、タクシーカラオケ、消費者が自宅で自ら音楽をダウンロードするといった形式に変わり、既存の「機械的複製権」はほぼ機能を失っているため、JASRACは時代に合わせ「公開送信許諾」の関連規則を改めた」と述べた。
智慧局は、各界の参考となるよう「2018年APEC著作権集中管理団体の中小零細企業に対する最適な使用許諾実務ガイド」を編製し、当該ガイドを利用してAPEC経済体の各集中管理組織が迅速に許諾ルートを強化し、関連政策の発展を理解することで集中管理組織及び中小零細企業がデジタル時代における競争力を向上させ優良な許諾環境を構築することを期待している。

(2018.10.24 智慧局ニュース全訳)
1-4 審査基準第二篇第14章「生物関連発明の審査基準改訂草案」の改訂予告
主旨:審査基準第二篇第14章「生物関連発明の審査基準改訂草案」の改訂を
予告するのでご参考願いたい。
説明:
一、 主旨に掲げる基準の改訂草案について2018年10月11日に公聴会が開催された。本局は公聴会における各界からの意見を参酌し、「審査基準第二篇第14章生物関連発明の審査基準」の改訂を完成した。また、公聴会での各界からの意見をまとめた「審査基準第二篇第14章生物関連発明の審査基準改訂草案の公聴会における各界意見への回答表」は、外部への参考用にまとめたものである。
二、 審査基準第二篇第14章「生物関連発明の審査基準改訂草案」改訂のポイントは以下の通り:
(一) 進歩性の特定態様及び進歩性の論述の改訂、並びに13の事例説明の新設。
(二) 一部の章節構成の調整、関連規定の明確化及び文字の修正。
1. 重複内容の削除又は簡素化。
2. 実務上あまり見られない例を削除し、よく見られる例を別途新設。
3. 実体審査と関連のない記載の削除。
4. 審査実務に良く見られる問題に合わせ説明内容を新設。
5. 事例の修正。
6. 審査基準のその他の章節の一致しない文字段落の削除。
7. 論述を明確にして審査実務に符合できるように全文を文字修正。
三、 「審査基準第二篇第14章生物関連発明の審査基準」の予告内容は、下記リンク先の智慧局サイトを参照。
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=685055&ctNode=7127&mp=1
 清書版(中国語:附件2、1071024生物預公告第14章生物相關發明審查基準修正草案(清稿版_預告本)
 公聴会の意見回答表(中国語:附件3、1071011生物基準公聽會研復結果彙整表1071024預告版)

四、 本改訂基準の予告内容に対しご意見があれば、2018年11月15日までに以下の連絡先までご連絡いただきたい。
(一) 担当部署:智慧財産局専利三組
(二) 住所:台北市大安区辛亥路2段185号3F
(三) 連絡先及び電話:林奕萍専利審査官(02)2376-7672
(四) FAX:(02)2377-1496
(五) E-mail: yip20420@tipo.gov.tw

(2018.10.25 智慧局ニュース全訳)
1-5 審査基準第二篇第4章「発明の単一性審査基準改訂草案」の改訂予告
主旨:審査基準第二篇第4章「発明の単一性審査基準改訂草案」の改訂を
予告するのでご参考願いたい。
説明:
五、 主旨に掲げる基準の改訂草案について2018年10月5日に公聴会が開催された。本局は公聴会における各界からの意見を参酌し、「審査基準第二篇第4章発明の単一性審査基準」の改訂を完成した。また、公聴会での各界からの意見をまとめた「審査基準第二篇第4章発明の単一性審査基準改訂草案の公聴会における各界意見への回答表」は外部への参考用にまとめたものである。
六、 審査基準第二篇第4章「発明の単一性審査基準改訂草案」改訂のポイントは以下の通り:
(三) 発明の単一性の判断ステップは、まず各独立項に記載された発明の間に明らかに発明の単一性を有しないか否かを判断する。明らかに有しない場合、出願は発明の単一性を満たさない。明らかに有する場合、先行技術を検索しなければならない。原則的に、請求項1に記載の発明から検索し、当該発明の特別な技術的特徴の有無を判断し、さらにその他の独立項の発明がいずれも当該特別な技術的特徴又は当該特別な技術的特徴に対応した特別な技術的特徴を有するか否かを判断する。有しないと判断した場合、出願は発明の単一性を具えず、有すると判断した場合、出願は発明の単一性を具える。
(四) 出願の単一性を審査する際、原則的に少なくとも一つの独立項とその従属項で構成された請求項グループを審査対象としなければならないと明確に規定する。
(五) 一部の章節構成の調整、関連規定の明確化及び文字の修正。
七、 「審査基準第二篇第4章発明の単一性審査基準」予告内容は、下記リンク先の智慧局サイトを参照。
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=685085&ctNode=7127&mp=1
 予告清書版(中国語:1071025第二篇第四章發明單一性發明審査基準修正草案(預告清稿本))
 公聴会の意見回答表(中国語:專利審査基準第二篇第四章發明單一性發明審査基準修正草案公聽會各界意見研復結果彙整表)

八、 本改訂基準の予告内容に対しご意見があれば、2018年11月15日までに以下の連絡先までご連絡いただきたい。
(六) 担当部署:智慧財産局専利三組
(七) 住所:台北市大安区辛亥路2段185号3F
(八) 連絡先及び電話:徐雨弘専利審査官(02)2376-7216
(九) FAX:(02)2377-1496
(十) E-mail: gogo20378@tipo.gov.tw

2. 知的財産権紛争

(2018.10.05 聯合報第A12面要訳)
2-1 客室内装デザインの盗用に対し智慧財産法院が500万台湾元の支払い命令
智慧財産法院は、桂田璽悅会社が台東市で経営する「桂田璽悅酒店」が雲朗集団(以下、「雲朗」と略称)傘下の「君品酒店」の客室内装デザインを盗用しているとし、桂田璽悅会社に敗訴を下した。
雲朗は、桂田璽悅会社のやり方は著作権法、会社法、民法、公平交易法に関わるとし、500万台湾元(約1,800万円)の損害賠償を請求したほか、剽窃した客室デザインを解体し、ネット上の写真も取り下げ、判決結果を新聞掲載するよう要求。桂田璽悅会社は、審理の際、客室は中国のデザイン会社に依頼し設計したものであるとし盗用を否認した。
智慧財産法院は双方紛争中の客室タイプを台湾経済研究院に送り鑑定した結果、「盗用」と認定。智慧財産法院は、桂田璽悅会社の責任者である朱宗立はホテル経営10数年の経験があり、客室タイプのデザインは客室価格に非常に関わりがあり、各ホテル業者は、消費者を引き付ける為、デザインにかなりの力を注いでいることを熟知しているはずであるにもかかわらず、朱は自らデザインすることなく、君品酒店に宿泊した際に、スタッフを随行して撮影・実地測量をさせ壁紙の色柄までも同じにし、消費者に一見して両ホテルは関係企業であるかのように誤解させたこの行為は公平交易法、会社法に違反していると認定。桂田璽悅会社に対し、500万台湾元(約1,800万円)の支払い命令のほか、5種類の客室の内装デザインを解体し、解体前は宿泊提供を禁止し、また新聞・雑誌への判決結果掲載の命令を下した。

(2018.10.06 経済日報第A5面要訳)
2-2 HTCのVR商品 米国で提訴される
外電によると、米国テキサス州に本部を構えるMotiva Patentsは、台湾のスマホメーカーHTC(宏達国際電子)がVR(仮想現実)関連の特許権利を侵害しているとして米国地方裁判所に提訴した。
消息筋によると、Motivaが指摘している権利侵害の特許は、主としてゲームと映像・音楽関連に応用されており、ユーザーの位置や移動を追跡するシステムとして用いられる。Motivaは、HTCのVR商品であるVive、Vive Pro等のVR関連特許5項目が自社所有の特許権を侵害していると主張。
HTCは近年、積極的にVR分野を開拓しており、ハードウェア・ソフトウェア、基礎研究、応用、コンテンツ、特許全てにポートフォリオを持ち、生態系の構築完成に力を注いでいる。同社のVR市場規模はさほど大きくはないが、業界は依然として注目している。
HTCは5日、当該案件はすでに司法手続に入った為、この件に関するコメントは差し控えると発表した。

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