台湾知的財産権ニュース(No.275)
発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.275)
発行年月日:2018年10月15日発行
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2018年10月3日 智慧局ニュース要訳)
1-1 「2018年APEC著作権集中管理団体の中小企業に対する最適な使用許諾実務ワークショップ」を開催
2. 知的財産権紛争
(2018年9月28日 経済日報要訳)
2-1 国碩科技とフィリップスの特許訴訟 最高法院が第2審判決を破棄
(2018年10月5日 聯合晩報第B1面要訳)
2-2 東芝とマクロニクスが特許訴訟で和解成立
3. その他一般
(2018年9月27日 聯合報第A11面要訳)
3-1 クアルコムが台湾にマルチメディア、AIセンターの設立を発表
(2018年9月27日 自由時報要訳)
3-2 「校章」が商標に? 制服販売の規制で父兄に不満
(2018年9月27日 経済日報第A19面要訳)
3-3 台湾イノベーション技術博覧会開催
(2018年10月2日 経済日報第A3面要訳)
3-4 メディアテックの5G標準仕様策定の貢献度世界15位
1. 智慧局ニュース
(2018.10.03 智慧局ニュース要訳)
1-1 「2018年APEC著作権集中管理団体の中小企業に対する最適な使用許諾実務ワークショップ」を開催
智慧局はAPECから「著作権集中管理団体の中小企業に対する最適な許諾実務ガイドライン」計画への補助を受け、各経済体の集中管理組織の許諾状況と政策について調査並びに分析を行うこととなった。
また、10月23日(火)と24日(水)の両日、台湾の張栄発基金会国際会議ホールにて「2018年APEC著作権集中管理団体の中小企業に対する最適な使用許諾実務ワークショップ」を開催する。これにより、集中管理団体及び中小企業のデジタル時代における競争力を強化し、優良な許諾環境を構築していく狙い。
今回のワークショップには、国際的にも著名な日本JASRAC、オーストラリアAPRA AMCOS及びCopyright Agency、韓国、米国の実務と学術界から専門家を招聘しており、集中管理実務の現状及び国際的発展趨勢について一度に理解を深めることができ、台湾の集中管理許諾実務の経験共有も行えるまたとない機会となっている。
同ワークショップへのオンライン申し込み及び日程表については下記智慧局のリンク先を参照のこと(中国語)。
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=682793&ctNode=7127&mp=1
2. 知的財産権紛争
(2018.09.28 経済日報要訳)
2-1 国碩科技とフィリップスの特許訴訟 最高法院が第2審判決を破棄
太陽エネルギーメーカーの国碩科技(ギガストレージ:以下「国碩」と略称)とオランダに本拠を置くフィリップスのDVD特許をめぐる訴訟において、最高法院(最高裁判所)はこのほど第二審の判決を一部破棄した。
国碩は2013年にDVD関連業事業から撤退し、太陽エネルギー分野に転換して数年になるが、2014年4月、フィリップスからDVD特許侵害で提訴された。2016年3月、智慧財産法院(知的財産裁判所)は第一審において国碩に対し1,050万台湾元(約3,900万円)及び関連する利息の支払い命令を下したが、その審理の過程においてフィリップスは当初1,000万台湾元(約3,670万円)の賠償金請求額を10.05億台湾元(約37億円)まで大幅に引き上げていた。
2017年6月、智慧財産法院の第二審では、国碩に故意・過失はなく特許侵害の賠償責任を負う必要はないが、フィリップスとその他の企業が特許ライセンス契約を結んだ場合の権利金に相当する金額を支払わなければならないとし、10.395億台湾元(約37億円)、利息及び訴訟費用の一部負担を命じる判決を下した。国碩はこれを不服とし上告した。
最高法院はこのほど、国碩に不利な判決である第二審の一部を破棄し、審理を智慧財産法院(知的財産裁判所)へ差し戻した。
国碩は、過去に販売したDVD商品はフィリップスの特許を侵害しておらず、今後の審理において最終的に勝訴できると信じていると強調した。
(2018.10.05 聯合晩報第B1面要訳)
2-2 東芝とマクロニクスが特許訴訟で和解成立
半導体の不揮発性メモリー大手のマクロニクス(旺宏電子)は5日、約1年半にも及んだ東芝と半導体メモリー関連訴訟について双方和解が成立したことを発表した。
マクロニクスは2017年3月、東芝及びその関連企業が製造・販売している商品が自社のNAND型フラッシュメモリー、NOR型フラッシュメモリー電気回路及び製造工程関連の特許権を侵害しているとし、米国国際貿易委員会(ITC)及び米国カリフォルニア州裁判所に提訴。これを受け、東芝は2017年10月、台湾の裁判所にてマクロニクスを特許権侵害で反訴した。
双方は今月4日、東芝がマクロニクスへ4,000万米ドル(約45億円)の和解金を支払う内容の和解覚書を締結。また、双方の約30項目の特許権についてクロスライセンスを結ぶことで合意した。今月9日までに訴訟取下げ及び和解金の支払いスケジュール等の詳細な契約を完成させる予定。
3. その他一般
(2018.09.27 聯合報第A11面要訳)
3-1 クアルコムが台湾にマルチメディア、AIセンターの設立を発表
クアルコムは26日、傘下のクアルコム台湾を通じ、台湾に「マルチメディア研究開発センター」、「モバイル人工知能イノベーションセンター」を設立し、来年初めに正式運営を開始すると発表。また同社は、この2つのセンターが当該企業のマルチメディア及びAI分野の専門性、経験、研究開発資源を結集したものとなり、台湾が長年培ってきたハード・ソフトウェア設計と技術、そして完備したサプライチェーンを結合させて、共同で技術とビジネスプランの研究開発を展開していくものになると表明した。
クアルコムは今年8月の公平会(公平交易委員会:日本の公正取引委員会に相当)との和解後、動きが活発で、8月24日は「台湾における運営・製造工程及びテストセンター」の設立を発表し、来年初めには始動予定である。また先週、台湾クアルコムのイノベーション実験室に5Gテスト能力を新たに備えており、関連のテスト環境が提供可能となる旨を発表した。この1ヶ月あまりでクアルコムは3つのセンター設立、そして実験室の機能拡大を発表したことになる。
クアルコムは、今回のマルチメディア研究開発センターとモバイルAIイノベーションセンターはいずれも長期的な建設と投資であり、現在、関連資源と専門家チームの設立及び調整を積極的に展開しており、今後は台湾トップレベルの大学及び科学研究機関ともプロジェクト計画を提携していくと述べた。
マルチメディア研究開発センターでは、3Dセンシングのグラフィック研究開発、コンピュータービジュアル研究開発、3D顔認証と識別技術等の多くの分野の研究開発を焦点とし、同時に仮想現実(VR)や拡張現実感(AR)関連の技術研究開発なども手がけることから、クアルコムが台湾企業と手を組み、スマホ、IoVとIoT関連のマルチメディアビジネス解決案を打ち出すことが期待される。
モバイルAIイノベーションセンターでは、コンピューター端末内蔵のAIプラットホームと応用に重点を置き、クアルコム台湾は専門工程チームの研究開発の機会を提供する予定で、台湾の中小企業及びOEM/ODMメーカーの商品設計能力と開発経験を生かし、共同でスマホ等のコンピューター端末装置上のAI応用を開拓することが期待される。
(2018.09.27 自由時報要訳)
3-2 「校章」が商標に? 制服販売の規制で父兄に不満
台中市の小学校で校章に類似した商標登録のせいで、制服が購入できないと父兄から不満が噴出する事態が発生した。
台中市の樹義小学校は、校章に類似した図案で商標を登録し、その商標の使用権を公開入札で入札された2社に付与していた。その結果入札した2社以外は販売が許されず、ライセンスを取得していない古くからある数軒の業者は制服販売が禁止されるほか、現在、商標法違反で地方検察署に提訴されている。また父兄も制服を購入する場所がなく不便であると苦情を訴えている。
これを受けて学校長は、制服は蛍光剤やホルムアルデヒドの標準量を超えている疑いが有り、学生の健康安全、制服の品質維持を考えた上で、登録図案で公開入札を行った。これは品質管理のためであり、また登録商標は学校の教師がデザインした図案であり学校の校章そのものが商標登録されたのではないと述べた。
(2018.09.27 聯合報第A19面要訳)
3-3 台湾イノベーション技術博覧会開催
台湾イノベーション技術博覧会(昨年の名称:台北国際発明展及びテクノマート見本市)が9月27日から3日間、台北世界貿易センター1号館で開催され、「Innovation Shaping Our Future」をビジョンとしたこれまでとは異なる企画で展開する。また、専門技術取引のビジネスチャンスとマッチングにも注目。
先ごろ行われた展覧会前の記者会見において、経済部(前智慧局局長)の王美花・常務次長は、デジタル時代の到来に対し、IoT、AI及びブロックチェーン等の未来トレンドに着目し、また国際との繋がりを強化し、台湾のイノベーション力を多くの人に知ってもらいたいと述べた。
今回は、マイクロソフト、日産、Amazon、韓国発明振興会、スペイン発明者協会などのヨーロッパ、米国、日本、東南アジア等の著名な国際機関と企業が参加する。国内外のバイヤー及び一般民衆の入場者は計約7万人に達する見込み。
(2018.10.02 経済日報第A3面要訳)
3-4 メディアテックの5G標準仕様策定の貢献度世界15位
IC設計世界大手のメディアテック(聯発科)は5G(第5世代移動通信システム)のポートフォリオ構築にスパートをかけている。
ドイツの市場調査部門IPlytics GmbHの資料によると、世界の3GPP 5G標準技術貢献度トップ20の企業のうち、メディアテックの関連標準仕様の提案参加率は4G時代の4倍で、5G提案審査通過率は43.18%、審査通過率は世界第3位、全体の5G技術企画貢献度は世界第15位にランクインし、5G分野での勇往邁進ぶりがうかがえる。商品商用化の加速で5Gのビジネスチャンスを狙い、加えて、関連の特許ポートフォリオをいち早く取得することで、その後のライセンス収入が見込まれることになる。
技術チームの求心力を強化し、5G研究開発状況を理解する為、メディアテックの蔡明介・董事長は先ごろ傘下の英国とフィンランドの研究開発センターを訪れ、5Gの進度を監督・指揮し、「勝利あるのみ」の決心をあらわにした。
メディアテックは5GモデムチップM70を来年上半期より発売する予定で、情報筋によると当該チップは来年下半期より出荷予定である。また、主にスマホ業界へ提供される5Gシステム・オン・チップ(SoC)は、標準策定と全体の商用化環境等の進展により、2020年から徐々に市場に貢献していくと見られている。
業界では5G標準は来年末には大筋固まると見られており、順調にいけば2020年には国際電子通信連合(ITU)の正式通過が期待される。
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