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知財ニュース272号

台湾知的財産権ニュース(No.272)

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.272)
発行年月日:2018年8月15日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2018年7月31日 智慧局ニュース全訳)
1-1 TIPOとKIPOの事務レベル会議開催
(2018年8月13日 智慧局ニュース全訳)
1-2 東南アジア知的財産シンポジウム
2. 知的財産権紛争
(2018年8月6日 経済日報要訳)
2-1 上福全球科技とキャノンが特許侵害訴訟で和解
3. その他一般
(2018年8月7日 経済日報第A3面、工商時報第A3面の要訳)
3-1 TSMCのウィルス感染での損失額50億台湾元
(2018年8月10日 公平会プレスリリース全訳)
3-2 公平会とクアルコムが智慧財産法院の合議廷で和解達成

1. 智慧局ニュース

(2018.07 .31 智慧局ニュース全訳)
1-1 TIPOとKIPOの事務レベル会議開催
7月12日台北において、TIPO(智慧財産局)とKIPO(韓国特許庁)の第4回事務レベル会議が開催された。KIPOからは、国際協力課の李振龍・副課長代表及び李晙在・副課長代表が参加し、双方は共同特許分類(CPC)、営業秘密保護関連措置、知的財産権保護システム及び両岸知的財産交流の4つのテーマについて豊富な経験共有と意見交換を行い、双方共今回の交流の成果に非常に満足する結果となった。

(2018.08.13 智慧局ニュース全訳)
1-2 東南アジア知的財産シンポジウム
近年の東南アジア国家では経済が発展し、世界地域経済統合に積極的に参加しており、すでに大きな経済貿易市場を形成している。台湾政府が近年推進している「新南向政策」では、東南アジア国家への人材、資金、技術面での相互交流と投資を企業へ奨励している。台湾企業は東南アジア地域へ進出すると同時に、市場ポートフォリオの形成において知的財産権が演じる役割を見逃すことはできず、むしろ競争優位性のために相当重要となる可能性がある。
東南アジア各国における知的財産権保護の状況の理解を深めるため、智慧局(TIPO)は8月30日に「東南アジア知的財産シンポジウム」を再度開催することとした。同シンポジウムには、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピン、タイの5カ国の特許主務官庁から職員を招聘し、商標法制度、出願実務及び法執行等の知的財産権保護をテーマとして交流を行う。台湾企業が東南アジア地区で投資及び経営計画を立てる際の一助となり、東南アジア国家経済の成長の果実を享受できることを期待する。東南アジアの知財保護の発展に関心のある方は、奮ってご参加いただきたい。
同シンポジウムの議題及び申し込み先は、下記智慧局サイトのリンク先を参照。
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=676610&ctNode=7127&mp=1

2. 知的財産権紛争

(2018.08.06 経済日報要訳)
2-1 上福全球科技とキャノンが特許侵害訴訟で和解
台湾のプリンター部品メーカーの上福全球科技(以下、「上福」と略称)は6日、2012年から6年に渡り日本キャノンと争っていたトナーカートリッジの特許侵害訴訟で和解したと発表した。
今回の和解で、上福はキャノンに対し和解金550万米ドル(約6億1,200万円)の支払う他、今後、特許権のある地域での係争製品の販売はできなくなり、これにより年間売上に650万台湾元(約2,360万円)の影響がでる見込み。
上福によると、一連の争いは2012年3月5日にキャノンが上福及び関連企業の米・Color Imagingに対し米国ジョージア州裁判所にトナーカートリッジに関する特許侵害訴訟を提起したことが始まり。
その後、上福は権利侵害ではないとして、同年5月5日にキャノンに対する反訴を提起。2013年8月6日にはマークマン・ヒアリング(米裁判所によるクレーム解釈に関する審理)を実施し、上福は権利侵害していないとの判断が出て
いたが、2017年6月22日の第一審では特許侵害であるとして上福に370万米ドル(約4億1,160万円)の賠償金の支払いを命じる判決がくだされた。
これを不服とした上福は、マークマン・ヒアリングの結果と大きく異なり、第一審の判決には重大な瑕疵があるとして控訴に着手していたが、①係争特許を使用した製品の市場価値が低下しており、②第二審に勝訴してもキャノンが上告する可能性もあり、労力と訴訟費用がかさむ等から和解に至った。

3. その他一般

(2018.08.07 経済日報第A3面、工商時報第A3面の要訳)
3-1 TSMCのウィルス感染での損失額50億台湾元
3日夜にコンピューターウィルスに感染し、新竹・台中・台南工場の生産を一時停止していた台積電(TSMC)は6日午後、台湾証券取引所において、魏哲家・総裁兼副董事長が今回のいきさつについて説明した。
魏・総裁兼副董事長は、今回の事件では、「内部スパイはいない」、「脅迫や誘拐等はない」と強調。内部の失策から事件が蔓延したことを認め、すでに全ての生産ラインが正常回復したことを述べた。また第3四半期の売上への影響については、2%以内(約50億台湾元(約182億円))の減少にとどまると見ており、まずは全力で顧客との関係強化に努め、出荷が遅延しているウェハーについては第4四半期に全て補完すると強調した。
また、魏・総裁兼副董事長は生産ラインを麻痺させたウィルスは、「ワナクライ(WannaCry)」(パソコンに侵入し、身代金を要求するランサムウェア)の亜種であり、今回感染したコンピューター、自動搬送システム及び関連のコンピューターシステムは、主にWindows 7システムを使用していたが、自動化設備インターフェイスに修正ソフトがインストールされていなかったことからコンピューターが操作できなくなってしまった。しかしウィルス感染後、直ちに緊急事態応急対策を取り、全力でウィルス除去をするとともに顧客に対し原因及び処理進捗を報告。幸いにも生産データベース及び顧客情報はウィルスの影響は受けておらず、今回の事件発生後、影響を受けたコンピューター及び自動搬送システムを停止させ、修正ソフトのインストールも完了し、顧客からも支持と信頼を得られている。またTSMCは引き続きウィルスの動向に注視し、情報安全防護を更に強化すると述べた。

(2018.08.10 公平会プレスリリース全訳)
3-2 公平会とクアルコムが智慧財産法院の合議廷で和解達成
公平交易委員会(公平会:公正取引委員会に相当)は、クアルコム(Qualcomm Incorporated)と智慧財産法院の合議廷で和解を試み、公平会2017年10月20日公処字第106094号の特許権行使に関する争議案件処分(以下、「原処分」と略称)する)にて、法により訴訟上の和解を達成した。
和解の内容によると、米クアルコムは台湾のスマホメーカー及びチップサプライヤーに対する以下の項目について承諾し、公平会に対し実施状況を報告する義務を負う。米クアルコムは既に納付した課徴金27億3,000万台湾元(約98億4,800万円)について争わないことに同意し、台湾で5ヵ年の産業投資プロジェクトを実施することを承諾した。以下に説明する。

一. 公平会によると、米クアルコムが以下の点について承諾したことから、原処分で懸念された米クアルコムのモバイル通信SEP許諾実務が競争に反するという事項も解消するに足るものとなった。①モバイル通信標準必須特許(以下、「モバイル通信SEP」と略称する)の台湾スマホメーカーへの許諾実施を承諾し、②米クアルコムがモバイル通信SEPを台湾のチップサプライヤーへ許諾する場合のその他の承諾について遵守し実施する。
1. 善意に基づく許諾条項の見直し
台湾のスマホライセンシーメーカーが、米クアルコムの特許許諾契約において同意を迫られ、且つ不合理な許諾条項があると認める場合、米クアルコムは善意に基づき契約を見直すことを承諾する。見直す条項の争議について、台湾のスマホライセンシーメーカーは米クアルコムと別途裁判所または仲裁の中立的紛争解決のその他の手続を採って協議することができる。
2. 契約期間においてチップ供給を拒絶しない
契約の見直しまたは紛争解決手続期間において、台湾のスマホライセンシーメーカーが、その供給及び許諾契約義務を引き続き履行し、また、善意に基づき見直しを協議する場合、米クアルコムは当該メーカーへのモバイルデータチップ供給を終了しない、又は供給を終了すると脅すことはしないことに同意する。
3. モバイル通信SEP許諾についての非差別的待遇
米クアルコムはそのモバイル通信SEP許諾方案について、条件が同等の台湾スマホメーカーとそうではないメーカーに対し差別待遇をしないことを承諾。
4. 台湾のチップサプライヤーへの待遇
米クアルコムは、台湾のチップサプライヤーからの要求を踏まえ、以下のとおり契約を提供することに同意する。当該契約の約定について、米クアルコムがあらかじめモバイル通信SEPの請求項について公平、合理的かつ非差別的(FRAND)に基づいた許諾条項をチップサプライヤーへ提示していない場合、米クアルコムはモバイル通信SEPのいかなる請求項に基づき、当該チップサプライヤーに対しいかなる訴訟も提起してはならない。
5. 独占取引の割引約定を締結しない
米クアルコムは、チップ顧客とのチップ供給契約において、いかなる顧客とも米クアルコムのモバイルデータチップの採用に同意することを条件として権利金を割り引く約定を締結しないことを承諾する。また、当該チップ顧客の全てのチップ調達の一定比率が米クアルコムからの調達であることを、契約の許諾金割引又は権利金割引の条件とする約定としないことを承諾する。
6. 定期的に公平会へ実施状況を報告する
米クアルコムは今後5年間、6ヶ月ごとに公平会に実施状況の報告をすることを承諾する。米クアルコムが台湾スマホメーカー又は台湾チップサプライヤーと契約を追加修正又は新設する場合にも、当該契約の締結から30日以内に公平会へ報告する。
公平会は、原処分では米クアルコムに対し、善意と信義誠実の原則等に基づきチップ競合同業他社及びスマホメーカーと協議すること、また反競争的懸念のある行為の停止を求めていたが、米クアルコムが訴訟上の和解において提出した行為的承諾について、公平会は原処分の自由な公正競争を保護する規制目的に達していると認めた。

二. 公平会によると、原処分で科せられた課徴金234億台湾元(約844億円)について、米クアルコムは既に納付済みの合計27億3,000万台湾元の課徴金について争わないことに同意し、5ヵ年の産業プロジェクトによる台湾への投資を承諾した。当該投資には5Gへの協力、新市場の開拓、ベンチャー企業と大学との提携、台湾運営・製造拠点の設置が含まれる。米クアルコムは公平会及び台湾経済部、科技部等の関連部署と緊密に協力し、上述したプロジェクトと投資を実施する。公平会は、当該産業投資プロジェクト及びその承諾は、台湾の半導体、モバイル通信及び5G技術の発展等の方面において経済的利益と公共利益の全体に資するものとなると考えている。

よって、本件は総合的に参酌された後、公平会の2018年8月8日第1396回委員会議決において可決され、2018年8月9日に智慧財産法院にて米クアルコムと公平会史上初となる公共利益に基づいた訴訟上の和解を達成した。原処分は和解内容に代替する。公平会は本件がモバイル通信産業の良好な競争環境を有効に形作り、台湾の半導体、モバイル通信及び5G技術発展などの各方面にプラスの影響がでることを希望する。

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