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知財ニュース249号

台湾知的財産権ニュース(No.249)

発行:特許庁委託(公財)交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.249)
発行年月日:2017年4月14日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2017年3月24日 智慧局ニュース、聯合報第A16面の要訳)
1-1 「藍眼淚(青い涙)」は商標になり得るか?
(2017年4月7日 智慧局ニュース全訳)
1-2 グレースピリオドに関する専利法一部条文改正が5月1日より施行
(2017年4月11日 智慧局ニュース全訳)
1-3 「専利のグレースピリオドの審査基準」改訂予告

2. 模倣品関連
(2017年3月14日 中国時報第A13面要訳)
2-1 コピー物ブランドを3割の価格で販売した男を書類送検
(2017年3月15日 中国時報第A13面要訳)
2-2 ブランドバッグの模倣品販売グループを逮捕

3. その他一般
(2017年3月11日 工商時報第A7面要訳)
3-1 台湾と中国工商総局の協力強化
(2017年3月16日 工商時報第A17面全訳)
3-2 営業秘密漏洩について親告罪に改めるよう業界から要望

1. 智慧局ニュース

(2017.03.24 聯合報第A16面、智慧局ニュースの要訳)
1-1 「藍眼淚(青い涙)」は商標になり得るか?
「藍眼淚(青い涙)」は一種の海中生物の発光現象で、馬祖、墾丁、花東(花蓮台東)海岸と離島の海浜地区に見られ、観光の目玉にもなっている。先日、紀という馬祖出身者が「藍眼淚」を商標登録し、「同商標を使用する者は権利侵害となるため賠償請求する、また10万台湾元(約36万円)で譲渡する」等といった内容を「馬祖情報掲示板」サイトに掲載し物議をかもしていた。これについて、連江県政府は智慧局に対し「藍眼淚」は馬祖地区特有の地理的景観であり商標登録するのは不適切であると主張し、また馬祖の「公共財」として、特定の者が登録した「藍眼淚」商標は、民衆が使用できるよう県政府に無償返還すべきだと述べた。

また、上記報道に対し、智慧局は以下のような説明を発表した。
このような自然現象は馬祖地区独有のものではなく、商標登録とすることができるか否かについては、商標法の規定に基づき、「藍眼淚」が単に商品又は役務の品質、用途、製造地、生産地、出所地等を描写または説明するに過ぎないとの印象を消費者に伝えるか否かを判断に加えて考慮しなければいけない。もし商品又は役務の特性の描写または説明に過ぎない場合、消費者は通常それを商品選択の標識とせず、商標法が要求する識別性を具えず登録ができない。本件の「藍眼淚」商標と使用を指定する「茶葉、蒸菓子」等の商品の間には、商品又は役務の特性を描写または説明するという意味はなく識別性を具えており、ほかに登録不可の理由がないため登録査定となった。
しかしながら、業者は、「藍眼淚」の登録商標を持っているが、他人や他業者が事業活動に従事する際に「藍眼淚」の語を使用してはいけないということではない。もし既に登録済みの「藍眼淚」商標を「自己の商標」として事業活動を行うのではない場合、例えば、馬祖地区の民宿業者が「藍眼淚」を、宿泊客に提供する「藍眼淚」体験ガイドサービス、旅行業者が手配する「藍眼淚」の観光プランなどに記載することは、商習慣の信義誠実の原則に符合し、自己の商品または役務の名称、形状、品質、性質、特性、用途、産地またはその他の関連する商品またはサービス自体の説明を表すもので、商標法第36条第1項第1号の規定により、合理的使用を主張でき、他人の商標権の効力に拘束されない。
「藍眼淚」商標の個人登録後に争議を引き起こしたため、今後馬祖地区がどのように「馬祖の青い涙」で地域性観光産業などのブランド展開をしていくかについて、智慧局は連江県政府と検討協議を行っていく。

(2017.04.07 智慧局ニュース全訳)
1-2 グレースピリオドに関する専利法一部条文改正が5月1日より施行
2017年1月18日で改正公布された専利法一部改正条文が、行政院の決定により5月1日から施行される。
今回はグレースピリオドに関する条文の改正で、ポイントは以下のとおり。
1. 特許及び実用新案のグレースピリオド期間について、台湾出願日の前の6ヶ月から12ヶ月に延長する。
2. グレースピリオドを適用できる公開態様を緩和し、出願人の意図によるかよらないかに関わらず、公開態様を制限しないこととする。
3. 手続要件を緩和し、出願時にグレースピリオド適用を主張する声明をする必要がなくなる。
今回の改正は、5月1日当日及びその後に提出された出願に適用される。
改正条文の新旧対照表は、智慧局サイトの以下のリンク先からダウンロード可能(中国語):https://www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=619390&ctNode=7452&mp=1

(2017.04.11 智慧局ニュース全訳)
1-3 「専利のグレースピリオドの審査基準」改訂予告
一、「専利のグレースピリオドの審査基準」(第二篇第三章第4節、新規性または進歩性喪失の例外)の改訂ポイントは、
(1) 特許及び実用新案のグレースピリオドを現行の6ヶ月から12ヶ月に改める。
(2) グレースピリオドを適用できる公開事由を緩和:公開事由には「出願人自らの意思で行った公開」及び「出願人の本意によらずなされた公開」の二つの事情を含む。
(3) 公開の態様を制限しない(専利公報による公開を除く)。
(4) 専利出願人が出願と同時にグレースピリオドを主張しなければならないとの規定を削除。
(5) 4.4「専利公報によりなされた公開」、4.7「新規性または進歩性の喪失の例外の審査」及び4.8「審査の注意事項」を追加。意匠のグレースピリオド審査基準については、グレースピリオドの期間は依然として6ヶ月とすること以外、その他は全て特許審査基準の内容を参照して改訂する。
二、専利のグレースピリオドの審査基準草案は、2017年3月17日に公聴会を終え、智慧局は公聴会での各界からの意見を参考とし、「特許グレースピリオド審査基準の予告清書版、予告訂正線あり版」、「意匠グレースピリオド審査基準の予告清書版、予告訂正線あり版」及び「専利グレースピリオド審査基準公聴会の各界からの意見及び検討結果」を作成した。関連内容は智慧局サイトの下記リンク先を参照。
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=620549&ctNode=7127&mp=1
三、上述した専利グレースピリオド審査基準の改訂草案内容にご意見等があれば2017年4月24日までに下記までご連絡いただきたい。
(一)担当部門:智慧財産専利三組
(二)住所:台北市大安区辛亥路2段185号3F
(三)連絡人及び電話:陳穎慧(02)2376-7683
(四)FAX(02)2377-149
(五)E-mail:ipo3p@tipo.gov.tw

2. 模倣品関連

(2017.03 .14 中国時報第A13面要訳)
2-1 コピー物ブランドを3割の価格で販売した男を書類送検
警察の調べによると呉という男は「SUPERDRY極度乾燥」、「adidas」、「NIKE」等の冬物ジャンパーが若者に人気があることに目をつけ、中国の大手通販サイトのタオバオ(淘寶網)より市価の2割の価格で輸入後、市価の3割の価格でPChome(露天)やYahoo等のネットオークションで販売し、わずか4ヶ月で500枚を販売した。それを購入したある消費者が、ファスナーや材質が粗悪なことから保安警察第二総隊刑事警察大隊偵一隊に通報し、警察は捜査の結果、新北市板橋区にある呉の倉庫から352枚の模倣品を押収した。
権利侵害額は200万台湾元(約730万円)、不法利益は約20万元(約70万円)と見られている。警察は取調べの後、商標法違反で呉を書類送検した。

(2017.03 .15 中国時報第A13面要訳)
2-2 ブランドバッグの模倣品販売グループを逮捕
保安警察第二総隊刑事警察大隊偵二隊は、昨年7月に台中市第7地区にある豪邸を利用しブランドバッグの模倣品を取引していた林という女を摘発した。その後も引き続き捜査を続け、3月14日、主犯格の李という女及び共犯者9名を割出し、CHANEL、LV、GUCCIなどの模倣品合計150点を押収した。
警察の調べによると、李は、商品はインターネットより購入したもので、ネット取引プラットフォーム、Facebook、LINE等にブランド品の写真を貼り販売したと供述、また「並行輸入」、「国外代理購入」、「OUTLET」と偽り、偽造した購買証明書で消費者を欺き、正規品の7~8割の価格で販売していた。
被害者数は少なくとも100名以上、利益は400万台湾元(約1,460万円)あまりにのぼると見られ、取調べの後、李らを商標法及び詐欺等の罪で書類送検した。

3. その他一般

(2017.03 .11 工商時報 第A7面要訳)
3-1 台湾と中国工商総局の協力強化
中国工商総局・張茅局長は、両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)の期間中の10日の記者会見で、次のように述べた。
2010年の「海峡両岸智慧財産權保護合作協定(海峡両岸知的財産権保護協力協定)」発効以来、工商総局は7年間、案件協調処理メカニズムを通して、台湾に関する商標案件を処理してきた。2016年末までの商標審査、異議、移転・譲渡、取り消し等の手続きを含む台湾側の処理請求案件は536件であった。また、昨年末までに工商総局が受理した台湾(出願を基礎とする)優先権案件の商標は353件であり、台湾の出願人の優先権の権利を保障している。
その他、工商総局は海峡両岸の知的財産権交流を推し進めており、中華商標協会と海峡両岸商務協調会の共同主催による「両岸商標フォーラム」を毎年1回開催し、今までに11回開催しており、両岸は商標管理方面において経常的な交流ルートを保持している。張茅局長は、「今後も引き続きこの方面の交流、強調、協力を希望する」と述べた。

(2017.03.16 工商時報第A17面全訳)
3-2 営業秘密漏洩について親告罪に改めるよう業界から要望
行政院の林全・院長は15日、各部会を招集し「企業スパイの防止規定と対策」について検討会を開催した。その中で、営業秘密法では国外持ち出しについてその刑を最高10年の刑に処することについて、企業の立証が困難であることから、産業界から非親告罪から親告罪へ改め、「内部告発」条項を定めるよう要望があった。
ハイテク人材が頻繁に中国からヘッドハンティングされていることから、政府が、スパイ防止対策を強化するに際し、行政院は企業のスパイ被害や企業スパイ防止規定の状況について高い関心を持っている。林院長は昨日(3月15日)、経済部からの「営業秘密法」実施成果検討報告を聴取したが、「反滲透法(反スパイ法)」及び「国家保防工作法(スパイ防止法)」について議論が高まっている最中であることから、行政院はこれについては機密会議として、法改正により防止規定を強化するか否かについては、部会に「ノーコメント」を指示した。
営業秘密法について、産業界からは、営業秘密法で国外持ち出しにつきその刑を10年まで加重することについて、企業が証拠を収集することが非常に困難なところ、もし共犯がおり、物証、犯罪の事実又は証拠を提供する意向がある場合、企業は告訴しないこともできるが、非親告罪であれば「内部告発」のメカニズムを採ることができないことから、非親告罪から親告罪へ改めることはできないかとの提案があった。
営業秘密の訴訟事件について、現行の規定では、裁判所での審理の時に秘密保持を必要とするが、今後、それを拡充し、検察官の捜査期間においても秘密保持を必要とすることに同意した。
このほかに、営業秘密法の定義について、営業秘密法では5~10年(営業秘密を中国等の外国地域に持ち出し使用する意図があれば、最高10年の刑)に処することができるのに対し、刑法の工商秘密漏洩罪では僅か1年以下の刑で、両者の刑事罰の差が非常に大きいことから、営業秘密法と刑法第317条の工商秘密漏洩罪とを同等にできるか否かについて、裁判所と検察は大きく注目している。
裁判所と検察はこれについては非常に悩まされており、例えば、技術機密に関わる程度が低い場合、刑法の工商秘密漏洩罪で審理して判決することとし、台積電(TSMC)のナノプロセステクノロジーのような機密程度の比較的高いものについては、営業秘密法を適用して審理することとする等、両者について明確な区別をするよう経済部に提案した。
しかし、産業界では法改正により軽重の区別を明確化することには賛成しておらず、現行の営業秘密法の法律規定を維持するよう提案しており、これについては争議が大きいことから、法務部と意思疎通を図る予定である。
競業避止条項については、労働部から法改正の必要なしとの主張がなされた。産業界からは、現在ライバルからの悪意のヘッドハンティングにおいては、形式上性質的に関係のない子会社を利用して、競業避止の規定を回避していることから、このような形式的回避を利用したシニア技術者及び研究開発人員のヘッドハンティングによる営業秘密の窃取を防ぐため、労働部は実質的な認定を行うよう改めるべきである、との要求があった。

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