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知財ニュース239号

台湾知的財産権ニュース(No.239)

発行:特許庁委託(公財)交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.239)
発行年月日:2016年8月31日発行
主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2016年7月26日 智慧局ニュース全訳)
1-1 「2016年デジタル海賊版の防止シンポジウム」の開催成功
(2016年8月4日 智慧局ニュース全訳、2016年8月5日 工商時報第A2面の要訳)
1-2 清華大学等4校の専利出願及び証書取得状況
(2016年8月12日 智慧局ニュース全訳)
1-3 専利の優先権証明書類の発行内容を変更
(2016年8月16日 智慧局ニュース全訳)
1-4 「バイオメディカル及び漢方薬についての特許検索システム」のサービス停止
(2016年8月18日 智慧局ニュース全訳)
1-5 智慧局新局長に2016年8月18日付けで洪淑敏局長が就任

2. 知的財産権紛争
(2016年7月28日 中国時報第B2面の要訳)
2-1 企業秘密の流出で権利侵害額26億台湾元、元職員らを書類送検

1. 智慧局ニュース

(2016.07.26 智慧局ニュース全訳)
1-1 「2016年デジタル海賊版の防止シンポジウム」の開催成功
経済部智慧局、米国在台協会(AIT)及び政治大学科技管理・知的財産研究所は7月26日、「デジタル海賊版防止のシンポジウム-新思考と新方法」を共同開催した。同シンポジウムには特別に米国知的財産執行調整官(IPEC)のDanny Marti代表を招聘して、米国における執行経験を共有してもらい、智慧局代表も台湾の著作権法制度の最新状況について説明した。また、ネット広告及びネット決済業者を招聘して、ネット決済の切断によるネット著作権保護の経験を共有してもらい、ネット海賊版撲滅の新しい方向性を構築した。同シンポジウムには台米双方の関連機関、テクノロジー業界、事務所及び高等教育機関から合計200名以上が参加した。
今回のシンポジウムには特別に、智慧局の前局長である経済部の王美花・経済部常務次長(経産省事務次官に相当)を開会挨拶に招聘し、王次長は著作権法の重要性と複雑性を熟知しており、任期中著作権法の全面改正に尽力したこともあるため、智慧局の著作権法制度の法制と執行の今後の発展、及び智慧局が民間と協力して著作権の権利侵害問題をいかに解決していくかについて非常に重視していると挨拶した。
科学技術の発展により、モバイル通信、ネットストリーミング及びクラウドが著作物利用の主要な方法となり、ネットプラットフォームが実体物の境界の制限を大きく打ち破ったことで、創作者が自由にアイデアを発揮するプラットフォームとなり、また利用者が容易に著作物を利用できるプラットフォームにもなった。ネットワークの形態が日増しに複雑化していくにつれ、関わりのある利害関係者はもはや権利者、利用者及びISP業者だけにはとどまらず、ひいては広告業者及びネット決済業者も含まれることから、今回のシンポジウムでは特にデジタル海賊版への資金流入の共同防止等といった利害関係者の面から共同で解決の道を探り、台湾がどのように健全な著作権制度を構築し、優良な保護と利用の著作権環境を創造していくかについて、より多くの関係者との意見交流を通して、有効的にネット著作権侵害を撲滅する目的を達成できるよう共同で思考する機会を提供するものとなった。

(2016.08.04 智慧局ニュース全訳、2016.08.05 工商時報第A2面の要訳)
1-2 清華大学等4校の専利出願及び証書取得状況
2016年上半期の知的財産権趨勢に関する統計に引き続き、智慧局は8月4日、台湾のトップレベルの大学である台湾大学、清華大学、交通大学及び成功大学の4校の専利出願及び証書取得状況について発表した。
台湾における高等教育機関及び学術研究機関は、研究開発イノベーションにおける新しいパワーを具えているものの、ここ5年、4校の専利出願件数の合計は年々減少しており、2011年には特許出願件数の合計は702件だったが、2015年は僅か367件と47.7%の大幅減となっている。その中で、交通大学と成功大学の2015年の出願件数は若干回復を見せ、交通大学は2015年に105件(前年比9.3%微増)、成功大学は2015年に101件(前年比16.1%微増)となった。清華大学は4校中唯一、一貫して特許出願数を維持しており、同時に2014年と2015年の特許出願数は国立大学のランキングで第一位となった。
清華大学がどのようにして一定の特許出願件数を維持しているのか理解するため、智慧局は8月1日に清華大学の産学提携運営総センターを訪問した。当センターの徐慧蘭・センター長によると、清華大学は基礎研究を重視すると同時に、研究開発の成果を技術移転や特許許諾等の方法を通して産業イノベーションの動的エネルギーへの転換を図っている。清華大学の統計によると、2015年の技術移転金額は1億1,443万台湾元(約3億6,600万円)に達しており、その中で特許許諾による収益は61%を占め、同時に学校の必要経費を差し引いた後の収益の35%を次年度の専利出願支出に繰り越し投資し、良好に循環させている。徐慧蘭・センター長によると、注目に値すべきは、ここ2年で専利の技術移転金が成長したのは、清華大学が出願した専利の品質が良いこと以外に、技術移転案件の資料統計から、専利許諾を取得した案件の専利は約4~5年前に出願されたもので、過去数年における大学の技術移転金額が余り高くなかった当時、教育部のトップレベル大学計画による専利出願経費への支援の功績が大きく、学校が専利出願に充分な経費的支援をできるようになったことが分かる、という点である。
また、清華大学から提供された「2011~2015年度の専利ライセンス金額」と本局の統計による「清華大学特許出願件数の動向」から、2013年~2015年の専利出願と前年度の技術移転金額による出願費用に対する繰り越し投資に連動関係があり、当年度の技術移転金額が高い時には、次年度の専利出願費用もまた多くなり、反対に低い時には少なくなることが分かる。徐慧蘭・センター長によると、現在の技術移転の成果は約4~5年前の専利出願の成果で、且つ一部の専利ライセンス案件の専利証書の取得には5、6年かかる。学校では技術移転による収益を専利出願に繰り越し投資し、不足部分については学校の校務基金から調達しており、良好な循環となっているが、教授の研究開発の動的エネルギーを考慮すると、学校の経費による制限で減損させることのないよう、技術移転ライセンス料でサポート可能な範囲内で、教授による専利出願の提出にできるだけ協力しており、今後、技術移転のライセンス料の高低が専利出願の経費支出に対する影響が出てくることは確実である。
また、ここ5年の台湾大学、清華大学、交通大学、成功大学の専利出願数と証書取得数を分析してみると、台湾大学、交通大学及び成功大学の2013年~2015年の証書取得数はいずれもよい成績であるものの、それは2~3年前の専利出願数が充分であったことに基づいていることが分かる。なお、過去5年の4大学の出願数の合計は、2011年には特許出願件数702件だったものが、2015年には僅か367件(47.7%減)となっており、その中で台湾大学の2012年の出願は165件だったものが2015年には僅か38件であった。また、注目に値すべきは、清華大学、交通大学、成功大学の2012年以降の専利出願数は引き続き減少しており、2012年の出願数を基準とすると、2013年~2015年の各校の平均減少量は、台湾大学32.5%、交通大学25%、成功大学42%である。清華大学を例にすると、専利証書取得数は専利出願数の約7~8割を占めることが分かり、今後2~3年、各校の専利出願数の減少が各校の専利証書取得数に反映され、各校の専利証書取得数が充分でない場合、専利からの専利ライセンス料取得を見込むことはできないだろう。
よって、台湾での専利出願件数の減少に直面し、学術研究機関であるか産業界であるかにかかわらず、価値のある専利を生み出すには、良好な専利書類の記載と審査の質を維持するだけでなく、充分な専利出願数を保持しなければならず、それによって、イノベーションの動的エネルギーを絶え間なく維持することが可能となる。

(2016.08.12 智慧局ニュース全訳)
1-3 専利の優先権証明書類の発行内容を変更
優先権証明書類は、専利出願案の出願日に開示された技術内容の確認に用いられるものであるため、当然、最初の出願日を取得した当該明細書、要約、専利請求の範囲及び図面を優先権証明書類とすべきである。後続の書類の異動については、優先権証明書類の範疇に属さない。これを鑑みて即日より、出願を変更出願あるいは分割出願する場合、発行される優先権証明書類は、最初の出願日を取得した原出願の内容とすることに変更する。つまり明細書、専利請求の範囲及び必要な図面を出願時に中国語書面で提出せず、外国語書面で提出し、且つ、本局の指定期間内に中国語書面を補正提出した場合、発行する優先権証明書類は、出願日を取得した最初の外国語書面の内容となる。

(2016.08 .16 智慧局ニュース全訳)
1-4 「バイオメディカル及び漢方薬についての特許検索システム」のサービス停止
1. 本局の「バイオメディカル及び漢方についての特許検索システム」は、2008年に改訂版が構築されたが、情報テクノロジーの絶え間ない進化に伴い、従来の作業環境及び技術の使用では時代にそぐわず、運営を維持するにも困難であり、加えてシステム使用の需要も減少したため、2016年10月7日よりサービスを停止する予定。
2. 今後、ユーザーが関連資料を検索したい場合には、ネット上の各種無料データベース(例えばgoogle patent、EOL(Encyclopedia of Life、COL(Catalogue of Life) 、PubChem、TCM@Taiwan 等)を参考のこと。

(2016.08.18 智慧局ニュース全訳)
1-5 智慧局新局長に2016年8月18日付けで洪淑敏局長が就任
智慧局の洪淑敏・新局長の就任・宣誓式典が2016年8月18日午後4時から、智慧局ホールで開催され、経済部の王美花・経済部次長(経産省事務次官に相当)が発表及び宣誓を執り行う。
洪淑敏・新局長は、中興大学法律学部及びフランクリン・ピアース・ローセンター知的財産法学修士で、公務員高等試験金融法制類科に合格し、智慧財産局で専門員、編集・翻訳、科長、商標シニア審査官、副組長、組長、主任秘書、副局長等の職務を経ており完璧な資格経歴を備えている。在職期間においては、両岸における交流制度を構築し、国際議題を積極的に統合し、並びに智慧局側の台湾・シンガポール、台米TIFA、台欧、台英等の二国間協議の主席交渉官を務め、台湾・シンガポールASTEP知的財産権章の交渉、台米知的財産権議題の交渉での多数回にわたる米国の説得など、その業績は卓越しており、1992年と2007年には経済部模範公務員賞を獲得した。また、行政院の決定により参加した「2013年行政院国際経貿交渉と訴訟についてのミドル・ハイレベル人材育成班」での成果も素晴らしく、専門且つ豊富な経験と行政実務の経験を兼ね備え、外国語能力及びリーダーシップにも優れている。
智慧局は専利、商標、著作権、営業秘密、半導体集積回路配置等の重要業務を掌握しており、産業競争のグローバル化の趨勢に対応するため、智慧局では積極的に審査力と政府施政サービスの質を向上させ、産業テクノロジーの研究開発、イノベーションを奨励している。今後、洪局長の先導の下、引き続き審査の質と効率を向上し、各界からの意見に耳を傾け、産業界との提携を強化し、引き続きグローバル市場における台湾企業の付加価値化と活躍ができるよう、産業のために優良なイノベーション研究開発及び知的財産権の保護環境を構築していく。

2. 知的財産権紛争

(2016.07 .28 中国時報第B2面の要訳)
2-1 企業秘密の流出で権利侵害額26億台湾元、元職員らを書類送検
台湾で初めて「マイクロナノ粉砕機」を売り出した新芳ナノテクノロジー会社(以下「新芳」と省略)で権利侵害問題が発覚した。
2014年7月、保安警察第二総隊刑事警察大隊偵三隊は、新芳の通報を受け7ヶ月に及ぶ捜査の結果、陳という前工場長を含む3人の離職職員が、蔡という男にヘッドハンティングされ、研究開発した技術を持ち出し、同業種の会社を設立、また蔡は、中国で業者を誘致し重慶にも工場を設立し、新芳の企業秘密と技術が移転されていたことがわかった。マイクロナノ粉砕機は、電子製品、国防軍事、電磁波防御、放射線防護などに用いられ経済効果がある。
新芳は、スーパーマイクロナノ粉砕機自動回収システムの特許出願をしておらず、逆に蔡によって特許出願されたため、新芳の損失は大きく、警察は権利侵害額が26億台湾元(約83億円)に達すると見ている。陳らは容疑を否認しているが、警察は蔡を含む5人を営業秘密法違反で書類送検した。

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