発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.409)
発行年月日:2026年7月15日発行
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2026年6月26日 智慧局ニュース全訳)
1-1 「女性による特許出願の加速審査試行方案」を2026年7月1日より1年間再試行する
(2026年6月26日 智慧局ニュース全訳)
1-2 本局の「専利オンライン出願システム」に「実用新案及び特許」の後続手続きの申請及び「明細書のオンライン編集」機能を追加、ぜひご活用ください
2. 知的財産権紛争
(2026年7月2日 聯合報全訳)
2-1 全固体電池大手の幹部が7.6億米ドルで会社を裏切る 輝能の元協理に営業秘密漏洩の疑い
1.智慧局ニュース
(2026.06.26 智慧局ニュース全訳)
1-1 「女性による特許出願の加速審査試行方案」を2026年7月1日より1年間再試行する
www.tipo.gov.tw/tw/tipo1/799-87681.html
一、 本局は2025年7月1日より「女性による特許出願の加速審査試行方案」を試行し、2026年6月30日に満了となる。試行以来、女性出願人が本方案による申請をしてから審査結果を受領するまでの平均期間は44.2日で、成果は良好である。女性がイノベーション・発明へ投入し、専利保護を迅速に獲得するのを奨励するため、既存の審査能力を評価し、本方案を改正してさらに2027年6月30日まで試行する。
二、 今回の改正方案は試行期間のみ調整し、その他の内容はいずれも従来通り。改正後の「女性による特許出願の加速審査試行方案(女性申請發明專 利加速審査試行方案)」及び元の「女性による特許出願の加速審査試行方案Q&A(女性申請發明專利加速審査試行方案答客問)」は、上記リンク先の智慧局サイトの「檔案下載(ファイルをダウンロード)」からダウンロード可能(中国語)。
(2026.06.26 智慧局ニュース全訳)
1-2 本局の「専利オンライン出願システム」に「実用新案及び特許」の後続手続きの申請及び「明細書のオンライン編集」機能を追加、ぜひご活用ください
www.tipo.gov.tw/tw/tipo1/799-87698.html
専利出願サービスを引き続き改善するため、本局は即日より「専利オンライン出願システム」に「実用新案及び特許」の後続手続きの申請機能を追加し、より充実したオンライン作業サービスを提供する。申請事項は以下のとおり:再審査申請、出願権の継承または許諾、専利権の異動及び変更、及びその他の申請事項(例:第三者意見書、優先権の回復、代理人登記及び変更等)。
また、申請案件のレイアウト及びコンテンツフォーマットの調整の必要性を考慮し、「明細書のオンライン編集」機能を追加し、「実用新案」及び「特許」の要約、明細書、専利出願の範囲及び図面編集作業を支援し、画像挿入の提供、表・段落番号の追加、上付き・下付き文字、太字、斜体等のフォントの様式と効果の設定を提供し、出願人がよりフレキシブルに出願書類を編集できるよう支援する。
本局の「専利オンライン出願システム」をぜひご活用いただき、より便利で充実したオンライン出願サービスを体験していただきたい。
※上記リンク先の智慧局サイトの「檔案下載(ファイルダウンロード)」から「簡易操作手冊(簡易操作マニュアル)」をダウンロード可能(中国語)。
※専利オンライン出願システム(中国語:専利線上申請系統)のリンク先:https://tiponet.tipo.gov.tw/patent/
2.知的財産権紛争
(2026.07.02 聯合報全訳)
2-1 全固体電池大手の幹部が7.6億米ドルで会社を裏切る 輝能の元協理に営業秘密漏洩の疑い
輝能科技股份有限公司(ProLogium Technology;ProLogium)の元経理部協理兼株主事業部担当・投融資部幹部を務めていた楊という上層幹部は、7.6億米ドル(約1,229億円)の報酬のため、中国企業による株式取得を仲介したほか、財務報告書、株主名簿、及びデューデリジェンス報告書などの重要な営業秘密を複数回にわたり漏洩したとして、桃園地方検察署は営業秘密違反および背任罪で起訴した。
起訴状によると、60歳の楊證銘は2014年9月から2023年12月までProLogiumに在職し、経理部協理、並びに株主事務部および投融資部幹部を兼任し、IPO(新規公開株)に伴う資金調達、企業の資金調達、投資家へのアプローチ、支払い審査などの業務を担当しており、また、財務諸表、財務業務報告書、株式構成、およびケイマン諸島に拠点を置く親会社である輝能控股公司(ProLogium Holding Inc.;ProLogium Holding)の株主名簿全般も掌握しており、会社の財務、株主関連業務および資金調達業務を統括するコアな上層幹部であった。
検察の調べによると、ProLogiumはもともと2022年に中国上海城濮投資管理公司と提携の協議を行っていたが、ESGやサステナビリティ・ガバナンス等の要素を考慮し、提携に伴うリスクを懸念し最終的には取引中止を決定した。楊證銘は協議に参加した過程において、中国上海金景投資管理諮詢公司(Shanghai Jinjing Investment Management Consulting Co., Ltd;以下「上海金景」という)が、取締役会の議席確保、さらには経営権の取得を通じて、輝能の全固体電池技術を掌握しようと目論んでいることを知ると同時に許氏という株主が自身の保有株を売却する意向があることも知った。
楊證銘は、CFO(最高財務責任者)の地位を利用し、会社利益に反する行為を行った疑いが持たれている。楊は、上海金景が香港会社の名義を使って2,000万米ドル(約32億3540万円)で株主の許氏からケイマン諸島の親会社であるProLogium Holdingの株式82万8,754株、取引金額は約6億台湾元(約30億円)を取得することに協力し、そのうち約7万6,000米ドル(約1,229万円)を楊が報酬として受け取り、ProLogiumに利益損失をもたらした。
株式取引の仲介以外にも、検察の調べによると楊證銘は2022年9月と12月の2回にわたり、会社の重要な営業秘密を漏洩していた。2022年9月29日、楊は、メールを2階層上の上司へ自動的に転送する社内の情報セキュリティ・プロトコルを回避するため、事情を知らない女性従業員の陳に、会社の機密文書を彼女のメールアカウントを使って秘密保持契約を締結していない上海金景へ送信するよう指示した。
調べによると、送信されたファイルには、ProLogiumの財務諸表、財務業務報告書、株式構成、およびケイマン諸島のProLogium Holding.の株主名簿等の機密資料のデロイトによる税務デューデリジェンス(DD)報告書、法務デューデリジェンス報告書、デロイトによる財務デューデリジェンス報告書、ProLogium Holding.およびその子会社の2022年の未公開の連結包括利益計算書、キャッシュ・フロー計算書、および半期貸借対照表等の資料が含まれていた。
検察は、これらのDD報告書の内容は、ProLogiumの主要顧客、売上高、生産コスト、原材料の調達先、設備投資、融資情報、取締役の構成、主要投資家の保有株式、ESOP(従業員持株制度)、および非公開の財務諸表等を網羅しており、会社が会計士事務所に委託して作成する費用は33万米ドル(約1,000万台湾元;約5,000万円)に達するもので、これまで一度も開示されていないだけでなく、極めて高い商業的価値も有するものであると指摘した。
検察の調べによると、同年12月22日と26日に、楊證銘は女性部下の莫氏が交通事故による長期休暇中であることを悪用し、無断で彼女の会社のパソコンアカウントやメールボックスにアクセスし、彼女のアカウントを使い、社内の監査システムを回避する形で、ProLogium Holdingの完全な株主名簿を、上海金景、株主の許氏、および許氏の妻(姓:彭)に対して繰り返し送信していた。女性社員の莫氏は、これが通常の作業手順であると誤認し、その後も指示通りに完全な株主名簿の送信を継続したため、同社の株主データが全面的に流出することとなった。
検察によると、完全な株主名簿には、株主の氏名と持ち株の資料だけでなく、電話、住所、権利行使価格およびその時期も含まれ、会社の上層幹部、研究開発チーム、および戦略的投資家の戦略的な立ち位置を掌握するものも含まれており、もしこのような情報が競合他社に渡れば、優秀な人材の引き抜き、株式の相対取引による取得、会社経営権への影響、さらには戦略的提携と将来の資金調達活動の阻害などに悪用される恐れがあるため、営業秘密に該当する。
起訴状によると、ProLogiumは営業秘密の保護のため、通常従業員に秘密保持協議の締結を求めており、アクセス制御、金属探知、内部・外部ネットワークの切り離し、階層的な権限管理を設けて外部の電子メールサービスおよびクラウドストレージの利用は禁止されており、外部へ送付されるすべての文書には透かし(ウォーターマーク)が施され、株主名簿とDD報告書についても、専用の保管およびアクセス制御が採られており、権限のある担当者のみがアクセスできるようになっている。楊證銘は、秘密保持契約を締結しただけでなく、さらに会社の営業秘密保護課程も受講したことがあり、自身もまた情報セキュリティ専門家でありながら、職務を利用して機密を不正に漏洩したとして、本件は元企業犯罪プロジェクトチームで現在は汚職摘発プロジェクトチームに在籍する李旻蓁・検察官の指揮により法務部調査局桃園市調査処が捜査した。
桃園地方検察署によると、ハイテク産業の営業秘密及びコア技術は、台湾産業の競争力の重要な基礎であり、近年、海外勢力や競合他社が高額の利益で企業の上層幹部を誘惑し、業務偵察、優秀な人材の引き抜き、あるいは重要技術の窃取を行っており、こうした行為は、企業が投じた巨額の研究開発リソースに損害をもたらすだけでなく、産業全体の戦略的構図をも危うくするものであると重ねて述べた。
検察官はすでに刑法の背信罪および営業秘密法の中国地区での使用を意図して無断で営業秘密を漏洩する等の罪に基づき、楊證銘を起訴し、また、企業の営業秘密および台湾の産業競争力を守るため、この種の事件について引き続き厳格な調査と迅速な対応をしていくと強調した。
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