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知財ニュース381号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.381)
発行年月日:2025年2月27日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2025年2月15日 智慧局ニュース全訳)
1-1 2024年智慧局が受理した専利商標出願概況
(2025年2月15日 智慧局ニュース全訳)
1-2 智慧局公布の2024年専利出願ランキング上位100

2. 知的財産権紛争
(2025年2月15日 経済日報第B3面全訳)
2-1 力士科技が権利侵害でASUSを提訴し勝訴

1.智慧局ニュース

(2025.02.15 智慧局ニュース全訳)
1-1 2024年智慧局が受理した専利商標出願概況
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-997134-ba95a-1.html
直近3年間で智慧局が受理した3種の専利(特許、実用新案、意匠を含む)の出願件数は安定成長している。2024年は72,742件で、2023年に比べ横ばいとなった。そのうち、特許(50,823件)は前年比で微減しやや弱まったものの、依然として勢いを維持した。実用新案(14,559件)は一転して増加し、意匠(7,360件)は引き続き増加した。商標登録出願は90,341件で緩やかな減少となった。また、智慧局が尽力している審査力の向上については、2024年の特許の平均FA期間は8.4月、商標は6.1月であり、それぞれ2023年より0.5月減、0.1月減となっており、企業の速やかな権利取得と産業ポートフォリオ展開に役立っている。

台湾人による特許、実用新案のポートフォリオ展開はより活発に 高等教育機関は大幅に増加
台湾人による特許出願件数は19,586件で前年比0.2%の微減、実用新案の出願件数は13,341件で前年比0.2%の微増となった。出願人の類別に見ると、企業の特許出願件数は1%減少したが、実用新案は3%増加し、企業のポートフォリオ展開がより活発になっていることを示している。高等教育機関の特許出願は3%~8%増、実用新案出願は13%~57%の大幅成長となり、産学研の専利ポートフォリオ展開における持続的な成長が反映されている。意匠出願件数は3,338件で前年比3%減となり、その主因は学校の出願が13%減少したことにある。一方で、企業の出願が5%増加したことは注目に値する(表1、図2、図3参照)。

外国人による特許、意匠の出願件数は、いずれも日本が1位
外国人による特許出願件数は31,237件(0.1%微増)で、日本からの出願が12,307件で1位となった。次いで米国(6,817件)、中国(3,472件)、韓国(3,365件)、ドイツ(1,035件)となり、韓国は歴代最多となった。各国の成長率については、韓国とドイツはそれぞれ前年比8%増、米国は1%増、日本、中国はそれぞれ2%減、9%減となった(表1、図4参照)。
外国人による意匠出願件数は4,022件で4%増となり、日本出願が880件で引き続き1位となった。次いで、米国(772件)、中国(755件)、スイス(370件)、ドイツ(241件)となった。中国は61%の大幅増となり、ドイツは1%増となったが、日本、米国、スイスはそれぞれ6%減となった(表1、図5参照)。

商標登録出願件数が1%減少 減少は鈍化
台湾の商標登録出願件数は90,341件で前年比1%減(区分別は合計112,534区分、2%減)となり、減少幅は2023年(-3%)と比べ縮小した。これは台湾人による出願が69,386件で4%減となるいっぽうで、外国人による出願は20,955件で7%増となったことが主因である(表1、図7、図8参照)。
商標登録出願件数上位5か国(地域)では、中国が5,624件でトップとなり、次いで日本(3,397件)、米国(2,822件)、韓国(1,919件)、香港(1,227件)となった。上位5か国(地域)では米国のみ3%減少となったが、その他はいずれも13%~28%の大幅増となった(図9参照)。

台湾人では統一企業が6年連続商標登録出願件数1位 外国人ではテンセントが連続1位
台湾法人では、統一企業が出願件数709件で、2019年から6年連続で第1位となった。2位は富邦媒(216件)で、3位から5位の吳若梅(167件)等の出願人は、いずれも寺院関連の商標出願である。外国法人では、ケイマン諸島の騰訊控股(テンセントホールディングス)が146件で第1位となり、フランスのロレアル(86件)、日本の花王(81件)がこれに続いた(図10参照)。
台湾人の商標登録出願について、区分別で見ると、第35類(広告、企業経営及び小売・卸売役務等)が13,407件で最多となり、上位10区分では、第3類(化粧品、洗浄剤等)は2.2%増加したものの、第5類(薬品等)、第42類(科学及び技術的サービス)の成長率は-0.3%~0.3%で、その他の区分はいずれも1.8%~10.6%の減少となった(表2参照)。
外国人については、第9類(コンピュータ及びテクノロジー製品等)が3,848件で最多となり、上位10区分のうち第3類(化粧品、洗浄剤等)、第25類(衣服、靴等)、第18類(皮革、人工皮革及びレザーバッグ等)はいずれも12.2%~15.4%の二桁成長となったが、第5類(薬品等)、第42類(科学及び技術サービス)はそれぞれ3.7%、9.8%の減少となった(表2参照)。

専利・商標審査期間を引き続き最適化し、企業の迅速な産業ポートフォリオ展開を支援
智慧局は専利・商標の審査力向上のため、引き続き審査システム、検索機能及び人員配置の最適化に尽力している。2024年の特許の平均FA期間は8.4月で、2023年より0.5月短縮し、審査待ち案件は52,712件にとどまっており(図6参照)、商標については、平均FA期間が0.1月短縮され6.1月になり、審査待ち案件は52,860件まで減少している(図11参照)。企業の迅速な権利取得と市場での産業ポートフォリオ展開強化の一助となっている。

関連資料は以下のURLから参照可能:
www.tipo.gov.tw/tw/lp-87-1.html

※智慧局公布の2024年専利商標出願概況の詳細については、上記リンク先の智慧局サイトの檔案下載(ファイルダウンロード)「新聞稿_智慧局公布113年受理專利商標申請概況_圖表」(中国語)を参照。

(2025.02.15 智慧局ニュース全訳)
1-2 智慧局公布の2024年専利出願ランキング上位100
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-997133-4f5d5-1.html
智慧局は2024年の専利出願及び専利公告統計ランキングを発表した。台湾人では台湾積体電路製造(TSMC)が出願件数1,412件で9年連続の第1位となり、外国人では米国のアプライド・マテリアルズ(Applied Materials)が950件で1位に返り咲いた。工業研究院(ITRI)(356件)、成功大学(121件)はそれぞれ研究機関及び高等教育機関の1位となった。特許証の発行件数については、TSMCが1,163件、アプライド・マテリアルズが697件となり、それぞれ台湾人及び外国人のトップとなった。

台湾人による特許出願件数ではTSMCが9連続トップ
TSMCの特許出願件数は2016年から9年連続の第1位となり、2024年の出願件数は1,412件であった。次いで、南亜科技(Nanya)(466件)、友達(AUO)(425件)、ITRI(356件)、群創(Innolux)(328件)、 英業達(Inventec)(321件)、瑞昱(Realtek)(309件)、宏碁(Acer)(277件)、鴻海(Foxconn)(259件)、聯發科技(MediaTek)(239件)となった。そのうち、2位のNanya、5位のInnoluxの出願件数は、いずれも過去最多であり、9位のFoxconnの93%増という成長率は、上位10位の中でも最高値となった(図、表1参照)。
台湾人による特許出願件数上位20位のうち、12位の聯華電子(UMC)(221件)、13位の華邦電(Winbond Electronics Corporation)(160件)、17位の力晶積成電子製造(PSMC)(131件)の出願件数も過去最多となった(表1参照)。

外国人による特許出願件数ではアプライド・マテリアルズがトップに返り咲き
米国のアプライド・マテリアルズが950件で特許出願件数1位に返り咲き、韓国のサムスン電子(894件)は2位に退いた。韓国の韓領(698件)は3位に躍進し、その成長率は、上位10位の中で最高の前年比54%増であった。以降、日本の東京エレクトロン(661件)、米国のクアルコム(660件)、日本の日東電工(417件)、オランダのASML(344件)、日本の信越化学(279件)、米国のラムリサーチ(Lam Research)(276件)、日本のSCREENホールディングス(253件)と続いた。3位の韓国の韓領、4位の日本の東京エレクトロン、7位のオランダのASML、8位の日本の信越化学、9位の米国のラムリサーチの出願件数は、いずれも過去最多となった(図、表2参照)。
外国人による特許出願件数上位20位のうち、日本の出願人によるものは11を占めた。また、11位の日本のレゾナック・ホールディングス(251件)、17位の中国のファーウェイ(HUAWEI)(184件)、18位のスイスのWONDERLAND SWITZERLAND AG(167件)の出願件数は、いずれも過去最多となった(表2参照)。

研究機関による特許出願件数ではITRIが連続で18冠 成功大学は高等教育機関による特許出願件数で3年連続トップ
研究機関については、合計5機関が、台湾人による特許出願件数上位100にランクインした。ITRI(356件)は4位で、研究機関の中では2007年から18年連続でトップとなった(表3参照)。
台湾人による特許出願件数上位100にランクインした21の高等教育機関のうち、成功大学が121件で出願件数1位となり、次いで、台湾大学(98件)、清華大学(83件)、勤益科技大学(75件)、陽明交通大学(74件)、屏東科技大学(60件)、台北科技大学(55件)、中山大学(51件)、台湾科技大学(49件)、中興大学(48件)となった。上位10位はいずれも国立大学で、台北医学大学(47件)は私立校で1位となり、高等教育機関では11位となった(表4参照)。
意匠については、長庚科技大学(51件)がトップとなり、次いで、樹徳科技大学(34件)となった。3種の専利の合計でのランキングでは、台北城市科技大学(177件)が5年連続1位となり、出願は主に実用新案がメインであった(表5参照)。

関連資料は以下のURLから参照可能:
www.tipo.gov.tw/tw/lp-87-1.html

※智慧局公布の2024年専利出願ランキング上位100位の関連図表・統計については、上記リンク先智慧局サイトの檔案下載「1.智慧局公布113年專利百大排名_圖表」(中国語)を参照。

2.知的財産権紛争

(2025.02.15 経済日報第B3面全訳)
2-1 力士科技が権利侵害でASUSを提訴し勝訴
MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)設計メーカーの力士科技(FORCE MOS TECHNOLOGY CO., LTD. )は昨日(14日)、ASUS(エイスース)に対して起こした専利権侵害訴訟について、米国テキサス州東部地区連邦地方裁判所が米国時間2月13日に勝訴判決を下し、ASUSに対し1,050万米ドル(約15.9億円)の賠償金の支払い命令を下したと公表した。これについて、ASUSは、会社の権益を守るため法的手続に基づき控訴を提起すると述べた。
この訴訟についてASUSは、同社はサプライヤーの商品技術を採用しておリ、業界における実務にしたがって、サプライヤーが関連する権利・責任を有すると回答した。
力士科技によると、2022年にASUSが米国で販売しているノートパソコン内に力士科技の米国専利であるMOSFET商品の権利を侵害するものが含まれていることを発見したところ、力士科技は誠意を持って意思疎通し、警告を通知する義務を履行し、さらに弁護士から書簡を郵送したが、何ら結果を得られなかったため、同年、米国専利番号US7,629,634及びUS7,812,409に基づいて米国テキサス州東部地区連邦地方裁判所へ専利権侵害訴訟を提起し、昨日裁判所の判決が下されたものである。
さらに、力士科技は、今回ASUSが権利を侵害したMOSFET商品の商品コードが、強茂Panjit 2N7002K、杰力Excelliance EMB20N03V、樂山無線電 LRC L2N7002SLT1G、力智UBIQ QM3016AM等であることも説明した。
力士科技は、権利侵害しているMOSFET商品の商品コードがノートパソコン、PC、タブレット、電池モジュール等のデバイスを含むコンシューマーエレクトロニクス製品に広く使用され、デバイス1台あたり平均で数十個から100個余りが使用されており、しかも汎用的で各機種に全面的に使用できるため、同社の権益が長期間深刻に侵害されている旨、良質な知的財産権を尊重する信念と会社及び株主の権益保護に基づき、必ず最後まで闘い続ける旨を述べた。
力士科技は更に、ASUSが米国地区で本判決に関係する権利侵害MOSFETコードを採用した商品の販売ができないよう、米国裁判所に対し差止命令を申請し、今後も引き続き証拠を収集していくと述べた。

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