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知財ニュース269号

台湾知的財産権ニュース(No.269)

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.269)
発行年月日:2018年6月15日・29日合併号

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2018年6月11日 智慧局ニュース全訳)
1-1 商標登録出願にかかる指定商品及び役務の名称と検索参考資料の更新のお知らせ
2. その他一般
(2018年6月7日 聯合報、2018年6月8日 経済日報第A6面の要訳)
2-1 インフルエンサー「谷阿莫」が著作権侵害で起訴
(2018年6月11日 経済日報、IT home新聞、2018年6月13日 工商時報の要訳)
2-2 経済部とNCCがIoT設備の保安規格制定へ
(2018年6月16日 中国時報第A10面、聯合報第A16面の要訳)
2-3 違法STB「千尋盒子」を摘発 日本コンテンツに係る摘発は世界初
(2018年6月21日 聯合報第A14面要訳)
2-4 Tシャツのデザインを盗作したとしてLANVINが台湾のアパレル業者を提訴
(2018年6月24日 自由時報電子版要訳)
2-5 中国の技術不正入手について、米NYTは「米中ハイテク戦争の縮図」と指摘

1. 智慧局ニュース

(2018.06.11 智慧局ニュース全訳)
1-1 商標登録出願にかかる指定商品及び役務の名称と検索参考資料の更新のお知らせ
商品及び役務の分類を更に時代の変化に合わせるため、商標登録出願にかかる指定商品/役務の名称を検討した結果、合計59項目を新設・修正し、10項目を削除した。その他、14項目のグループ名称、又は、備考事項を新設・修正した。以上の更新は、2018年7月1日より実施し、商標電子出願システム内の「使用指定商品/役務の類別及び名称」も同じく更新する(システム資料の正式な更新日程は本局情報室の公告を基準とする)。
商標電子出願システムを通して登録出願する際、旧バージョンを使用した場合、願書に記載した使用指定商品/役務名称が異なることから300元の減免優待を受けられないことがないよう、出願前に最新バージョンをダウンロードいただきたい。
更新内容については、下記リンク先の智慧局サイトを参照。
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=670756&ctNode=7127&mp=1

2. その他一般

(2018.06 07 聯合報、経済日報第A6面の要訳)
2-1 インフルエンサー「谷阿莫」が著作権侵害で起訴
「X分でわかるXXX」と題し、著名な映画を「二次創作」してネット上で提供していた、インフルエンサー「谷阿莫」が7日、台北地検署より著作権法違反で起訴された。
谷阿莫が二次創作した映画作品のうち、韓国映画の「TRAIN TO BUSAN」、ディズニー映画「ズートピア」、ドラえもん等を使用し侵害の疑いがあるとされたものは13本で、許諾を得ずにそれらの映画を使用して独自に解説や編集を加えてYouTube及びFacebook等にアップをしており、動画再生回数はいずれものべ10万回にもおよぶ。
谷阿莫は自作の編集映画について、「インターネットを利用した著作権の合理的使用の原則に符合していると認識しているが、最終的には裁判官の判断に従う」と主張。また更に「簡単にあきらめず、二次創作権を放棄しない」事が重要だと強調した。
原告である映画製作会社は、谷阿莫が権利を侵害している証明として「各シーンの分析表」を証拠とし検察官へ提出した。台北地検署は捜査の結果、谷阿莫には改作、商業利益があり、著作権法第92条の「無断で公開口述、公開放送、公開上映、公開実演、公開伝送、公開展示、改作、編集又は貸与の方法により他人の著作財産権を侵害した者は、3年以下の懲役、拘留に処し、又は75万台湾元以下の罰金を科し又は併科する」の規定に違反するとして、谷阿莫を起訴した。
(2018.06.11 経済日報、IThome新聞、2018.06.13 工商時報の要訳)
2-2 経済部とNCCがIoT設備の保安規格制定へ
経済部と国家通訊伝播委員会(NCC)は6月11日、「IoT関連設備の情報セキュリティーに関する標準規格と認証制度についての説明会」を共同主催し、台湾資通産業標準協会(TAICS;台湾の標準化機関)の曾鏘聲・理事長による議長のもと、経済部の沈榮津・部長、NCCの詹婷怡・主任委員等、台湾の産官学研究会から専門家が招聘された。
説明会では、経済部とNCCが連携し、今年度中に映像モニタリングシステム、ネットワークカメラ(IPカメラ)、Wi-Fi AP、ケーブルテレビ用セットトップボックスといったIoT関連設備のセキュリティー標準規格、検査規範、認証制度を制定・公表し、また、来年度にはRFID(無線自動認識)設備、バスのスマートカーシステムの認証制度を規範する方向性である旨が発表された。
経済部の沈榮津・部長は、近年IoTに関する情報セキュリティーの議題は世界の企業の関心事項であり、欧米では輸入される情報通信製品についてセキュリティーが確保されなければ輸入できなくなりつつあると指摘。台湾で積極的に推進している「5+2」産業イノベーション新政策では、情報セキュリティーをデジタル経済発展の基礎とし、IoTの情報セキュリティー環境の標準規格の制定を目標として、台湾の情報セキュリティー産業の自主研究開発力を全面的に推進し、安定的で安全な産業発展環境を提供するため、情報セキュリティー技術・標準規格の制定・検査力の3方向から、IoTの情報セキュリティー産業生態システムを完備することで、情報セキュリティーソフトをIoTのハードと統合して産業の国際競争力を高めていく、と述べた。
NCC基礎施設事務処の羅金賢・処長によると、NCCは先ずは既に公告済みのIP CAM情報セキュリティー検査技術の手引きの草案について、8月には公表手続を済ませ、年末までに少なくとも最初の実験室に対し認定を行い、早ければ来年1月から正式に実施する予定。

(2018.06.16 中国時報第A10面、聯合報第A16面の要訳)
2-3 違法STB「千尋盒子」を摘発 日本コンテンツに係る摘発は世界初
台湾内政部警政署刑事警察局(以下、「刑事局」と略称)は6月14日、各国の映画やドラマ、番組等が無料で視聴できる違法セットトップボックス(STB)「千尋盒子」を販売し、違法に動画をアップロードしていたとして李夫妻ら6名の容疑者を逮捕した。
「千尋盒子」はこれまで台湾、日本、韓国のテレビ局約20社から権利侵害が指摘されており、警察は2ヶ月あまりの捜査の末、台北市に架空のIT会社を設立し、違法アップロードやSTBの販売を行っていた容疑者らを摘発し、サーバー48台、千尋盒子205台、衛星コード解除機約10台及び帳簿等の証拠物を押収した。
調べによると、千尋盒子は台湾の多数のネットショッピングサイトで約2,000~3,000台湾元(約7,300~11,000円)で販売されており、この1年半で少なくとも3万台の千尋盒子が販売されたと見られ、日本のテレビ局4社(TBS、フジテレビ、日本テレビ、WOWOW)の見積もりだけでも、権利侵害額は1億台湾元(約3.7億円)に達すると見られる。
今回の摘発を受け、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)の伊奈正晴・海外担当部長は6月15日に来台し、違法STBは世界のコンテンツ産業にとって大きな脅威であり、甚大な経済的損失をもたらしているとして、台湾の検察・警察による今回の摘発成功について感謝の意を述べた。

(2018.06.21 聯合報第A14面要訳)
2-4 Tシャツデザインを盗作したとしてLANVINが台湾アパレル業者を提訴
国際的な著名ブランド「LANVIN」は、2008年に手書きイラストTシャツを1枚あたり1万台湾元(約3.6万円)以上で売り出し、2014年にもLANVINの125周年記念として当該デザインシリーズの商品を販売した。
昨年11月、LANVINは台湾依洛国際股份有限会社(iROO)の店内で当該手書きデザイン画を使用した衣類を発見したことから、フランス本社が国際提訴に踏み切った。保二総隊刑事警察大隊が本年2月にiROO本社及び生地業者の工場等を捜査した結果、権利侵害の服飾200点余りとデザイン図、印刷凸版等を押収し、iROOの責任者である劉等3名を著作権法違反で書類送検した。
警察の調べによると、陳という生地業者は、LANVINの手書きイラストが精巧で美しかったため、LANVINの許諾を得ず無断で生地に印刷したあと、生地サプライヤーに出荷、iROOはこの生地でドレス及びジャケットを生産し、1枚あたり約2,000台湾元(約7,200円)で販売していた。警察は、権利侵害額は240万台湾元(約860万円)にのぼると見ている。

(2018.06.24 自由時報電子版要訳)
2-5 中国の技術不正入手について、米NYTは「米中ハイテク戦争の縮図」と指摘
米マイクロン(Micron Technology)が昨年末、聯華電子(UMC)が提携先の中国福建省晋華集成電路(JHICC)に代わりマイクロンの企業秘密を盗んだと告発した事件で、米ニューヨーク・タイムズは、「米国が中国と貿易戦争をしなければならない原因の一部は、中国が世界のハイテク界の権力を掌握するため巨額な資金で海外の技術を買収し、買収できない場合は技術を盗み取るからである」と指摘した。
台湾側検察の起訴状とマイクロンの訴状によると、UMCはまず昇給・賞与でマイクロン台湾の複数のエンジニアを誘惑し引き抜いたあと、彼らにマイクロンのICチップ関連ファイルを不正に持ち出させ、その数は900件以上にも及ぶといわれる。
また報道によると、中国はハイテク分野において米国またはその他の国との競争を見据え野心的に計画しており、製造強国を目指す「Made in China 2025」計画を含め、半導体、ロボット、自動運転車等の分野で世界のリーダーになることを目指しているが、米国の国会や企業は中国政府が脅迫や不正といった手段で目標を達成させており、マイクロンの事件がその最たる事例であると指摘している。

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