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知財ニュース354号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.354)
発行年月日:2023年11月15日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2023年10月30日 智慧局ニュース全訳)
1-1 2023年第3四半期の知的財産権動向
(2023年10月30日 智慧局ニュース全訳)
1-2 TIPO及び五庁が受理した2022年の専利・商標出願概況

2. 法律・制度
(2023年10月24日 知的財産及び商業裁判所プレスリリース)
2-1 知的財産及び商業裁判所と台湾高等検察署知的財産分署が知的財産刑事事件審理の新制度作業事項検討会議を開催

1.智慧局ニュース

(2023.10. 30 智慧局ニュース全訳)
1-1 2023年第3四半期の知的財産権動向
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-929324-fbfb8-1.html
2023年第3四半期における特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数は18,310件で前年同期比1%の微増となり、そのうち特許出願件数は12,670件で前年同期比1%増となった。商標登録出願件数は23,632件で前年同期比7%減となった。特許出願においては、台湾積体電路製造(TSMC)が出願件数443件で8年連続の台湾法人1位となり、外国法人ではサムスン電子が285件で1位となった。商標登録出願は、台湾人では台新銀行が264件、外国人ではテンセントが38件で最多となった。

<専利出願>
台湾人による特許及び外国人による三種類の専利出願件数がいずれもプラス成長
台湾が出願受理した特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数は18,310件で、そのうち、件数が最も多かった特許は12,670件で、前年同期比1%微増となり、また、実用新案(3,782件)及び意匠(1,858件)の件数の変化はそれほど大きくなかった。台湾人による特許出願件数は前年同期比1%増となり、外国人による三種類の専利出願件数は、それぞれ前年同期比1%~14%のプラス成長となった。
台湾人による特許及び意匠出願件数はそれぞれTSMC及び長庚科技大学が1位
台湾人出願人による特許出願件数上位10社では、多くで2ケタ成長がみられた。そのうち、TSMCは出願件数443件となり、第3四半期でみるとすでに連続8年の1位となった。台達電子DELTA、67件)は前年同期比103%増で増加幅が最大となり(図2参照)、新唐(Nuvoton、62件)は過去最高を更新し、注目の結果となった。
意匠出願件数上位5社のうち、長庚科技大学(33件)は唯一ランクインした高等教育機関であり、さらに初めて1位に躍進し、出願件数は当該大学の過去最高を記録し、成長率も最高となった。DELTAの出願件数(14件)は前年同期比100%増となり顕著な成長ぶりを示した。また、超合(10件)は初のラインクインで5位に名を連ねた(図3参照)。
台湾企業及び国営事業の特許出願件数はいずれもプラス成長
台湾人出願人による特許出願件数は4,830件で、そのうち企業(3,912件)は前年同期比6%増となり、高等教育機関(375件)及び研究機関(105件)はいずれも前年同期比マイナス成長となった。また、金融三業の出願件数(56件)は減少し(表4参照)、国営事業(21件)は前年同期比91%増のプラス成長となった(表5参照)。
企業による特許出願件数のうち、大企業(3,242件)が前年同期比7%増となり、中小企業(670件)は前年同期比で小幅な減少となった。高等教育機関においては、国立成功大学(31件)が前年に引き続き1位となり、崑山科技大学(21件)は私立大学における1位となった(表2参照)。研究機関においては、工業技術研究院(ITRI、33件)が最多となった(表3参照)。このほか、台湾土地銀行(11件)が金融三業及び国営事業で同時1位となり(図4、表5参照)、見事な結果を示した。
外国人出願人による特許及び意匠出願件数はそれぞれサムスン電子及びBMWが最多
外国人出願人による特許出願件数は7,840件で、前年同期比1%の微増となった(表1参照)。国(地域)別上位5位においては、日本が出願件数3,100件で最多となり、また、韓国の出願件数(884件)は前年同期28%増となり、成長が最も速かった(図1参照)。出願件数上位10社のうち、韓国サムスン電子が出願件数(285件)1位に躍進し、韓国韓領(168件)、日本東京エレクトロン(168件)、日本RESONAC(67件)及び日本信越化学(65件)はそれぞれ当該企業における過去最高を記録し、そのうち、韓国韓領の出願件数は前年同期比291%増となり、最も顕著な成長となった(図2参照)。
また、意匠出願件数上位5社は、出願件数がいずれもプラス成長となり、そのうち、ドイツBMWの件数(63件)が1位となった(図3参照)。

<商標登録出願>
商標登録出願件数は減少
商標登録出願受理件数は23,632件(29,478区分)で、前年同期比7%減となった。台湾人による出願件数(18,790件)及び外国人による出願件数(4,842件)はいずれもマイナス成長となった(表1参照)。
台新銀行が台湾人による商標登録出願件数におけるトップ
台湾人による出願件数上位10社においては、多くがプラス成長となり、台新銀行が出願件数264件で1位となった(表6参照)。台湾人による出願区分では、第35類(広告、企業経営及び小売・卸売役務等)が3,772件で最多となった(図5参照)。
テンセントが外国人による商標登録出願件数における最多
外国人出願人による商標登録出願においては、中国が1,246件で最多となった(図1参照)。出願件数上位10社の出願件数もまたその多くがプラス成長となり、ケイマン諸島のテンセントが出願件数38件で1位となった(表7参照)。外国人による出願区分では、第9類(コンピュータ及びテクノロジー製品等)が983件で最多となった(図5参照)。
台湾人、外国人による商標出願件数は、「農業食材」及び「技術研究」産業に集中
台湾が受理した商標登録出願は「農業食材」(6,303件)が各産業における1位となり、次いで「商業金融」(4,840件)及び「健康医療事務」(4,745件)等であった(図6参照)。台湾人出願人が積極的に出願したのは「農業食材」(5,372件)産業で、主にレストラン及び宿泊の商標に集中している。外国人出願人による出願件数では、「技術研究」産業(1,609件)が最も多かった(図7参照)。

2023年第3四半期の知的財産権趨勢図表は、上記リンク先の智慧局サイトの「檔案下載(ファイルダウンロード)を参照。(中国語:智慧局公布112年第3季智慧財産權趨勢-圖表)

(2023.11.13 智慧局ニュース全訳)
1-2 TIPO及び五庁が受理した2022年の専利・商標出願概況
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-930422-4da08-1.html
CNIPA、EPO及びTIPOが受理した特許出願件数は増加
2022年、五庁が受理した特許出願件数は、中国国家知識産権局(CNIPA:1,619,268件)、欧州特許庁(EPO:193,460件)、及び台湾智慧財産局(TIPO:50,242件)で、いずれも前年同期比2.1%~2.5%増となり、その他の知的財産庁は前年同期比横ばいとなり、実用新案については、CNIPA(2,950,653件)のみが前年同期比プラス成長となった。意匠及び商標については、五庁及びTIPOのいずれもが前年同期比減となった。
CNIPA、JPO及び台湾における特許登録査定件数が成長
登録査定及び商標登録出願の件数については、CNIPAが特許登録査定件数(798,347件)で前年同期比14.7%増と最も顕著な成長となり、TIPO(37,175件)も前年同期比1.6%増となった。米国特許商標庁(USPTO)の商標登録査定件数(362,597件)は前年同期比7.3%増となり、日本国特許庁(JPO)の特許(201,420件)及び意匠(29,540件)の登録査定件数、商標登録件数(322,768区分)は、いずれも前年同期比7.5%~9.2%増となり、その他の知的財産庁における各種の専利(特許、実用新案、意匠)の登録査定及び商標登録件数はいずれもマイナス成長となった。
五庁及びTIPOにおける出願人は、いずれも先端テクノロジー産業のイノベーション及び事業ポートフォリオ展開に積極的に投入
2022年に専利出願された技術分野の分布について一歩進んで観察してみると、EPOが受理した特許出願件数は「デジタル通信」が最も多く、USPTO、CNIPAは「演算テクノロジー」、JPO及び韓国特許庁(KIPO)は「電子機械エネルギー装置」、TIPOは「半導体」が最も多かった。五庁が受理した意匠出願において件数最多の区分は、JPO、USPTO及びTIPOにおいては「データ処理設備等」がいずれもランキング1位となり、EUIPO、CNIPAはいずれも3位にランクインした。また、TIPO及び五庁が受理した商標出願件数上位5位の区分では、「コンピュータ及びテクノロジー商品等」がいずれも上位3位にランクインした。「科学及び技術的役務」はEUIPO、JPO、USPTOのいずれもの上位5位にランクインした。これらの出願された技術分野の分布状況によると、出願人は台湾、米国、日本、欧州、韓国、中国において、いずれも先端テクノロジー産業のイノベーション及び事業ポートフォリオ展開に積極的に投入していることを示している。

TIPOは最新情報をまとめ、「2022年台湾及び五庁における専利・商標出願及び登録査定概況」に報告している。同報告は上記リンク先の智慧局サイトの「相關連結(関連リンク)を参照。(中国語:2022年我國與美、日、歐、韓、中國大陸專利商標申請暨核准概況)報告 」

2.法律・制度

(2023.10.24 知的財産及び商業裁判所プレスリリース)
2-1 知的財産及び商業裁判所と台湾高等検察署知的財産分署が知的財産刑事事件審理の新制度作業事項検討会議を開催
ipc.judicial.gov.tw/tw/cp-663-2353525-8eb3b-091.html
知的財産及び商業裁判所(以下「知的裁判所」という)と台湾高等検察署知的財産分署(以下「知的分署」という)は、今年2023年8月30日に施行した知的財産刑事事件審理の新制度に対応するため、10月20日に知的分署にて、司法院、法務部、知的裁判所及び知的分署の代表を招聘し「知的財産刑事事件の審理新制度の作業事項についての検討会議」を共同開催し、知的裁判所の陳駿璧院長、台湾高等検察署の張斗輝検察長が共同で会を取り仕切った。今回の議題は、①営業秘密刑事事件の強制処分、②審理の電子ファイルの転送、③勾留犯がいない事件の移審における紙書類の専門員による送達、④勾留犯の移送と勾留延長、⑤捜査における営業秘密の非識別化代理コード又は代理番号制度、⑥営業秘密ファイルの分類、整理及び適切な説明制度、⑦営業秘密事件捜査における調停制度の拡大の7つの項目を含み、各議題について参加者が熱心に討論し具体的な結論に至るという実りある成果となった。
今回の会議の結論には、知的財産刑事事件の捜査、公訴及び審理業務が含まれるところ、引き続き司法院、法務部からそれぞれ各裁判所、各検察署へ書簡を発行してもらい、新制度の規定の実施を促進していく必要があり、また、法務部には「検察機関による営業秘密事件処理注意事項」の規定の改訂を提案する。知的財産案件審理新制度の施行開始からまだ1か月あまりであり、今後案件が累積し実務状況が発展するにつれ、裁判所と検察双方の協調が必要となる事項が発生した場合、営業秘密訴訟の保護の実施と知的財産刑事事件の審理の専門性、妥当性及び迅速性の強化のため、知的裁判所と知的分署は随時、連携して共同で解決していく。

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