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知財ニュース287号

台湾知的財産権ニュース(No.287)

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.287)
発行年月日:2019年7月31日・8月15日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2019年7月12日 智慧局ニュース全訳)
1-1 「意匠の優先権認定」議題に関する新措置の公告
(2019年7月31日 智慧局ニュース全訳)
1-2 2019年上半期の知的財産権趨勢
(2019年8月5日 智慧局ニュース全訳)
1-3 5月1日公布の専利法一部条文改正草案を2019年11月1日より施行

2. 知的財産権紛争
(2019年7月10日 聯合報、判決文書の要訳)
2-1 ディズニー商標 台湾の服飾店の登録商標と類似で取消し判決
(2019年7月30日 工商時報第A16面、2019年7月31日経済日報、判決文書の要訳)
2-2 テレビ視聴アプリに初の有罪判決

1. 智慧局ニュース

(2019.07.12 智慧局ニュース全訳)
1-1 「意匠の優先権認定」議題に関する新措置の公告
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=713648&ctNode=7127&mp=1
意匠の優先権について、今後、優先日と本出願の出願日との期間に公開された先行意匠の出願又は関連資料が検索の際に見つかった場合のみ、当該優先権証明書類によりその優先権の主張を認めるか否かを判断する。発見されなかった場合は、原則的に出願人の主張に基づき、全てを意匠公報に掲載する。本措置は専利公報第46巻第22期の発行日(2019年8月1日)より施行される。
説明:
一、意匠の優先権認定は、書誌的事項の識別記号(Internationally agreed Numbers for the Identification of (bibliographic) Data,略称:INID)の規範に基づいており、それには意匠の優先権の記載数量を制限する規定はない。また、他国のやり方を参考にすると、米国、日本では原則的にまずは優先権を認めるか否かの実質的判断を行わず、出願人が主張する全てを意匠公報上に掲載しており、現在、台湾の特許も同様の方法を採用している。そこで、台湾における意匠の優先権については、今後優先日と本出願の出願日との期間に公開された先行意匠の出願又は関連資料が検索の際に見つかった場合のみ、当該優先権証明書類によりその優先権の主張を認めるか否かを判断する。発見されなかった場合、原則上出願人の主張に基づき意匠公報上に掲載する。

二、出願人が同時に複数の優先権を主張する場合も上述と同様の原則となり、主張する優先権案件番号の全てを意匠公報上に掲載する。但し、それは意匠が複数の優先権又は一部の優先権の主張を認めるということではなく、優先権の内容と出願が「同一意匠」であるとする規定に違反するか否かは、出願日から優先日の間に先行意匠が発見されるのを待ってから実質的に認定されることとなる。

三、本措置は専利公報第46巻第22期(2019年8月1日)より施行。

四、問合せ先:(02)23767237專利一組三科 葉哲維科長。

(2019.07 .31 智慧局ニュース全訳)
1-2 2019年上半期の知的財産権趨勢
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=715589&ctNode=7123&mp=1
2019年上半期における特許、実用新案、意匠の三種の専利の新規出願件数は、35,534件(前年同期比1%増 )となり、そのうち意匠は1割増と比較的大きな成長となった。商標登録出願件数は41,986件で前年同期比並みとなった。台湾人による特許出願件数は2%増と小幅な成長となり、外国人による意匠出願件数は3割の大幅増と顕著な成長ぶりを見せた。特許出願人のうち、台積電(TSMC)及びアリババは、それぞれ台湾法人、外国法人の1位となった。

一、 今期の専利出願の動向
(一) 意匠出願件数が顕著な成長
三種類の専利出願件数は35,534件(前年同期比微増)で、その内訳は、特許が22,775件(前年同期比1%増)、意匠が4,259件(前年同期比10%増)とそれぞれプラス成長した。また、実用新案は8,500件(前年同期比5%減)でマイナスに転じた(表1参照)。
(二) 外国人による意匠出願件数は3割増
台湾人による三種類の専利出願件数を見てみると、特許は8,563件(前年同期比2%増)と小幅な成長となったが、実用新案(7,978件)及び意匠(1,960件)はマイナスに転じた(表1参照)。外国人においては、特許(14,212件)及び意匠(2,299件)の出願件数はプラス成長であったが、実用新案(522件)はマイナスに転じた(表1参照)。外国人による意匠出願件数が30%成長した原因は、フランスの出願件数が激増したことのほか、日本及び米国等のその他の主要国にプラス成長がみられたことにある(図3参照)。
(三) 台積電が台湾法人による特許出願件数のトップ
台湾法人全体における特許出願件数は小幅に成長した。そのうち、台積電(TSMC:429件)が最も多く、次いで友達光電(AUO:318件)、聯發科(Media Tek:163件)であった。台積電及び友達光電の出願件数は前年同期比それぞれ24%、30%と大幅成長となった(図4参照)。この他、台湾の中小企業における特許出願件数はここ3年で継続的に成長しており、2019年上半期の成長率は16%に達し、これは専利運用により研究開発成果を保護するという観念を中小企業が徐々に重視してきていることを示している。
(四) 清華大学の特許出願件数は台湾における高等教育機関のトップ
台湾の高等教育機関における特許出願件数は減少し、国公立大学、私立大学のいずれもが減少した。出願人別でみると、国立清華大学が44件とトップを占め、その件数は前年同期比13%増となった。私立大学では、亜東技術学院及び長庚大学のいずれもが18件の最多となった(表4参照)。この他、国公立大学と私立大学の出願件数はそれぞれ381件、319件で、出願件数の割合はそれぞれ54%、46%となり(図5参照)、前年同期で比較すると私立大学が上昇した。
(五) 工業技術研究院の特許出願件数は他の研究機関をリード
台湾の研究機関全体の特許出願件数は小幅な減少で、ランキング1位の工業技術研究院(ITRI)は81件となり、2位の中央研究院(22件)等その他の研究機関を大きく引き離した(表6参照)。
(六) アリババは特許、ルノーは意匠出願に積極的
外国人による特許出願件数を国籍別にみると、日本が6,707件と最も多く(図3参照)、米国(3,047件)等その他の国(地域)を遥かにリードした。成長率においては、日本(前年同期比+5%)、香港(前年同期比+56%)といずれもプラス成長となり、ポートフォリオ展開において積極的であったことがうかがえる。法人別出願件数をみると、香港アリババが408件と最も多く前年同期比92%増と大幅成長した(図4参照)。智慧財産局の洪淑敏•局長は、電子商取引の新形態が持続的に変化するに伴い、アリババは近年台湾におけるポートフォリオに相当積極的で、また台湾のインターネット普及、スマートフォン所有率がいずれも7割を超えていることから、電子商取引の発展には相当適した環境であると述べた。
意匠出願においては、日本が704件と最も多く、意匠出願の上位5か国(地域)においては、ドイツを除くいずれもがプラス成長となり、フランスは400%増と顕著な成長を見せ、出願人別ではフランスのルノーの出願件数が102件と最も多かった。洪局長によると、台湾は自動車の部品製造業者が強く、アフターマーケットの海外輸出が多いことから、ルノーの台湾における意匠出願は、それら台湾業者の海外輸出へのけん制目的があるものと思われ、また、台湾での市場に返り咲くためのポートフォリオ展開のためであると見られる。

二、 今期の商標出願の動向
(一) 商標登録出願件数は横ばい
2019年上半期における商標登録出願件数は41,986件で前年同期比ほぼ横ばいとなった。台湾人による出願件数は29,957件(前年同期比0.2%増)となった(表1参照)。外国人による出願件数は12,029件で、主に米国及び香港等の出願件数の減少が影響し、件数においては2%減となった(表1、図3参照)。
(二) 外国人による出願件数は中国が最多
外国人出願人を国籍別にみると、中国が2,958件(前年同期比8%増)と最も多く、次いで日本の2,249件、米国の1,828件であった(図3参照)。台湾における出願件数上位5カ国(地域)のうち、アジアの国(地域)が4つを占め、その出願件数合計は依然として小幅な成長となった。

※2019年上半期統計は、下記リンク先の智慧局サイトの「統計季報」を参照。
www.tipo.gov.tw/lp.asp?ctNode=6801&CtUnit=3308&BaseDSD=7&mp=1

(2019.08.05 智慧局ニュース全訳)
1-3 5月1日公布の専利法一部条文改正草案を2019年11月1日より施行
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=716026&ctNode=7452&mp=1
2019年5月1日に公布された改正専利法一部条文が7月31日、行政院により2019年11月1日施行と定められた。今回の改正条文のポイントは以下のとおり。
1. 登録査定後の分割の適用範囲及び期限の緩和。
2. 無効審判の審理機能を向上させるため、無効審判請求人が無効審判理由又は証拠を補充できる期限を改正し、また、それに合わせ無効審判の審理期間において特許権者が訂正できる時期を制限。
3. 実用新案の訂正請求できる時点を制限及び審査方法を実体審査に改める。
4. 意匠権存続期間を12年から15年へ延長。
5. 専利包袋保存スペース不足の問題解決のため、専利包袋の保存年限を改める。

2. 知的財産権紛争

(2019.07.10 聯合報、判決文書の要訳)
2-1 ディズニー商標 台湾の服飾店の登録商標と類似で取消し判決
ディズニーが2013年に製作した3Dアニメ「ちいさなプリンセスソフィア(中国語表記:小公主蘇菲亞)」の商標が台湾智慧財産法院での登録異議申立訴訟において取消判決となった。
ディズニーは同アニメの商標について2015年11月9日に「Disney小公主蘇菲亞及び図」商標(以下、「係争商標」と称する)を第25類のスポーツウエア、ワンピース、靴下、エプロン等の商品への使用を指定して智慧局に登録出願し、第1815676号として登録された。その後、台湾の服飾店「立蕎服飾店」は、自社の登録商標第188171号「蘇菲亞」商標、第801240号「Sophia蘇菲亞」商標に類似するとして異議を申立てたが、異議申立不成立(維持判決)となり、これを不服として訴願を提起したが2018年8月2日に棄却された。これを不服として立蕎服飾店は智慧財産法院に行政訴訟を提起した。
智慧財産法院は2019年6月27日、以下の理由により原処分と訴願決定を取消し、係争商標の取消を命じる判決を下した。
① 両商標に使用されている「蘇菲亞」の文字は、商標の主要な構成要件であるが、台湾で通用されている文字は中国語で、台湾人は中国語で主に教育も受けていることから「蘇菲亞」は消費者が識別する際の主要な部分であることは明らかで、両商標は非常に類似しており、また指定商品/役務も類似しており、消費者に誤認・混同を引き起こす虞がある。
② 台湾の商標法では属地主義及び先願主義を採っていることから、たとえ後願の意匠権者にフリーライドの意図がなくとも、関連する消費者に誤認・混同を引き起こす虞がある。

<智慧財産法院の判決>
智慧財産法院判決「107年度民行商訴字第77號」 判決日:2019/06/27
判決書検索サイト:http://jirs.judicial.gov.tw/FJUD/FJUDQRY01_1.aspx
裁判類別:民事 判決字号:107, 民行商訴,77 裁判案由:商標異議
検索キーワード:蘇菲亞

(2019.07.30 工商時報第A6面、2019.07.31 経済日報、判決文書の要訳)
2-2 テレビ視聴アプリに初の有罪判決
智慧財産法院は7月18日、テレビ視聴アプリ(APP)に対する台湾発の有罪判決を下し、業界に大きな衝撃を与えた。
台湾の視聴アプリ会社である欧酷網路の劉于遜・董事長、翁瑞廷・技術長らは、自社開発したリーチアプリ「電視連續劇2(テレビドラマ2)」に、三立テレビ局が著作財産権を有するドラマ「世間情」等の視聴著作物及び美術、撮影著作物を無断でリストに追加し権利侵害をしていたとして2015年5月に三立テレビ局により通報され、台北地方検察署へ書類送検となった。
その後、台北地方裁判所による第一審では無罪となったが、台北地方検察署が控訴。智慧財産法院での第二審では、以下の理由により第一審の判決を覆し、劉于遜・董事長に有期懲役3ヵ月もしくは1日当たり1,000台湾元(約3,300円)の罰金、翁瑞廷・技術長に拘留50日もしくは1日当たり1,000台湾元の罰金、欧酷社に罰金20万台湾元(約67万円)の有罪判決が下された。
① 第一審で被告から提供された智慧局の解釈では、サイト上のハイパーリンクは著作権侵害には該当しないため、サイト上にYouTubeを嵌め込む方法でユーザーにハイパーリンクを提供しリンク先で動画を視聴させることは、複製または公開放送行為に該当しないとの見解が示されたが、これはYouTube等の中立的サイトでは即座に海賊版を選別して取り下げることができず、大衆は著作権の専門概念を有していない、一般的転送は権利侵害で処罰されるには及ばないという立場に基づいたものである。しかしながら本件は、「海賊版リーチサイト」、「人工的に選択したコンテンツのアップロード」、「問題排除のため取り下げた後に整理してアップロード」、「専門的な権利侵害の悪意あり」等の状況があり、智慧局の解釈には当てはまらない。
② 被告は意図的に整理、検索、アップロード、取り下げ等を行い、権利侵害サイトを集めたものでアプリを作成しており、発行元(権利者)に許諾について連絡しておらず、また、広告による収益も得ていたことから、故意による権利侵害は明らかである。
③ 被告はコンテンツが違法であると明らかに知っていたか否かまたは知り得ることができたかについて、YouTube、Dailymotion等のサイトは海外で合法な著名サイトであるなどと弁明したが、本件の争点は、被告がコンテンツの違法性を明らかに知っていたか否かで、サイトが違法か否かではない。

<智慧財産法院の判決>
智慧財産法院判決「108年度刑智上易字第26’號」 判決日:2019/07/18
判決書検索サイト:http://jirs.judicial.gov.tw/FJUD/FJUDQRY01_1.aspx
裁判類別:民事 判決字号:108, 刑智上易,26 裁判案由:違反著作權法
検索キーワード:歐酷網路

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