台湾知的財産権ニュース(No.291)
発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース(No.291)
発行年月日:2019年10月31日・11月15日合併号
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2019年10月16日 智慧局ニュース全訳)
1-1 「著作権集中管理団体条例の一部条文改正草案」の公告
(2019年10月21日 智慧局ニュース要訳)
1-2 「専利の訂正請求書」など12書式を改訂 2019年11月1日より発効
(2019年10月29日 智慧局ニュース要訳)
1-3 2019年台湾インド特許審査官交流を開催
(2019年10月30日 智慧局ニュース要訳)
1-4 「日台特許審査ハイウェイ(PPH)本格実施」及び「日台意匠出願の優先権証明書類の電子的交換」の協力覚書を締結
2. 法律・制度
(2019年10月16日 工商時報要訳)
2-1 智慧局:商標代理人の資格を改正する商標法改正を起草
(2019年10月29日 経済日報第A12面要訳)
2-2 知的財産及び商業裁判所の合併 立法院の初審で可決
3. 知的財産権紛争
(2019年10月30日 経済日報第A1面、聯合報第A11面の要訳)
3-1 TSMCと米GFが特許侵害訴訟で和解
4. 模倣品関連
(2019年10月29日 関務署ニュース要訳)
4-1 「ダブル11」ネット通販の盛り上がりに対し、関務署は厳しく検査
5. その他一般
(2019年10月31日 経済日報第A2面全訳)
5-1 企業による特許の覇権競争 TSMCが制覇
(2019年10月31日 経済日報第A2面全訳)
5-2 アリババが315件で外国法人特許出願トップ 足場を固める
1.智慧局ニュース
(2019.10.16 智慧局ニュース全訳)
1-1 「著作権集中管理団体条例の一部条文改正草案」の公告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-802886-26e5d-1.html
一、 著作権集中管理団体条例が2010年2月10日に公布・施行されて以降、実務運営の過程において、不足がみられる又は改訂が待たれる個所を含む若干の問題が発見された。各界からの意見を参考に、本局は「著作権集中管理団体条例の一部条文」改正草案を検討した。改正のポイントは以下の通り。
(一) 集中管理団体の新設立:
1. 設立許可申請時に、集中管理団体の発起人に関する資料の真実性を確認するため、出願日前6か月以内における発起人の会議記録及び署名帳を添付し、また、発起人が享有する著作財産権の著作者情報を添付しなければならない旨を新設。
2. 人民団体法の規定に符合するよう、集中管理団体の発起人の消極的資格を改正する。また、設立申請について公衆の意見を聴取する必要がある旨新設する。
(二) 集中管理団体の善良なる管理:
1. 集中管理団体が管理する著作情報を正確及び透明にするため、集中管理団体がその会員の著作物に対し、合理的審査を行い、公衆に対し関連情報を提供しなければならないという規定を新設する。
2. 董事(取締役)、監査人(監査役)の消極的資格及びその任期、再任の制限を新設し、董事・監査人の不適任による弊害発生を防止する。
3. 合理的、慎重、適切な方法で集中管理業務の実行を確保するため、集中管理団体が内部管理措置を有しなければならないという規定を新設する。
4. 集中管理団体が作成すべき財務報告書の内容は、財務の透明性向上のため、会計士の監査を経て民衆へインターネット検索で提供しなければならないことを新設する。
5. 会計処理をはっきりさせ会員の権益を保証するため、集中管理団体の使用料報酬による収益は金融機関に設置した専属の口座に預金し管理することを新設する。
(三) 主務官庁の監督指導:
1. 著作権主務官庁が集中管理団体への財務監督を強化するため、同官庁は集中管理団体に期日を設けて財務処理状況を報告させ、並びに財務改善計画を提出させることができることを新設する。
2. 著作権主務官庁の監督職権の完備のため、著作権主務官庁は集中管理団体の違法人員を解任できる規定を新設する。
3. 使用料報酬の連続3年間未分配、会員用分配金の勝手な転用、財務改善計画の執行ができない等を含む、集中管理団体の業務を効果的に執行できない等の例示規定を新設し、効果的に集中管理業務を執行できない場合の判断基準をさらに明確にする。
4. 集中管理団体及びその代表する権限を有する者又は従業員が本条例規定に違反した際の罰則を新設し、主務官庁の集中管理団体監督、指導に対する職権を強化する。
5. 集中管理団体が解散命令を下す際の関連措置規定を新設し、集中管理団体と会員との間の法律関係を迅速に確定させ、利用者への衝撃を減少させる。
二、 本草案内容にご意見があれば、2019年12月15日までに以下の連絡先までご連絡いただきたい。
(一) 住所:台北市大安区辛亥路2段185号3F
(二) FAX:(02)2736-5061
(三) E-mail: ipocr@tipo.gov.tw
※草案の総説明及び条文対照表は、上記智慧局サイトのリンク先を参照のこと(中国語:著作權集體管理團體條例部分條文修正總說明及草案條文對照表預告)
(2019.10.21 智慧局ニュース要訳)
1-2「専利の訂正請求書」など12の書式を改訂 2019年11月1日より発効
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-802902-ed3c6-1.html
一、2019年5月1日に改正公布された専利法一部条文、2019年9月27日に改正公布された専利手数料徴収弁法、及び原住民氏名表示方式等に合わせ、智慧局は2019年11月1日より「専利の訂正請求書(誤訳の訂正に適用)」を含む12の請求書・範例・注意事項等の書式を変更する。今回の変更内容は以下の通り。
(一)専利法及び関連法規で実用新案に係る訂正請求の時点、手数料が改正され、特許・実用新案の登録査定後の分割に関連する規定の改正に伴い、「専利の訂正請求書」、「専利の訂正請求書(誤訳の訂正に適用)」及びその請求時の注意事項、記入例、「特許の分割出願における注意事項」、「実用新案の分割出願における注意事項」を改訂する。
(二)原住民及びその他の少数民族が使用するローマ字発音記号も併記する完全な氏名表示方式で保護するため、出願人(発明者、実用新案考案者又は意匠創作者)が原住民及びその他の少数民族である場合、その氏名表示方式を戸籍事務機関の登記方式と一致させ、登記の態様に従い明細書の出願人の欄に記載してもらう。例) 王大明: 姓は「王」、名は「大明Mona Rudao」、例)莫那魯道Mona Rudao : 姓の欄は「無し」、名は「莫那魯道Mona Rudao」。
関連の説明については、上記智慧局サイトのリンク先を参照のこと。(中国語:「發明專利申請須知」、「新型專利申請須知 」、「設計專利申請須知 」、「衍生設計專利申請旭須知」)
(三)デジタル化した書式の一致性に寄与するよう、代表図、図面の符号の説明に、書式は、「〇〇…〇〇〇」で表示する。例)「10…運動装置」。
関連の説明については、上記智慧局サイトのリンク先を参照のこと。(中国語:「發明專利申請書範例」、「新型專申請書範例」)
二、新しい専利明細書/請求書等は、以下の智慧局サイトのリンク先からダウンロード可能(中国語)。
www.tipo.gov.tw/tw/mp-1.html「專利」→「申請專利」→「申請表格」
(2019.10.29 智慧局ニュース要訳)
1-3 2019年台湾インド特許審査官交流を開催
第2回台湾インド特許審査官交流が2019年10月21日~25日、智慧局にて開催されインド特許庁から審査官(Assistant Controller)2名が来台し、双方の専利法制度及び審査実務についての交流と事例検討を行った。
今回の交流議題では、双方が先ず両庁の編成、専利法、専利制度と実務審査、専利の再審査と無効審判審理、行政救済制度について情報共有した。次いで、医用生体工学、情報通信及びコンピュータ実装とソフトウエアに関する特許出願案件について、先行技術の検索、請求項の範囲、明細書の規格、補正書類、早期審査の適用及び特許適格性等の検討を深めた。また智慧局は、インド審査官の財団法人工業技術研究院(ITRI)技術移転と法律センターによる台湾産業への知的財産権の商業化の指導情況と台湾のIC設計産業の発展情況への理解に寄与するよう、ITRI及びIC設計会社への訪問に同行した。
今回の交流で、両庁は具体的な事例をとおして活発な意見交換を行い、大変実りある成果をあげ、両庁とも次の開催を期待している。
(2019.10.30 智慧局ニュース要訳)
1-4 「日台特許審査ハイウェイ(PPH)本格実施」及び「日台意匠出願の優先権証明書類の電子的交換」の協力覚書を締結
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-802939-9cd8c-1.html
台湾日本関係協会と日本台湾交流協会は10月30日、日台間における「特許審査ハイウェイ(PPH)本格実施」及び「意匠出願の優先権証明書類の電子的交換」に関する2つの協力覚書を締結した。台湾経済部智慧財産局と日本特許庁の両庁が協力することで、出願人に対しより効率よく、迅速な審査サービスを提供していく。
日台は2012年5月にPPH試行プログラムを締結し、2014年からPPH MOTTAINAIにグレードアップし、2017年に試行期間を3年延長した。2019年9月までに、日台PPH試行プログラムに出願された件数は合計3,426件で、台湾とその他の国とのPPHプログラムと比較してみるとその件数はトップである。また、平均FA期間は1.21ヵ月、平均審査終結期間は3.77ヵ月で、審査の加速化効果が顕著である。日台PPH試行計画の実施成果が高いことから、智慧局と日本特許庁は試行計画の満期後、引き続き日台の出願人に安定して迅速なPPHサービスを提供するため、2020年5月1日から無期限のプログラムとすることに改めた。
日台は2013年に専利優先権証明書類の電子的交換の覚書を締結し、特許及び実用新案を適用範囲として実施されて以来、双方の出願人に広く運用されている。サービス対象を拡大するため、智慧局と日本特許庁は、意匠出願人の紙書類の郵送にかかる時間を短縮し、海外出願手続を簡略化し、優先権証明書類の交換メカニズムをより完備されたものとするため、意匠も優先権証明書類の電子的交換の適用範囲にいれることを決定した。
日台の経済貿易関係は従来密接で、日本は台湾における外国からの専利出願最多国であり、2018年は14,169件で首位となり、特許(12,871件)と意匠(1,224件)でもそれぞれ首位となった。また、台湾人による日本での専利出願数も年間3,000件に迫っている。この2つの日台協力プログラムをとおして、智慧局は台湾の関連産業が国際的発展をより深く広く開拓し、さらに多くの出願人がこの恩恵を受けることができることを希望している。
2.法律・制度
(2019.10.16 工商時報要訳)
2-1 智慧局:商標代理人の資格を改正する商標法改正を起草
智慧局は10月15日、商標法改正草案公聴会を開催した。現行商標法では商標代理人の資格について限定されていないが、商標出願もまた相当の専門業であることから智慧局は法改正を通じて、商標代理人が法に基づき管理されることを希望している。これにより全台湾で200万件の既存商標、及び商標権の延長についても新法が適用される。
智慧局によると、今回の改正は、現在改正中の弁護士法(中国語:律師法)において、新法では弁護士でない者が法律諮問サービスを提供すると法に抵触し、厳重な場合には刑事責任も科されることになったことに対応するものである。商標出願は商標法の規定を遵守しなければならないことから、商標法改正に弁護士、会計士等の資格を有する者が諮問提供できることを盛り込むことで、規定の衝突を解決できることになる。
なお、現在、商標の代理業務を行っている商標事務所又は代理人は、今後、新法が施行された場合、従業員は「智慧財産養成学院(TIPA)」の認証試験を受けて合格して初めて商標代理業務に従事することができるようになる見込み。
智慧局では、外界からの商標権を早期に取得したいとするニーズに応え、引き続き関連の管理弁法を制定し、商標の早期審査制の導入も検討していく。また、規制緩和では、優先権主張の手続要件の緩和、無効審判の除斥期間及び取消審判の請求の敷居を緩和する。
(2019.10.29 経済日報第A12面要訳)
2-2 知的財産及び商業裁判所の合併 立法院の初審で可決
立法院司法及び法制委員会は10月28日、智慧財産法院と商業裁判所を合併して「知的財産及び商業裁判所」の二審二級制にすることを初審にて可決した。
これは「商業事件審理法」の草案と「智慧財産組織法」の改正にあたり、専門の商業事件を担当する専門法廷を設け、商業法廷と知的財産法廷を合併して「知的財産及び商業裁判所」とするもの。なお、商業裁判所は損害賠償額が1億台湾元以上の重大案件を取り扱うこととなり、今後立法手続が進められ、最速2年以内に施行される見込み。
3.知的財産権紛争
(2019.10.30 経済日報第A1面、聯合報第A11面の要訳)
3-1 TSMCと米GFが特許侵害訴訟で和解
半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路(TSMC)は10月29日、同3位の米グローバル・ファウンドリーズ(GF)との米国における特許訴訟で和解したと発表した。
双方はこれまで互いに特許侵害で相手方を訴訟提起しており、GFが今年8月26日に米国とドイツの裁判所に訴訟提起と米国国際貿易委員会へ輸入差し止めを請求しており、TSMCは9月30日に米国、ドイツ、シンガポールでGFを特許侵害として提訴していた。
今回の和解で、双方は互いに提起していた訴訟を取り下げ、今後10年間の半導体技術に関する特許について、クロスライセンス契約を結ぶことに同意した。これはTSMCにとってライバルとの特許訴訟でクロスライセンスによる和解を達成した初の事例となった。
4.模倣品関連
(2019.10.29 関務署ニュース要訳)
4-1 「ダブル11」ネット通販の盛り上がりに対し、関務署は厳しく検査
web.customs.gov.tw/News_Content.aspx?n=F55943A3BAA86A6A&sms=1095B63D0846032B&s=850C1BDFB99DCFD9
「ダブル11」(11月11日:中国最大のショッピングイベント)のネット通販節が間もなく始まる。税関の通関資料によると、昨(2018)年11月における中国及び香港地区から輸入した宅配便貨物の簡易税関申告件数は、同年10月比53万9,339件(13.98%)増の439万7,713件となり、輸入総額は同年10月比4億4,484万9,522元(16.89%)増となった。2019年の「ダブル11」ネット通販節は、各越境電子商取引プラットフォームによる大規模なプロモーションの下、宅配便貨物の輸入量が大幅に増加すると予測されている。
関務署台北税関の統計によると、最近の宅配便貨物の税関申告と一致しない状況は、輸入貨物の名称、数量、重量、産地又は価格の虚偽報告が中心であり、重大な違反事例には取締り逃れの虚偽報告(ドラッグ、銃砲刀剣類、豚肉製品、農産品及び食品等)、商標権侵害模倣品及び完成品を分散して申告し脱税する等の態様がみられる。
関務署は、今年11月中旬からネット通販の輸入貨物量のピークに入るが、関務署台北税関は、不法業者が宅配便貨物を深夜に大量通関させる等の利用を回避し、認可機関による輸入規定検査逃れ又は過少評価(実際の価格より低い価格で申告)、完成品を分散する等の違反行為、さらには危険物を混入しようとすることを抑制するため、運搬貨物目録、倉庫に入庫する貨物の集計の実施、宅配業者のリスクレベル審査、税関申告資料の抜き打ち検査、X線検査の強化、検査・見積、エプロン(駐機場)及び倉庫の巡回等を含む各項目を実施し厳しく取り締まると説明した。
5.その他一般
(2019.10.31 経済日報第A2面全訳)
5-1 企業による特許の覇権競争 TSMCが制覇
経済部智慧局は30日、第3四半期の知的財産権趨勢を発表した。これによると、台湾人による特許出願件数は前年同期比11%増の大幅アップで、出願件数は4四半期連続の成長となった。このうち、大企業の前年同期比は16 %増に達し、企業特許の覇権競争が再び繰り広げられた。台湾積体電路製造(TSMC)による特許出願件数は533件で、引き続き台湾法人の1位を占めた。また、鴻海精密工業(ホンハイ)は10位以下へ順位を落とした。
智慧局の廖承威・副局長は、本年第3四半期における特許、意匠、実用新案の三種類の専利出願件数は、合計18,976件で前年同期比4%増と発表。成長の主因は価値の高い特許件数の増加で12,260件(前年同期比4%増)となり、意匠及び実用新案はそれぞれ前年同期比3%増、同2%増となった。
特許出願状況をみると、TSMCが533件(前年同期比76%増)と台湾法人の出願件数においてトップを占め、友達(AUO、120件)、聯發科(Media Tek、96件)がそのあとに続いた。
廖・副局長は、TSMCは本業の製造プロセスの向上に力を注ぎ、5ナノ、3ナノの研究開発技術を引き続き行い、その産業的地位を安定させ、特許ポートフォリオを通じてフェンスを築き上げたことから出願件数がダントツとなったと示した。
動向が注目されているホンハイについて廖・副局長は、2017年第2四半期には特許出願件数が最高の137件に達したが、近年は量より質へ重点を置く戦略変更を行ったことから、本年第3四半期の出願件数はわずか32件(前年同期比37%減)となり、ここ3年で2度目の特許出願件数ランキング10位以下となったと指摘した。
廖・副局長は、ホンハイの出願件数減少は知的財産保護を重視しないというわけではなく、これからは研究開発を行わないということを表しているわけでもなく、会社の特許ポートフォリオ戦略を転換したということであると述べ、また近年は量より質へ特許戦略を転換し、高品質の特許は実際の価値も相当なものであり、「特許の貨幣化」として販売、融資又は担保にもなると分析した。
ホンハイは再びランキング10位以下に下落したものの、台湾法人ランキング上位10位内には新しい顔ぶれとして新煒科技(Polight Technologies)がみられた。同社はホンハイグループの子会社で昨年3月に会社を設立、特許出願件数39件は、カメライメージキャプチャー及びレンズモジュールによるもので、初めて出願で親会社を超えた。
ホンハイ傘下の新煒科技は、本年上半期にホンハイグループから分割設立した会社で、台湾法人による特許出願件数第9位と躍進した。ホンハイグループはFOXCONN傘下の信揚科技(Polight)を持ち株会社とし、台湾の新煒科技、深圳の三贏科技、Best Everの三社の株式を保有し、また信揚科技をレッドチップ上場の主体として香港株式市場の上場を期待している。
投資の枠組み調整関連計画によると、鴻海グループのL次集団はC次集団の一部の事業単部署吸収合併後、本年上半期に一部のモジュール事業を切り離し、新煒科技を設立した。
(2019.10.31 経済日報第A2面全訳)
5-2 アリババが315件で外国法人特許出願トップ 足場を固める
デジタル経済時代を迎え、中国のEコマース大手のアリババと著名アプリ「TikTok」を運営する北京字節跳動会社(Byte Dance)は台湾の特許市場ポートフォリオに一席を占めようと積極的である。経済部智慧局が発表した本年第3四半期の知的財産権趨勢によると、アリババが315件の出願件数で外国法人による特許出願の1位を再び奪回し、Byte Danceは初のランキング入りで5位の成果を挙げた。
経済部は、「Eコマース分野の技術は日進月歩であり、アリババは台湾市場には良好なEコマースの発展環境があると考えている。そして新しいEコマース技術を研究開発するとともに、特許出願を通して台湾へのポートフォリオを構築し、台湾でテストが成功した後、世界各国へ輸出が可能である。」と説明した。
また、Byte Danceについて智慧局の廖承威・副局長は、当該企業は中国のインターネット会社で、活動範囲は広く、主要技術はソフト・ハードウェアを含むビデオアプリの研究開発を専門とし、傘下商品は西瓜視頻、TikTok等があると説明した。
智慧局局員は例を挙げ、西瓜視頻は人工知能(AI)技術を通して、ユーザーが閲覧している動画を演算し、個別化したショートムービープラットフォームを立ち上げ、個人専用の動画を推薦するとした。その親会社のByte Danceは今年3月から出願をはじめ、第3四半期には初めてランキング入りし、外国法人による特許出願件数では5位、出願件数は124件にのぼり、台湾における一席を占めようとの意味合いが濃厚である。
意匠については、米国フォード・モーターが87件と出願件数が最も多く、フランスのルノーが台湾でポートフォリオを構築した後、また外国車メーカーが台湾での一席を占めることとなった。廖・副局長は、台湾の自動車部品製造力は強く、販売後のメンテナンス市場(アフターマーケット)を中心としているが、権利侵害紛争による市場の縮小をさけるため、オリジナルメーカーのサプライチェーンに入り込まなければ、研究開発イノベーションの事業形態へと変更する必要があるかもしれないと分析した。
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