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知財ニュース390号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.390)
発行年月日:2025年7月31日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2025年7月16日 智慧局ニュース全訳)
1-1 智慧局の新しい中文・英文版全球資訊網及び三大テーマの専門サイトが、2025年7月22日(火)13時30分に正式に公開される 営業秘密専門サイトも新たに同時開設される 多いにご利用いただきたい!
(2025年7月18日 智慧局ニュース全訳)
1-2 智慧局は法人の研究開発成果の保護を支援 営業秘密管理を更に強化

2. 法律・制度
(2025年7月11日工商時報第A6面全訳)
2-1 AI基本法の進捗について黄彦男が語る
(2025年7月16日 工商時報第A10面全訳)
2-2 デジタル発展部はソブリンAIコーパスを構築し第4四半期の開始を目指す 公開データの質及び量の向上、データ共有の活性化等4つを主要目標とする

3. 知的財産権紛争
(2025年7月15日 中国時報第A9面全訳)
3-1 ティッシュ大戦 雲林 大手メーカーが権利侵害で提訴 逆に専利盗用を暴露される

1.智慧局ニュース

(2025.07.16 智慧局ニュース全訳)
1-1 智慧局の新しい中文・英文版全球資訊網及び三大テーマの専門サイトが、2025年7月22日(火)13時30分に正式に公開される 営業秘密専門サイトも新たに同時開設される 多いにご利用いただきたい!
www1.tipo.gov.tw/tw/cp-85-1023143-cdb5b-1.html
迅速かつ簡便な知的財産権情報サービス環境を構築し、産業が最新の知財動向を把握することを支援するため、本局は2025年度に新技術とサイトデザインのトレンドを取り入れ、新しい中文・英文版全球資訊網、及び専利、商標、著作権の3テーマの専門サイトを構築する。また、産業界の知財ポートフォリオと応用力の深化のため、新たに営業秘密をテーマとした専門サイトを開設し、更に完全で包括的な知財情報を提供する。
新しいサイトは本年(2025年)7月22日(火)午後13時30分より正式に対外開放する。皆さまからのご支持とご意見をお待ちしている。新旧サイトの切り替えに伴い、旧版の中文・英文版全球資訊網及び3つの専門サイトは、同日午前9時からサービスを停止する。旧版サイトはhttps://www1.tipo.gov.tw/へ変更となり、午後13時30分より再開される(参考及び検索のみ。内容は更新されない。)。本年8月22日に閉鎖する。
今回の新版サイトの特徴は以下のとおり:
● カードめくり型のマイクロインタラクション:4大テーマの専門サイトを動きのあるカードめくり型のデザインで表示し、閲覧体験を向上させる。
● 注目コーナー:智慧局が重視するイベントとPRを集中的に表示し、情報を一目で把握できるようにする。
● ホットなサービス:図と文章でよく使われるサービスをまとめ、迅速な案内と直接アクセスによる利便性を実現する。
●階層型メニュー:階層型メニューで明確に整理。ユーザーが迅速にサイト内を移動し、自由に検索することができる。

(2025.07.18 智慧局ニュース全訳)
1-2 智慧局は法人の研究開発成果の保護を支援 営業秘密管理を更に強化
www1.tipo.gov.tw/tw/cp-87-1023157-e3d04-1.html
半導体、ネットゼロエミッション、循環経済等の技術の研究開発について、学術研究機関は革新的研究開発、産業化応用の重要な役割を担っている。研究開発成果を効果的に保護するため、智慧局は7月16日及び18日に「学術研究機関の営業秘密管理強化ワークショップ」を2回開催した。工業技術研究院(ITRI、工研院)、生物技術開発中心(DCB、生技中心)等19の法人研究機関を招聘し、実務事例分析とリスクシナリオの指導を通じて、法人機関の秘密保持体制の整備に協力した。
智慧局は、近年企業の営業秘密の保護管理体制が強化されている中、企業内部では秘密保護の管理措置が多く構築されているが、企業の研究開発に協力している学術研究機関も秘密保護の管理措置をしっかりと行うことで、漏洩行為を効果的に防止することができると指摘した。このため智慧局は昨年(2024年)、法人機関が営業秘密の管理措置を自主的に少しずつ見直していくことを促すため、入門、基礎、強化の三段階に分けた「学術研究機関の営業秘密管理実施要領」を公告した。
智慧局は、学術研究機関の営業秘密保護制度強化をさらに支援するため、2回のワークショップを開催した。これは「学術研究機関の営業秘密管理実施要領」の13項目の管理施策を中心とするもので、工研院、生技中心、財団法人食品工業発展研究所(FIRDI)及び財団法人金属工業研究発展中心(MIRDC)等19の法人研究機関から合計60名の代表が参加した。実務事例の情報共有とリスクシナリオ分析を通じて、営業秘密の定義や表示が不明確である、離職時に秘密保持の注意を促したが営業秘密情報の返還要求を明確に行っていない、営業秘密の教育訓練をしたが訓練成果評価をしていない、破棄記録を保存しているが責任者の同意を経ずに破棄されている等の、よく見られる管理上のミスや改善計画について参加者が検討するよう丁寧に指導し、学術研究機関における秘密保持管理施策の強化を支援した。
智慧局は、参加した法人の研究開発部門、商業化部門及び内部評価部門が営業秘密管理の潜在的リスクを識別するよう支援し、自主的な点検と現行制度の実際の実施を強化するよう指導することで、台湾の産学研界の研究開発成果及び運用に対する保護網をさらに強化することができると述べた。

2.法律・制度

(2025.07.11 工商時報第A6面全訳)
2-1 AI基本法の進捗について黄彦男が語る
立法院は以前、《AI基本法》草案を連合審査した際に、意見の相違により、最終的に、デジタル発展部(moda)に対し7月15日までに草案を提出するよう要求する決議を下した。期限が近づく中、modaの黄彦男・部長は、立法院と協議する資料の準備はできたが、AI基本法は多分野に関わることから、しっかり検討しなければ将来的に混乱を招くだろうと述べた。
2025年国際情報セキュリティ組織大会が10日に閉会した。イベントに出席しAI基本法の進捗についてインタビューを受けた際、黄彦男・部長は、AIは著作権法、児童及び少年の福利と権益保障法、性別平等教育法、個人資料保護法等、非常に多くの分野に関わると指摘した。
彼は、AI基本法があるからといって、関連する様々な法規制を緩和することはできず、今後もし《AI基本法》に関連する法律について法改正を進める場合、どのように実施するのか、何ができて何ができないのかをしっかりと考えなければ、基本法では奨励されているものの、他の法律では制限されているものがあると、より混乱を招き、また、《AI基本法》は特別法ではなく、他の法律より上位に位置することができないため、関係性が明確でなければ、基本法を制定しても意味がない、という考えを示した。
また、黄部長は、《AI基本法》は行政院を通過する必要があるが、modaと各団体との意思疎通において多くの異なる意見があるため、まだ意思疎通が必要である、と述べた。
立法委員が現在の草案で審議を続けることについて、黄部長は、立法は台湾のAI推進に役立つものでなければならず、社会的な混乱を引き起こすものであってはならないと強調した。また、AIはとても重要だがリスク管理も非常に重要で、「リスク」の定義すらも難しく、生成系AIで生成した言語音声や画像はいずれも不適切なコンテンツを生む可能性があるものの、テレビや映画などの産業において活用されており、同じ技術でも利用される場面によってリスクが異なり、考慮すべき点が多くある、と指摘した。
AIの発展は急速で、現在は1、2年前のAIとは異なっており、以前は認識系AIであったものが現在は人の代理、意思決定を手伝うものになりリスクも高い点について、黄彦男・部長は改めて強調した。どのように管理すべきかについては、多くの国が立法化しているものの実施が困難で、現在も変化し続けており、観察が必要である。
また、国家資通安全研究院(National Institute of Cyber Security)の最新の国際情報セキュリティ政策法制の調査では、珍しく、《予測系AIと生成系AIのガバナンスにおける違いとは何か》という国際的な学者による論文の抜粋が掲載されており、その理由として、生成系AIが急速に発展しており、世界中の政策立案者が効果的な規制の方法を積極的に模索していることが挙げられている。
しかしながら、この新しいテクノロジーのために完全に新しい法体系を構築する必要があるのか、既存の法律を改正して適用するだけでよいのか、行動を起こす前に明確にするべきである。

(2025.07.16 工商時報第A10面全訳)
2-2 デジタル発展部はソブリンAIコーパスを構築し第4四半期の開始を目指す 公開データの質及び量の向上、データ共有の活性化等4つを主要目標とする
デジタル発展部(moda)は15日、《データ革新利用促進発展条例》草案を提出し、ライセンス規約の構築と政府機関によるデータの棚卸しを通じて台湾ソブリンAIコーパスを構築し、第4四半期から開始する見通しであること等、立法関連の内容を対外的に説明した。
《データ革新利用促進発展条例》の予告期間は8月15日までである。modaの説明によると、ポイントは以下のとおり。一、公開データの質と量を向上し、AIモデルトレーニングを支援する、二、データ共有を活性化させ、データ取得費用の削減、指導・奨励・補助施策等により、データ価値を向上させる、三、各機関が促進措置を構築し、データ革新利用を推進する、四、データ革新エコシステムを構築する。
modaの林宜敬・次長は、AIの進展は非常に速く、台湾は台湾の視点でトレーニングし、台湾のAIモデルに使用することを常に希望しているが、AIトレーニングには莫大なデータが必要であり、法改正により、政府が所有する著作権データを個人情報に影響が出ないように開放すると述べた。modaは、AI等の新興テクノロジーの研究開発の利用に適したものとするため、草案では政府の公開データには標準化したライセンス規約を使用することを規定しており、政府データの対外共有は、特定の人にライセンスを与えない非独占ライセンスが原則であると強調した。
外界が注目している台湾ソブリンAIコーパスの進展について、資料創新司の荘明芬・司長は、十数年前に行ったデータ公開と同じように、各機関が5つのデータセットを公開することから始めて少しずつ累積する方針を貫いているが、時間を要すると述べた。
荘明芬・司長は次のとおり説明した。政府の公開データはすでに5万件以上あるが、大規模言語モデル(LLM)のトレーニングが必要とするデータは、公開データの構造化データのようなものではなく、意味が通り完全な内容を含むテキストベースのデータであり、これは著作財産権に関わる可能性がある。そのため、まずは台湾ソブリンコーパスのライセンス規約を制定し、政府機関が棚卸しを行い、ライセンス規約に基づいてデータを公開する。将来的には、ソブリンコーパスはオリジナルの公開データを有し、そのうちテキストベースの公開データは約1,000件以上となり、TAIDE(信頼できるAI対話エンジン)等が自由に運用できる。また、荘・司長は次のとおり強調した。政府の施政報告・計画、重要な出版物等もコーパスに盛り込み、その多くはLLMトレーニングに適した高品質なテキストベースのデータとなる。7月、8月には協力を得るため各機関を集中して訪問する。客家委員会、教育部、原住民族委員会、文化部等はすでに棚卸しを行っており、第4四半期にコーパスを公開する予定である。

3.知的財産権紛争

(2025.07.15 中国時報第A9面全訳)
3-1 ティッシュ大戦 雲林 大手メーカーが権利侵害で提訴 逆に専利盗用を暴露される
雲林県北港鎮のティッシュペーパー業者の唐古拉有限公司(TANGGULA LIMITED COMPANY、唐古拉)は、最近、台湾で著名なティッシュペーパー大手メーカーから、「厚」というティッシュペーパー商品の商標権を侵害しているとして提訴された。唐古拉は14日、弁護士に事実確認を依頼した結果権利侵害はなく、逆に大手メーカーがティッシュペーパーの専利を盗用していると反論し、責任の追究はまだ行っていないものの、商標権について加害者が先に訴訟を起こしているため相手方に対し公開で釈明・謝罪を行うよう要求し、さもなければ提訴も排除しないと説明した。
唐古拉は主に自社ブランド「邦尼熊(BeniBear)ティッシュ」を生産している。最近、台湾のティッシュペーパー大手メーカーが委任した弁護士から、その吊り下げ式底部抽出ティッシュペーパーの包装に使用している「厚」の文字が類似していると指摘する声明書を連続して受け取った。大手メーカーは同時に、唐古拉と協力しているスーパーマーケット、農会店舗、電子商取引等の流通プラットフォームにも文書を送付した。
唐古拉の責任者である呉品峰氏は、次のように述べた。「厚」の文字自身は一般的な形容詞であり、商標としての識別性を具備せず、すでに商標局でも審査時に拒絶されている。大手メーカーはかつて「厚棒」を商標登録出願したが、「厚」の文字は単独で商標登録することはできない。「厚棒」の登録出願が存在しているとしても、その構成は、大手メーカーが主張する、「厚」の文字を含む他の商品が権利を侵害しているとするには、依然として不十分である。
呉品峰氏は、唐古拉はデザイン、生産、専利出願を一歩一歩着実に進めてきており、今になって専利も商標もない大手メーカーから脅迫され、このようなやり方には妥協できないと述べた。
また、呉品峰氏は、大手メーカーが販売している吊り下げ式多機能ウェットティッシュの外包装に採用されている「3つの吊り下げ穴」デザインがまさに唐古拉が2年前に出願し登録された専利であるが、市場の秩序を尊重するため、大手メーカーの権利侵害に対して警告書の郵送や弁護士を通じた脅迫を行うことは一度もなかったと述べた。現在、大手メーカーは、逆に「厚」の文字を利用して唐古拉に販売協力している顧客を威嚇する文書を送付しており、加害者が先に訴訟を起こしたと言わざるを得ない。
大手メーカーから委託された法律事務所が唐古拉の販売先へ送付した声明文では、唐古拉が生産・販売している邦尼熊(BeniBear)吊り下げ式底部抽出ティッシュペーパーは、その外包装の「厚」の文字の全視覚的デザインや主なデザインフォントが商品「厚棒」の外包装、商標文字デザインに非常に類似しており、消費者に混同誤認を引き起こすおそれがあると主張している。当該メーカーが有する商標権及び著作権に関わり、権利を侵害するおそれがあるため、唐古拉に対し、すでに必要な法的手段を講じた。

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