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知財ニュース388号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.388)
発行年月日:2025年6月30日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2025年6月16日 智慧局ニュース全訳)
1-1 商標登録出願にかかる使用を指定する商品・役務名称の更新及び検索参考資料の内容変更の公告
(2025年6月17日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「女性による特許出願の加速審査試行方案」を公告 2025年7月1日より1年間試行
(2025年6月17日 智慧局ニュース全訳)
1-3 本局の電子出願システムの機能更新に伴い、2025年7月1日(火)午前8時30分より2.8.0版プログラムのダウンロードを開始する。2025年7月15日(火)までに更新を完了すること。
(2025年6月18日 智慧局ニュース全訳)
1-4 「商標手数料徴収基準」第7条の1、第8条の改正。
(2025年6月23日 智慧局ニュース全訳)
1-5 「非伝統的商標審査基準」改訂草案

2. 法律・制度
(2025年6月12日 工商時報第A5面全訳)
2-1 AI基本法の立法院での審議 コンセンサスを得られず

3. 模倣品関連
(2025年6月13日 中国時報第A8面全訳)
3-1 台中で本物のボトルに詰めた偽造酒で2400万台湾元を稼いだ12人を勾留
(2025年6月17日 中国時報第A7面全訳)
3-2 ネットショッピングのアカウントを中国のEC事業者に又貸し 3,000万台湾元の利益

1.智慧局ニュース

(2025.06.16 智慧局ニュース全訳)
1-1 商標登録出願にかかる使用を指定する商品・役務名称の更新及び検索参考資料の内容変更の公告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-1016865-c5ecc-1.html
商品及び役務の分類をより適切なものにするため、市場の最新動向を参考にして整理し、商標登録出願にかかる使用を指定する商品/役務の名称を見直して、9項目を追加、1項目を削除し、これとは別に3項目のグループ・小類別の名称又は備考の追加・修正を行った(詳細は別表のとおり)。
この変更は2025年7月1日より実施される。商標電子出願システム内の「使用を指定する商品/役務の類別及び名称」も、同時に更新される(システムにおけるデータの正式な更新日程は、本局情報室の公告を基準とする)。
出願人が「ファストトラック」の運用を希望する場合は、商標電子出願システムを使って出願する前に最新の変更内容をダウンロードして確認すること。願書に記載した使用を指定する商品・役務の名称と電子出願システム内の内容が異なるために「ファストトラック」の要件を満たさず減免措置を受けられないことがないようにしていただきたい。
「商標登録出願にかかる使用を指定する商品/役務名称(変更後の新バージョン)」の全分類についての資料は、本日より、商標検索システムの「商品及び役務名称分類照会(中国語:商品及服務名稱分類查詢)」(https://cloud.tipo.gov.tw/S282/S282WV1/#/classification-inquiry/goodname-classification)
よりダウンロードできるので、参考にしていただきたい。

※別表は「檔案下載」からダウンロード可能(中国語)。

(2026.06.17 智慧局ニュース全訳)
1-2 「女性による特許出願の加速審査試行方案」を公告 2025年7月1日より1年間試行
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-1016868-cb93d-1.html
1. 女性によるイノベーション・発明への参画を奨励するため、本局は「女性による特許出願の加速審査試行方案」を制定し、女性出願人による特許出願に対して加速審査サービスを提供する。2025年7月1日から1年間の試行となる。
2. 本方案は、出願人が自然人であり、かつ、該出願人又は当該出願人のうちの一人が女性であって、当該女性が発明者又は発明者の一人である場合に適用される。実体審査に入る旨が通知されてから最初の審査意見通知書が送達される前までの間に、電子出願システムを通じて申請する必要がある。要件を満たした場合、本局は6か月以内に最初の審査意見通知書又は登録査定書を完成させる。本方案の内容及びQ&Aについては別添資料(※)を参照のこと。

※上記智慧局リンク先の「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロード可能(中国語)。

(2025.06.17 智慧局ニュース全訳)
1-3 本局の電子出願システムの機能更新に伴い、2025年7月1日(火)午前8時30分より2.8.0版プログラムのダウンロードを開始する。2025年7月15日(火)までに更新を完了すること。
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-1016858-7f12c-1.html
今回の改訂版の主な内容は「商品・役務名称の更新」である。また、台・仏特許審査ハイウェイの試行及び女性による特許出願の加速審査試行方案の実施に対応し、「特許PPH申請書(發明專利PPH審查申請書)」の国家名称欄に【FRフランス】(【FR法國】)の選択項目を新設し、「特許加速審査申請書(發明專利加速審查申請書)」に【女性による特許出願案件】(【為女性申請之發明專利案件】)に関する項目を新設した。更新内容についての詳細は別添の「更新内容」(※1)を参照。

1. 新電子出願システムのバージョン更新:
新電子出願システム(HTML2PDF/WORDアドイン及びE-SET)ユーザーは、2025年7月1日から7月15日の期間に、HTML2PDFとE-SETプログラムを実行して自動更新作業を実施するか、智慧財産権e網通(https://tiponet.tipo.gov.tw/020_OUT_V1/registry.do)の〔01案件申請〕(案件出願)→〔下載新電子申請系統〕(新電子出願システムのダウンロード)に入り、「HTML2PDF/WORDアドイン2.8.0版」と「E-SET 2.8.0版」の新プログラムをダウンロードすること。それ以前の「HTML2PDF/WORDアドイン2.6.0版」と「E-SET 2.6.0版」は、2025年7月1日以降の電子出願では受け付けられなくなる。
2. 商品・役務の名称の更新:
商品・役務の名称の変更については、2025年7月1日に実施・更新される。2025年7月1日から7月15日までの間に新電子出願システムを2.8.0版に更新しなかった場合、商標を電子出願する際は、出願前にHTML2PDFとE-SETプログラムを起動し、「商品・役務の名称」の自動更新作業(別添の「版本升級及安裝説明)」(※2)を参照。)を行うこと。

※1
「檔案下載(ファイルダウンロード)」の「附件2-1_操作説明_電子申請功能增修1140609」を参照。
※2
「檔案下載(ファイルダウンロード)」の「附件1-1_版本升級及安裝説明1140609」を参照。

(2025.06.18 智慧局ニュース全訳)
1-4 「商標手数料徴収基準」第7条の1、第8条の改正
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-1016877-1e08b-1.html
経済部公告
発行日:中華民国114年(2025年)6月18日
文書番号:経授智字第11452000150号

「商標手数料徴収基準」第7条の1、第8条を改正する。
別添:「商標手数料徴収基準」第7条の1、第8条

部長 郭智輝

※「商標手数料徴収基準」第7条の1、第8条の改訂についての詳細は、上記智慧局リンク先の「檔案下載(ファイルダウンロード)」(中国語)を参照。
「商標手数料徴収基準第7条の1、第8条改総説明」によると、改正の概要は以下のとおり。

商標手数料徴収基準第7条の1、第8条改正総説明
商標手数料徴収基準(以下「本基準」という)は、1994年7月1日に制定公布され、6回の改正を経て、2024年5月1日に改正された。
商標法第6条第3項には、商標代理人の資格取得方法の一つとして商標主務官庁が実施する商標専門能力認証試験に合格したものであることと規定されている。また、商標代理人登録及び管理弁法第2条第2項には、商標専門能力認証試験は毎年又は隔年1回開催するが、試験の需要に応じてその回数を増減又は実施停止することが規定されている。商標専門能力認証制度の推進に向けて当該専門能力認証試験の行政手数料を明定するため、利用者負担の原則に基づき本基準第7条の1、第8条を改正し、商標専門能力認証試験の申込費用及びその施行日の規定を新設する。

(2025.06.23 智慧局ニュース全訳)
1-5 「非伝統的商標審査基準」改訂草案
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-1016890-5e87b-1.html
商標法が2024年5月1日に改正施行され、商標図案中の機能性を有する部分は破線で表現しなければならず、破線で表現できない場合は商標の一部に属さないとする声明をしなければ登録できないことが明定された(商標法第30条第4条)。同法施行細則の関連条文(商標法施行細則第12条第1項第10号、第13条第2項)も併せて改正施行された。商標法及びその施行細則の改正施行に合わせ、「非伝統的商標審査基準」改訂草案を起草した。改訂のポイントは以下のとおり:
1. 商標図案における機能性部分の処理原則を明確化
(1) 商標図案における機能性部分は破線で表示しなければならない。
(2) それが破線で表示できない場合、当該部分が商標の一部に属さない旨を声明しなければならない。
2. 商標図案が明確に破線で表示されている場合、商標の説明に(商標施行細則第13条第2項)機能性を示すものであること又は使用する商品若しくは役務の態様等を示し識別性を有しないことを記載して、商標図案の審査を補助し、商標権の範囲を特定しなければならない。
3. 非伝統的商標保護の主要な識別特徴について、伝統的商標における平面の特徴とは異なることを明確化:
(1) 非伝統的商標の保護における主要な識別特徴は、色彩、立体形状、動態、ホログラム、音声等、そのもの自体である。
(2) 立体商標を例にとると、その識別特徴は、商品自体又はその包装容器等に使用される、三次元空間における長さ、幅、高さで構成される立体形状全体の商業的印象を指す。文字、図形、記号等の特徴破線で商品の特定の位置に表示するのみである、又は、形状部分について不専用の声明をして、登録して保護を受けようとする立体商標を明確に表現することができない場合、出願人は説明を修正するか伝統的な平面商標登録出願に改めるかしなければならない。
4. 指定商品又は役務における立体商標の形状を明確にするため、出願人は商標の説明を提供して、立体形状を説明しなければならない。一出願で複数の区分を指定する場合、その指定商品又は役務の区分に応じてその立体形状を特定しなければならない。
5. 審査実務のニーズに応じ、最近の事例及び改訂した事例の商標の説明を適時に追加して、各界の運用の参考として提供する。
今回の改訂草案は下線付きで表示している。2025年7月10日までに貴重なご意見をお寄せいただきたい(ご意見はこちらのメールアドレスまで:商標権組ipotr@tipo.gov.tw)。本局は関連する意見を整理し、改訂の検討に取り入れて統合し、後日公表・実施する。

※改訂草案は上記URLのリンク先「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロード可能(中国語)。

2.法律・制度

(2025.06.12 工商時報第A5面全訳)
2-1 AI基本法の立法院での審議 コンセンサスを得られず
立法院の教育及び文化委員会、交通委員会は11日、《AI基本法》草案の連合審査を行った。定義、主務官庁、条文の順序等について立法委員の見解が異なり、条文ごとの審査に入ったが、全ての条文が「保留」となった。協議の結果、7月15日までにドラフト版を提出するようデジタル発展部に要請し、7月21日の週に再審査が行われることとなった。
デジタル発展部の黄彦男・部長は次のとおり述べた。昨年10月に国家科学及び技術委員会(国科会)の草案を行政院へ送ったがコンセンサスを得られなかった。その主因は国際上の重大事件である。技術も急速に発展しており、《AI基本法》を策定した当初は認識系AIだけであったが、その後生成系AIが登場し、当初の規範は適さない。さらに、著作権やプライバシーの問題もあり、多くの技術が関連の法的問題を引き起こし、多くの懸念も生じた。
黄彦男・部長は、AIエージェントやロボットが急速に発展しているところ、《AI基本法》の立法については、ひとまず静観しなければならないとした。また、米国のトランプ大統領就任後の政策の方向性は以前と異なっているところ、英国、EUが関連の監督・管理法規を延期しているように、デジタル発展部も国際情勢を注視する。さらに、官庁間をまたぐ問題で、児童・青少年、衛生福利部等の問題は再検討の必要があるところ、コンセンサスはまだ得られていない。
国科会の呉誠文・主任委員は、草案が行政院に送られた後も手を止めることなく、引き続き各方面の意見を収集しており、行政院も絶えず検討を続けていると述べた。3月にパリで開催されたAIサミットには米国の副大統領が出席し、当初は各国が合意した共同声明に署名する予定であったが、米国は反対し、各国代表も米国の立場が非常に明確であることに気づいた。AIの各種科学研究及び産業の発展はいずれも米国から世界中へ拡大しているため、AIの発展において他国に遅れを取ることを望んでいない。
呉誠文・主任委員は、米国と中国以外の国もAIの急速な発展を認識していると指摘した。関連の法律の制定は慎重に対応しなければならず、特に人権保障を考慮しながらAIイノベーション産業の発展に影響が出ないようにしなければならない。問題は相当複雑である。

3.模倣品関連

(2025.06.13 中国時報第A8面全訳)
3-1 台中で本物のボトルに詰めた偽造酒で2400万台湾元を稼いだ12人を勾留
刑事局は台中で、「本物の酒と偽の酒を調合する」、「本物のボトルに偽の酒を詰める」という方法で人気のウイスキーの原酒を偽造し、回収した本物のボトルに詰めコルクで再度封をしていた、大型の偽造酒工場を摘発した。偽造酒の外観及び口当たりはオリジナルメーカーの物とほぼ同じであり、台湾全土で人気商品となっていた。警察は台湾の北部・中部・南部の10県市において、合計1,935本の偽造酒を押収し、主犯の林水生ら12名の容疑者を勾留した。
警察によると、偽造酒製造の前科のある林水生(57歳男)は、去年の初め、陳(41歳男)と協力して台中市の外埔、神岡、大安等の区に地下酒工場を設立し、合法の酒業者である王(27歳)から原酒を入手し、「本物の酒と偽の酒を調合する」、「本物のボトルに偽の酒を詰める」という不法行為を始めていたが、このグループは細かく分業化され、いくつも接点を断ち切って追跡を困難にしていたため、警察は長期間に及ぶ証拠収集と監視を経てやっと偽造酒工場の作業状況を把握することができた。
刑事警察局知的財産権偵査大隊の林建志・第二隊長は、陳が原酒に香料、アルコール、カラメル、着色料、水等の原料を混ぜて、1本の原酒から3本の偽造酒を調製し、偽造酒を回収した本物のボトルに詰め替え、中国で製造された年号・偽造防止シールを貼り、アルミボトルキャップをし、最後に、回収したオリジナルメーカーのコルクで封をし直していたと指摘した。捜査官は、これらの偽造酒の外観と風味は本物との識別が困難であると認めた。
このグループは酒業者の王等の合法の販売チャネルを通じて台湾全土に偽造酒を販売し、その不法所得は合計2,400万台湾元(約1億1,776万円)に達した。
警察は2月~4月に4回の捜査活動を実施し、林水生ら23名の偽造酒グループメンバーを逮捕し、アルコール83樽、ウイスキー原酒50.5樽、空ボトル1万8,982本、蓋、コルク等を押収し、容疑者の不動産、BMW車両1台及び現金45万台湾元(約220万円)を押収し、下流の業者から偽造酒1,935本を押収した。取り調べの後、文書偽造、商標法、食品衛生管理法、組織犯罪等の罪で台中検察署に送検し、検察による尋問後、林、陳、王等の12人の勾留を請求し、残りの11名は3万台湾元(約14万円)の保釈金で保釈された。

(2025.06.17 中国時報第A7面全訳)
3-2 ネットショッピングのアカウントを中国のEC事業者に又貸し 3,000万台湾元の利益
台中市の謝という男(35歳)は、毎月1,200台湾元から2,000台湾元(約5,900円から9,800円)で民衆からShopee(蝦皮)のアカウント計964件をレンタルし、毎月1,100人民元から2,000人民元(約22,000円から40,000円)で中国のEC事業者に対して、模倣品を台湾で販売するために又貸しし、これにより3,381万台湾元(約1億6,500万円)の利益を得ていたとして訴えられた。検察側は16日、《マネーロンダリング予防法》、《商標法》違反等の罪で謝等12人を起訴した。
謝はかつて中国で購買・調達業務に従事していた。台湾へ戻った後、中国メーカーが商品を販売するためにShopeeアカウントをレンタルすることを希望していた。利益が見込めると判断し、2023年8月から仲間11人とSNSプラットフォーム及び広告で募集し、不特定の人物から、毎月1,200台湾元から2,000台湾元(約5,900円から9,800円)で964件のShopeeアカウントをレンタルした。さらに、「菁鼎選公司」の名義でレンタル契約を締結して、貸出人にアカウント認証及び金融口座の紐づけを要求した。
そして、謝は毎月1,100人民元から2,000人民元(約22,000円から40,000円)で中国のEC事業者に又貸しした。販売商品には、イヤホン、靴類、化粧品等の模倣品が含まれ、真正品と偽っており、ブランドの商標権も侵害した。調査の結果、謝が集めたレンタル料金は3,381万台湾元(約1億6,500万円)余りに達し、中国のEC事業者が商品販売により得た代金は4億1,970万台湾元(約20億5千万円)を超えた。
検察側は今年2月に捜査を始め、謝とその親族及びスタッフ等12人を面談のために出頭させた。謝の勾留請求が認められ、その他の者については5万台湾元から15万台湾元(約24万5千円から74万円)で保釈が認められた。検察側は昨日、マネーロンダリング、商標法等の罪で起訴した。また、アカウントを貸し出した者についても、マネーロンダリング罪のアカウントを提供して対価を受けた罪の疑いがあるため、台湾台中地方検察署は台中在住の143人について別途捜査し、130人に対し、出頭して説明するよう通知した。

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