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知財ニュース386号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.386)
発行年月日:2025年5月29日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2025年5月19日 智慧局ニュース全訳)
1-1 「専利法一部条文改正草案」(第2稿)の予告期間中に外部から寄せられた意見についての検討結果及び回答の説明
(2025年5月21日 智慧局ニュース全訳)
1-2 台仏PPHを2025年7月1日に開始 企業のグローバル特許ポートフォリオ及び競争力を後押し
(2025年5月27日 智慧局ニュース全訳)
1-3 本局の「意匠オンライン出願システム」に「明細書の準備」機能を追加 大いにご利用いただきたい

2. 知的財産権紛争
(2025年5月22日 中国時報第A9面全訳)
2-1 英業達の元従業員が機密漏洩で有罪判決 仁寶電腦にも20万台湾元の罰金

3. 模倣品関連
(2025年5月13日 関務署ニュース全訳)
3-1 商標法違反を避けるため、通販サイトの貨物については、模倣品を購入していないか注意すべき
(2025年5月14日 工商時報第A12面全訳)
3-2 情報セキュリティの脅威 台湾政府に強力な法の執行を呼びかける 専門家は海賊版セットトップボックスの高リスクを警告

4. その他一般
(2025年5月14日 市政府ニュース全訳)
4-1 第1332号市政統計週報

1.智慧局ニュース

(2025.05.19 智慧局ニュース全訳)
1-1 「専利法一部条文改正草案」(第2稿)の予告期間中に外部から寄せられた意見についての検討結果及び回答の説明
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-1010905-f03d8-1.html
本局が2025年3月21日に予告した「専利法一部条文改正草案」(第2稿)(予告期間14日間)について、同年4月17日に公聴会を開催した。各界から寄せられた修正提案に感謝する。本局は慎重に討論し、十分な検討を行い、草案内容を調整した。
今年(2025年)予告した第2稿の草案に対する外部からの意見について、本局は「専利法一部条文改正草案(第2稿)予告期間中に外部から寄せられた修正提案及び本局の検討結果及び回答の説明」1部を別添にまとめたので、参照いただきたい。

※詳細は、上記リンク先の智慧局サイトの「相關連接(関連リンク)」からダウンロード可能(中国語)。

(2025.05.21 智慧局ニュース全訳)
1-2 台仏PPHを2025年7月1日に開始 企業のグローバル特許ポートフォリオ及び競争力を後押し
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-1010911-92281-1.html
本日(5/21)、「2025年台仏経済貿易対話会議」において、経済部智慧財産局の廖承威・局長及びフランス産業財産庁(INPI)のPascal Faure・長官が、台仏間の「特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway, PPH)協力意向書」に共同署名し、駐フランス台北代表処の郝培芝・代表及びフランス在台協会の龍燁(Franck Paris)・主任が立ち会った。台仏PPHは2025年7月1日から実施され、知的財産分野における台仏間協力の新しいマイルストーンの象徴となる。
PPHは双方の特許審査を加速する制度であり、双方の特許主務官庁の検索情報と審査結果の共有により、重複審査の削減を実現し、審査の効率と品質を効果的に向上することが目的である。台仏PPHは企業が迅速に特許を取得し、企業がグローバルな特許ポートフォリオを構築する上で有用である。
智慧局は2011年に米国特許商標庁(USPTO)とのPPHを開始し、以降、日本、スペイン、韓国、ポーランド及びカナダといった6か国とPPHを締結してきた。本日、フランスが台湾の7つ目のPPH協力パートナーとなり、台湾PPHの協力範囲が拡大することとなった。智慧局の統計によると、2024年PPHの平均審査終結時間は4.4月で、一般の平均審査終結の14.15月と比べて審査効率が大幅に良い。
智慧局の廖・局長は次のように述べた。フランスは2024年の台湾の貿易パートナー第18位(EUの貿易パートナーの中では第3位)で、双方の貿易額は65.38億米ドル(約9,370億円)であり、フランスは台湾の欧州における重要な経済貿易パートナーである。台仏PPHの協力は、より友好的でグローバルな特許出願環境の一環を構築する。企業はPPHによってより迅速に特許を取得し、市場の優位性を勝ち取ることができる。智慧局とフランス産業財産庁は引き続き協力と交流を深め、台仏双方の企業が必要とする知的財産保護環境のため連携し、産業の発展に寄与していく。

(2025.05.27 智慧局ニュース全訳)
1-3 本局の「意匠オンライン出願システム」に「明細書の準備」機能を追加 大いにご利用いただきたい
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-1010945-3dd2b-1.html
専利オンライン出願作業上の利便性向上のため、本局は2024年12月に「意匠のオンライン出願システム」を対外的に開放し、意匠及び関連意匠の新規出願とその他の出願機能を提供している。スタンドアローンツールのインストールの必要がなく、ユーザーはブラウザを通じて使用することができ、クロスデバイスの対応も可能となっている。
本年(2025年)度は出願作業フローを更に簡略化し、システムに「明細書の準備」機能を追加した。ユーザーは意匠又は関連意匠の明細書、図面のWordファイルを個別ファイル又は1つのファイルに結合した形式でアップロードすることができ、アップロード後のファイルはシステムによって電子出願の書式に合致したPDFファイルに変換される。大いにご利用いただきたい。
※「明細書の準備」の簡易マニュアル(中国語PDF)は、上記URLのリンク先の「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロード可能。
※「専利オンライン出願システム」は、上記URLのリンク先の「相關連結(関連リンク)」から利用可能(https://tiponet.tipo.gov.tw/patent/)。

2.知的財産権紛争

(2025.05.22 中国時報第A9面全訳)
2-1 英業達の元従業員が機密漏洩で有罪判決 仁寶電腦にも20万台湾元の罰金
仁寶電脳(Compal Electronics、仁寶)に転職した江穎範(英業達電脳(Inventec、英業達)事業グループグローバル運営事業所の前代理処長)、朱俊豪(英業達上海第6工場テスト二部の前部長)、呉忠輝(英業達桃園製造センターテスト工程処テスト一部の前エンジニア)が、サーバーに関する営業秘密を仁寶に持ち出したとして、台湾台北地方法院(北院)は21日、営業秘密法違反等の罪で、江に2年6か月の有期懲役、朱に1年4か月の有期懲役、呉に6か月の有期懲役又は罰金、仁寶に20万台湾元(約95万円)の罰金という判決を下した。
英業達が提起した刑事付帯民事賠償訴訟について、北院は江、朱、呉に対し、それぞれ320万台湾元(約1,525万円)、30万台湾元(約143万円)及び10万台湾元(約47.7万円)を英業達に賠償するよう判決を下し、江、朱及び仁寶に対しては、これらの営業秘密資料を削除し、かつ、いかなる方法によっても保有、利用、改ざん、又は第三者へ漏洩・告知又は交付してはならず、その他のいかなる方法によっても第三者に知悉又は利用させてはならないとの判決を下した。
判決によると、江穎範等3人は英業達で10年以上の経験を有する前管理者で、ハイエンドサーバー等の生産に関する機密文書へのアクセス権限を有し、英業達の「グローバル職員の行為基準管理弁法」にサインし、機密保持義務を負っていたが、2017年に相次いで仁寶に転職し、英業達の生産及び出荷予定のデータ、生産能力、不良率、コスト及び見積分析、生産ライン技術等の営業秘密を仁寶に持ち出したとして、英業達に提訴された。
北院は、江穎範等3人が無断で英業達の営業秘密を漏洩し、同社の著作財産権を侵害したこと、3人が犯行を否認し、英業達との和解も成立していないことを審理・斟酌し、江に有期懲役2年6か月、朱に1年4か月の有期懲役、呉に6か月の有期懲役又は罰金の判決を下し、仁寶及びその代表者又は関連責任者に対しては、江穎範、朱俊豪の著作権侵害行為の実施について明示、黙認又は示唆した証拠がないことから、従業員が業務執行により著作権法を犯した罪で、20万台湾元(約95万円)の罰金の判決を下した。

3.模倣品関連

(2025.05.13 関務署ニュース全訳)
3-1 商標法違反を避けるため、通販サイトの貨物については、模倣品を購入していないか注意すべき
web.customs.gov.tw/kaohsiung/singlehtml/436?cntId=8dcfc044799747cba5eb1ab3396926e6
高雄税関は、税関が押収した模倣品と処罰された事件が増加傾向にあることを発表した。通販サイトでのショッピングの利便性ゆえ、消費者は、インターネット上で販売されている商品を購入する際、商品の商標が合法的に使用許諾されているのかを確認せず、模倣品を購入することになると述べた。
高雄税関はさらに、税関が輸入貨物を検査する際に商標権侵害の疑いがある貨物の場合、税関による商標権益保護措置の実施弁法の規定に基づき商標権者が登録商標の権利を侵害しているか否かを確認し、商標権侵害が認められたときは司法機関に移行され、捜査結果に基づき刑事手続又は行政処分が行われると説明した。
高雄税関は、消費者が輸入する貨物でよく見られる模倣品はブランド腕時計、バッグ、服飾、又は3C電子及び電気部品等、多種多様な商品であることを指摘し、誤って法に触れ不利益を被ることを避けるためには、通販サイトで商品を購入する前に該商品の商標が合法的に使用許諾されているかを消費者が確認しなければならないと注意喚起した。

(2025.5.14 工商時報第A12面全訳)
3-2 情報セキュリティの脅威 台湾政府に強力な法の執行を呼びかける 専門家は海賊版セットトップボックスの高リスクを警告
アジア・ビデオ・インダストリ―・アソシエーションの著作権侵害対策連合(AVIA/CAP)と台湾匯流研究学会(TSC)は13日、「海賊版セットトップボックス(STB)による台湾の国家安全、情報セキュリティ、詐欺行為に対する危害の防御対策の強化」シンポジウムにおいて、台湾で人気の安博盒子等の海賊版STBは、ユーザーの設備への不正侵入、ネットワークへの不正侵入による国家のデジタルレジリエンスと国家安全への脅威、個人情報の窃取、及び詐欺行為等の高いリスクを有するという世界の最新研究を発表した。参加した専門家・学者は、政府が海賊版STB問題を正視し、各種法令及び施策により海賊版STB及びその関連設備の対策を強化するよう強く訴えた。
CAPのMatthew Cheetham・CEOは、海賊版STBは台湾の一般家庭に潜んでいるインターネットにおける攻撃ノードであるため、政府に対して3つの緊急の防御対策を講じるよう呼びかけた。一つ目は、海賊版STBの販売を禁止する法規を強化すること、二つ目は、海賊版STBの関連サポート設備を厳格な法執行により取り締まること、三つ目は、児童・青少年の保護や詐欺防止の施策に倣い、海賊版STBのリンク先URLやダウンロードURL、IPアドレスを迅速かつ即時に遮断することである。
インターネットセキュリティテクノロジー会社のCyberstronomy Pty Ltd. のPaul A. Watters・教授が行った今回の研究報告では、市場における各種海賊版STBをテストした結果、49%の海賊版STBのアプリにマルウェアが含まれていることが分かった。
台湾ケーブルブロードバンド産業協会(CBIT)の彭淑芬・秘書長は、シンポジウムで安博盒子の様々な統一戦線の画面を示し、これらのチャンネル及び画面は法により台湾ではテレビ放送禁止となっているが、安博盒子等の海賊版STBを通して台湾の家庭で猛烈な勢いで放送され、浸透してしまうのではないかとの懸念を示した。
彭淑芬・秘書長は、警察、検察、知財、通信の主務官庁が海賊版STBの撲滅に全力を注いでいるものの、悪人は絶え間なく進化し、URLの変更や各種テクノロジーの利用により取締りから逃れているため、更に効果的な施策で阻止できるよう政府高官レベルでの官庁横断的な連携が至急必要であると述べた。
理律法律事務所の陳佳菁・弁護士は、外国を参考にして、行政が民間機関に委託して、権利侵害のURLを通報してドメインの差押えを実行することを検討するよう提案し、また、裁判所がより範囲と期間を拡大した差押えを行うことを提案した。
台湾新媒体影視音発展協会(NMEA)の李芃君・理事長は、権利侵害サイト及び権利侵害STBのため、台湾コンテンツ産業の生き残りはすでに非常に難しくなっており、政府は権利侵害問題を重視し、解決に向けて取り組むべきであると提案した。

4.その他一般

(2025.05.14 市政府ニュース全訳)
4-1 第1332号市政統計週報
www.gov.taipei/News_Content.aspx?n=F0DDAF49B89E9413&sms=72544237BBE4C5F6&s=92EB5B20145D3B6E
【概要】2025年1月~3月に台北市が摘発した違法経済事件は合計273件で、前年同期比で188件(2.2倍)増加し、知的財産権侵害が119件(43.6%)で最も多かった。容疑者は合計473人、金額は合計11.8億台湾元(約56.78億円)で、前年同期比でそれぞれ1.7倍、2.1倍であった。
社会経済の変遷に伴い、経済犯罪の態様は絶えず変化しており、金融市場と大衆経済への影響が深刻である。これらの犯罪行為を防ぐため、市政府は積極的に不法な経済活動を摘発している。台北市政府警察局の統計によると、2025年1月~3月に台北市が摘発した違法経済事件は合計273件で、前年同期比で188件(2.2倍)増加し、知的財産権侵害が119件(43.6%)で最多、マネーロンダリング法違反が113件(41.4%)、金融違反が41件(15.0%)であった。知的財産権侵害のうち、商標法違反が68件(57.1%)で最多であった。
また、2025年1月~3月に摘発した違法経済事件の容疑者は合計473人で、前年同期比で298人(1.7倍)増加し、マネーロンダリング法違反が234人(49.5%)で最も多く、知的財産権侵害が136人(28.8%)で続いた。摘発された金額は合計11.8億台湾元(約56.78億円)で、前年同期比で8.0億台湾元(約38.5億円)(2.1倍)増加し、マネーロンダリング法違反が7.6億台湾元(約36.58億円)(64.0%)で最も多く、金融違反の4.3億台湾元(約20.7億円)(35.9%)が続いた。

※関連資料は、上記リンク先の台北市政府サイトの「相關檔案」からダウンロード可能。

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