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知財ニュース377号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.377)
発行年月日:2024年12月27日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2024年12月12日 智慧局ニュース全訳)
1-1 商標登録出願にかかる使用を指定する商品及び役務の名称の更新、及び検索参考資料の内容変更の公告
(2024年12月13日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「2024台湾IP分野における傑出した女性独占インタビュー」シリーズ報道
(2024年12月17日 智慧局ニュース全訳)
1-3 意匠出願の加速審査施行作業方案 2025年1月1日から2026年12月31日まで2年延長
(2024年12月18日 智慧局ニュース全訳)
1-4 本局の「知財権情報サービスクラウド」で2024年12月18日から「産業専利知識プラットフォーム」サービスを提供 多いにご利用いただきたい(2024年12月19日 智慧局ニュース全訳)
1-5 本局の「意匠オンライン出願システム」を本日より対外開放し、意匠及び関連意匠の新規出願機能を提供する 多いにご利用いただきたい
(2024年12月20日 智慧局ニュース全訳)
1-6 「2024年専利代理業務の現況と展望」シンポジウムにおける智慧局の新施策に関するアンケート結果及び参加者からの意見に対する回答の集計表の発表
(2024年12月20日 智慧局ニュース全訳)
1-7 「産業協力のための専利審査面接試行作業方案」の改訂の公告 2025年1月3日より引き続き試行
(2024年12月25日 智慧局ニュース全訳)
1-8 本局は2025年1月より、登録査定を受けた特許案件について、公告版の明細書のトップページに「公告版」と表記しないこととする

2. 模倣品関連
(2024年12月11日 刑事警察局ニュース全訳)
2-1 刑事局の捜査プロジェクトにより海賊版教材を捜査 塾、取り扱い書店が知財法に違犯 権利侵害市場価格は2億台湾元
(2024年12月23日 刑事警察局ニュース全訳)
3-2 ネットオークション業者が海賊版ゲーム及び音楽を安価で仕入れて高値で販売 権利侵害市場価格は3億台湾元越え

3. 法律・制度
(2024年12月16日 聯合報第A6面全訳)
3-1 AIがクリエイターに与えるインパクト 来年規範を制定

1.智慧局ニュース

(2024.12.12 智慧局ニュース全訳)
1-1 商標登録出願にかかる使用を指定する商品及び役務の名称の更新、及び検索参考資料の内容変更の公告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-987812-6a2c1-1.html
「商品及び役務のニース分類(Nice Classification)第12-2025版」への改訂に伴い、商標登録出願にかかる使用を指定する商品/役務の名称について、合計309項目を追加、33項目を削除し、34項目のグループ・小類別名称又は備考事項の追加・変更・削除を行った(詳細は上記リンク先の添付表を参照)。
以上の変更は2025年1月1日から実施される。商標電子出願システムに構築された「使用を指定する商品/役務の区分及び名称」も同時に更新する(システムデータの正式な更新日程については、本局の情報室からの公告を基準とする)。
出願人が「ファストトラック」を利用し、2025年1月1日以降に商標電子出願システムで出願することを希望する場合、願書に記載した使用を指定する商品/役務の名称と電子出願システムで構築された内容が異なり、「ファストトラック」の条件に一致しないとして、減免優待を受けることができないことのないよう、最新の変更内容を記載すること。
「商標登録出願にかかる使用を指定する商品/役務名称(変更後の新バージョン)」の全ての類別資料は、本日より、商標檢索系統(商標検索システム:https://cloud.tipo.gov.tw/S282/OS0/OS0101.jsp)/布林資料查詢(ブーリアン検索)の「3.商品及び役務の名称の分類検索」からダウンロード可能。各界多いに参考にしていただきたい。

※変更内容は上記URLの「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロード可能(WORD、PDFの中国語)

(2024.12.13 智慧局ニュース全訳)
1-2 「2024台湾IP分野における傑出した女性独占インタビュー」シリーズ報道
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-987831-5ea1f-1.html
グローバル化の発展の下、革新・創造の結晶である専利、商標、著作権及び営業秘密等の知的財産は、個人、企業に関連するだけではなく、国全体の競争力のコア資産となっている。しかし、知的財産権の重要性が日増しに高まりつつあるものの、世界では依然として、知的財産制度へのアクセスにおける性別間の不平等が普遍的に存在し、特に専利分野においては、この問題が一段と顕著になっている。
台湾の知財分野における女性専門家の発展を理解するため、智慧局は今年も「2024台湾IP分野における傑出した女性独占インタビュー」のシリーズ報道を作成した。国立陽明交通大学の林志潔・教授、台湾積体電路製造(TSMC)の陳碧莉・副法務長、マイクロソフトAI研究開発センターの陳佩君・技術長、理律法律事務所の簡秀如・パートナー弁護士等の4名のIP分野における傑出した女性を訪問することができた。
今回の独占インタビューを通じて、たとえ男性主導の理工系分野においてであっても、傑出した女性はリーダーとなっていることが分かった。彼女らは勇敢に挑戦し、学習を続け、極限を突破し、明確な目標を設定し、コツコツと意思を貫きそれを実現することができる。これらの特性により彼女らが仕事で成功したことは、後進にとってのモデルロールとなり、学ぶに値するものである。
「2024台湾IP分野における傑出した女性独占インタビュー」シリーズ報道が引き続き啓発効果を発揮し、更に多くの女性が知的財産分野の関連業務に携わることを鼓舞するものとなることを期待する。また、女性が勇敢に夢を追いかけ、性別の制限を突破し、人生が熱く光り輝くものとなることを期待する。

※本シリーズ報道については、本局サイトの「公開資訊」-「性別平等專區」-「8.臺灣IP領域傑出女性主管專訪」-「2. 2024臺灣IP領域傑出女性專訪(https://www.tipo.gov.tw/tw/lp-1098-1.html)からダウンロード可(中国語)。

(2024.12.17 智慧局ニュース全訳)
1-3 意匠出願の加速審査施行作業方案 2025年1月1日から2026年12月31日まで2年延長
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-987846-f861b-1.html
1. 経済部智慧財産局(以下「本局」という。)は、意匠出願について更に多元的で柔軟な審査方式を提供するため、「意匠出願の加速審査試行作業方案」(以下「本方案」という。)を制定し、意匠の加速実体審査の申請を受理するものとする。

2. 試行期間
本局は2023年9月1日より本方案の申請を受け付けており、その試行期間は2024年12月31日までである。本局で検討した結果、本方案を2026年12月31日まで継続して試行するものとし、本局は、試行状況を踏まえ、引き続き実施するか本方案を改訂するか検討する。

3. 方案内容
(一) 申請期間
意匠出願について本局よりまもなく初審の実体審査に入る旨の通知がされてから、一回目の審査意見通知書を受け取るまでの間。
(二) 申請方法
本方案を申請する場合、本局規定の電子方式で行い、関連の証明書類を添付しなければならない。試行期間においては、本方案の申請手数料を免除する。
(三) 申請事由
1. 事由1:第三者による商業上の実施
出願人は事由1により加速審査を請求する場合、第三者が商業上の実施を行った証明書類(例:商品カタログ、新聞・雑誌等)を添付し、当該第三者の情報、実施行為及びその開始時間を明記しなければならない。

2. 事由2:加速審査を申請する意匠が国内外の著名なデザイン賞を受賞
出願人は事由2により加速審査を申請する場合、出願人の名称と一致した賞状及び受賞デザインの外観に対応した証明書類を添付しなければならない。本事由が受理するデザイン賞は以下のとおり:
(1) 台湾 Golden Pin Design Award
(2) ドイツ iF Design Award
(3) ドイツ Red Dot Design Award
(4) 日本 Good Design Award
(5) 米国 International Design Excellence Awards, IDEA

3. 事由3:スタートアップ企業の意匠出願
出願人が事由3により加速審査を申請する場合、各スタートアップ企業について、同一年に3件までの申請を上限とする。
本方案が適用されるスタートアップ企業は、台湾の会社法又は外国の法的機関により設立登記8年未満の会社とする。会社設立期間を当該会社設立の日から意匠出願日までで計算して、8年未満の者。前述の期間の計算について、優先権を主張したものである場合、最も早い優先日を基準とする。
出願人が外国企業の場合、外国企業の設立日を証明する書類を中国語の翻訳付きで提供しなければならない。当該証明書類が正本でない場合、誓約書を提出すること。

※各作業方案及び関連資料は上記智慧局ウェブサイトのリンク先の「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロード可能(中国語)。

(2024.12.18 智慧局ニュース全訳)
1-4 本局の「知財権情報サービスクラウド」で2024年12月18日から「産業専利知識プラットフォーム」サービスを提供 多いにご利用いただきたい
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-987852-0d969-1.html
政府のクラウド政策に対応し民衆のためのサービス品質を向上させるため、本局は2021年からパブリッククラウドを利用したクラウドサービスアプリケーションプラットフォームである「知財権情報サービスクラウド(中国語:智權資訊服務雲)」の構築を推進し、情報サービスの高可用性と拡張能力を向上させてきている。本年(2024年)には「産業専利知識プラットフォーム」ウェブサイトを当該プラットフォームにすでに移転し、当日から対外的に公開試行をしている。
同時に、今回の「産業専利知識プラットフォーム」ではインターフェイスも改善し、既存のPC版とスマホ版のサイトを統合してクロスデバイスブラウジングをサポートしており、PC、タブレット又はスマホのいずれでもウェブサイトのコンテンツを容易に閲覧することができ、専利文献、専門家コラム、最新の知財ニュース、各国の専利制度と学界・専門家等の情報を迅速に照会することができる。引き続きご支援ご指導をお願いしたい。

※新版の「産業専利知識プラットフォーム」(中国語)のリンク:
cloud.tipo.gov.tw/S400

(2024.12.19 智慧局ニュース全訳)
1-5 本局の「意匠オンライン出願システム」を本日より対外開放し、意匠及び関連意匠の新規出願機能を提供する 多いにご利用いただきたい
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-987861-e57b1-1.html
専利オンライン出願の作業の利便性を向上させるため、本局は商標オンライン出願サービスモデルを参考に、ウェブページ型プラットフォームの「意匠オンライン出願システム」を新設した。ユーザーはスタンドアローン(独立機能)のツールをインストールする必要はなく、ブラウザを通じて使用可能であり、クロスデバイスでの使用もサポートされている。
本年(2024年)度は意匠及び関連意匠の新規出願及びその他の出願機能(再審査、補正・訂正、補完、証明書の受領、年金納付、取下げ、繰延及び譲渡等含む)を優先的に開放すると同時に、ユーザーが迅速・便利に出願資料を記入できるよう、複数の新規補助機能を提供する。例えば、「我的草稿(下書き)」機能では、編集中の案件を保存することができ(保留30日)、出願後の資料申請の際の「我的案件(私の案件)」機能では、直近7日以内に出願した案件の資料を選択して読み込むことができる。各界で多いに利用していただきたい。

※専利オンライン出願システムのリンク先:https://tiponet.tipo.gov.tw/patent/
※上記リンク先の智慧局サイトの「檔案下載(ファイルダウンロード)」から「簡易手冊(簡易マニュアル)」をダウンロード可能(中国語)。

(2024.12.20 智慧局ニュース全訳)
1-6 「2024年専利代理業務の現況と展望」シンポジウムにおける智慧局の新施策に関するアンケート結果及び参加者からの意見に対する回答の集計表の発表
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-987871-7a32f-1.html
アジア専利代理人協会台湾総会(APAA Taiwan Group)、経済部智慧財産局、国立台湾科技大学専利研究所は2024年12月5日、国立台湾科技大学国際ビル1階会議ホールにて「2024年専利代理業務の現況と展望」シンポジウムを共同開催した。その中の議題4「新専利制度の実施と討論」について、経済部智慧財産局の専利新施策に関するアンケート調査結果を添付ファイル1~添付ファイル3に、参加者からのご意見に対する回答をまとめた表を添付ファイル4に示すので、ご参照いただきたい。
※添付ファイルは上記智慧局ウェブサイトのリンク先の「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロード可能(中国語)。

(2024.12.20 智慧局ニュース全訳)
1-7 「産業協力のための専利審査面接試行作業方案」の改訂の公告 2025年1月3日より引き続き試行
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-987862-e7c51-1.html
一、 本局が2023年に試行した「産業協力のための専利審査面接試行作業方案」は2025年1月2日に期間満了となる。専利ポートフォリオ展開に利するよう特許を迅速に取得するという出願人のニーズに応えるため、現行の審査能力を検討した結果、本方案を修正し2026年12月31日まで引き続き試行することとする。
二、 現行の方案を引き継ぎ、安定した運営を維持するよう、今回の改訂方案では試行期間のみを調整し、その他の内容及び意向書のいずれも変更はない。改訂した「産業協力のための専利審査面接試行作業方案」及び原「産業協力のための専利審査面接試行作業方案Q&A」については、添付資料のとおり。

※改訂した「産業協力のための専利審査面接試行作業方案」及び原「産業協力のための専利審査面接試行作業方案Q&A」は、上記リンク先の智慧局サイトの「檔案下載(ファイルダウンロード)」及び「相關連結(関連リンク)」からダウンロード可能。

(2024.12.25 智慧局ニュース全訳)
1-8 本局は2025年1月より、登録査定を受けた特許案件について、公告版の明細書のトップページに「公告版」と表記しないこととする
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-987893-97b1d-1.html
現行の明細書公告版のトップページには特許証書番号が記載され、各ページには公告番号が表記されており、特許書類の識別には十分であることから、本局は2025年1月より、登録査定された特許案件について、公告版の明細書のトップページに「公告版」と表記しないこととする。

2.模倣品関連

(2024.12.11 刑事警察局ニュース全訳)
2-1 刑事局の捜査プロジェクトにより海賊版教材を捜査 塾、取り扱い書店が知財法に違犯 権利侵害市場価格は2億台湾元
www.cib.npa.gov.tw/ch/app/news/view?module=news&id=1885&serno=cfb33ca9-fe42-435c-a429-7e73e0fd5904
1. 捜査部署:刑事警察局知的財産権偵査大隊
2. 摘発時間:2024年5月7日、8月2日
3. 摘発場所:桃園市桃園区、新北市永和区
4. 容疑者:李(男、1967年生まれ)、莊(男、1983年生まれ)、黄(男、1984年生まれ)、黄(女、1979年生まれ)等4人
5. 摘発証拠物:権利侵害の試験問題集600冊以上、権利侵害の試験用紙コピー200枚以上、海賊版試験用紙PDFファイル及び問題集システム電子ファイルの電子的記録、スマホ、権利侵害の試験用紙18箱、権利侵害CD-ROM、出版社との関連契約書、NASシステム設備、ホストコンピュータ、フラッシュメモリ等の証拠物。
6. 案件の概要:
(1) 近年、出版社等の著作権者からの同意、許諾を得ずに、それらが発行している教材・試験用紙等の著作物をコピー、スキャン等の手法で複製し、通信ソフトを通じて大量に送信、頒布し、又はECプラットフォームで公開販売して、不法に多額の利益を得ていると疑われる悪徳業者がよく見受けられ、知的財産権侵害が深刻である。
(2) 台湾高等検察署による2024年度「教材による知的財産権侵害の摘発」プロジェクトに対応し、刑事局知的財産権偵査大隊(偵一隊)は、教材の侵害行為を撲滅するため、違法に海賊版を印刷する補習班(塾)、取り扱い書店に対して摘発を行った。
(3) 警察は通報があった後、次々に2024年5月と8月にプロジェクトチームを立ち上げ、それぞれ摘発を行った。桃園市桃園区では、地区のフランチャイズ塾で、LINE通信ソフトを通して違法に複製した権利侵害試験用紙の電子ファイルを生徒及び保護者に公開送信、頒布していたことを捜査し、警察の捜査により権利侵害の試験問題集600冊以上、権利侵害の試験用紙コピー200枚以上、海賊版試験用紙PDFファイル及び問題集システム電子ファイルの電子的記録、スマホ等の証拠物を摘発した。また、新北市永和区では、取り扱い書店として合法的に出版社の商品を取得し、違法に印刷してShopee(蝦皮)で不特定多数に販売していた老舗書店を摘発し、捜査の結果、権利侵害の試験用紙数十箱、権利侵害CD-ROM、出版社との関連契約書、NASシステム設備、ホストコンピュータ、フラッシュメモリ、スマホ等の証拠物を摘発した。権利侵害市場価格は2億台湾元(約9.5億円)を超える見込み。本件全体の捜査の後、著作権法第91条違反の容疑で、それぞれ台湾桃園地方検察署と台湾新北地方検察署に書類送検される。
(4) 知的財産権と学生の教育を受ける権利を保護するため、警察は民衆に対し、違法ルートで購買して試験用紙権利侵害の犯罪行為を助長することのないように呼びかけるとともに、学校、塾で違法に海賊版教材が使用されている場合には自発的に通報するように呼びかけている。警察は引き続き関連案件について、摘発を強化し、全力で、かつ積極的に権利侵害教材の摘発を実施して、台湾の知的財産権保護の完備を目指していく。

(2024.12.23 刑事警察局ニュース全訳)
2-2 ネットオークション業者が海賊版ゲーム及び音楽を安価で仕入れて高値で販売 権利侵害市場価格は3億台湾元越え
www.cib.npa.gov.tw/ch/app/news/view?module=news&id=1885&serno=bf962834-9e3e-4707-a125-5e2ab2705b83
1. 捜査部署:刑事警察局知的財産権偵査大隊
2. 摘発時間:2024年6月。
3. 摘発場所:新北市三重区、新北市蘆洲区。
4. 容疑者:戴(男、1996年生まれ)、朱(男、1989年生まれ)の計2案件2人。
5. 摘発証拠物:ポータブルストレージデバイス2個、ノートパソコン1台、スマホ1台、USBメモリ229個、Googleドライブアカウントアクセス権限1個
6. 案件の概要:
(1) 刑事局はあるネットオークション業者が著名なネットオークションプラットフォームに大量の海賊版プログラムの著作物及び音楽著作物を掲載して販売しているとの通報を受けた。その中には「三国群英伝」、「天堂」等を含む100種類近いゲームソフト、及び中国語、英語、台湾語等の5,000曲近い音楽が含まれていた。刑事警察局知的財産権捜査大隊(偵一隊)による追跡調査の後、2024年6月に台湾新北地方裁判所の捜索差押許可状をもって、新北市三重区と新北市蘆洲区の二か所を捜索し、容疑者の戴、朱の2名を商標法及び著作権法の違反等で摘発し、現場でポータブルストレージデバイス2個、ノートパソコン1台、スマホ1台、USBメモリ229個、Googleドライブアカウントアクセス権限1個を差し押さえた。
(2) 調査の結果、容疑者の戴、朱の2名はそれぞれ、インターネットを通じて中国のネット販売サイト業者から海賊版のゲーム、音楽を購入し、入会費を支払い中国の某ウェブサイト及びフォーラムの会員になった後、当該ウェブサイト及びフォーラム内で海賊版ゲームをダウンロード取得し、ネット販売サイトに掲載して販売し、不特定の消費者が発注してから、海賊版ゲーム、音楽のデジタルファイルをUSBメモリに保存して出荷して、又はGoogleドライブに保存して消費者が自らダウンロードできるようにして、提供していた。
(3) 調べによると、このネット販売取引の数量は累積3,000件近く、金流は100万台湾元(約481万円)以上であり、容疑者の戴、朱の2名は、2023年から警察に摘発される2024年6月まで、安価で仕入れて高値で販売する方法で暴利を貪り、その違法な所得は300万台湾元(約1,443万円)、権利侵害市場価格は3億240万1,200台湾元(約14億5,450万円)に達し、商標権者と著作権者の権利へ甚大な影響を与えた。捜査の後、全ての案件は、商標法第95条、第97条及び著作権法第91条、第92条の規定に違反した疑いにより、台湾新北地方検察署へ書類送検された。
(4) 警察は消費者に対し、出所不明のチャネルを通してゲームソフト及び音楽著作物を取得せず、正規の直営店又は公式に許諾販売されているチャネルから購読するよう、法を犯さないよう呼びかけた。刑事局は商標権者、著作権者及び消費者の権益保護を確保するため、引き続き知的財産権侵害案件の摘発を強化し、違法を取り締まり、合法を保障して、政府の違法行為撲滅の決心を示していく。

3.法律・制度

(2024.12.16 聯合報第A6面全訳)
3-1 AIがクリエイターに与えるインパクト 来年規範を制定
米国が今月発表したばかりの経済発展研究報告において、AIの繁栄はテクノロジー産業を更に繁栄させるが、政策立案者が直ちに介入しない限り、創作者の権利と収入は大幅に減少すると指摘されている。文化部は、国際事例と台湾内の文化芸術産業の代表者の意見を収集しているところであり、「生成AIを応用した文化芸術規範ガイド」の制定を検討し、来年上半期に発布する予定であると述べた。
会員数1万人以上の英国の創作者権利連盟公会が4月に公表した調査によると、4分の1のイラストレーターと3分の1の翻訳家がAIにより失業し、86%以上の会員が独自のスタイルと声がAI「トレーニング」の過程において模倣又は複製されるのを心配しており、86%はAIが人類のクリエイティブな仕事の価値を貶めると心配している。また、ほぼすべてのインタビュイーは、生成AIの開発において創作が使用される際の同意の要求、名誉・報酬の取得を希望しており、政府による保障施策と監督管理を呼びかけている。
数百名のクリエイターを有するデジタルコンテンツプラットフォーム「C×C創利市集」の王潔英・COOは、AIがクリエイターの素材を使用する際、必ず使用許諾を取得しなければならず、クリエイターはどのサイトに加入する前でも、必ず使用条項を詳細に閲覧するよう弁護士が明確に告知していると述べた。その他のクリエイターの懸念として、AIを通して創作したものは販売可能であるか、著作権使用料はどのように計算されるのか、クリエイターがAIを運用して創作した場合、海賊版の疑いで提訴されたらいかにして反論するのかが挙げられる。これらすべては知的財産権等の法律面で更に一歩進んで明確にされなければならない。
サウンドクリエイターの橘子は、先ごろ中国の業者から「あなたの声を使ってAIを活用できますか」との問い合わせを受けたが、費用の支払い問題については言及されなかったことを明らかにした。中華アニメーション出版同業商会協進会の高世椿・秘書長は、台湾のAIに関する法律が完備されていないこの時にクリエイターに対しAIトレーニングの素材としての提供が要求されると、クリエイターは当然、全力で取り組んできた創作の成果が「一瞬のうちになくなる」ことをひどく心配し、生成AI は台湾の海賊版を更に迅速に、更に深刻にさせると述べた。
文化部は、制定検討中の「生成AIを応用した文化芸術規範ガイド」は、クリエイターの立場から、AIトレーニングデータ、創作の使用、生成結果及び管理メカニズムの観点で、文化芸術に携わる者に対して、著作権、個人情報の権利侵害等といった生成AIの応用又はトレーニングに関するリスクについて注意喚起するものであり、また、行政指導の性質を有し、対応のアドバイスを提供するものであると述べた。

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