発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.373)
発行年月日:2024年10月15日・30日合併号
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2024年10月9日 智慧局ニュース全訳)
1-1 専利電子出願の補正のデジタル化推進のため、2025年1月より、出願書類を電子書類で提出している場合には、明細書の補正又は訂正の際にファイル変換を行うことが必要
(2024年10月15日 智慧局ニュース全訳)
1-2 本局の知的財産権eネットにオンラインによる出願人の代表者変更機能を新設
(2024年10月16日 智慧局ニュース全訳)
1-3 「著作権争議調停弁法」改訂予告
(2024年10月17日 智慧局ニュース全訳)
1-4 過去最短 特許再審査の加速審査が15日間で
(2024年10月23日 智慧局ニュース全訳)
1-5 本日より、 台湾域内・外の共同出願人による専利出願について本局の審査を経て専利審査意見通知書が発行された場合の応答期間を3か月とする
(2024年10月24日 智慧局ニュース全訳)
1-6 簡易検索と詳細検索を有する新「商標検索システム」サービスが本日より始動
(2024年10月24日 智慧局ニュース全訳)
1-7 2023年も台湾の特許受理件数は増加し、1.2%のプラス成長、WIPOのPCT特許受理件数は2009年以来初めてのマイナス成長
2. 知的財産権紛争
(2024年10月14日 工商時報第B8面要訳)
2-1 舞光が照明専利で勝訴 市場の公平性を保守 億光電子工業は舞光に対して3件の訴訟を提起したが、2年近い訴訟の末、智財裁判所は7月31日に億光敗訴の判決を下した
3. 模倣品関連
(2024年10月17日 聯合報第A11面全訳)
3-1 導航王(NaviKing)の権利侵害に関与 業者の利益は1,000万台湾元
1.智慧局ニュース
(2024.10.09 智慧局ニュース全訳)
1-1 専利電子出願の補正のデジタル化推進のため、2025年1月より、出願書類を電子書類で提出している場合には、明細書の補正又は訂正の際にファイル変換を行うことが必要
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-980065-81c5a-1.html
明細書のデジタルデータをさらに完備するため、来年(2025年)1月より、出願書類を電子書類で提出していた出願について、その後明細書の補正又は訂正をする際は、ファイル変換を行ったものを提出しなければならないこととする。この作業をスムーズに推進するため、本局は去年(2023年)アンケート調査と座談会を開催して、各界と共に具体的で実行可能な推進方法について検討してきた。
座談会で各界から提供された意見及び提案に基づき、今年(2024年)8月には関連する電子出願サービスを拡充・改善し、よく見受けられるファイル変換エラーの問題を整理し、各界の参考のため、電子出願FAQサイトの「よく見られるエラーの排除方法」に分類した。
統計によると、今年(2024年)度6~8月の電子出願案件における明細書の補正又は訂正のデジタル化100%を達成した事務所は累計99社に達した(下表参照)。来年(2025年)1月から全面実施となるため、事前に準備しておくよう通知する。電子送付サービスの使用について何か問題がある場合には、本局の電子出願カスタマーサービスまでお問合せいただきたい。
※電子出願カスタマーサービス
電話:(02)8176-9009
メール:tipoeservice@tipo.gov.tw
(2024.10.15 智慧局ニュース全訳)
1-2 本局の知的財産権eネットにオンラインによる出願人の代表者変更機能を新設
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-980023-3a3e5-1.html
専利及び商標案件の出願人事項の変更を容易にし、変更結果の迅速な取得を可能にするため、また、行政機関との公文書の往来の負担を減らすため、本局の知的財産権eネットにおいてオンライン変更サービスを拡大し、オンライン手続による出願人の代表者変更機能を新設する。
前述の機能の新設後に出願人がオンラインで自主的に変更することが可能な事項は、以下のとおり。
1. 出願人の代表者氏名(中文、英文)。
2. 出願人及び代理人の住所(中文、英文)、電話番号及びメールアドレス。
本項の新機能は2024年10月15日よりオンライン上での使用が開始される。出願人又は代理人は本局の知的財産権eネットにログイン後、「出願案件/オンライン変更」(中文:案件申請/線上變更)を選択し、案件の基本資料の変更を行い、直ちに変更結果を取得することができる。
操作に問題が発生した場合、本局eネットのカスタマーサービスまでお問合せいただきたい。
電話:(02)8176-9009
E-mail:tipoeservice@tipo.gov.tw
※知的財産権eネットは、下記リンク先の智慧局サイトの「智慧財産權e網通(中国語)」を参照。https://tiponet.tipo.gov.tw
(2024.10.16 智慧局ニュース全訳)
1-3 「著作権争議調停弁法」改訂予告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-981922-514b6-1.html
経済部公告
発行期日:2024年10月14日
発行番号:経授智字第11352800570号
添付:「著作権争議調停弁法(中国語:著作權爭議調解辦法」)一部条文改訂草案(総説明及び条文対照表)。
主旨:「著作権争議調停弁法」の改訂予告
根拠法:行政手続法第151条第2項を準用する第154条第1項。
公告事項:
1. 改訂機関:経済部
2. 改訂依拠:著作権法第83条
3. 著作権争議調停弁法の一部条文改訂草案は添付資料(※)のとおり。本件は、経済部智慧局のウェブサイト(https://www.tipo.gov.tw/tw/mp-1.html)及び経済部主管法規照会システム/草案予告(https://law.moea.gov.tw/DraftForum.aspx、又は、「經濟部全球資訊網首頁(経済部ホーム)/法規及訴願(法規及び訴願)/草案預告(草案予告)」)に掲載済み。
4. 公告内容に対する意見や提案は、本公告の公報掲載日の翌日から60日以内に提出すること。
(1) 担当部署:経済部智慧財産局著作権組
(2) 住所:台北市大安区辛亥路2段185号3F
(3) 電話:(02)23767144
(4) FAX:(02) 27365001
(5) メール:著作権組メールipocr@tipo.gov.tw
※「著作権争議調停弁法一部条文改訂草案」の対照表(中国語)、「著作権争議調停弁法」の行政院による改訂予告公報(中国語)は上記智慧局ウェブサイトのリンク先の「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロート可能。
なお、「著作権争議調停弁法一部条文改訂草案」の対照表によると、改訂の概要は以下のとおり。
著作権争議調停弁法一部条文改訂草案の総説明
著作権争議調停弁法(以下「本弁法」という。)は、1987年4月17日に制定施行が公布され、3回の改訂を経て、最新の改訂公布日は2004年4月14日である。2020年2月10日に著作権法、著作権仲介団体条例における「著作権仲介団体」の名称が「著作権集団管理団体」に変更されたことに基づき、また、著作権争議調停の実務ニーズに応え、著作権紛争の一回的解決を促進するため、著作権争議調停に関する手続を改訂した。本弁法の一部条文改訂草案では、3つの条文を改訂し、3つの条文を新設した。改訂のポイントは次のとおり。
1. 本弁法でいう「著作権仲介団体」を「著作権集団管理団体」に改訂する。(改訂条文第2条)
2. 調停事件の申請が法定手続に適合しない場合、著作権主務官庁は申請者に補正をするよう通知しなければならない旨の規定を新設。また、不受理とすべき理由についての規定を新設。(改訂条文第5条の1、第5条の2)
3. 法律上利害関係を有する第三者は、調停手続に参加させる、又は当事者として加えることができる旨、調停書に記載すべき事項を併せて調整できる旨の規定を新設。(改訂条文第10条の1、第13条)
4. 調停委員が調停を続行でき、著作権主務官庁は職権により調停手続を終了させることができることの根拠規定を新設。(改訂条文第12条)
(2024.10.17 智慧局ニュース全訳)
1-4 過去最短 特許再審査の加速審査が15日間で
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-981929-becd3-1.html
本局が本年(2024年)9月1日に打ち出した「特許再審査の加速審査(AEPRe)」方案は、初審の拒絶理由で一部の請求項のみが拒絶され、一部の請求項が拒絶されていない案件について、出願人が再審査の際に「拒絶された請求項を削除し、拒絶されていない請求項を独立項に書き改める」というやり方で補正をすることで、再審査時の専利の範囲を初審で登録査定できると認定された範囲のものにした場合に、加速審査が適用されるものである。智慧局の発表によると、AEPRe方案の試行が開始されてすぐに出願人から申請書が提出されており、1件目のAEPRe加速審査の再審査案件にはすでに登録査定書が発行されている。
1件目のAEPRe案件では、出願人がAEPRe加速審査を申請してから登録査定されるまで、わずか15日間しかかからなかった。一般の再審査案件では約10~13か月かかって審査結果を取得できることと比較すると、AEPReは出願人にとって確実に大きな助けとなっており、出願人の迅速な専利取得に貢献している。
前述の1件目のAEPRe案件の代理人である高玉駿・弁理士は、智慧局は近年、審査の品質及び効率向上の新施策を次々に推進しているところ、代理人と出願人はサービスと効率の向上をはっきりと感じており、智慧局の意図を肯定的に受け止めているとともに、AEPRe方案を通じて顧客の案件が迅速に登録査定されることをうれしく思うと述べた。
高・弁理士は次のように述べた。特許審査には初審と再審査の二段階があり、初審の段階で拒絶査定された場合、出願人は通常、審査意見に対して応答して最大の保護範囲を得ようと努力するが、初審の応答で成功せず拒絶査定を受けた場合は、再審査を提出する際に改めて多くの可能性のある戦略を考慮する。出願人がAEPRe方案を採用する場合、出願人が審査結果を迅速に取得できる恩恵を享受するだけでなく、智慧局も、再審査時に初審の審査意見を引き続き利用して審査負担を減少することができるため、相互に利益がある。
AEPRe方案、Q&A及び請求項の補正例について(中国語):
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-977635-e7dc7-1.html
AEPRe申請書、申請についての注意事項及び記入例について(中国語):
www.tipo.gov.tw/patents-tw/lp-712-101-4-20.html
(2024.10.23 智慧局ニュース全訳)
1-5 本日より、台湾域内・外の共同出願人による専利出願について本局の審査を経て専利審査意見通知書が発行された場合の応答期間を3か月とする
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-982167-048cc-1.html
一、「2024年度知的財産権業務座談会」における台湾域内・外の共同出願人による専利出願について民衆から寄せられた意見の中で、本局が発行する専利審査意見通知書の応答期間について、出願人の願書に記載している1番目の出願人の国籍が基準となり、台湾籍の場合の応答期間は2か月、外国籍の場合の応答期間は3か月に指定されているところ、共同出願人のうちの1名が外国籍の場合、出願人の順位に関わらず、3か月の応答期間を与えるべきであるという提案がなされた。
二、応答期間の実際の意義を踏まえて出願人に合理的な応答期間を与えるため、本局は関連システムの情報をすでに迅速に追加修正した。当該システムにおいて台湾域内・外の共同出願人による専利出願の応答期間が3か月に調整され、本日より適用される。
(2024.10.24 智慧局ニュース全訳)
1-6 簡易検索と詳細検索を有する新「商標検索システム」サービスが本日より始動
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-982168-f46ad-1.html
1. 本局の「商標検索システム」の操作性を向上し、モバイルデバイスでのブラウジングをサポートするため、本局は新システムを構築し、改善した。異なるユーザー群のニーズに応えて簡易検索と詳細検索を区別したとともに、検索条件を繰り返し調整して検索結果件数を減らさなければならない状況を減少させ、新システムでの検索結果件数を1,000件まで増加させた。
2. また、旧システムは来年(2025年)3月から対外的なサービスを終了するため、新システムのURLを多いにご利用いただきたい。問い合わせは、商標検索問題相談専門ダイヤルまで:(02)23767165、(02)23767166、(02)23767508、(02)23767571。
※新「商標検索システム」のURLはこちら
cloud.tipo.gov.tw/S282/S282WV1/
(2024.10.24 智慧局ニュース全訳)
1-7 2023年も台湾の特許受理件数は増加し、1.2%のプラス成長、WIPOのPCT特許受理件数は2009年以来初めてのマイナス成長
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-982187-25512-1.html
経済部智慧局(TIPO)は本日、「2023年WIPO及びTIPOが受理した特許出願趨勢の比較分析」を発表した。2023年にWIPOが受理したPCT特許出願件数は概算で約272,600件(前年比1.8%減)、13年連続のプラス成長に終止符を打つと見込まれる。一方、TIPOの受理件数は50,854件(前年比1.2%増)となった(図1参照)。
世界知的所有権機関(WIPO)は知的財産を保護する国際連合の専門機関である。出願人がPCT(特許協力条約)を通じて特許出願し、複数のPCT加盟国を指定するだけで審査され、専利権が付与されるか否かが決定される。
2023年、WIPO及びTIPOの特許出願はそれぞれ「コンピュータテクノロジー」及び「半導体」が最多
2023年にWIPOが受理した特許の技術分野は「コンピュータテクノロジー」(10.2%)が最も多く、次いで「デジタル通信」が9.4%、「電子機械エネルギー装置」が7.9%であった。TIPOは「半導体」が全体の15%を占め最高となり、次いで「コンピュータテクノロジー」が9.1%、「電子機械エネルギー装置」が6.1%となった(図2参照)。
WIPOは特許を35の技術分野に分類しており、そのうち「コンピュータテクノロジー」はAI、クラウドコンピューティング等のアルゴリズム技術を含み、「デジタル通信」は5G/6G通信、衛星通信等の有線・無線及び映像デジタル通信を含む。「電子機械エネルギー装置」は照明、基本の電子部品、電気エネルギーストレージシステム、発電・配電等の装置及び技術を含み、「半導体」は半導体デバイス、製造プロセス及び技術を含む。
WIPOの技術ポートフォリオにおける主要国(地区)については、中国は「デジタル通信」の割合が最も高く(15.6%)、米国は「コンピュータテクノロジー」の割合が最も高く(12.9%)、日本及びドイツは「電子機械エネルギー装置」の割合が最も高く(それぞれ11.3%、11.8%)、韓国は「電子機械エネルギー装置」(11.2%)及び「デジタル通信」(11.2%)の割合が横並びとなった。台湾、中国、米国、日本、韓国は、いずれもTIPOにおける「半導体」の割合が最大であり、12.5%から25.7%となった(図3参照)。
2023年、世界のPCT特許出願はファーウェイが7連覇、TIPOにおける特許出願はTSMCが5連覇
2023年のWIPOにおける特許出願公開件数の上位10出願人については、中国のファーウェイ(HUAWEI)が6,494件で7年連続1位となり、次いで韓国のサムスン電子(3,924件)、米国のクアルコム(3,410件)となった。台湾(TIPO)においては、台湾積体電路製造(TSMC)が1,582件で5年連続の1位となり、次いで米国のアプライド・マテリアルズ(794件)、韓国のサムスン電子(747件)、米国のクアルコム(695件)となった。WIPOとTIPOにおける上位10出願人にはいずれも韓国のサムスン電子及び米国のクアルコムが含まれている(図4参照)。
2023年、WIPOにおける上位10出願人の多くは「デジタル通信」分野に積極的で、TIPOにおける上位10出願人の多くは「半導体」分野が最高
2023年のWIPOにおける上位10出願人の技術分野分布をみると、中国のファーウェイ等6出願人は「デジタル通信」分野に最も積極的である。そのうち、中国のファーウェイは「デジタル通信」が全体の41.8%を占め、次いで「コンピュータテクノロジー」が22.7%、「電信」が9.5%で、合計74.0%を占めている(図5参照)。TIPOについては、TSMC等の6出願人はいずれも「半導体」の分野の占める割合が最も大きく、なかでもTSMCが占める割合は最大で、78.1%である(図6参照)。
韓国のサムスン電子は、WIPOにおいて「デジタル通信」が占める割合が最も大きいのに対し、TIPOにおいては「半導体」の割合が最大であり、ポートフォリオの重点が明確に異なる。米国のクアルコムはWIPOとTIPOにおいていずれも「デジタル通信」の占める割合が最も高く、ポートフォリオの差異は比較的小さい(図5、図6参照)。
2023年、台湾人による出願件数に占める台北-新竹地区の出願人の割合は72.4%、WIPOによるPCT特許出願クラスターランキング(Top 50 PCT clusters)において、台北-新竹地区の発明者は37位
2023年の台湾人による台湾(TIPO)での特許出願について、県・市でみると、新竹市が過去最多の4,842件で首位となり、次いで台北市(3,058件)、新北市(2,989件)となった。台北-新竹地区の出願人の合計が台湾人出願件数に占める割合は72.4%となった(図7参照)。
このほか、WIPOが発表した直近5年の統計によると、台北―新竹地区の発明者はWIPO特許出願の技術クラスターの上位50に入っており、2019年~2023年は37位であった(表1参照)。
「2023年WIPOとTIPOが受理した特許出願の趨勢比較分析」については、下記リンク先の「趨勢統計」を参照(中国語)。
topic.tipo.gov.tw/patents-tw/lp-979-101.html
※図表については、上記リンク先の智慧局サイト先「檔案下載(ファイルをダウンロード)」の「1131021_2023年WIPO與TIPO受理發明專利申請趨勢_圖表」を参照(中国語)。
2.知的財産権紛争
(2024.10.14 工商時報第B8面要訳)
2-1 舞光が照明専利で勝訴 市場の公平性を保守 億光電子工業は舞光に対して3件の訴訟を提起したが、2年近い訴訟の末、智財裁判所は7月31日に億光敗訴の判決を下した
億光電子工業(EVER LIGHT、以下「億光」という。)は、2022年11月以降、LEDチップの設計・製造に関わる5件の専利が侵害されたとして台湾で多数の照明メーカーと中間業者を次々に提訴した。
億光は、展晟(舞光)及び舞光(DANCE LIGHT、展晟照明グループが2008年に台湾で設立した照明ブランド)の北部代理店に対して3件の訴訟を提起し、損害賠償請求の総額は2億3,000万台湾元(約10億7,000万円)にのぼった。約2年にわたる訴訟の末、知的財産及び商業裁判所(以下、「智財裁判所」という。)は2024年7月31日、億光の3件の特許(専利番号TWI553264B、TWI644055B及びTWI665406B)は取り消すべき事由を有すると判断し、億光敗訴の判決を下した。2024年9月30日、智財裁判所は、億光が2件の意匠に基づき訴訟を提起した件についても、億光の訴え及び仮執行の申立てを棄却した(専利番号TWD191225S及びTWD193225S)。
また、億光が上述の訴訟を提起した後、経済部智慧財産局(以下「智慧局」という。)に対して次々に当該5つの専利の無効審判請求が申し立てられ、無効審判請求件数はすでに20件を超えた。智慧局は2024年8月12日と13日に、億光の2件の意匠登録を取消すとの審決をした。
億光は、提訴の目的は知的財産権の保護であると主張しているが、億光はLEDチップの設計・製造に従事していない川下ブランドメーカー、中間業者、小売商に対してのみ大規模な専利訴訟を提起している。また、判決が下される前に、億光は多くの警告書、告発文書を郵送しているが、その対象の多くは、舞光の商品が権利侵害しているのか否かを判断するための知的財産の専門知識やリソースをもたない零細企業の代理店や電子商取引プラットフォームである。市場の公平な取引秩序に影響を与え、零細企業が正常な経営をしにくくなっている。
これらの専利訴訟は、大企業が商業ポートフォリオ及び市場競争の手段として専利訴訟を濫用していることを示すものであるのか、産業界及び政府にとって注目に値する点である。
3.模倣品関連
(2024.10.17 聯合報第A11面全訳)
3-1 導航王(NaviKing)の権利侵害に関与 業者の利益は1,000万台湾元
台中市のディスプレイオーディオ業者の何という男は、中国からディスプレイオーディオを輸入し、使用許諾を得ていない「導航王(NaviKing)」のソフトをインストールして1,000台余りを販売し、1,100万台湾元(約5,100万円)超を稼いでいたとして、NaviKingは業者に対し15億台湾元(約70億円)の権利侵害を受けたとの訴訟を提起した。刑事局が捜索し、80台のディスプレイオーディオを押収し、何、株主及び職員の合計4人に対して出頭するよう通告し、著作権法により書類送検した。
警察の調査によると、48歳の何という男はディスプレイオーディオ店を経営し、台湾で4軒の店舗を所有していた。2019年8月よりアンドロイドOS搭載のディスプレイオーディオを中国から輸入し、「台湾TKSアンドロイドオーディオ」という名称で店舗又はインターネットで販売していたが、販売数を増やすため、使用許諾を得ていないNaviKingのソフトを消費者に代わりインストールして1台につき5,999台湾元から18,999元(約27,800円から88,000円)で販売し、Facebook やYouTubeで「クラック版」として宣伝していた。
刑事局智慧財産権大隊第二隊は通報を受けて追跡調査を行い、彰化地検署へ捜査の指揮を依頼し、今年7、8月に台中、台南、彰化市等の何が経営する4店舗を捜索し、80台のディスプレイオーディオ、帳簿、発注書及びクラックされたカーナビソフトのインストールファイルを押収し、何、黄(株主、52歳、男)、荘(株主、53歳、男)を警察に出頭させた。
NaviKingの業者は今年2月に警察に通報し、6つのバージョンのカーナビソフトの権利が侵害され、その市場価値は合計15億台湾元(約70億円)であると指摘した。何等4人はディスプレイオーディオで使用許諾を得ていないカーナビソフトをインストールして販売したことを認め、警察の取り調べの後、著作権法に基づき彰化地検署へ書類送検された。
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