発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.365)
発行年月日:2024年5月31日・6月14日合併号
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2024年5月30日 智慧局ニュース全訳)
1-1 智慧局は「新世代デザイン展」の創作者に知的財産保護の礎を提供
(2024年5月31日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「専利審査基準」第二篇の特許実体審査第1、3、11、14章及び第5五篇無効審判審査第1章の一部内容の改訂予告
(2024年6月11日 智慧局ニュース全訳)
1-3 「商標争議案件聴聞作業要点」改訂版が即日より発効
(2024年6月11日 智慧局ニュース全訳)
1-4 「専利無効審判案件聴聞作業方案」を「専利無効審判案件聴聞作業要点」に名称変更した改訂版が即日より発効
(2024年6月11日 智慧局ニュース全訳)
1-5 「特許出願の実体審査繰り延べ請求作業方案」の改正草案を公告
2. 知的財産権紛争
(2024年5月23日 中国時報第A14面全訳)
2-1 ソフトウエア盗用で訴訟を提起される 大立光:全力で調査に協力
(2024年6月1日 工商時報第A5面全訳)
2-2 大立光の権利侵害案件が開廷 台中地検署は中立厳守を強調
1.智慧局ニュース
(2024.05.30 智慧局ニュース全訳)
1-1 智慧局は「新世代デザイン展」の創作者に知的財産保護の礎を提供
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-944156-e9f54-1.html
新世代デザイン展(YODEX=Young Designers Exhibition)に出展する学生とプロのデザイナーがさらに一歩進んで専利を認識し、専利制度を通じて自らのデザイン作品又は商品を保護できるよう、経済部智慧財産局は今回(第43回)の新世代デザイン展(5月24日から 27日まで)において「台湾専利超級站」(TAIWAN PATENT GO)を設置し、専利知識のパネル展示とQ&Aゲームを通じて学生及び一般参加者の専利制度についての理解を深めると同時に、また、現場では無料専利相談サービスを提供した。展示期間中、一般参加者はQ&Aゲームに参加し、意匠の出願、審査及び検索などについての相談件数は延べ62人となった。智慧局も55件のデザイン作品候補又は受賞者に対して積極的に創意保護の相談を行い、専利保護による創作の重要性をPRした。
これまでの経験によると、学生は「著作権」、「商標権」及び「専利権」の3大知的財産権の概念を混同しやすく、対応する権利保護施策についてもあまり理解していないことから、智慧局は特別に会場サロン区において「デザイナーが理解すべき知的財産権」講座のイベントを開催し、学生達が学校では教わらない実務知識を習得できるよう、混同しやすい関連議題について説明と交流を行った。
「台湾専利超級站」(TAIWAN PATENT GO)は今回展示会に訪れたゲストの注目ポイントとなった。智慧局の廖承威・局長は、展示期間中に産業発展署の連錦漳・署長、デザイン研究院の林鑫保・副院長、艾淑婷・副院長、劉世南・研究発展長等のゲストを招聘した。新世代デザイン展の「台湾専利超級站」(TAIWAN PATENT GO)を毎年設置することを通じて、多くの学生達に正確な知的財産権保護の観念の種をまくことができるよう期待する。
(2024.05.31 智慧局ニュース全訳)
1-2 「専利審査基準」第二篇の特許実体審査第1、3、11、14章及び第5五篇無効審判審査第1章の一部内容の改訂予告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-945427-fafb1-1.html
一、 関連法令の改正への合致、審査実務のニーズの迅速な反映、統一した見解の整理及び審査の質の向上のため、審査基準の各章の内容をチェックし、審査原則及び事例を追加し、文言修正を行って、審査基準の完備を図る。
二、 本基準の改訂草案及び草案の下線あり版、改訂ポイントの説明および改訂前後についての対照表は、智慧局サイト(https://www.tipo.gov.tw)「首頁>最新消息>布告欄」(トップページ>最新情報>告知欄)(中国語)の項目を参照。本基準の改訂草案予告内容にご意見又はアドバイスがある場合、2024年6月12日までに以下までご提供、お問い合わせいただきたい。
(一) 担当部署 : 智慧財産局専利争議審査組
(二) 住所 : 台北市辛亥路二段185号3F
(三) 担当者及び電話 : 専利高級審査官 荘智恵、(02)2376-7665
(四) FAX : (02)2377-1496
(五) E-mail : hui30147@tipo.gov.tw
※上記URLからダウンロードできる「113年專利實體審查基準各章修正重點說明」によれば、改訂のポイントは以下のとおりである。
2024年版専利審査基準各章改訂のポイント説明(予告版)
関連法令の改正への合致、審査実務のニーズの迅速な反映、統一した見解の整理及び審査の質の向上のため、審査基準の各章の内容をチェックし、審査原則及び事例を追加し、並びに文言修正を行い、審査基準の完備を図る。改訂のポイントは以下のとおり:
一、 第二篇第1章明細書、専利請求の範囲、要約及び図面
1.3.1実施可能要件において、送付する配列表の電子ファイルの文字について、専利法施行細則第17条第7項の条文内容と一致させるため改訂した。
二、 第二篇第3章特許要件
2.6.4新規性の擬制喪失の判断基準について、例1を追加し、擬制新規性喪失の判断について具体的に説明した。
三、 第二篇第11章特許権存続期間の延長
4.4.3出願人の責めに帰すことのできる不作為の期間について、証明書受領通知書の送達証明がすでに逸失しており、実際の送達日を調査できない場合、本局はどのようにして受領通知書の送達日を認定すべきかを説明した。
四、 第二篇第14章生物関連発明
4.1及び4.3について、専利法施行細則第17条第7項の条文内容と本局がすでに実施しているWIPO標準ST.26に合わせて、基準の内容を改訂した。
4.3.2の配列表の資料の送付について、出願を電子出願方式で提出した場合、添付する配列表はWIPO標準ST.26に符合したXML形式の電子ファイルとし、書面出願方式で提出した場合、WIPO標準ST.26に符合した用紙版の配列表又はWIPO標準ST.26に符合したXML形式の電子ファイルとしなければならないと説明した。
五、 第五篇第1章 専利権の無効審判
2.1.2利害関係者について、利害関係者とは何かを説明し、また、利害関係者の審査は合理的な程度の調査と形式上の判断によって行われるべきである旨を説明した。
9.無効審判請求案件と専利権侵害訴訟との関係について、知的財産案件審理法の旧第17条がすでに第44条に改正され、本局の訴訟参加補助の規定が削除され、また、専利主務官庁へ意見聴取する制度が新設されたことから、基準の関連内容を併せて修正した。
六、 その他の改訂内容
法条文の内容に合わせ文言修正及び誤字脱字等を修正した。
(2024.06.11 智慧局ニュース全訳)
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-950617-bd467-1.html
1-3 「商標争議案件聴聞作業要点」改訂版が即日より発効
経済部令
発行日:2024年6月11日
発行番号:経授智字第11352800360号
改訂版「商標争議案件聴聞作業要点」は即日より発効する。
「商標争議案件聴聞作業要点」改訂版を添付
部長 郭智輝
*添付の「経済部令」及び「商標争議案件聴聞作業要点(6月11日改訂公布版、行政院公報版)」は上記智慧局ウェブサイトのリンク先の「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロード可能(いずれも中国語PDF文書)
(2024・06.11 智慧局ニュース全訳)
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-950612-652eb-1.html
1-4 「専利無効審判案件聴聞作業方案」を「専利無効審判案件聴聞作業要点」に名称変更した改訂版が即日より発効
一、 多元的で迅速かつ専門的な専利紛争解決チャネルを提供するため、本局は従来の専利無効審判案件で聴聞(ヒアリング)を実施した経験と業界からフィードバックされた意見に基づき、また、行政手続法を参考にし、既存のものを基礎とした上で、現行の「専利無効審判案件聴聞作業方案」を改訂し、案件審査の根拠とする。
二、 主な改訂ポイントには以下を含む:
(一) 法制度の作業規範に合致するよう、名称を「専利無効審判案件聴聞作業要点」に修正。
(二) 争点の整理及び簡素化、係争無効審判案件の訂正事項の明確化、聴聞における攻防重点の協議等を含め、予備的聴聞機能を強化するとともに、双方が受けるべき協議的拘束を規定。(要点5)
(三) 聴聞主宰者は実質的な、法律上の、又は証拠上の争点について、適度に心証を開示することができる旨を明文化。(要点8)
(四) 聴聞で遠隔オンライン方式を採用できる旨を追加。(要点9)
(五) 聴聞欠席の効果について明文化。(要点6及び要点9)
(六) 聴聞記録には要旨を記載でき、その内容簡略化のため、録音又は撮影を補助とすることができる旨を明文化。(要点12)
*「専利無効審判案件聴聞作業要点」の改訂草案は、上記智慧局ウェブサイトのリンク先の「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロード可能(中国語PDF文書)
(2024.06 .11 智慧局ニュース全訳)
1-5 「特許出願の実体審査繰り延べ請求作業方案」の改正草案を公告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-950618-b6ba4-1.html
1. 出願人の専利ポートフォリオ展開及び専利の商品化に寄与するよう、「特許出願の実体審査繰り延べ請求作業方案」を改正し、出願が再審査の審査意見通知を受ける前において、実体審査の繰り延べも申請できるよう緩和する。それと同時に初審、再審査における分割出願には実体審査の繰り延べを請求できないとする制限を削除し、名称を「特許出願の実体審査繰り延べ請求作業要点」に修正する。
2. 上述の改正草案について、ご意見又は改正提言があれば、本局サイト「最新消息/法規公告」(最新情報/法規公告)(https://www.tipo.gov.tw/tw/lp-86-1.html)に本案が公告された翌日から7日以内にご連絡いただきたい。
(一) 担当部署:智慧財産局国際及び法律事務室
(二) 住所:台北市辛亥路二段185号3F
(三) 担当者及び電話:林明賢専門員、(02)2376-7489
(四) FAX:(02)2735-1946
(五) E-mail:ipoil@tipo.gov.tw
*「特許出願の実体審査繰り延べ請求作業方案」の改訂草案は、上記智慧局ウェブサイトのリンク先の「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロード可能(中国語PDF文書)
2.知的財産権紛争
(2024.05.23 中国時報第A14面全訳)
2-1 ソフトウエア盗用で訴訟を提起される 大立光:全力で調査に協力
ドイツメーカーから大立光(Largan Precision、以下「Largan」と略す)が光学校正ソフトウエアを盗用したとして告訴されたことについて、台中地検署は先月、著作権法違反及び詐欺罪によりLargan及び総処長等10人を起訴した。台中地方裁判所は31日、初公判を開く予定で、有罪判決を言い渡された場合、恐らく賠償金額は10億台湾元(約48億7千万円)に上るとみられている。いっぽう、Larganの林恩舟・前董事長、後任の林恩平・董事長の兄弟は不起訴処分を獲得し、ドイツメーカーはすでに台湾高等検察署知的財産検察分署へ再議の申立てを行った。
これに対して、Larganは、当社は昨年3月に地検署の通知を受け取った後、この事件に関する紛争を知り、該事件の海外メーカー及び台湾代理店に即座に連絡を取り、最大の善意をもって積極的に紛争解決に努め、一日も早い争議解決を希望していると同時に、全力で検察の調査部門に捜査協力を行うと回答した。
台中地検署の起訴状によると、Larganは2005年からドイツメーカーMVTec社のHALCONソフトウエア開発版を調達しており、2018年にLargan内部で今後のソフトウエアの調達ニーズと数量の討論を始めた際、研究開発部の黄・総処長が生産管理部に合法の調達手続を一時見合わせるよう指示し、仮想のMac認証コードを設計して、オリジナルメーカーの認証手続をクラッキングし、MVTec社の著作財産権を侵害した。
Larganは、当社はこれまで職員に対して法規及びソフトウエアの使用規定の遵守を要求し、現行の内部統制プロセスの全体的な検討と見直しを行い、同様の職員の教育訓練を強化し、各職員の知的財産権に対する理解及び重視を向上させて、同様の紛争が再び起こらないようにしており、また、地検署がすでに捜査を終結して会社代表者等は不起訴処分となっていることに対し、会社として最大の敬意を表すると強調した。
会社及び事件に関与する職員が地検署に起訴された件については、Larganは今後の審理過程においても責任を持つ真摯な態度で司法機関による該事件の全容解明に協力し、会社及び職員の権益を守り、会社と事件に関与する職員の身の潔白を取り戻す。
(2024.06.01 工商時報第A5面全訳)
2-2 大立光の権利侵害案件が開廷 台中地検署は中立厳守を強調
ドイツメーカーのMVTec社が大立光(Largan Precision、以下「Largan」と略す)を権利侵害で告訴した案件について、台中地方裁判所は31日午前に第1回公判を開廷し審理を行った。ドイツメーカーの責任者Olaf Munkelt氏は台中地検署について、Larganによる営業秘密請求によって事件の全調書が「閲覧不可」になったことに基づき、MVTecの事例より学んだ経験から、台湾において直面するであろう各種状況及び処遇を理解しなければならないと世界各国へ注意喚起した。Larganは、オリジナルメーカーは正当なことを行っておらず、最近ではさらに何度も匿名の者からの脅迫にあっていたことから、会社及び株主の権益を守るため、法的処置をとったと反撃した。
Larganが権利侵害で提訴された案件について、台中地検署は今年4月、《著作権法》及び《刑法》の詐欺、偽造文書等の罪でLargan及び黄・総処長等10人を起訴し、台中地検署は昨日午前、第1回公判を開廷した。Larganの黄・総処長は罪を否認し、訴訟代理人は全ての審理を非公開とすることを申し立てたほか、本事件にかかわる機械台数、生産力計画、配置等の営業秘密は、秘密保持命令を受けた後に初めて調書閲覧ができるはずだと主張した。
ドイツメーカーの委任弁護士は、Larganの林恩平・董事長が生産力の状況をすでに対外的に発表しており、生産力は全く秘密ではないところ、ドイツメーカー側は現時点においても調書の閲覧ができず、攻防ができなくなっており、さらには付帯民事請求も提出できなくなっていると指摘した。ドイツメーカーは、誠実な商人であるため公開審理を受け入れると強調した。合議法廷の命を受け審理に当たった施慶鴻・裁判官は、双方が申立てと意見表示を提出しており、合議法廷は1か月以内に裁定を下すと述べた。
Olaf Munkelt氏は開廷前の取材の際、Largan及びその内部の管理職と職員は、MVTecの使用許諾許可を得ず、悪意を持って大量に違法にパスワード解除した「HALCON」ソフトを会社のコンピュータにインストールし、製作した商品をアップル、サムスン電子等に提供し、顧客に権利侵害で製造した部品を使用させ、産業チェーン全体を汚し、消費者には犯罪結果を享受させたと述べた。
台中地検署はOlaf Munkelt氏の発言に対し、検察官は常に法廷秩序及び中立な立場の慎重な態度を厳守しており、ドイツメーカーの提訴に対し「非常に遺憾である」と返答した。
法廷審問の後Larganは、2023年3月に代表者は「目には目を、歯には歯を」と書かれた脅迫状を、翌日にはドイツのオリジナルメーカー代理人の内容証明を受け取っており、Larganの内部情報を提供した「重要証人」がいることを暗示するものであった旨、また、自らを「証人」と名乗る匿名者は深刻な誤解を招く事実無根の内容で大げさに描写していたところ、会社及び株主の権益を守るため、Larganはすでに法的措置を講じている旨、声明を発表した。
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