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知財ニュース356号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.356)
発行年月日:2023年12月15日発行

主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2023年12月4日 智慧局ニュース全訳)
1-1 ドイツ特許商標庁(DPMA)の専門家による訪台交流が無事終了
(2023年12月5日 智慧局ニュース全訳)
1-2 専利カスタマーサービス向け「AIアシスタント」12月5日より開始
(2023年12月6日 智慧局ニュース全訳)
1-3 「スタートアップ企業積極型専利審査試行作業方案」の改訂を公告 2024年1月1日より発効
(2023年12月6日 智慧局ニュース全訳)
1-4 「スタートアップ企業積極型専利審査試行作業方案」の申請者資格をさらに緩和
(2023年12月11日 智慧局ニュース全訳)
1-5 「台湾IP分野における傑出した女性管理職独占インタビュー」シリーズ報道

2. その他一般
(2023年12月6日 聯合報第A7面全訳)
2-1 国科会が革新技術の管制リスト22項目リストを公告

1.智慧局ニュース

(2023.12.04 智慧局ニュース全訳)
1-1 ドイツ特許商標庁(DPMA)の専門家による訪台交流が無事終了
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-930535-09f64-1.html
本局は本年(2023年)11月8日から10日まで、ドイツ特許商標庁(DPMA)の専門家を台湾へ招聘し、両庁による初の専門家交流を行った。DPMA国際事務部のDr. Volker Rüger・主任、法務部門主管及び実用新案無効審判手続組のMr. Jörg-Eckhard Dördelmann・組長、及び実用新案部門のMs. Antje Wielage・主管らは、ドイツの実用新案法制と実務、専利の異議申立てと無効審判の手続と実務、本年6月1日より正式に開始した欧州単一効特許(UP)に対応したDPMAの関連施策、専利データベース、また、如何に情報技術を運用し行政管理、審査及び検索等の議題を支援するのかについて、情報共有と交流を行った。両庁の専門家交流を通じて、双方は活発な交流により両局の交流を深化させ、今後の専利制度の最適化を熟考する際の参考に資するものとなった。
11月10日、智慧局はDPMAの専門家と共に工業技術研究院(ITRI)技術移転センターを訪れた。ドイツの専門家は、知的財産戦略の起草、優れた専利ポートフォリオ展開、各種プログラムを通じた中小企業の技術移転と融資の支援といったITRIの施策に感銘を受け、DPMAにとって今後中小企業に対する知的財産権の支援施策を強化するインスピレーションとなった。

(2023.12.05 智慧局ニュース全訳)
1-2 専利カスタマーサービス向け「AIアシスタント」12月5日より開始
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-930523-0d463-1.html
智慧局は創作者が完璧に専利出願手続を行い、一日も早く専利権保護を取得できるよう、E網通(https://tiponet.tipo.gov.tw/030_OUT_V1/home.do)に専利カスタマーサービスセンターを設置し、諮問サービスを提供しているほか、12月5日よりテキストによる知能カスタマーサービス「小智(AIアシスタント)」を公開し、24時間年中無休で質問に即答するインタラクティブ諮問サービスを提供する。多元的なカスタマーサービスにより、創作者の迅速・即時に情報検索したいというニーズを満足させることを期待している。
専利出願には高度な技術と法令用語の両方の組合せという特性があり、出願人が専利出願の流れ及び規定を理解するのを助け、スムーズに専利出願ができるよう、智慧局は2011年8月よりE網通による専利カスタマーサービスセンターを構築し、電子出願、オンライン納付及び専利出願手続等の諮問サービスを対外的に提供してきた。毎年平均4万件近い問合せの電話があり、現在まで高品質及び満足度の高い諮問サービスを継続提供している。
出願人の電話に要する時間を省くため、智慧局は長年累積してきたカスタマーサービスの経験及び豊富な専利FAQデータベースを基礎として、テキストによる知能カスタマーサービス「AIアシスタント」を公開し、一般の専利出願でよく見受けられる問題に迅速に回答する。出願人は問合せをしたい時に問合せをし、時間に制限はなく、サービスが切断することはない。また、同時に専利カスタマーサービスセンターのスタッフがより複雑で専門的な諮問サービスに対応できるようになる。
智慧局は、「AIアシスタント」の運用期間については引き続き出願人の使用状況及びその反応をまとめて最適化するための調整を進め、今後も徐々にサービス範囲と内容を拡充して、出願人が必要な専利関連情報を取得する際の右腕になるよう「AIアシスタント」をたくましく成長させると述べた。出願人は智慧局の公式サイト又はFacebook等を通じてテキストによる知能カスタマーサービス「小智(AIアシスタント)」を利用可能。各界多いにご利用いただきたい。

※「小智(AIアシスタント)」は、下記リンク先サイト右下のアイコンを参照(中国語)。
topic.tipo.gov.tw/patents-tw/

(2023.12.06 智慧局ニュース全訳)
1-3 「スタートアップ企業積極型専利審査試行作業方案」の改訂を公告2024年1月1日より発効
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-930526-2704f-1.html
一、 本局が2023年に推進したスタートアップ企業積極型専利審査試行作業方案(以下、「本方案」と称する)は本年(2023年)12月31日に満了となるが、更に多くのスタートアップ企業が本法案に参加できるよう、スタートアップ企業の資格制限をさらに緩和し、スタートアップ企業が本法案を申請する際、特許出願の出願人であれば適用できることとし、特許出願時にすでにスタートアップ企業を設立している場合に限らないとする。本法案の主な改訂内容は、「スタートアップ企業は特許出願を出願する際の出願人でなければならない」という制限を削除するもので、2024年1月1日より発効・実施となる。改訂法案の内容とQ&Aは、上記リンク先の智慧局サイトの「檔案下載(ファイルダウンロード)」を参照のこと。
二、 本方案を利用したスタートアップ企業の感想については、下記リンク先の智慧局YouTubeを参照のこと。
(一) 抱樸科技股份有限公司

(二) 曼堤司高位股份有限公司

(三) 優思瑪特股份有限公司

三、 方案の紹介動画は、本局Youtubeを参照のこと。
「スタートアップ企業積極型専利審査試行作業方案」https://www.youtube.com/watch?v=lJy_1jjFdck

※改訂方案及びQ&A(新創產業積極型專利審查試行作業方案」答客問)は上記智慧局ウェブサイトのリンク先の「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロード可能(中国語)。改訂方案及びQ&A(新創產業積極型專利審查試行作業方案」答客問)の日本語訳は、「台湾知的財産権情報サイト(https://chizai.tw/)」の法令・審査基準等/施行細則・行政規則等(https://chizai.tw/legal/)からダウンロード可能。

(2023.12.06 智慧局ニュース全訳)
1-4 「スタートアップ企業積極型専利審査試行作業方案」の申請者資格をさらに緩和
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-930552-4278e-1.html
スタートアップ産業の発展を促進し、研究能力を有するスタートアップ企業が迅速に特許取得の可能性を確認し早急に登録証書を獲得して、有利に知的財産権のポートフォリオ展開ができるよう協力するため、智慧局は「スタートアップ企業積極型専利審査試行作業方案」(以下、「本方案」と称する)を改訂し、本方案の申請者資格をさらに緩和した。本方案の申請時に特許出願の出願人がスタートアップ企業であれば適用されることになり、特許出願時にスタートアップ企業を設立済みである必要はない。本改訂方案は2024年1月1日から発効・実施される。
本方案の審査は、一般の審査手続とは異なり、スタートアップ企業が本方案に基づき申請した後、審査を経て適格要件に符合すれば、智慧局は自発的に1か月以内に検索報告及び最初の審査意見を含む面接資料を提供し、1か月以内に積極型面接が行われる。面接の際には、審査官は適切に心証を開示し、プラスになる補正提案を行い、面接後申請者は1か月以内に応答説明又は補正を提出するか否か決定するか、特許出願取下げの自己評価を行わなければならない。申請者が応答説明又は補正を提出した場合、智慧局は原則的に1か月以内に審査結果の通知を発行しなければならず、申請案件が応答説明又は補正により、審査後に特許を付与しない事由がない場合には、この審査結果通知は登録査定書となる。
智慧局は、直近2年の試行成果統計(2023年度統計は2023年11月7日まで)によると、本方案は2023年には2021年度の2倍となる合計28件を受理しており、2023年の平均審査終了日数は71.6日(方案申請日から起算して審査結果通知の発行日まで)で、一般の特許出願の審査終了期間より大幅に短縮されている。また、2023年の登録査定率は100%で、2022年度の84.6%よりも増加しており、本方案を申請して指導を受けたことで、スタートアップ企業の特許出願効果の向上につながっていることが確実であることが明らかとなった。
今回の方案改訂は、「スタートアップ企業は特許出願時の出願人でなければならない」とする制限を削除するもので、2022年の方案と比較して申請者資格の条件が緩和されており、より多くのスタートアップ企業の特許ポートフォリオ展開の進捗に寄与できる。「スタートアップ企業の発展促進」は国家の重大政策であり、国際的競争力を有するスタートアップ環境を構築して、スタートアップエコシステムに好循環をもたらすため、智慧局はスタートアップ企業が迅速に専利権を取得できるよう協力し、スタートアップ企業の無形資産を有形の現金に転換して創業初期の資金プレッシャーから解放し、ひいては就業機会の増加促進及び産業発展の活性化というウィンウィンの状況が達成されることを期待している。

(2023.12.11 智慧局ニュース全訳)
1-5 「台湾IP分野における傑出した女性管理職独占インタビュー」シリーズ報道
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-930522-ac7ea-1.html
知識経済時代において、革新、創造を源とする専利及び著作権等の知的財産は、すでに重要な個人及び企業の財産となっている。しかし世界各国において女性と男性が利用する知的財産制度のアンバランスな状況は普遍的に存在し、特に専利分野ではさらに顕著である。女性で知的財産権を取得している実績は男性には及ばないものの、我々は知財分野で活躍する女性達を数多く見ることができる。
台湾の知財分野における女性専門家の発展を理解するため、智慧局は「台湾IP分野における傑出した女性管理職独占インタビュー」を作成し、シリーズ報道する。経済部の王美花・部長、知的財産及び商業裁判所の蔡恵如・庭長、台湾大学法学部の李素華・教授、国際通商法律事務所の邵瓊慧・弁護士、常在国際法律事務所の何愛文・弁護士、及び智慧局の張玉英・副局長、胡秉倫・組長、李東秀・副組長、及び趙慶泠・副組長の、9名のIP分野における傑出した女性を光栄にも訪問することができた。
独占インタビューを通じて、女性が勇気をもって挑戦し、技術、法律及び管理等の分野における学習と実務面の絶え間ない努力さえすれば、男性が占める割合が高い職場又は科学、理工等の専門分野においても、分野を超えた学習と専門的素養をとおして、女性及び個人の特質を善用し、学歴の制限を突破しキャリアの世界を展開することができることがわかった。
「台湾IP分野における傑出した女性管理職独占インタビュー」シリーズ報道は、さらに多くの女性が知財分野の関連業務に携わることを鼓舞する啓発になると期待する。女性が勇敢に夢を追いかけ、性別の制限を突破し、人生が光り輝き熱いものとなることを期待する。
本シリーズ報道については、上記リンク先の智慧局サイトの「檔案下載(ファイルダウンロード)」を参照(中国語)。

2.その他一般

(2023.12.06 聯合報第A7面全訳)
2-1 国科会が核心技術の管制リスト22項目リストを公告
国家科学及び技術委員会(国科会:NSTC)は昨日(5日)、14nm(ナノメートル)以下プロセスのIC製造技術、ヘテロジニアスインテグレーションパッケージング技術等22項目の技術を国家核心技術としてリストアップした旨を公告した。NSTCは今回、国防テクノロジー、宇宙、農業、半導体、情報セキュリティ等の技術分野を含む先導的優位性及び緊急保護を有する技術を第一弾リストとしたと表明した。NSTC及び各関連部会は今後、技術発展の変化に応じて3か月後に検討し、第二弾リストの発表を予定している。
NSTCは、国家核心技術項目にリストアップされた営業秘密が、経済スパイに窃取された場合、検察・調査機関は法に基づき調査し、刑を加重することができると述べた。このほか、政府の補助を半分以上受けている国家核心技術業務の関連人員が中国を訪問する際には、申請許可を受けなければならない。
NSTCは、そのうちの半導体分野では台湾が世界市場の占有率でトップを占めており、関連産業チェーンの発展に深く関わり、台湾の経済発展と産業の競争力に対して大きな影響力を有すると指摘した。今回リスト入りした技術は、14nm以下プロセスのIC製造技術及び半導体用ガス、化学品及び設備技術、及びヘテロジニアスインテグレーションパッケージング技術―ウエハーレベルパッケージング技術、シリコンフォトニクスインテグレーションパッケージング技術及びその特殊な必要材料と設備技術等である。このほか、チップセキュリティ技術、ポスト量子暗号(PQC)保護技術、ネットワークのアクティブ・サイバー・ディフェンス(ACD)等の技術も情報セキュリティに係ることからリスト入りした。
主務官庁の観点からみると、このリストは、衛星管制技術、宇宙用規格X-Band映像ダウンロード技術、宇宙用規格CMOS映像センサー技術を含むNSTCが管轄する8項目の核心技術が最も多く、次いで国防部が管轄する軍用炭素繊維複合材料技術、軍用新型敵味方識別技術等の6項目の技術が多い。
このほか、農業品種の育成及び繁殖、農業バイオチップ、農業施設専門家システム等3項目の技術もリスト入りしている。NSTCは、食糧安全及び民生経済への影響を考慮し、かつ、台湾の海外輸出の主力の一つであることから、産業競争力とリーディング技術の優位性を有するものであると指摘した。
NSTCは、今後の技術発展の変化に伴い、幅広く意見を受け入れ検討し、台湾の重要な核心技術の営業秘密を保護すると表明した。技術の営業秘密が不法に漏洩した場合、法に基づき検察・調査機関が捜査する。

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