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知財ニュース320号

発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.320)
発行年月日:2021年10月29日発行

 

主要ニュース目次

 

1. 智慧局ニュース
(2021年10月25日 智慧局ニュース全訳)
1-1 2021年第3四半期の知的財産権動向
(2021年10月27日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「産業協力のための特許審査面接試行作業方案」が2021年11月1日より試行開始

2. 法律・制度
(2021年10月24日 工商時報電子報全訳)
2-1 CPTPP加盟に向け知財三法の法改正案が三読へ

 

1.智慧局ニュース

(2021.10 .25 智慧局ニュース全訳)
1-1 2021年第3四半期の知的財産権動向
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-897790-1ac2c-1.html
2021年第3四半期における特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数は18,139件、商標登録出願件数は24,699件となり、それぞれ前年同期比4%減、同5%減となった。特許出願においては、台湾の大企業による出願件数が前年同期比6%増となり豊富な研究開発力を維持し、台湾法人では台湾積体電路製造(TSMC)が出願件数580件で引き続き1位となった。また、外国法人ではアプライド・マテリアルズが220件で最多となった。商標登録出願は、「農業食材」産業に集中しており、出願人においては、台湾の統一企業が出願件数250件でその他の出願人をリードし、外国人出願人では富途網絡科技が71件で1位となった。

 

<専利出願>
特許出願件数は小幅な成長
台湾が受理した特許、実用新案、意匠の三種類の専利出願件数のうち、特許は12,248件で前年同期比2%増と小幅な成長となり、外国人出願人による出願件数が増加したことが主因で、その他の専利は前年比減となった(表1参照)。

台湾の大企業は研究開発力を維持
台湾企業全体の特許出願件数は3,757件で前年同期比微増となり、そのうち大企業の出願件数は3,010件で前年同期(2,827件)比6%増とプラス成長となった。第3四半期でみると、出願件数は直近5年の最高となり、研究開発力が豊富であるといえる(図2参照)。

TSMC及びACERは台湾法人の特許及び意匠出願件数においてそれぞれ1位
台湾の特許出願件数上位10社及び意匠出願件数上位5社は、おおむねプラス成長となり、そのうちTSMCは特許出願件数580件、宏碁(ACER)は意匠出願件数30件(図4、5参照)でその他の出願人をリードし、第3四半期においては、出願件数は2社いずれもが当該企業の過去10年の最高を記録した。また、TSMCは台湾法人による特許出願件数トップの座を6年連続維持しており、ACERは初の意匠出願件数1位となった。このほか、南亜科技(NANYA)の特許出願件数成長率は前年同期比119%で最高となり、飛躍的な成長となった(図4参照)。

台湾の高等教育機関、研究機関及び金融三業の専利出願件数はいずれも減少
台湾の高等教育機関における専利出願件数は前年同期比7%減となり、出願人のうち国立陽明交通大学は特許出願件数43件でトップとなった。また、私立大学においては崑山科技大学が32件で最多となり、出願大学上位10校の出願件数の多くは前年同期比プラス成長となった(表2参照)。研究機関における特許出願件数は前年同期比減となり、そのうち工業技術研究院(ITRI)が出願件数39件で最多となった(表3参照)。このほか、台湾の金融三業(銀行、保険、証券)の特許出願件数合計は49件となり、銀行業が多くを占め(表5参照)、出願人においては中国信託銀行が出願件数16件で、金融三業のトップとなった(図7参照)。

外国人出願人による特許出願件数はプラス成長
外国人出願人による専利出願件数は小幅なプラス成長となり、特許出願件数が前年同期比5%増となったことが主因となった(表1参照)。台湾における専利ポートフォリオを展開する国(地域)のうち、特許においては日本が3,060件で最多となり、米国及び韓国が出願件数でそれぞれ前年同期比16%増、同21%増となった。意匠においても日本が268件で最多となり、中国及びスイスの出願件数はいずれも前年同期比68%増と顕著な伸びをみせた(図3参照)。

アプライド・マテリアルズ及びPSA自動車が外国法人による特許及び意匠出願件数においてそれぞれ1位
外国法人出願上位10社のうち、特許においてはアプライド・マテリアルズが220件でその他の出願人をリードし、成長率ではインテルが前年同期比118%増で最高となり(図4参照)、意匠出願においてはPSA自動車が74件で最多となった(図5参照)。

 

<商標登録出願>
商標登録出願件数が減少
商標登録出願の受理件数は24,699件で、前年同期比5%減(31,594区分、前年同期比3%減)となった。台湾人による出願件数は同比7%減となり、外国人による出願件数は同比横ばいとなった(表1、図8参照)。

統一企業が台湾の商標登録出願件数におけるトップ
出願類別において、台湾人による出願は第35類(広告、企業経営及び小売・卸売役務等)が4,158件と最も多く、前年同期比9%増となった(図9参照)。出願人上位10において、統一企業が出願件数250件とその他の出願人を遥かにリードした。出願件数2位の虹光大江は前年同期0件から今期は86件と顕著な成長をみせた(表6参照)。

富途網絡科技が外国人による商標登録出願件数において最多
外国人出願人のうち、中国は出願件数1,366件とその他の国(地域)を大きくリードした(図3参照)。類別においては、第9類(コンピュータ及びテクノロジー製品等)が1,177件で最多となり(図10参照)、前年同期比4%増と小幅な成長となった。出願人においては、前年同期において出願がなかった中国の富途網絡科技が71件で最多となった(表7参照)。

台湾の商標登録出願は農業食材産業に集中
産業別では、台湾が受理した商標登録出願は「農業食材」産業が中心で、台湾人出願件数の最多(6,087件)となり、極めて集中した現象が見られ、外国人出願件数との差もこの分野が最大となった。外国人出願人は「技術研究」産業への出願件数が1,976件で最多となった(図11参照)。

 

2021年第3四半期知的財産権趨勢図表は、上記リンク先の智慧局サイトの「檔案下載」(ファイルダウンロード)を参照。(中国語:智慧局公布110年第3季智慧財產權趨勢-圖表)

 

(2021.10.27 智慧局ニュース全訳)
1-2 「産業協力のための特許審査面接試行作業方案」が2021年11月1日より試行開始
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-897801-406fd-1.html

一、 本方案の目的は、特許審査官が先端テクノロジーの特許出願の技術内容を迅速に把握し、審査効率及び品質を向上させ、並びに迅速な特許取得を希望する出願人のニーズを満たし、その特許ポートフォリオ展開に利するためにあり、出願人は電子又は紙媒体の方式で意向書を提出することができ、2021年11月1日から1年間試行する。
二、 「産業協力のための特許審査面接試行作業方案(中国語:產業協力專利審查面詢試行作業方案草案)」は下記を参照。「産業協力のための特許審査面接試行作業方案Q&A(中国語:產業協力專利審查面詢試行作業方案)」及び「産業協力のための特許審査面接意向書」は、上記リンク先の智慧局サイトの「檔案下載(ファイルダウンロード)」をご参照のこと。

 

産業協力のための特許審査面接試行作業方案
特許審査官が先端テクノロジー特許出願の技術内容を迅速に把握し、審査効率及び品質を向上させ、並びにできる限り速やかに特許取得を希望する出願人のニーズを満たし、その特許ポートフォリオ展開に利するよう、本方案を制定する。
本方案は2021年11月1日から1年間試行し、試行期間において、本局は審査力を考慮し、本方案の変更又は終了をすることができる。試行終了後、本局は試行状況を踏まえて継続するか否かを検討する。

 

一、 適用対象
同一出願人の先端テクノロジー特許出願について、本局が実体審査に入る旨を通知後、まだ審査意見通知書又は査定書を受け取っていない場合。

 

二、 先端テクノロジーの範囲(方案適用の技術分野)
本方案でいう先端テクノロジーとは、幹細胞再生医学、医療看護情報学Micro LEDディスプレイ、量子ドット太陽電池、ニューラルネット、量子情報、量子コンピュータ、3nm(ナノメートル)半導体プロセス、チップパッケージプローブ精密化、ねじれ二層グラフェン、第三世代(次世代)半導体材料、AI(人工知能)、IoT、ビッグデータ、ブロックチェーン、3Dプリンタ、5G(第5世代移動通信システム)、その他審査官が個別案件に基づき面接が必要と具体的に判断した技術を指す。

 

三、 実施方法
(一) 出願に以下のいずれかの状況がある場合、審査官は職権により面接通知をすることができる。
1. 審査官が先端テクノロジー関連の出願であると初歩的な判断をし、出願人に技術内容の説明の意思を確認したもの。
2. 出願人が産業協力のための特許審査面接意向書を提出し、且つ原則的に出願が10件以内で、審査官が本方案に符合すると判断したもの。
(二) 出願人が産業協力のための特許審査面接意向書を提出後、審査官が本方案に適用しないと判断した場合、審査官は電話で出願は一般審査手続により審査を続行すると通知する。
(三) 面接の際、出願の発明者、出願人又はその被雇用者等の発明技術関係者が出席し、審査官に出願の技術内容を説明しなければならない。出席できない場合、代理人に出席を委任し、オンライン会議設備を自ら用意し、発明技術関係者がオンライン会議の方法で審査官と意思疎通を行わなければならない。
(四) 面接記録には面接の時間、場所、参加者及び審査に必要な出願に関する技術又は事項を記載しなければならないが、出願人がそれは商業機密又は営業秘密であると表明した場合、記録しない。
(五) 面接終了後、本局は原則的に6ヵ月以内に審査結果を通知する。
(六) 本方案において規定されていない事項については、「経済部智慧財産局専利案件面接作業要点」により処理する。

 

四、 注意事項
(一) 本方案の面接は本局の局本部又は各地の服務処で行うことができる。
(二) 本方案に関する作業方法は本局の「産業協力のための特許審査面接試行作業方案Q&A」をご参考いただきたい。

 

2.法律・制度

(2021.10.24 工商時報電子報全訳)
2-1 CPTPP加盟に向け知財三法の法改正案が三読へ
台湾はCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)への加盟を申請したことで、「専利法」、「商標法」、「著作権法」を含むCPTPPに合わせた法改正の進捗状況が焦点となっている。これについて経済部は、本会期は予算会期で時間的制限があるが、CPTPP申請に合わせてできるだけ今会期中に関連法改正案の三読(最終可決)を完成させるよう努力するとの態度を示した。
中国がCPTPPを申請した後、台湾も直ちに申請した。台湾市場の透明度は高く、また、CPTPPの加盟国となるため、近年絶えず法律改正を行い、積極的に国際調和を図っている。申請の進捗に合わせて、行政院は2020年には「専利法」、「商標法」、「著作権法」の三法の改正に着手しており、論争により一次膠着したものの、再度CPTPP申請により注目を集めるようになった。
工業総会はこれについて、国内の法規・制度とCPTPPとの差を積極的に総見直しするだけでなく、各加盟国の関心議題と交渉立場を把握し、中国との意思疎通の機会も諦めてはならず、そうすると妨害される可能性も低くなるだろうとの考えを示した。
経済部智慧財産局の洪淑敏・局長は、CPTPP加盟のため、各部会はこれまですでに国内法規がCPTPPの基準に符合するか否かレビューしており、すでに遠洋漁業条例、台湾籍でない漁船の経営・投資管理条例、漁業法、薬事法、化粧品衛生安全管理法、植物品種及び種苗法、農薬管理法、郵政法等が可決されたが、キーとなる商標法、専利法、著作権法のこの3つの改正草案については、以前の立法院の会期では議決されず差し戻しとなったと述べた。
洪局長は、商標法の改正ポイントは輸入または国内において模倣商標タグ又は包装を使用した場合、刑事責任が科せられるようにすることで、現在の模倣者はどんどん悪知恵が働くようになっており、半製品、タグ、包装等の物品を別々に輸入した後、同じ場所で完成品にして模倣品を販売するようになっており、台湾では現在民事責任しかないことから、国際基準に合致させるため、法改正によりこれらの行為について刑事責任を科すようにするものであると説明した。
また、薬事法は先の法改正によりパテントリンケージが導入され、2019年8月から施行されている。パテントリンケージは主に新薬(先発医薬品)の市場販売、特許情報の開示、ジェネリック医薬品の販売許可審査手続とそれが新薬の専利を侵害しているか否かをクリアにし、12ヵ月の審査期間内に特許権者は訴訟を提起することができる。洪局長は、このような訴訟提起の根拠は、「専利法」改正草案の中にあり、特許医薬品メーカーが侵害訴訟を提起又はジェネリック医薬品メーカーが侵害していないことの確認訴訟を提起する根拠となっている。
「著作権法」の改正草案については、CPTPPの規定において、一定の商業規模を有し、故意に他人の著作権を侵害する行為をした場合、非親告罪、つまり公訴罪となることが採用されており、検察官が著作権の刑事違法行為について公訴を提起することができ、特定の権利侵害行為にはより厳格な処罰が定められている。しかし、台湾では現在のところ海賊版光ディスクについてのみ非親告罪とされているだけで、デジタル権利侵害による影響を考え、今回の法改正で、有償、100%コピー、著作権の所有者に100万元(約400万円)以上の損害をもたらした場合、非親告罪とすることとした。

 

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