台湾知的財産権ニュース(No.236)
発行:特許庁委託(公財)交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.236)
発行年月日:2016年6月30日発行
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2016年6月14日 智慧局ニュース全訳)
1-1 商標登録出願にかかる指定商品及び役務名称検索の参考資料変更のお知らせ
(2016年6月21日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「Fintech特許のトレンドと挑戦についての説明会」を7月22日に開催
(2016年6月22日 智慧局ニュース要約)
1-3 専利商標の公文書電子送達サービスが24時間年中無休に
2. 法律・制度
(2016年6月5日 経済日報第A4面要約)
2-1 知財三法がTPP加入に向け法改正
3. 知的財産権紛争
(2016年6月15日 工商時報第A20面、判決文書の要約)
3-1 Camperの模倣品をめぐる商法権侵害訴訟でCamperが台湾企業に勝訴確定
4. その他一般
(2016年6月29日 中央社聯合財経網、中時電子報の要約)
4-1 王美花・智慧局局長が7月1日に経済部常務次長に就任
1.智慧局ニュース
(2016.06 .14 智慧局ニュース全訳)
1-1 商標登録出願にかかる指定商品及び役務名称検索の参考資料変更のお知らせ
「商品と役務の国際(ニース)分類」第10版の定期改訂に合わせるため、商標登録出願の指定商品/役務の名称、合計64項目を新設・修正し、6項目を削除した。その他、17項目のグループ名称、又は、備考事項を新設・修正した。以上の変更は、2016年7月1日より実施し、商標電子出願システム内の「使用指定商品/役務の類別及び名称」も同じく更新する。
2016年7月1日以降、商標電子出願システムを通して登録出願する場合、願書に記載した指定商品/役務の名称が電子出願システムの内容と異なることから300台湾元(約940円)の減免優待を受けられないことがないよう、出願前に最新の変更内容をご確認いただきたい。
変更内容は、下記リンク先の智慧局サイトを参照。
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=592378&ctNode=7127&mp=1
(2016.06 .21 智慧局ニュース全訳)
1-2 「Fintech特許のトレンドと挑戦についての説明会」を7月22日に開催
金融関連産業及び智財サービス業がFintech特許の現況及び趨勢を理解するのに役立つよう、「Fintech特許の現況」及び「Fintech特許の出願と審査」をテーマに、智慧局専利審査官が2016年7月22日午前9時より台湾大学霖澤館国際会議ホールにて、分かり易い解説を行う。各界奮ってご参加いただきたい。
(2016.06 .22 智慧局ニュース要約)
1-3 専利商標の公文書電子送達サービスが24時間年中無休に
智慧局が2014年1月1日より専利・商標の公文書電子送達サービスを始めて2年余りとなるが、電子公文書の受信に同意の承諾をした受取り人は、現在すでに4,227名おり、これには194社の事務所内の340名の代理人を含む。公文書の電子送達率はすでに6割(2016年5月は63.74%)にも達しており、本来の電子公文書の受領時間は、仕事日の8:00~21:00までであったが、利用者の利便性を考慮し、2016年7月1日より24時間年中無休で電子公文書を受領できるサービスを開始する。
サービス時間拡大後、電子公文書の送達時間の認定、法定期間の起算、本局の電子公文書発送手続き及び期限切れで受領サインがない物の紙本での送付については、現行の作業メカニズムを維持する。関連サービス情報は、下記リンク先の智慧局サイト「電子方式送達專利、商標案件相關公文書答客問」を参照のこと。
www.tipo.gov.tw/public/Attachment/662217335850.pdf
24時間ダウンロードサービスに伴い、電子送達オンラインサービス状況検索システムを新設する。電子公文書の受領過程において、ダウンロードができない等の状況が発生した場合、下記リンク先で検索が可能となる。
[智慧財産局e網通網站]>>[線上服務状態] (tiponet.tipo.gov.tw/S045/RealTimeServlet)
2.法律・制度
(2016.06.05 経済日報第A4面要約)
2-1 知財三法がTPP加入に向け法改正
行政院の施俊吉・政務委員(無任所大臣に相当)は6月4日、部会の枠組みを越えた会議を召集し、経済部から提出された商標、専利、著作権の知財三大法律の法改正について検討した。今後、インターネット放送による海賊版の映画、音楽等のデジタルフォーマットの権利侵害行為が発生し、著作権者に「重大な損害」をもたらせば、非親告罪が実施され、すなわち検察官が自発的に捜査介入して、ネットワークによる海賊版を阻止することができるようになる。
会議で焦点となったのは、ネットワークによる権利侵害がどれほどの「重大な損害」をもたらせば、検察官は自発的に捜査介入することができるのか、という点で、経済部はこの点について、1案は権利者に100万台湾元(約330万円)以上の損失をもたらした場合、2案はネットワークのクリック率又は登録会員数等の指標を総合的に考慮する、という2つの案を提出していた。
同会議に出席した法務部代表は、指標を総合的に考慮することは抽象的過ぎて、検察官が懸命に捜査しても最後に裁判官の認定を得られない可能性があり、単一の損害金額を基準として採用する案に賛同する、との認識を示し、経済部は来週利害関係者と討論すると回答した。
今回の法改正は、デジタルフォーマットの権利侵害を拡張するほか、その他の主要な改正点として以下のものを含む。①専利のグレースピリオド期間の半年から1年への延長、②行政機関による審査遅延があった場合の、補償としての専利期間の延長、③商標権侵害の民事責任について、明らかに知りながら(明知)又は知り得た、を主観要件とする、等である。
このほか、著作権存続期間を50年から70年に延長することについては、条文を保留とするとの決定がなされたが、その他の改正内容については、ほぼ経済部の草案が可決され、経済部は9月の立法院の新会期に提出し、TPPに適合させたい、との希望を示した。
3.知的財産権紛争
(2016.06.15 工商時報第A20面、判決文書の要約)
3-1 Camperの模倣品をめぐる商法権侵害訴訟でCamperが台湾企業に勝訴確定
スペインの著名な靴・皮革製品製造企業であるCamperは4年前、台湾の亞錡公司が製造販売していた靴の合計5種類がCamperの靴を模倣し、商標権も侵害しているとして、667万2,000台湾元(約2,170万円)の損害賠償、及び4種類の靴の製造販売の禁止を求めて台湾で訴訟を提起していた。
智慧財産法院第一審では、損害賠償111万2,000台湾元(約360万円)のみが認められたため、双方はそれぞれ敗訴した部分について控訴を提起した。
智慧財産法院第二審では、亞錡公司の控訴は棄却され、Camperの控訴部分については、智慧財産法院は2014年12月25日、亞錡公司は公平交易法第24条の規定(著名商品へのフリーライド等の行為の禁止)に違反しておらず、商業倫理及び機能競争原則にも反していないとして、「製造販売禁止の請求」は棄却したが、第一審で判決された損害賠償金111万2,000台湾元(約360万円)については、本来Camperが請求していた667万2,000台湾元(約2,170万円)を認めるべきとして、差額556万台湾元(約1,810万円)の賠償金を命じる判決を下した。
その後、最高法院は2016年6月1日、第二審の判決を維持して判決が確定した。
<智慧財産法院の判決>
智慧財産法院判決「102年度民商上字第14號」 判決日:2014/12/25
判決書検索サイト:http://jirs.judicial.gov.tw/FJUD/FJUDQRY01_1.aspx
裁判類別:民事 判決字号:102, 民商上, 14 裁判案由:排除侵害商標権行為等
検索キーワード:Camper
<最高法院の判決>
最高法院判決「105年度台上字第927號」 判決日:2016/06/01
判決書検索サイト:http://jirs.judicial.gov.tw/FJUD/FJUDQRY01_1.aspx
裁判類別:民事 判決字号:105, 台上, 927 裁判案由:請求排除侵害商標権行為等
検索キーワード:Camper
4.その他一般
(2016.06.29 中央社聯合財経網、中時電子報の要約)
4-1 王美花・智慧局局長が7月1日に経済部常務次長に就任
空席が1ヶ月以上に及んでいた経済部常務次長(経済産業事務次官に相当)の座が、ついに決定した。王美花は中央社の記者からの電話による取材を受けた際に、ここ1週間李世光・経済部長(大臣に相当)からの打診を受けており、本日午前に人事異動通知を受け取り、7月1日に正式に就任する旨を明らかにした。
王美花は、台湾大学法律学部を卒業し、1999年に智慧財産局へ改制されて以来、法務、専利及び商標などの部署を主務、及び副局長を経て、2007年12月3日に局長に就任し、長期に渡り知的財産分野において業務を果たし、これまで専利法、商標法、著作権法、著作権集中管理団体条例、及び営業秘密法等の法律の改正を積極的に主導してきた。
王美花は経済部次長に就任した後、国際貿易局、智慧財産局、商業司などの部署の業務を主に管轄することとなり、就任後にどの業務の推進に重点を当てるかについては、就任後に関連部署と討論して決めたいと述べた。
しかし、外界の予測では、輸出が16ヶ月連続マイナスとなっていることから、どう輸出を促進するか、政府をどう効率アップさせるか、経済部が計画している会社法(中国語:公司法)の大幅改正が、今後、王美花の就任後の業務の重点の一つとなると見られている。
なお、今回の経済部常務次長就任に対する夫の顧立雄・民進党立法委員の態度については、王美花は「彼は全力で支持してくれている」と笑って答えた。
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