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知財ニュース232号

台湾知的財産権ニュース(No.232)

発行:特許庁委託(公財)交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.232)
発行年月日:2016年4月15日発行
主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2016年3月28日 智慧局ニュース全訳)
1-1 優先権証明書類の全面電子化に伴い、当該書類の正本の返還なし
(2016年3月30日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「専利商標のオープンデータダウンロードサイト」が対外的にサービス開始

2. 法律・制度
(2016年4月7日 工商時報第A16面要約)
2-1 法改正により商標権利侵害敗訴で商業登記の取消し可能に

3. 知的財産権紛争
(2016年3月4日 中国時報第B2面要約)
3-1 自社のウェハー技術を中国企業へ漏洩しようとした4人のエンジニアを起訴
(2016年3月25日 聯合報第B1面要約)
3-2 エアコン銅管の模倣品に対し、日系企業が提訴

4. 模倣品関連
(2016年3月2日 中国時報第B2面要約)
4-1 卸売業者からブランド模倣品を購入しLINEで販売していた悪徳露天商を摘発
(2016年3月3日 中国時報第B2面要約)
4-2 米メーカーの狙撃スコープの模倣品を販売していた業者を摘発

1.智慧局ニュース

(2016.03.28 智慧局ニュース全訳)
1-1 優先権証明書類の全面電子化に伴い、当該書類の正本の返還なし
特許、商標出願の電子ファイルを完備するため、2016年4月11日より、特許、商標の優先権証明書類はスキャンにより全面電子化される。これに伴い作業の利便性を図るため当該書類のスキャン前にあらかじめ裁断するため、優先権証明書類の正本は、今後返還されない。

(2016.03 .30 智慧局ニュース全訳)
1-2 「専利商標のオープンデータダウンロードサイト」が対外的にサービス開始
専利・商標の資料の利用促進のため、智慧局は専利権・商標権及び関連案件に関する計11のデータベースを構築してきた。1月29日~3月28日の2ヶ月に渡るシステム試行期間を経て、本日より専利権の異動状態及び関連案件、商標権の異動状態及び関連案件に関するデータ等のオープンデータを無料でダウンロード提供し、専利・商標公報の発行に伴い定期的に更新していく。
「専利商標オープンデータダウンロードサイト」:
tiponet.tipo.gov.tw/Gazette/OpenData/OD/OD01.aspx

2.法律・制度

(2016.04 .07 工商時報第A16面要約)
2-1 法改正により商標権侵害判決後に商業登記を取消し可能に
国際的に著名な商標であるシャネルの商標権侵害訴訟で台湾の裁判所が侵害の事実を認めた判決があるが、立法院経済委員会が4月6日の初審(第一読会)で可決した改正「商業登記法」が今後最終可決されれば、このような判決が出たあと業者が半年以内に商業登記を変更しない場合、経済部はその商業登記を取り消すことができることとなる。
経済部によると、知的財産権保護政策の実施のため、著名商標を他人が商業名称(商号)として使用することを禁止し、商業名称が裁判所の判決により使用してはならないと確定された後、6ヶ月を過ぎても名称変更の登記をしなかった場合、商業登記機関は商業秩序の維持のため、その商業登記を廃止することができると明らかに定められることとなる。
李鎂・商業司長によると、商標・商号の名称は智慧局、地方政府がそれぞれ別に審査しており、地方政府が商号を審査する時には、登録商標であるかを確認しておらず、類似する事件が発生した後に、例えば商標権者が勝訴しても、業者が商号を変更しなければなす術もない。しかし、法改正後にはこのような状況で裁判所の判決確定後半年しても業者が商号を変更しなければ、経済部は直接その登記を廃止することができるようになる。

3.知的財産権紛争

(2016.03 .04 中国時報第B2面要約)
3-1 自社のウェハー技術を中国企業へ漏洩しようとした4人のエンジニアを起訴
桃園地方法院検察署(以下「桃園地検署」と略称)の張書華・主任検察官と陳品潔・検察官は、穩懋半導体(Win Semiconductors)と聯電(UMC)グループ子会社の聯穎光電(Wavetec)の2社から、従業員による機密文書の異常なダウンロード又は閲覧の行為があり、また去年11月から4人のエンジニアが次々と離職していったとの告発を受け調査を続けていた。
Win SemiconductorsとWavetecの4人のエンジニアは、中国成都の嘉石テクノロジー(Gastone Technology)が提示する高額年俸の誘惑に負け、スキャン・手書き・携帯電話での写真撮影等の手法で、自社のヒ化ガリウム及び窒化ガリウムのウェハー技術といった営業秘密を盗み取り、中国企業へ転職しようとしていたが、桃園地検署の適切な対応により事前に逮捕され、台湾の技術流出を未然に防ぐことができた。漏洩された場合の2社の被害総額は恐らく76億台湾元(約260億円)を超えていただろうと思われる。
桃園地検署は、営業秘密法違反等の罪で4人のエンジニアと龍というブローカーを起訴した。

(2016.03 .25  聯合報第B1面要約)
3-2 エアコン銅管の模倣品に対し、日系企業が提訴
警察は、中国製の廉価なエアコン銅管を日本の「株式会社UACJ」(本社:東京都千代田区)の商標を模倣したダンボール包装に詰め台湾内のエアコン業者に販売していたとして、邱という男を商標法違反で書類送検した。
警察が押収した粗悪なエアコン銅管は、正規品より0.2~0.3mm薄いだけではなく、断熱性能も正規品の三分の一で、難燃機能もなくエアコン使用時の安全性が懸念されるものであった。押収された76箱の模倣ダンボール包装には、UACJ商標が印刷されており、台湾のインテリアデザイナーがUACJエアコン銅管を指名することが多いことに目をつけた邱は、粗悪な中国製エアコン銅管を正規品の約三分の一の価格で、玉石混合で販売していた。
UACJは、自社の権益への侵害と名誉毀損がひどいことから、台湾の弁護士を通じ、営業及び権利の侵害により1,250万台湾元(約4,180万円)の損害賠償を請求済みであることを明らかにした。

4.模倣品関連

(2016.03 .02) 中国時報第B2面要約)
4-1 卸売業者からブランド模倣品を購入しLINEで販売していた悪徳露天商を摘発
2015年12月末、保安警察第二総隊刑事警察大隊偵三隊(以下、「保安総隊刑大偵三隊」と略称)は、露天商が旧正月期間にブランド模倣品で一稼ぎするとの通報を受け、追跡調査した結果、旧正月4日目に高雄、屏東の計3ヶ所の市場・マーケット街で模倣品ブランドを販売した露天商3名を発見し、摘発した。その中には、今回初めて20万台湾元(約70万円)を払って露天に参加し、1日10万台湾元(約35万円)ほど稼いだが、4日目にして逮捕された女性も含まれた。見つかった模倣品(Superdry、Adidas、Burberry等)は計2,000点あまり、権利侵害額は300万台湾元(約1,040万円)を超える。警察による取り調べ後、3人は商標法違反で書類送検され、その後、主犯格の「栄」と呼ばれる男が捜査線上に浮かびあがってきた。
警察の調べによると、栄という卸売業者は、中国からブランド模倣品を正規品の約10%~25%程度の低価格で輸入し、露天商等へLINEグループを利用して連絡し販売していた。このLINEグループは6つあり、各グループに約180~200人が加わっていたという。

(2016.03 .03 中国時報第B2面要約)
4-2 米メーカーの狙撃スコープの模倣品を販売していた業者を摘発
米国の実銃アクセサリーメーカーのリーパーズ(Leapers,inc.)は、台湾で自社の狙撃スコープの模倣品を販売している会社があるとして、保安警察第二総隊刑事警察大隊偵二隊に告訴した。警察が調査したところ、サバイバルゲーム専門店の王という業者への嫌疑が濃厚となり、台北市、台中市、彰化県等を同時捜査したところ、王の8つの直営店及び川下拠点19ヶ所で、200点あまりの模倣品が見つかり押収された。権利侵害額は300万台湾元(約1,035万円)を超えると見られる。警察は取調べの後、商標法違反で王を書類送検した。

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