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知財ニュース226号

台湾知的財産権ニュース(No.226)

発行:特許庁委託(公財)交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.226)
発行年月日:2016年1月15日発行
主要ニュース目次

1. 智慧局ニュース
(2015年12月23日 智慧局ニュース要約)
1-1 専利及び商標証書のデザイン一新
(2015年12月25日 智慧局ニュース要約)
1-2 2016年1月1日から新電子出願システムの24時間サービス開始
(2015年12月29日 智慧局ニュース全訳)
1-3 智慧局「TPP知的財産章についての説明会」を開催

2. 知的財産権紛争
(2015年12月4日 工商時報第A17面、判決文書の要約)
2-1 聚和国際の糊付き付箋製品「N次貼」の商標侵害訴訟で文品国際が敗訴
(2015年12月17日 中国時報第B4面、聯合報第AA2面の要約)
2-2 特許侵害でドイツ裁判所がドイツテレコムにHTCスマホの販売差し止め命令
(2015年12月19日 工商時報第A9面、判決文書の要約)
2-3 金門酒廠の商標模倣で2社あわせて39万台湾元の賠償支払い判決

3. 模倣品関連
(2015年12月17日 中国時報第B2面要約)
3-1 豪華邸宅を隠れ蓑にした海賊版ディスク工場を摘発

1.智慧局ニュース

(2015.12.23 智慧局ニュース要約)
1-1 専利及び商標証書のデザイン一新
2016年1月1日より、智慧局の専利証書及び商標登録証書のデザインがそれぞれ様変わりしてお目見えした。専利、集積回路配置証書は、保護動物の「台湾黒熊」をテーマとし、その独特な姿がデザインされており、商標登録証書は台湾で貴重な「台湾サクラマス」をテーマとし、その優雅で美しい模様が取り入れられており、いずれも連続した曲線デザインを結合させた幾何学模様になっている。
新しい証書デザインのサンプルは以下のリンク先を参照のこと。
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=575250&ctNode=7127&mp=1

(2015.12.25 智慧局ニュース要約)
1-2 2016年1月1日から新電子出願システムの24時間サービス開始
2016年1月1日から「新電子出願システム」が24時間出願受付サービスを開始する。これにより、平日休日問わず専利と商標の電子出願が24時間受付けられることになる(平日の21:00~22:00はシステムメンテナンス)。

(2015.12.29 智慧局ニュース全訳)
1-3 智慧局「TPP知的財産章についての説明会」を開催
経済部智慧財産局は2015年12月29日、台湾大学法律学院霖澤館国際会議センターで「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)知的財産(IP)章についての説明会」を開催し、王局長自らTPP/IP章のポイントを説明し、台湾の現行法に存在する法規の落差部分について検討すると共に、台湾のTPP加盟に向けての関連作業についての説明がなされ、最後に質疑応答の時間を利用して参加者との交流が行われた。今回の説明会には、裁判官、弁護士、専利師(弁理士に相当)、産学研の各界からの参加者、政府関係者等約400名が参加し、盛況に開催された。
知的財産章における知的財産の保護基準は、現行の多くの国際協定よりも高く設定されており、且つ将来的に世界のIP基準になる可能性があるため、交渉過程も注目を集めており、当該章はTPP30章の中で最後に協議達成された部分であることからも争議が大きかったことが分かる。知的財産章の大筋合意版には、協力(特許審査、伝統的知識)、商標、地理的表示、特許/未公開試験データ、工業意匠、著作権及び関連する権利、行使、ISP業者等を含む83の条文、6つの附録と159の註釈が含まれており、その規範は全面的であるばかりでなく、知的所有権の貿易関連の側面に関する(TRIPS)協定と比較しても、TPP知的財産章の基準が高くなっている。智慧局では、長くTPP知的財産章の動向について注目しており、最終的な大筋合意版が公表されてから、直ちに条文の翻訳を行うと共に、台湾の法規との差を全面的にチェックしたところ、台湾の法規は知的財産章の規範と大部分合致しているものの、TPPの保護基準が高いことから、やはり落差が存在し、台湾がTPP加入するには、法規の調和を行うことが必須であることが分かった。
WTOドーハラウンドが頓挫した後、各国は二国間又は地域貿易協定の交渉に努力しており、加入していない国家の貿易と投資が疎外されている。台湾経済は貿易に高く依存しており、積極的に地域経済連携に参加すべきで、そうして初めて国際的競争力を確保することができる。よって智慧局では今回の説明会を開催し、TPP知的財産章の最新資料を提供した。この説明会をとおして、参加者はTPP知的財産章の内容について理解を深めることができただけでなく、王局長とも充分な意見交換をすることができ、説明会は大成功となった。
本日の説明会で使用したパワーポイント資料は以下のリンク先からダウンロード可能(中国語PDFファイル):
www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=576437&ctNode=7127&mp=1

2.知的財産権紛争

(2015.12.04 工商時報第A17面、判決文書の要約)
2-1 聚和国際の糊付き付箋製品「N次貼」の商標侵害訴訟で文品国際が敗訴
米国3Mのポストイットに次いで、世界シェア第二位を誇る聚和国際の糊付き付箋製品「N次貼」は、商標登録を経て2006年には著名商標にも認定されており20年以上世界で販売されている。
聚和国際は2014年1月、LINE社と提携した商品「直立式N次貼」をファミリーマートで販売していたが、同年4月16日からセブンイレブンで販売された文品国際による同商品の模倣品に「N次貼」商標が使用され、商標権を侵害された上に、模倣品の品質が悪いことから商業的名誉も損害を受けたとして、損害賠償65万台湾元(約230万円)と全国紙6紙への謝罪広告掲載を求めて訴訟を提起した。
智慧財産法院は2015年11月16日、以下の理由から文品国際の敗訴とし、損害賠償金29万2,500台湾元(約104万円)の支払いと中国時報第1面への謝罪広告掲載を命じる判決を下した。
① 文品国際は、「N次貼」とは一般的に糊付き付箋製品を説明する用語で、識別性も弱く、文品国際のデザイナーも一般用語としての認識により「N次貼」を誤用したもので故意又は過失ではないと主張したが、同商標は著名商標であり、しかも今回の商品について聚和国際の販売は文品国際のものより3ヶ月も早いことから、故意でなくとも明らかな過失であり、聚和国際の商標権を侵害している。
② 聚和国際は、セブンイレブンで販売されていた価格(65台湾元:約230円)に卸個数1万個の計算で65万台湾元の賠償金を求償したが、卸金額の29.25元(約100円)で計算すべきであり、損害賠償金額は29万2,500台湾元とする。
③ 双方の商品を検証した結果、文品国際の商品の品質は聚和国際のものに劣っていたことから、聚和国際の商業的名誉を損害するものであると認めるが、商品取り下げまでの4日間で販売された文品国際の商品数は866個と多くないことから、全国紙6紙全てではなく中国時報第1面への謝罪広告掲載が適切である。

<智慧財産法院の判決>
智慧財産法院判決「104年度民商訴字第9號」 判決日:2015/11/16
判決書検索サイト: jirs.judicial.gov.tw/FJUD/FJUDQRY03_1.aspx
裁判類別:民事 判決字号:104, 民商訴, 9 裁判案由:侵害商標權有關財產權爭議等
検索キーワード:文品國際

(2015.12.17 中国時報第B4面、聯合報第AA2面の要約)
2-2 特許侵害でドイツ裁判所がドイツテレコムにHTCスマホの販売差し止め判決
米国の特許ライセンス企業であるアカシア・リサーチグループ(以下「アカシア」と略称)は2014年、ドイツテレコムがドイツで販売しているHTCのスマートフォンの音声コーディング技術が特許侵害しているとしてドイツの裁判所に特許侵害訴訟を提起していた。
ドイツのマンハイム地方裁判所は2015年11月27日、ドイツテレコムがドイツで販売しているHTCを含むスマートフォン製品が、アカシアが欧州で取得している音声コーディング技術に関する特許を侵害しているとして、ドイツでの同スマートフォンの販売差し止めを命じる判決を下した。
これを受けてHTCは今回の判決に非常に失望したと述べると共に、緊急に上訴手続をとり、ドイツテレコムに全力で協力する旨を明らかにした。

(2015.12 .19 工商時報A9面、判決文書の要約)
2-3 金門酒廠の商標模倣で2社あわせて39万台湾元の賠償支払い判決
高粱酒の製造で有名な金門酒廠の職員は2014年8月5日、中国アモイの免税区内で「2匹の龍の図」商標の高梁酒を発見し、瓶に貼り付けてあるラベルが明らかに模倣だったため、同商品を購入し金門の会社に持ち帰った。
その後金門酒廠が警察に潮鮮生技の捜索を依頼した結果、台中市の潮鮮生技で「38度青山金龍」高梁酒30箱360本、「58度青山金龍陳年二鍋」高梁酒5箱60本を押収し、また潮鮮生技の製造委託先である勝品酒業公司を捜索した結果「42度寶島賓宴高梁酒」、「58度寶島賓宴高梁酒」各2,400本の発注書と簡体字ラベルを押収し、金門酒廠は2社に対し、「2匹の龍の図」の使用禁止、並びに損害賠償請求を求め訴訟を提起した。
2社は、金門酒廠の商標は2匹の龍で、2社のものとは数も図の詳細も異なり、龍は中国文化になじみの深いおめでたい図案で各種商品によく使用されていると反論したが、智慧財産法院は2015年11月27日、全体の外観を見ると、青山金龍高梁酒は2匹と4匹に関らず、それらの龍の図案の詳細は多少異なるものの、消費者は識別することができず、潮鮮生技と勝品酒業は金門酒廠の商標を模倣しているとして、それぞれ潮鮮生技に10萬台湾元(約35万円)、勝品酒業に29万台湾元(約102万円)の賠償金支払いを命じる金門酒廠勝訴の判決を下した。

<智慧財産法院の判決>
智慧財産法院判決「104年度民商訴字第8號」 判決日:2015/11/27
判決書検索サイト: jirs.judicial.gov.tw/FJUD/FJUDQRY03_1.aspx
裁判類別:民事 判決字号:104, 民商訴, 8 裁判案由:侵害商標權有關財產權爭議等
検索キーワード:金門酒廠

3.模倣品関連

(2015.12 .17 中国時報第B2面要約)
3-1 豪華邸宅を隠れ蓑にした海賊版ディスク工場を摘発
台中市刑事警察大隊偵二隊は12月16日、警察の捜査を逃れるため米国でウェブサイトを開設し、台中市の60坪を占める豪華マンションを海賊版光ディスク製造工場にして、そこに身を潜めていた沈という男を摘発した。沈はオンライン翻訳で字幕を作成し、各国の映像・音楽光ディスクをコピーし、1枚50~100台湾元(約180円~350円)で大量にネット販売していた。
警察側はブルーレイディスクの複製機100台余り、海賊版ディスク5万枚余りを押収し、権利侵害額は1億台湾元近く(約350億円)に上ると見られ、沈を著作権法違反で書類送検した。

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