台湾知的財産権ニュース(No.220)
発行:特許庁委託(公財)交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.220)
発行年月日:2015年9月30日発行
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2015年9月21日 智慧局ニュース要約)
1-1 「2015年台湾・EUネット上の著作権保護シンポジウム」開催
2. 知的財産権紛争
(2015年9月16日 工商時報要約)
2-1 山葉発動機企業社に改名及び15万台湾元の賠償金を命じる判決
3. 模倣品関連
(2015年9月19日 中国時報第B2面要約)
3-1 大型ショッピングセンターで模倣品眼鏡を販売していた男性を逮捕
4. その他一般
(2015年9月10日 工商時報第A3面、2015年9月11日 工商時報第A3面の要約)
4-1 鴻海がネットオークションで27項目の特許権を販売
(2015年9月23日 聯合報第B1面要約)
4-2 「第8回両岸専利フォーラム」開催
1.智慧局ニュース
(2015.09.21 智慧局ニュース要約)
1-1 「2015年台湾・EUネット上の著作権保護シンポジウム」開催
経済部智慧財産局、欧州経済貿易事務所(EETO)及びEU在台商業及び法規提携プログラム(EBRC)は2015年9月18日、台湾大学霖澤館にて「2015年台湾・EUネット上の著作権保護シンポジウム」を共同で開催し、各分野において経験豊富な台湾及びEUの専門家らを招き、全面的な角度からネット上の著作権保護について討論し、経験をシェアした。
今回のシンポジウムは2011年に続き再び「ネット上の著作権保護」をテーマとし、このテーマは台湾のレコード業界、視聴映像業界、ISP事業者等の関連産業、更には世界各国の政府機関が高く重視し、関心を持つテーマである。会議中、欧州連合執行委員会ネット通信情報総署法務専門員・Tamas Kenessey、駐韓フランス大使館経済処知的財産事務参事・Anne Catherine Milleron、EU知的財産権の専門家及び学者、台湾の智慧財産局、高等裁判所、検察署、権利者及びISP事業者の代表らを講師として招き、台湾・EU双方の法制度及び法律執行に関する最新の進展状況について紹介したほか、「権利者-ISP事業者間の協力強化」をテーマとし、関連実務に熟知している専門家を招いて経験をシェアした。
智慧局の王美花・局長は挨拶の際、台湾はネット上の著作権保護を非常に重視しており、智慧局はこれまで国際公約及び各国の立法例を参考にして数回に渡り著作権法を改正し、重点の一つであるネット上の海賊版問題の処理に特に力を入れてきた。ネット上における著作権保護制度の構築についての最大のチャレンジは、権利者の権益の保護だけでなく、インターネット利用者及びISP事業者らの立場の双方に配慮する必要があることであり、これについて智慧局は引き続き双方の意見に耳を傾け、多様な意見と立場を整理し、意思疎通を行って皆が納得できる解決方案を見つけ出すことに力を入れていく、と述べた。
世界がインターネット時代に突入するにつれ、テクノロジーは進歩・変化し、インターネットは情報伝達の主要な方法であるだけでなく、近年はネットストリーミング及びクラウド技術の発展により、台湾・EUにおいても、インターネット上で他人の著作を侵害する状況は普遍的で、取締りがより一層困難になってきている。今回のシンポジウムを通して、参加者は台湾・EUのインターネット上における著作権保護の法制度の現況、近年の法律執行状況及び司法事例、権利者及びISP事業者の権利侵害問題の処理方法及び困難な箇所について更なる理解を深めることができ、討論の内容も今後の台湾におけるネット上の著作権の改革、実務的な発展方向において大いに参考となることができた。
2.知的財産権紛争
(2015.09.16 工商時報要約)
2-1 山葉発動機企業社に改名及び15万台湾元の賠償金を命じる判決
基隆市の山葉発動機企業社が、山葉機車の商標権を侵害しているとして提訴された。山葉機車の提訴した内容によると、当該会社は1955年に設立され、現在まで60年間、「山葉」、「YAMAHA」は台湾の消費者に広く知られるところとなり、1986年に設立された台湾山葉は台湾におけるオートバイメーカー大手となっている。山葉発動機企業社は、上述した事実を明らかに知りながら、「YAMAHA」及び「山葉」の看板を無断で使用し、オートバイの販売及びメンテナンスに従事しており、当該会社の著名商標へのフリーライドが明らかで、玉石混合となり、消費者に当該会社の川下のメンテナンス工場であるとの誤認を誤導するため、改名及び当該会社の損失35万台湾元(約130万円)の賠償を求めた。
これに対し企業社は、山葉機車の指導により設立されたもので、すでに山葉機車から黙認されているため、権利侵害ではない、と答弁した。
智慧財産法院は2015年9月15日、山葉発動機企業社と台湾山葉の契約規定によると、契約は2012年6月1日で終了し、その後継続されていないため、かつて山葉機車の販売店であったが、契約満期により販売店でなくなり「山葉」を社名として用いてはならないが、山葉発動機企業社は2014年9月1日まで引き続き使用していたため、山葉の商標権を2年侵害し、損失をもたらした。なお、閉業したとはいえ、いつでも再開業できるため、改名が必要でないとの理由にはならない、として山葉発動機企業社に改名並びに15万台湾元(約56万円)の賠償金を命じる判決を下した。
3.模倣品関連
(2015.09.19 中国時報第B2面要約)
3-1 大型ショッピングセンターで模倣品眼鏡を販売していた男性を逮捕
保安警察第二総隊刑事警察大隊は、台北市の大型ショッピングセンター内で黄氏(54歳・男性)がブランド眼鏡の模倣品を販売している旨を発見した。
警察の調べによると、黄氏は友人を通してグッチ、プラダ、シャネル、ディオール、プーマ、バーバリー等の著名ブランドの眼鏡の模倣品を中国から仕入れ、正規品のおよそ半額~3分の1の価格で販売して、多くの顧客を惹きつけていたが、眼鏡の材料及び色の表示に誤りがあり、メガネフレームの作りが緩く、鼻パッドの設計も異なることから消費者が疑念を抱いて警察に通報したという。
警察は、300点余りの模倣品眼鏡を押収し、市場権利侵害額は500万台湾元(約1,830万日本円)、不当利益は百万台湾元(約370万日本円)に上るとして、黄氏を商標法違反で書類送検した。
4.その他一般
(2015.09.10 工商時報第A3面、2015.09.11 工商時報第A3面の要約)
4-1 鴻海がネットオークションで27項目の特許権を販売
鴻海は9月2日、世界最大の知的財産仲介と特許オークション企業であるICAPとMiiCs&Partnersと提携し、鴻海が所有する27項目1,400件余りの特許を、中国の世界的に著名な知財権取引プラットフォームである「匯桔網」で、11月19日から販売することを明らかにした。
今回販売される特許は、モバイル装置、デジタルカメラ、ディスプレイ、医療用ソフト、電池とバッテリー等、人気の高い分野の技術で、多くの買い手の注目を集めることと予想される。
鴻海は9月9日、特許オークションに参加することを明らかにすると同時に、鴻海は長期に渡り研究開発技術を培い、成果を大きな価値を有する知的財産へと転換してきているとし、鴻海は特許のマネタイゼーションのプロセスにおいて、ICAPとの提携はそのうちの一つにすぎず、鴻海グループの特許権に最大の価値を創造することをメインとしている、と強調した。
(2015.09.23 聯合報第B1面要約)
4-2 「第8回両岸専利フォーラム」開催
2015年9月22日、中国広州で第8回両岸専利フォーラムが中華全国専利代理人協会と台湾工業総会による共同主催、広東省知識財産権研究会による開催の下で開催され、両岸の専利主務官庁及び業界の各界から200名以上が参加した。
今回のフォーラムは、「両岸の専利分野における最新の発展」、「専利法制度の発展状況」、「専利の審査において直面するチャレンジ及び対策法」及び「専利ポートフォリオ及び訴訟の戦略と管理」等をテーマとし、両岸の専利業界の学者専門家らが交流を深め、両岸の専利事業の発展、産業協力の強化、両岸関係の発展を促進することを目的としている。
広東省の陳雲賢・副省長は挨拶の中で、広東は現在まさに体制・メカニズム改革の深化を推進している重要な段階にあり、両岸フォーラムの開催は両岸の専利業界と企業界の人々に良好な相互交流できるプラットフォームを提供できると同時に、密接な両岸関係と両岸産業の協力の深化と両岸の経済貿易の発展にとってよい架け橋となると述べた。
また、中華全国専利代理人協会のシニア顧問兼国家知識産権局の何志敏副局長は、両岸の知的財産権の専利分野の協力において、これらのテーマを検討することで、このフォーラムが両岸協力の重要な役割を果たし、両岸経済発展の積極的な貢献に繋がることとなると述べた。
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