発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.375)
発行年月日:2024年11月29日発行
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2024年11月14日 智慧局ニュース全訳)
1-1 本局は「ジェロンテクノロジーPRプラットフォーム」を構築し、関連産業の分析報告を提供しているので、各界多いにご利用いただきたい
(2024年11月26日 智慧局ニュース全訳)
1-2 2024年11月22日より本局の「グローバル専利検索システム」のURLを変更する。多いにご利用いただきたい。
(2024年11月26日 智慧局ニュース全訳)
1-3 財団法人専利検索センターが専利分析報告書2本を完成 多いにご参考にしていただきたい
(2024年11月27日 智慧局ニュース全訳)
1-4 直近20年における特許出願公開の動向から世界と台湾の化学分野特許技術の発展を見る
(2024年11月27日 智慧局ニュース全訳)
1-5 本局は2025年1月より、出願書類を電子出願していた場合、明細書を補正、訂正又は変更する時にファイル変換を必須とする 未変換のものは送信できなくなるため、補正できる期間に影響が出ないよう事前準備いただきたい
2. 知的財産権紛争
(2024年11月21日 中国時報第A7面要訳)
2-1 大立光の権利侵害案件 董事長兄弟の不起訴確定
1.智慧局ニュース
(2024.11.14 智慧局ニュース全訳)
1-1 本局は「ジェロンテクノロジーPRプラットフォーム」を構築し、関連産業の分析報告を提供しているので、各界多いにご利用いただきたい
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-985605-b9640-1.html
台湾域内のジェロンテクノロジー(Geron Technology)産業のコア技術研究開発を支援するため、本局は「ジェロンテクノロジーPRプラットフォーム」を構築し、本日から対外的にサービスを開始している。当該プラットフォームは関連ニュース、専利文献、専門家による記事、及び産業の動向分析等の情報を提供しており、多様な角度からジェロンテクノロジー産業の技術動向及び新知識を迅速的かつ効果的に把握することで、研究開発力とイノベーション力の強化を支援する。多いにご利用いただきたい。
このうち産業の動向分析については、本年(2024年)度本局は、「高齢者向けスポーツエンパワーメント」及び「高齢者向け食品」の分野において、以下の4つの産業の分析報告を完成させた。ダウンロードして参考にしていただければ幸いである。
1. 高齢者向けスポーツエンパワーメントの動向分析報告:
高齢化がもたらす経済的課題と健康ニーズを深く探求したところ、スポーツテックが高齢者の健康のためのエンパワーメントの重要なツールになることを示す。
2. AIスポーツリハビリテーションプラットフォームの専利ポートフォリオ分析報告:
スポーツリハビリテーション関連技術におけるAI応用についての専利技術検索と専利ポートフォリオに関する提言を提供し、各国及び台湾の発展動向と産業における応用ニーズを理解した上で、研究開発の方向性、技術発展計画の制定に関する提言を提供する。
3. 高齢者向け食品の動向分析報告:
世界の保健食品市場の最新動向を示し、企業の技術開発と市場戦略を支援するため、台湾域内外の専利ポートフォリオの見通しを提供する。
4. 高齢者向け食品の善玉菌の専利ポートフォリオ分析報告:
高齢者の健康管理における善玉菌のポテンシャルを詳細に分析し、専利データを通じて技術発展と競争戦略の提言を提供し、業界がこのブルーオーシャンのビジネスチャンスを掌握できるように支援する。
※ジェロンテクノロジーPRプラットフォームは、上記智慧局ウェブサイトの「相關連結(関連リンク)」のリンク先「1.高齡科技技術推廣平台」(https://ipkm-mobile.tipo.gov.tw/topic/1)から参照できる。
(2024.11.26 智慧局ニュース全訳)
1-2 2024年11月22日より本局の「グローバル専利検索システム」のURLを変更する。多いにご利用いただきたい。
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-985670-d8245-1.html
情報セキュリティを向上させ、対外サービスを安定させるため、本局は2024年11月22日より「グローバル専利検索システム(中国語:全球專利檢索系統)」のサービスURLをhttps://tiponet.tipo.gov.tw/gpss/に変更する。旧サービス(https://gpss.tipo.gov.tw/)は、本年(2024年)12月5日に閉鎖する予定である。サポートが必要な場合は、本局情報室(中国語:資訊室、E-mail:ipoid@tipo.gov.tw)までお問合せいただきたい。
(2024.11.26 智慧局ニュース全訳)
1-3 財団法人専利検索センターが専利分析報告書2本を完成 多いにご参考にしていただきたい
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-985692-30592-1.html
ネットゼロやDX(digital transformation)の流れを受けて、ナトリウムイオン電池、5G、AIoTは、世界の技術競争の焦点となっている。本局は財団法人専利検索センターに委託し、「5GとAIoTの融合・応用についての専利ポートフォリオ分析」及び「ナトリウムイオン電池の専利技術分析」の2件の専利分析報告書を完成させた。政府と企業がより的を絞ったテクノロジー発展戦略を制定し、グローバルバリューチェーンにおける台湾の地位向上に向けて役立つものとなるよう、各国及び各企業の専利ポートフォリオ分析を通じて関連技術の研究開発における世界的な競争の状況を理解し、台湾産業が技術革新において直面する課題や機会を探求するものとなっている。
報告は財団法人専利検索センターへのリンク(※)から入手可能である。ご参考にしていただきたい。
※上記智慧局ウェブサイトの「相關連結」を参照。
(2024.11.27 智慧局ニュース全訳)
1-4 直近20年における特許出願公開の動向から世界と台湾の化学分野特許技術の発展を見る
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-985693-c165e-1.html
直近20年の世界の特許件数上位2分野は化学分野から電気工学に移行しているが、台湾の化学分野の年成長率は電気工学分野の2%よりも高い4.6%である
2003年の世界のPCT専利出願公開件数は、化学分野(33,461件)がトップで、次いで電気工学分野(30,616件)であった。出願人の専利ポートフォリオの転換に伴い、2023年の電気工学分野は105,437件まで激増し、化学分野(58,102件)を超越した。化学分野の年平均成長率は2.8%で、電気工学分野の(6.4%)より低かった。台湾(TIPO)については、直近20年は電気工学分野の出願公開件数がトップであり、2023年の電気工学分野は21,130件で、化学分野の13,677件より高かった。しかしながら、化学分野の年平均成長率は4.6%であり電気工学分野の2.0%より高く、世界的な動向とは異なっている(図1)。
電気工学分野には「半導体」、「コンピューターテクノロジー」、「デジタル通信」等の技術分野が含まれる。化学分野には「製薬」(例:抗ウイルス薬、治療又は症状緩和薬)、「バイオテクノロジー」(例:診断方法、ワクチン)、「高分子化学」(例:半導体の高分子半導体材料)、「表面処理」(例:半導体、鋼板、ガラス等のコーティング)、「有機精密化学」(例:化粧品製品関連、口紅及びマスカラ)等の複数の技術分野が含まれる(表1)。
直近20年において米国は世界の化学分野の特許出願公開件数で首位、日本は台湾で引き続きリードしている
直近20年において米国は化学分野のPCT特許出願公開件数は世界第1位で、毎年12,100件以上である。日本の活躍も目覚ましく、2003年の約4,600件から2023年の約9,700件まで上昇し、2022年には第2位になった。注目に値するのは、2023年は約10,200件で世界第2位まで上昇した中国の急速な躍進である。韓国も、2022年にドイツを抜き2023年には約4,250件まで上昇した(図2)。
直近20年の台湾(TIPO)における日本の化学分野の特許出願公開件数は第1位であり、2004年の約1,900件から2023年の約5,200件まで上昇している。台湾と米国の専利件数は第2位で、2023年にはそれぞれ約2,100件(台湾)、約2,700件(米国)まで上昇した。中国、韓国も急速に増加しており、2020年にいずれもドイツを抜き、2023年にはそれぞれ約1,300件(中国)、約660件(韓国)まで上昇した(図3)。
2023年に米国は世界と台湾における「製薬」分野で第1位となり、日本は台湾において「高分子化学」、「表面処理」、「有機精密化学」分野で各国をリードしている
さらに観察すると、2023年の世界の化学分野におけるPCT特許出願公開件数の主な技術分野である「製薬」、「バイオテクノロジー」では、米国が38.3%~38.4%を占め第1位となった。中国(19.7%~19.8%)は第2位、日本、韓国、ドイツの占める割合はいずれも9%以下であり、米国の世界における優位性が突出している(図4)。
2023年の台湾の化学分野における特許出願公開件数の主な技術分野は、「製薬」、「高分子化学」、「表面処理」、「有機精密化学」の4項目がほとんどである。「製薬」分野は、米国が33.8%を占めて最多となり、次いで台湾、中国、日本の占める割合がそれぞれ約13.3~16.5%である。「高分子化学」(67.9%)、「表面処理」(45.8%)はいずれも日本が最も多く、米国と台湾を遥かにしのいでいる。「有機精密化学」でも日本がトップ(27.3%)、次いで台湾(25.9%)、中国(14.6%)が第3位であり、各国(地区)の化学分野における異なる技術の競争パターンを表しており、米国は製薬、日本は高分子化学、有機精密化学で各国をリードしている(図5)。
2023年の世界の化学分野における上位25位の出願人は広範な産業に分布しているが、台湾の上位25位の出願人は半導体材料等の産業に分布している
さらに分析すると、世界の化学分野の特許出願人は、産業界の注目に値する。2023年の化学分野におけるPCT専利出願公開案件の出願人は、ドイツのBASF(371件)がトップで、次いで米国のカリフォルニア大学(328件)、フランスのロレアル(296件)となっている。上位25位の出願人には、化学工学のBASFとLG化学が含まれており、また、世界的なコスメブランドのフランスのロレアル、日用品大手のユニリーバと花王、そして鉄鋼製造、電子材料、ディスプレイ材料、特殊ガラス等の産業の出願人と学術研究機関が含まれ、そのうちの10社が日本、6社が米国、2社が中国で、各国(地区)がそれぞれの優位性に基づいて世界の化学分野におけるポートフォリオ展開をしていることが示されている(図6、表2)。
2023年の台湾(TIPO)における化学分野の特許出願公開案件の出願人では、日本の日東電工(255件)が最多で、次いで日本の富士フィルム(188件)、米国のアプライドマテリアルズ(179件)となっている。上位25位の出願人は、半導体材料、コンシューマーエレクトロニクス材料及びディスプレイ材料等の産業に分布しており、そのうち日本の出願人がほとんどで計17社、2社が米国、2社が中国で、台湾の出願人では工業技術研究院(ITRI)だけが上位25位にランクインした(図6、表3)。
※「《2023年にWIPOとTIPOが受理した特許出願動向の比較分析-テーマ分析》直近20年のWIPOとTIPOの特許技術分野の成長動向分析」は、智慧局ウェブサイトの「研究報告」の「趨勢統計」(https://www.tipo.gov.tw/patents-tw/cp-979-985694-7324a-101.html)に掲載しているので、各界にご参照いただきたい。
(2024.11.27 智慧局ニュース全訳)
1-5 本局は2025年1月より、出願書類を電子出願していた場合、明細書を補正、訂正又は変更する時にファイル変換を必須とする 未変換のものは送信できなくなるため、補正できる期間に影響が出ないよう事前準備いただきたい
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-985696-e4064-1.html
専利の電子出願の補正のデジタル化推進のため、2025年1月より、出願書類を電子出願によって提出した場合、後に明細書を補正、訂正又は変更する際はファイル変換しなければならない。変換ツールでPDFファイルに変換していない場合、E-SETを使用して送信することができなくなるため、補正できる期間に影響を及ぼすこととなる。
統計によると、今年(2024年)度の6~10月の間の電子出願案件の明細書の補正、訂正又は変更のデジタル化が100%である事務所の累積数はすでに127社に達している(詳細は下表を参照)。この運用はまもなく全面的に実施されることから、各界は事前に準備していただきたい。
本局では、よく見られるファイル変換エラーの問題について、電子出願FAQウェブサイトの「よく見られるエラーの排除方法」に掲載したので、各界多いに参考にしてご利用いただきたい。サービスを使用する際に何か問題があれば随時本局の電子出願カスタマーサービスホットライン:(02)8176-9009、又はメール:tipoeservice@tipo.gov.twにご連絡いただきたい。
2.知的財産権紛争
(2024.11.21 中国時報第A7面要訳)
2-1 大立光の権利侵害案件 董事長兄弟の不起訴確定
世界のスマホレンズメーカー最大手である大立光(Largan Precision、以下「Largan」という。)は、ドイツメーカーMVTec社から、「HALCON」ソフトを盗用されたとして告発された。
台中地検署は、Larganが2005年以降MVTec社からHALCONソフト開発版を調達していたが、2018年末にHALCONソフトの調達ニーズを検討した際、研究開発部の黄・総処長が合法ソフトの調達を一時見合わせるよう指示し、オリジナルソフトのクラッキングを研究してMAC認証コードを模倣してソフト検知システムを欺いて大量コピーした後、1,000台以上のコンピュータにインストールして、MVTec社の著作財産権を侵害したと認定した。一方、Larganの林恩舟・前董事長、林恩平・現董事長については、この二名が関わっていることを知り得る証拠はないとした。Largan及び黄・総処長等10人が著作権法違反等により起訴され、林恩舟・前董事長、林恩平・現董事長兄弟は不起訴となった。
ドイツメーカーはこれを不服とし、台湾高等検察署智慧財産検察分署(以下「智財分署」という。)へ再議を申し立てたが、智財分署は審査の後19日に再議を棄却し、林恩舟氏・林恩平氏の不起訴処分が確定した。また、ドイツメーカーの責任者Olaf Munkelt氏は、Larganによる営業秘密の主張により検察側が全ての調書を閲覧不可としたことを不服として、自ら国発会、法務部へ赴き陳情した。
ドイツメーカーは台中地方裁判所に対して自訴(私訴)を提起することができるが、訴訟として成立するのは非常に難しい。
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