発行:特許庁委託(公財)日本台湾交流協会
台湾知的財産権ニュース
(No.372)
発行年月日:2024年9月30日発行
主要ニュース目次
1. 智慧局ニュース
(2024年9月11日 智慧局ニュース全訳)
1-1 専利法一部条文改正草案の公告
(2024年9月25日 智慧局ニュース全訳)
1-2 「世界の半導体製造設備における廃水処理及び再生技術に関する専利動向研究」報告書を発表
(2024年9月25日 智慧局ニュース全訳)
1-3 智慧局:業界のグリーン転換推進協力のため「世界の半導体製造設備における廃水処理及び再生技術に関する専利動向研究」を発表
(2024年9月26日 智慧局ニュース全訳)
1-4 2024年10月1日から商標電子出願には代理人登録番号の記載必須
2. 法律・制度
(2024年9月22日 工商時報第A2面要訳)
2-1 AI基本法は知的財産権保護が焦点 国科会の草案は10月に行政院に報告 生成AIはニュースコンテンツの著作権争議を招いており、検討範囲に含まれる
3. その他一般
(2024年9月16日 経済部プレスリリース全訳)
3-1 台湾の特許出願は半導体技術分野がメイン
1.智慧局ニュース
(2024.09.11 智慧局ニュース全訳)
1-1 専利法一部条文改正草案の公告
www.tipo.gov.tw/tw/cp-86-979687-69f9a-1.html
一、 新興デジタル産業の勃興と発展に伴い、デジタルテクノロジーを運用した画像意匠がより多元化しているところ、世界の意匠保護の趨勢を参考にし、また台湾産業界の実務ニーズを考慮し、意匠制度を改正する。また、台湾の歴年の司法実務の見解を参酌し、真正な専利出願権者が、民事ルートと完備された関連施策メカニズムによってその権利を取り戻すように、改正を行う。
二、 今回の改正ポイントは以下のとおり:
(一) デジタルテクノロジーによる画像意匠を意匠の保護対象に拡大し、画像意匠は「物品」に応用すべきとの制限を緩和し、その実施行為の態様を明確にする。
(二) ハーグ協定、欧州連合(EU)、米国等の国際的趨勢を参考に、「複数の類似意匠の一括出願」制度を導入し、その補正、無効審判請求等の関連規定を併せて改正する。
(三) 意匠のグレースピリオドを6か月から12か月へ緩和する。
(四) 意匠出願の分割出願の時期について、現行では原出願の再審査の査定前に分割出願しなければならないが、原出願又は再審査の登録査定書の送達後3か月以内にも分割出願を提出することができるよう緩和し、専利を付与しない事由及び無効審判請求の事由を併せて調整する。
(五) 専利出願権又は専利権の帰属の争議を無効審判請求の事由から削除し、真正な専利出願権者がその権利を取り戻すには、民事ルートで紛争解決すべきと明文化し、関連規定を新設する。
(六) 新旧法律の過渡期の適用規定を明文化する。
三、 本草案内容にご意見又は改正のご提案があれば、本草案が掲載された次の日から起算して60日以内に書面にてご提供いただきたい。
担当部署:経済部智慧財産局国際及び法務事務室
住所:台北市大安区辛亥路二段185号3F
FAX:(02)2735-1946
E-mail:ipoil@tipo.gov.tw
*「専利法一部条文改正草案総説明及び条文対照表」については、上記智慧局ウェブサイトのリンク先の「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロード可能(中国語PDF文書)
(2024.09.25 智慧局ニュース全訳)
1-2 「世界の半導体製造設備における廃水処理及び再生技術に関する専利動向の研究」報告書を発表
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-979978-ce475-1.html
台湾の半導体産業の持続可能な開発ビジョンに向け、本局は「半導体製造設備における廃水処理及び再生技術に関する専利動向の研究」プロジェクトの報告書を発表した。具体的な事例を紹介しながらこの分野の専利の発展と技術動向について深く探求しており、業界がグリーントランスメーションを推進する際の重要な参考文献として役立つものとなっている。
報告書によると、世界の廃水処理及び水資源再生技術に関する専利出願件数が過去20年で著しく増加しており、企業の持続可能な開発とESG(環境、社会、ガバナンス)への高い関心を反映している。廃水回収と水資源の再生技術を通じて、世界の半導体産業は水資源の持続可能な開発において明らかな進展を遂げており、台湾は世界の半導体関連部品の主要生産国として完備された産業チェーンと技術的基礎を有しており、関連する研究開発と成果は、米国、日本、欧州等の先進国に劣るものではなく、台湾の2050ネットゼロ転換目標の実現に重要な貢献をもたらしている。
※「半導体製造設備における廃水処理及び再生技術に関する専利動向の研究」は、上記智慧局ウェブサイトのリンク先の「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロード可能(中国語PDFファイル)。
(2024.09.25 智慧局ニュース全訳)
1-3 智慧局、業界のグリーン転換推進協力のため「半導体製造設備における廃水処理及び再生技術に関する専利動向の研究」を発表
www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-979977-7ff92-1.html
ハイテク産業用水の水供給戦略と水処理技術が日増しに注目を集める中、経済部智慧財産局は、台湾の半導体産業が水資源管理実施の際に、廃水回収と水資源再生に関する技術の研究開発に尽力していることに鑑み、本日(25日)、「半導体製造設備における廃水処理及び再生技術に関する専利動向の研究」プロジェクトの報告書を発表した。該報告書は、半導体の廃水処理分野のコア技術と専利動向を探求したもので、業界のグリーントランスフォーメーション、循環経済、ESG発展及び2050ネットゼロを推進するための重要な参考根拠となるものである。
智慧局によると、世界の半導体産業は、廃水回収と水資源の再生技術を通じて、水資源の持続可能な開発における明らかな進展を得た。台湾は、世界の半導体部品の主要生産国として、完備された産業チェーンと技術的基礎を有しており、関連する研究開発と成果は、米国、日本、欧州等の先進国に劣るものではない。台湾の学術研究機関(例:工業技術研究院:ITRI)及び半導体関連産業(例:TSMC、兆聯実業等)は、廃水回収と水資源の再生技術の研究開発に積極的に取り組んでおり、原生の水資源への依存を減らすだけでなく、経済的利益を創出し、さらには循環経済の発展も推進している。
報告書では、直近60年の半導体産業による「廃水回収と水資源再生」技術の専利出願件数は、顕著な上昇の後安定的に増加する傾向がみられ(図1参照)、萌芽期(1970~1997年)、発展期(1997~2011年)、減速・微減期(2012~2014年)、復活・再発展期(2015~2018年)、飽和・安定発展期(2019~2023年)の5段階に大別されると指摘されている。
産業面からみると、各国の産業形態はそれぞれ異なり、欧米、日本等の先進国は、長い歴史を持つ大型電器、浄水設備又は関連材料メーカーの企業を有していることから研究開発への取り組みは比較的早く(1970年頃)、学術研究機関又は小規模企業はあまりみられない。世界の出願件数上位20位の出願人をみると(図2参照)、日本国籍の出願人が60%を占め、いずれも著名な大型グローバル企業であり、現在に至るまで、その専利出願件数は驚異的である。中国の発展は比較的遅いものの(1997年頃)、その国家政策による奨励又は補助により小規模企業やスタートアップ企業が2005年以降雨後の筍の如く出現し、関連技術の専利出願件数にも後発の追い上げが表れている。
また、台湾は半導体製造生産大国として、完備された産業チェーンと優良な企業文化を有しており、近年はESG、持続可能な開発と循環型経済等のテーマを重視する中で、台湾の半導体大手はいずれも廃棄物の回収と再生又は再利用の実施、又はその技術の研究開発に尽力しており、廃水回収と水資源再生に関する技術は当然その中の重要な項目の一つであることから、台湾の発展モデルが主に半導体大手によって主導され、台湾内の関連企業又は学術研究機関と共同で関連技術を研究開発して好実績を上げている点は、注目に値する(図3参照)。
該報告書の最後の半導体処理水に関するコア技術分析では、以下の点が指摘されている。関連する技術は、通常、単一技術を使用するだけでなく複数の技術を組み合わせて廃水処理と水資源再生の効果を完成させるものであり、反応形態により物理処理、化学処理、生物処理等に大別され、そのうち物理又は化学処理の関連技術の発展は比較的早く、取り組んでいる機関や専利出願件数も相対的に多く、技術発展も相対的に成熟しており、現在主流となっている技術は、逆浸透法、精密/限外/ナノ濾過法及び促進酸化法、凝集沈殿法、又はイオン交換法がメインとなっている。生物処理は主に微生物の特性を利用して廃水の汚染物を分解して無害な物質に変換するものであり、大規模かつ低コストでの廃水処理できる特性があることから、経済的価値が非常に高く、世界の大手関連産業の研究開発の重点項目の一つとなっており、活性汚泥法又は膜分離活性汚泥法がメインとなっている。制御・監視又はモニタリング処理システムの構築については、今後、人工知能(AI)技術とその応用の成熟によってさらにその重要性が増し、専利出願件数の増加が予想され、その後の発展も引き続き注目する価値がある。
国際市場の半導体製品へのニーズが絶えず増加している中、企業は持続可能な開発を実現すると同時に、グリーン技術のイノベーションを通じて競争力を増強し、2050ネットゼロ転換目標を実現すべきである。
※「半導体製造設備の廃水処理及び再生技術に関する専利動向の研究」は、上記智慧局ウェブサイトのリンク先の「檔案下載(ファイルダウンロード)」からダウンロード可能(中国語PDFファイル)。
(2024.09.26 智慧局ニュース全訳)
1-4 2024年10月1日から商標電子出願には代理人登録番号の記載必須
www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-979980-85fcd-1.html
2024年10月1日から商標電子出願には代理人登録番号を記載しなければならない。
1. 電子出願システムの代理人資格の自動チェックを容易にするため、2024年10月1日から、商標の電子出願に代理人登録番号が記載されていない場合には、電子出願システムによる送付は使用できなくなる。
2. 代理人資格を有するがまだ登録していない場合、又は予備登録である場合は、紙書類による送付方法のみ使用でき、その後登録申請又は予備登録の補正を行う。
2.法律・制度
(2024.09.22 工商時報第A2面要訳)
2-1 AI基本法は知的財産権保護が焦点 国科会の草案は10月に行政院に報告 生成AIはニュースコンテンツの著作権争議を招いており、検討範囲に含まれる
人工知能(AI)の迅速な発展を受け、国家科学及技術委員会(以下「国科会」という。)は、国家の多元的文化価値と知的財産権の保護の向上をポイントとする「AI基本法」草案を10月末までに行政院に提出する。国科会が近く立法院へ送る報告でも、生成AI及び大規模言語モデル(LLM)の勃興と発展がニュースコンテンツの著作権争議を引き起こしていると強調されている。
台湾内のメディア産業と大型デジタルプラットフォームとの意思疎通において、データマイニング(Data Mining)の過程でどのようにしてニュースメディア業者の著作権を保護するかが課題となっている。
経済部智慧財産局がAI産業の専門家を招聘して昨年開催した討論会では、他人のデータをAIプログラムのトレーニングに使用した場合、他人の著作の「複製」に関わる可能性があり、原則的に著作財産権者の同意又は使用許諾を取得しなければならないが、合理的使用の可否は個別案件をみて判断しなければならないという初歩的なコンセンサスが達成された。
一方、意思決定に関わる官員は、データベースの使用許諾の取得費用の支払いをマスメディア業者が要求できるとすると、AI業者がそのデータを使用しないことを選択した場合、台湾の主流メディアの影響力が低下し、台湾では費用徴収されるが中国の簡体字ニュースについては費用徴収されない場合、ユーザーの情報選択に影響するおそれがあると述べた。
3.その他一般
(2024.09.16 経済部プレスリリース全訳)
3-1 台湾の特許出願は半導体技術分野がメイン
www.moea.gov.tw/MNS/populace/news/News.aspx?kind=1&menu_id=40&news_id=115954
1. 2023年の新規特許出願が三種の専利(特許、実用新案、意匠を含む)出願に占める比率は7割を突破:各国の政府が専利制度を設立する目的は、民衆に発明への従事を奨励し、発明者の権利を保護すると共に、専利権者と民衆に合法的で適切な方法で発明を利用するよう指導して産業発展を促進することにある。近年の新規専利出願を観察してみると、2020年のコロナ禍を受け、世界的に経済活動が冷え込み、台湾の新規専利出願件数は7.2万件、前年比3.2%減となり、その後の年増加率は小幅の波となっており、2023年には0.8%の微増、2024年1月~7月は引き続き0.2%の微増となった。類型別に観察してみると、特許がほとんどで、2023年は初めて全体の7割を突破した。2024年1月~7月では69.4%とやや減少し、実用新案及び意匠の割合はそれぞれ20.3%、10.3%であった。
2. 台湾の特許出願は「半導体」分野がトップ:2022年の台湾における特許出願件数上位3分野は、「半導体」(14.5%)、「コンピュータテクノロジー」(9.0%)、「電子機械エネルギー装置」(6.1%)で、いずれも台湾製造業の優位分野となっており、そのうち「半導体」分野は2020年より3.6%ポイント増であり、最も伸び率が高かった。出願人を国別で見てみると、台湾人出願人の上位3技術分野は順に「半導体」、「コンピュータテクノロジー」、「電子機械エネルギー装置」で、外国人出願人では、日本、米国、中国及び韓国ではいずれも「半導体」が最多だったが、日本と米国は「高分子化学」及び「製薬」面でも突出していた。
3. 台湾における特許出願は、外国人出願人が6割以上:特許出願の出願人の国籍を観察してみると、外国人出願人が多く、台湾人と外国人の比率は約4:6で、2024年1月~7月の外国人出願人は61.8%で、そのうち日本が25.0%で最も多く、次いで米国13.4%、中国と韓国がそれぞれ6.6%、6.0%で3位と4位になった。
4. 近年の特許出願の台湾人出願人のうち、女性の占める割合は11%~13%:特許は技術的思想の創作に属することから、人材の専門的背景と密接に関係し、かつ、専利の大部分の創作はテクノロジー分野の傾向があり、理工的背景をメインとした専門知識が多く、台湾人男性がテクノロジー系の教育を受ける割合は女性より多いことから、男女の従業員比率にも影響を与える可能性がある。近年の男性比率は約8割を超えており、2020年~2023年の女性の割合は約11%~13%となった。
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